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Making Magic -マジック開発秘話-

『タルキール覇王譚』デザイン提出文書 その1

2025年3月3日
マジックのデザインは、いくつもの段階に分かれている。ある時点で、最初のデザイン担当がセットの作業を後期の担当へと引き継いでいく。現在のデザインは、展望デザイン・チームがセット・デザイン・チームへと作業を引き継いでいる。それより昔のプロセスは、デザイン・チームが開発チームへと作業を引き継ぐ形になっていた。引継ぎの際、最初のチームはセットの主要な目的、テーマ、メカニズム、構造をまとめた文書を作成してから引き継ぐことで、後続のチームがこれまでの作業を理解しやすくしている。この引継ぎ文書はマジックのデザインに関する貴重な情報を提供するものとして非常に人気が高いため、私は今までに多くの文書を公開してきた。以下は、これまでに公開した引継ぎ文書の一覧である。
- 『エルドレインの王権』(その1、その2)
- 『イコリア:巨獣の棲処』
- 『ゼンディカーの夜明け』
- 初代『ゼンディカー』(その1、その2)
- 『ストリクスヘイヴン:魔法学院』(その1、その2)
- 『未来予知』
- 初代『イニストラード』
- 『神河:輝ける世界』(その1、その2)
- 『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』
- 初代『ラヴニカ』
- 『ファイレクシア:完全なる統一』(その1、その2)
- 『機械兵団の進軍』(その1、その2)
- 『エルドレインの森』(その1、その2)
- 『イクサラン:失われし洞窟』(その1、その2)
- 『サンダー・ジャンクションの無法者』(その1、その2)
- 『ブルームバロウ』(その1、その2、その3)
- 『ダスクモーン:戦慄の館』(その1、その2)
- 『霊気走破』(その1、その2)
今回の文書はこれまでと少し異なる。過去のもの、それも約13年前のものを取り上げる。これは私が『タルキール覇王譚』のために作成したオリジナルの提出文書である。このセットは『タルキール覇王譚』ブロックの最初のセットであり、このブロック名を冠したセットでもある。これまでの私のデザイン提出記事と同様、文書の大部分は実際のオリジナル文書であり、私の解説や背景説明は本文の横の枠の中に記載する。この文書は長いため、二部構成でお届けする。
「Huey」デザイン哲学
『タルキール覇王譚』は、古い制度のデザインと開発体制のもとでデザインされた。当時のプロセスでは、我々は現在ではセット・デザインの中盤にあたる時期に引き続き作業を行っていた。マークは次席者として私のサポートを行い、アダムはクリエイティブ・チーム代理を務めていた。ビリーはプレイテストでゲームバランスが適切に保たれていることをチェックする責任を担う開発者だった。ショーンとケンは、2人共数々のカードをデザインしてきたベテランである。
私は過去に経験の浅いデザイナー3人を育成する目的で「アドバンス・プランニング・チーム」を設立した。このとき、イーサンとショーンは「Great Designer Search 2」で1位と2位の結果を残し、6ヶ月のインターンシップの権利を手に入れたばかりだった。3位だったダンも、デザインの仕事に興味を持っていた。このチームはデザイン開始の1年前から活動を続け、ブロック全体の設計方法を模索する業務に就いた。ここで得た経験値は素晴らしいものとなったため、私は最終的にこの仕組みをデザインの過程に組み込むことにし、最終的にはこれは2、3ヶ月間の先行デザインの工程に発展した。
『タルキール覇王譚』のコードネームは「Huey」だった。これはヒューイ/Huey・デューイ/Dewey・ルーイ/Louieという、ドナルドダックの甥たちの名前を由来としている。しかし、このコードネームの仕組みは適切ではなかった。なぜなら、多くのデザイナーが正しい順番を覚えられず、また正確にスペルを書くこともできなかったためである。
「Huey」デザイン・チーム:マーク・ローズウォーター/Mark Rosewater(リード)、マーク・ゴットリーブ/Mark Gottlieb、アダム・リー/Adam Lee、ビリー・モレノ/Billy Moreno、ショーン・メイン/Shawn Main、ケン・ネーグル/Ken Nagle
「Huey」アドバンス・プランニング・チーム:マーク・ローズウォーター(管理)、ダン・エモンズ/Dan Emmons、イーサン・フライシャー/Ethan Fleischer、ショーン・メイン
「Huey」ブロックの中心には、一つの共感を呼ぶ物語、「タイムトラベルによる世界改変」がある。この物語の典型的な構造を以下に示す。
デザイン作業はしばしばストーリーよりも先行して進められるが、当時は特にその傾向が顕著であった。デザインを引継いだ時点で、これはプレインズウォーカー・サルカンの故郷であることが判明していた。ドラゴンはすでに滅びており、サルカンは彼らを救うために過去へ戻ることになる。我々は、第三セットをドラゴンに焦点を当てたものにする予定だったが、具体的にサルカンが何をするのかは決まっていなかった。最終的に、彼はボーラスと戦ったウギンを救うことになった。通常、この種の物語では変更をもたらした人物は自身の過ちに気付くものだが、サルカンはそれを間違いだとは認識しなかった。
第一幕
- 主人公は、長い間故郷を離れていたが、自身の故郷を見直す必要に迫られる。
- その世界が根本的に歪んでいることに気付き、それを修正する方法を求める。
- 主人公はタイムトラベルの手段を発見し、過去に戻ることで世界を修正できる可能性に気づく。
第二幕
- 主人公は過去へと旅立ち、問題が発生する以前の世界を体感する。
- その時代の世界は、よき未来の可能性を示しており、希望を感じる。
- 主人公は歴史の分岐点に立ち会い、行動を起こし、未来へ決定的な変化をもたらす。
第三幕
- 主人公が現在に戻ると、そこには出発したときとは異なる世界が広がっている。
- 最初は、自分が問題を解決したと信じ、満足する。
- しかしその変化によって生まれた世界は、以前よりもさらに悪化していることが明らかになる。主人公は衝撃を受け、「一体何をしてしまったのか」と思う。
この構成によって、拡張セットそれぞれが明確な方向性を持つこととなった。本記事は「Huey」のデザイン引継ぎ文書であるため、「Huey」においてこれがどのような意味を持つのかについて説明する。最初のセットでは、この世界が欠陥を抱えたものであることを明確に示す必要がある。ただ単に物事が間違った方向に進んでいるのではなく、世界そのものが何らかの歪みを抱え、サルカンが「何かを変えなければならない」と考えるほどに荒廃していることを表現しなければならない。この「何かが間違っている世界」の雰囲気を作り出すため、デザインではいくつかの要素を取り入れることとした。
早い段階から、このセットは人型のカンが統治する多色の氏族が登場し、それが第三セットでドラゴンが統治する多色の氏族に変化することが決定されていた。最初、クリエイティブ・チームは4つの氏族を考案し、それに基づいた3色の2氏族と2色の2氏族という構成を検討していた。しかし、その後クリエイティブ・チームが5つ目の氏族となるスゥルタイを提案したため、セットの構成を変更し、それを組み込むことにした。この3色&2色の構成は、後に『イクサラン』で使用されることとなった。
5つの氏族を確定させた後、色のバランスを取るためにより整合性のある構造を作る必要があった。『アラーラの断片』は3色の断片(ある1色とその隣の友好色2色)をテーマとしていたが、3色の楔(ある1色とその敵対色2色)を中心としたセットはまだ作ったことがなかった。
楔を基盤とすることが決まった後、第三セットでは敵対色の2色ペアをテーマにしたいと考えた。これまでのセットでは友好色を中心と/したものが多かったため、変化を加えたかったのだ。しかし『タルキール覇王譚』のリード・デベロッパーであるエリック・ラウアー/Erik Lauerは、楔のセットではドラフトの際に敵対色が優先されることになり、結果としてどの楔に進むかの選択肢が広がることを指摘した。そのため敵対色をテーマとしたセットを作ると、プレイ感覚が楔のセットのときと非常に似通ったものになってしまう。そこで、第三セットである『タルキール龍紀伝』は友好色の2色ペアを中心とする構成へと変更した。
- 氏族の定義 ― 本作の舞台は、氏族同士の対立を中心に展開する。そのため、デザイン・チームは各氏族それぞれに特徴的なメカニズムを与え、氏族の持つフレイバーやテーマと一致するよう努めた。
変異は、セットのデザイン初期段階から存在していた。このメカニズムを使用することで、ブロックの3つの段階(現在、過去、変化後の現在)を表現できるからだ。何回か、5つの氏族メカニズムで十分だとして変異の削除が検討されたときもあったが、私は変異がセットにたくさんの価値を与えてくれていると考えたため、文書内のさまざまな場所で(ここも含め)指摘していた。
- 不確実性 ― デザイン・チームは、謎に包まれた世界観を作り上げることにも注力した。ゲームプレイを通じてこの謎を現す簡単な方法の1つは、プレイヤーが把握できる戦場の情報を減らすことだ。
『アラーラの断片』から得た大きな教訓として、隣り合う陣営が一貫性のないシナジーを持っている場合、リミテッドでのデッキ構築が難しくなるというものがある。『タルキール覇王譚』では、このアラーラ・ブロックでの問題点の改善を目指していた。
- 立場の重複 ― 多くの世界観設定では、異なる勢力はそれぞれ独立しており、固定的な立場である。しかし「Huey」の世界では、氏族間で流動的なのが特徴だ。各氏族は他の氏族と共通する要素があり、これはつまりクリーチャーが異なる氏族に所属できることを意味する。これは隣接する氏族は重複するメカニズムを持ち、それぞれシナジーを生み出してプレイの幅を広げてくれることを意味する。
長年、多色カードの枚数をブロック全体でどの程度にするべきかという議論が続いていたが、本セットでは明確に「多色カードを多く採用する」という方針を打ち出した。
- 多色の使用 ― プレイヤーは長年の間、楔の3色セットを求めていた。そして楔の3色と氏族の設定がかみ合ったことで、これは実現した。5つの戦いの長率いる氏族に分かれている世界観に焦点をあてる方法の1つとして、金色のカードを使用できる。
ここから、セット・デザインのこれら4つの要素について、より詳しく掘り下げていく。
氏族の定義
通常、楔3色をテーマにしたセットでは、3色の中で2つの色に敵対している敵対色が中心の色になるべきだと考えられる。しかし本ブロックでは、氏族が時間の経過と共に色が変わり変化することを念頭に置いていた。最後のセットの『タルキール龍紀伝』では友好2色になる予定であった。ブロック全体を通して氏族の特徴に一貫性を持たせるため、共通する敵対色ではない色を基盤の色に選ぶことになった。
各氏族は、基盤となる1色と、それを補助する2色を持つ。クリエイティブによって定義された5つの氏族に対応しており、「Louie」のセットを適切にデザインするため、基盤の1色はある2色に共通する敵対色を据えるのではなく、友好色2色の片方にした。つまり、基盤となる色は友好色1つと敵対色1つを持つ。
『アラーラの断片』が犯したもう一つの誤りは、各陣営に固有のキーワードがなかったことだ。確かに各断片にはメカニズム的なテーマがあったが、キーワードを持つ陣営と持たない陣営が存在しており、バランスが取れていないように感じられた。この失敗を繰り返さないよう、本セットでは各氏族に固有のキーワード能力または能力語を必ず与えるようにした。
各氏族には、それぞれの強みを反映させたキーワードがある。このキーワードは氏族の基盤色のカードに特に多く使用されている。現時点では、各氏族はキーワードを持つコモンが4枚ある。基盤色に2枚、補助色に1枚ずつだ。アンコモンも同じ配置になっている。レアには、各氏族の基盤色にキーワードを持つカードが1枚あり、サイクルを形成している。レアと神話レアでは、補助色にも単発のカードが何枚か存在している。
文書の後半で詳しく説明するが、各氏族に明確なテーマを与えるため、我々は多くの時間を費やした。また、タルキールの世界ではドラゴンが極めて重要な要素であるため、各氏族は「ドラゴンの持つ特性のうち、最も重要であると考えるもの」を取り入れることにした。氏族のシンボルをデザインする際、ドラゴンの各部位と結びつけるアイデアが後になって採用された。
セット全体の雰囲気を決定づけるため、各氏族が持つメカニズム的な特性とプレイパターンはその氏族の設定を強く反映していなければならない。 「Dewey」と「Louie」になると氏族の色は変化するが、一貫した雰囲気を維持したい。そのために「Huey」の段階でしっかりと定め、定着させる必要があった。
忍耐の氏族、アブザン
今現在では、提出文書においてメカニズムを説明する際はそのメカニズムを持つ具体的なカード例を書くことで、議論が分かりやすくなるようにしている。しかし13年前にはこのやり方が確立されていなかったため、ここでは文章に基づいて開発段階のメカニズムを解読していくことにする。
伏体はおそらく「長久」の調整過程のバージョンであり、起動型能力ではなくクリーチャーで攻撃を行わないことによって働く能力だったと推測できる。最終的には開発チームによってマナとタップが必要な形へと元のバージョンから変更された。私はオリジナルのバージョンを推していたが、この主張は受け入れられなかった。
基盤色:白
補助色:緑、黒
キー・メカニズム:伏体/Hunker-down
アブザンの哲学は、「自身が倒れないかぎり、相手は勝つことができない」だ。アブザンは5つの氏族の中で最もゆっくりとしており、防御を主軸にしている。対戦相手の速度を鈍らせたり、時間の経過とともに成長していくカードを好む。アブザンは盤面に留まる時間が長ければ長いほど、勝利する可能性が高くなっていく。「伏体」は、アブザンの「時間が経てば経つほど強くなる」コンセプトを体現している。
「伏体」のデザインには多くの試行錯誤があった。開発チームの要請により、マナ・コストとタップが必要な形に変更した。デザイン・チームからの唯一の要望は、「攻撃せずに伏せる」という要素がゲームプレイとフレイバーの両方にとって重要だと感じられることであった。「{M},
:このクリーチャーに+1/+1カウンター1個を置く」だけでは、このメカニズム本来の雰囲気を完全に再現できないと感じたのだ。
狡知の氏族、ジェスカイ
カンフーはほぼ間違いなく果敢だろう。開発チームが加えた唯一の変更点は(デザインだったかもしれない、覚えていない)誘発がインスタントとソーサリーのみだった点を、クリーチャーでないすべての呪文にした点がある。
基盤色:青
補助色:白と赤
キー・メカニズム:カンフー/Kung fu
ジェスカイは「勝利の鍵は相手を出し抜くこと」と考える氏族である。たとえ相手が豊富なリソースを持っていても、それを有効に活用できないようにすれば打ち負かすことができる。ジェスカイはトリッキーさでアドバンテージを得る氏族である。5つの氏族の中で2番目に速い速度を持ち、回避能力や呪文を駆使して対戦相手を惑わせ、ゲームを密やかに支配する。
カンフーは少林寺のモンクのような雰囲気と、ジェスカイの狡知を融合させたものを表現するために作られたメカニズムだ。クリーチャー中心のメカニズムでありながら、インスタント呪文の使用によって相手を混乱させる要素を持つ。カンフーをサポートするため、ジェスカイ・カラーには戦闘向けの軽量ドロー付き呪文のサイクルを作成した。
残忍の氏族、スゥルタイ
探査は主に呪文に記載することを選択した。これは、5つの氏族メカニズムのうち3つ(伏体、カンフー、強襲)がクリーチャー専用だったためである。そのため、探査を持つクリーチャーは少数存在するものの、主に呪文に持たせることを優先した。また、デザインチームは『未来予知』に収録されていた3枚の探査カードのうち、1枚を再録できないか検討していた。開発チームの要望により《死に際の喘ぎ》が削除されたため、代わりに黒のレア枠の探査カードとして《墓忍び》の再録を試みた。しかしこのカードは前年に『Modern Masters』で再録されており、採用できるかどうか確信が持てなかった。《論理の結び目》結びも候補に挙がったが、フレイバーに合わないとして見送られた。また、一部のカードには「墓地からランダムにカードを1枚選ぶ」効果を持つものがあり、探査を利用することでランダム性を制御できるようにデザインされていた。
探査をどこかで収録したいと考えていたところ、スゥルタイは完璧に適した氏族だと判断した。探査の採用に関して、最も興味深い点は『未来予知』に登場した未来シフトのカードをセットに組み込もうと試みたことである。最初に《死に際の喘ぎ》を入れたが、「緑でないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。」という効果に少し違和感を感じた。そして開発チームがそのパワーレベルを懸念し、削除を求めた。次に《論理の結び目》を検討したが、スゥルタイのテーマに合わないと判断し、不採用となった。その後、《墓忍び》を採用しようとした。しかし、前年の『Modern Masters』で再録されていたこと、そしてクリエイティブ・チームから「このセットにデーモンは入れない」という方針が示されたことで、採用には至らなかった。印刷されたセットにはデーモンが含まれており、さらに探査を持つデーモンまで登場していた。それにも関わらず、《墓忍び》は採用されることはなかった。
基盤色:黒
補助色:青と緑
キー・メカニズム:探査
スゥルタイはドラゴンの「残忍さ」を重視する氏族であり、勝利のためにはどんな手段も厭わない。こうした氏族の特徴を表現するため、スゥルタイはアンデッドを兵力として活用している設定を持つ。我々は『未来予知』のメカニズムの中で、(からくりを除くと)最も再登場を望まれていた探査の収録先を探していたが、これはスゥルタイに完璧に合致すると判断した。探査はスゥルタイの持つ遅めのゲーム展開とも相性が良い(スゥルタイは5氏族の中で2番目に遅い)。
迅速の氏族、マルドゥ
開発チームは最終的には主にクリーチャーへ強襲を適用したが、例外として2枚の呪文も持つようになった。これらの呪文は、戦闘前に使うことでカンフーのボーナスを得ることが可能になっている。
基盤色:赤
補助色:黒と白
キー・メカニズム:強襲
マルドゥは速度を司る氏族である。勝利は最速で攻撃する者が掴むと信じている。マルドゥは最も早い氏族であり、クリーチャー中心の攻撃的な戦術を繰り広げる。そのため、攻撃を促進するメカニズムとして強襲を採用した。強襲には二次的な機能もある。それは、変異クリーチャーの攻撃の意図を隠すことである。対戦相手は、攻撃がトリックを仕掛けるためなのか、それとも強襲のボーナスを得るためなのかを判断できない。
デザイン段階では、強襲はクリーチャー専用のメカニズムとして扱われた。これは当初「Louie」で「Huey」のメカニズムをアレンジする計画があったため、強襲を呪文にも適用できるように余地を残していたことによる。しかし、その後の調整で、現在のバージョンとなった。主な理由は強襲とカンフーがうまく共存できるようにするためである。強襲が呪文に適用されると、カンフー持ちのクリーチャーとの相互作用がうまく機能しない。カンフーのボーナスを得るには呪文を攻撃前に唱える必要があるが、強襲は攻撃後に呪文を唱える必要がある。マルドゥとジェスカイは赤と白を共有する氏族であるため、メカニズム同士が互いに相反しないように配慮した。
獰猛の氏族、ティムール
基盤色:緑
補助色:赤と青
キー・メカニズム:パワーアップ/Power-up
ティムールは獰猛さの氏族であり、「すべては力に帰結する」と信じている。最も大きく、最も凶暴な戦士こそ勝利すると考えている。氏族の速度は3番目であり(つまり、3番目に速いまたは3番目に遅い)、ミッドレンジの戦略を取り中盤に大型クリーチャーへと繋げる戦法を取る。
ティムールのメカニズムはパワーアップであり、氏族のモットーである「大きいほどよい」を直接体現している。我々は意図的に、ティムールに小型クリーチャー(パワー1や2のクリーチャー)をパワー3以上へと(一時的、たまに永続的に)強化する呪文や起動型能力を多数持たせた。これにより、パワーアップの条件を達成しやすくなっている。ほぼすべてのパワーアップ能力を持つカードはインスタントかソーサリーであり、例外が1枚だけあるが、それも必要に応じて削除できるようになっている。
信じるカンは?
今日の内容はここまでとなる。愛されているセットの初期バージョンを楽しんでもらえただろうか。提出文書や『タルキール覇王譚』に関する意見を、メールやソーシャル・メディア(X、Tumblr、Instagram、Bluesky、TikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。
来週は『タルキール覇王譚』デザイン提出文書 その2をお届けする。
それまでに、所属するべき氏族を見つけておこう。
(Tr. Ryuki Matsushita)
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