MAGIC STORY

神河:輝ける世界

EPISODE 02

神河史譚:神の乱

Daniel Holt
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2022年1月11日

 

 神と定命は、かつて調和の内に暮らしていたが君主 今田(こんだ)の統治期に全てが変わってしまった、というのが現在の定説である。

永岩城の君主、今田》 アート:John Bolton

 永遠の権力という無謀な野望を抱き、永岩城(えいがんじょう)の君主である今田は精霊界からとある品を盗み出した。その品は、神河最強の神である大口縄(おおかがち)の「子供」だったのだ。その宝を得て君主 今田は超自然的な力と不死を得、国は栄えた。

奪われし御物》 アート:Adam Rex

 しかしながら、今田の不敬な行動は彼が予想する以上の破壊的な結果をもたらした。自身の一部を喪失した大口縄は精霊界を無秩序に暴れ回り、神河次元のあらゆる神に影響を及ぼした。苦しんだ彼らは定命の世界に散発的に顕現し、その場所へと苦痛と破壊をもたらした。この時代に最も崇敬された心優しき神のうちの数柱すら、それを奉ずる人々に襲い掛かった。一方の今田は奪われし御物を失う恐怖から、やがて偏執に墜ちていった。

復讐の神、大口縄》 アート:Daarken

 神の攻撃は二十年に渡って続いた。人間たちは今田の行いを知らぬまま、自分たちは神の怒りを招くような過ちを犯したのだろうかと訝しんだ。民にとっては今田こそが唯一の救い手であり、大いなる神の怒りに立ち向かえる唯一の存在だった――とはいえ、その力の源が何であるかは知られていなかった。

 神の乱が最も激化した時、大口縄は引き裂かれた自らの一部を探して定命の世界に現れた。子の痕跡を追い、この超巨大な精霊は憤激を世界に放ち、その跡に死と破壊を残していった。

 奪われし御物が砕かれ、囚われの神が解き放たれて神の乱はついに終結を迎えた。解放された神は君主 今田の娘である魅知子(みちこ)とともに大口縄を打倒してその破壊的な蹂躙を止めさせ、今田にも死という罰を与えた。

神の乱》 アート:Kieran Yanner

 ここに描かれたアートは、希薄なヴェールを通って現れた大口縄の美と恐怖を強調している。このドラゴンにして精霊の物語は神の乱とともに終わった。だがその姿と強烈な破壊の伝説は今なお、神河の全歴史でも最も重要な出来事として生き続けている。

(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)

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