MAGIC STORY

神河:輝ける世界

EPISODE 11

神河史譚:当世

Emily Teng
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2022年1月21日

 

 神河の歴史の大半において、力とは特権階級だけのものであった。香醍(きょうだい)の祝福とともに次元を動かす皇国、多くの将軍、そして神の力を使う者たち。だが近年では、さまざまな革新によってあらゆる人々がより広範囲かつ安価に力を利用できるようになり、旧体制は重大な混乱に直面した。この革新の鍵となったものはふたつ。霜剣山市(そうけんざんし)悪忌(あっき)の職人たちが創案した増強機械、そして精霊の領域から力を直接引き出すサイバ未来派の手法だった。

当世》 アート:Anastasia Ovchinnikova

 悪忌の職人には発明と創意工夫の長い伝統があり、彼らは希少な資源を有効活用するだけでなく、神に与えられた力も用いて大きな効果を発揮した。増強機械によって、皇国や樹海の兵団の一部の者たちのように神との深い繋がりがなくとも、与えられた力を更に効率よく使用できるようになった。

 同時に、サイバ未来派は精霊の領域の性質を試すために統合の実験を執り行った。その意外な副産物として、彼らは神との繋がりを必要とせずに魔力を直接引き出す方法を発見した。霜剣山市の職人と未来派は直接協働したわけではなかったが、ふたつの技術者集団はすぐに協力して新技術の急発展の基礎を作り上げ、それはこの次元へと爆発的に広がった。

 だがこの近代化の全てが歓迎されたわけではなかった。足元の安定が揺らぐのを感じた皇国は、新技術の流れを制御しようとした。また、この新技術の発展は樹海の兵団と呼ばれる新たな組織を隆盛させた。技術をそのように無制限に使用することは、無謀で危険な方法で力を引き出すことであり、ふたつの領域の構造に取り返しのつかない損害を与える恐れがある――そう信じる者たちである。

 神の間では、意見はさまざまである。抵抗する神もいるが、物事がどのように変化するのかを見たがっている神もいる。多様な意見はあるものの、技術に関連する新たな神が出現している。多くの者はそれを、技術的社会的大変動によって、神河の魂そのものが後戻りできない形で変化している証であるとみなしている。

 そして時代は現代へと移る……

(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)

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