MAGIC STORY

神河:輝ける世界

EPISODE 09

神河史譚:麒麟の教え

Emily Teng
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2022年1月20日

 

 今日、大蛇人(おろちびと)は神河の至る所に生きている。だが昔、元々の彼らは樹海の住人であり守護者であった。そして古の伝説によれば、大蛇人はかつて神河の他の定命種族と同じような脚を生やしていたという。

麒麟の教え》 アート:Sam Burley

 何世紀もの間、大蛇人は主に樹海を生活の場とし、森の神と調和して生きてきた。だが都和市(とわし)の建造とそれに伴う森林破壊は森の神を激怒させた。神は森の中に住まうあらゆる定命を追い出し、森を定命から閉ざした――大蛇人も含めて。

 先祖代々の地を追われ、大蛇人は適応しようともがいた。悪忌(あっき)の新たな発明や領域の統合に伴うムーンフォークの実験は革新の波を煽り、新たな力の入手法をもたらした。だが大蛇人はその流れに取り残された。更に悪いことに、彼らはかつてのように神の力を引き出せなくなっていた。

 困り果てた大蛇人は神に助力を懇願した。やがて、その呼びかけに応えたのは麒麟だった。新たな守護神になってほしいと大蛇人は願ったが、麒麟はそれを拒んだ。そうではなく、一連の務めと探求を通して、麒麟は大蛇人の力の喪失の背後にある真実を理解させた。定命に怒り狂った樹海の神は彼らを森から追い出しただけでなく、自分たちとの力の繋がりをも断ち切ったのだった。大蛇人が力を取り戻すには、まずその意志を見せ、森の神へと犠牲を捧げねばならない。腕と脚をそれぞれ一対捧げ、より簡素な姿に戻る。問題は、そのような変化によって今日の神河への順応は更に困難になるということだった。

 大蛇人は同意しないと神は考え、故意にそのような要求を伝えたのだった。しかしながら神が驚いたことに、大蛇人はそれを躊躇なく了承するだけでなく、残る腕すらも差し出すと申し出た。その献身に心を動かされ、神は以前を越える規模の力を大蛇人に与えた。そして全ての肢を奪うのではなく、その力によりよく繋がる新たな姿を与えた。

 この物語のどこまでが真実か、そしてそのどれほどが、若き大蛇人に神への崇敬と献身の大切さを教えるための寓話なのかはわかっていない。どちらにせよ、それは大蛇人の最もよく知られた物語のひとつであり、この花瓶と生け花のような芸術的表現において人気の題材である。この花瓶は大蛇人の新たな姿を祝すように脚のない姿を描いており、飾られた花は麒麟を想起させるように魔法的に伸びている。このような生け花は多くの大蛇人の家で見ることができる。

(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)

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