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Making Magic -マジック開発秘話-
『機械兵団の進軍』展望デザイン提出文書 その1
2023年5月8日
展望デザインの終わりに、展望デザイン・チームのリードはそのセットの展望について解説した展望デザイン提出文書を作成する。そこには、大目標、テーマ、メカニズム、構造が記されている。読者諸君からの反響を受けて舞台裏についての記事は人気が証明されたので、数年前から展望デザイン提出文書を公開し始めた。これまでの記事は以下のリンクから読むことができる。
- 『エルドレインの王権』(その1、その2)
- 『イコリア:巨獣の棲処』
- 『ゼンディカーの夜明け』
- 初代『ゼンディカー』(その1、その2)
- 『ストリクスヘイヴン:魔法学院』(その1、その2)
- 『未来予知』
- 『イニストラード:真夜中の狩り』『イニストラード:真紅の契り』
- 『神河:輝ける世界』(その1、その2)
- 『ファイレクシア:完全なる統一』(その1、その2)
この文書は長く、私がつけたい解説も多いので、『機械兵団の進軍』の記事は2部作にした。私の展望デザイン提出文書記事の通例として、以下の文章のほとんどは実際に提出された当時の文書であり、そこに囲みとして詳細な説明や文脈を書き添えている。
『Marathon』展望デザイン提出文書
先行デザイン・チーム、展望デザイン・チーム
いつもの通り、デザイン・チームの紹介から始めている。彼らの紹介は、私の最初の『機械兵団の進軍』プレビュー記事に掲載されている。
- マーク・ローズウォーター/Mark Rosewater(リード ― 先行デザイン、展望デザイン)
- アニー・サーデリス/Annie Sardelis(先行デザイン)
- アリ・ニー/Ari Nieh(次席者 ― 先行デザイン、展望デザイン)
- クリス・ムーニー/Chris Mooney(次席者 ― 先行デザイン、展望デザイン)
- ダン・ムッサー/Dan Musser(展望デザイン)
- デイブ・ハンフリーズ/Dave Humpherys(展望デザイン)
- マイク・マールス/Mike Mearls(先行デザイン、展望デザイン)
『機械兵団の進軍』のデザインは、『灯争大戦』の成功に大きく影響されている。我々は、ファイレクシアの物語をど派手に終わらせる冠石となるセットにしたかった。そのため、デザインは、私が展望デザインをリードし、リード・セットデザイナーのデイブ・ハンフリーズに引き継ぐことにした。これは、『灯争大戦』と全く同じ布陣であった。
『灯争大戦』がニコル・ボーラスの物語の結末であったのと同じように、『Marathon』(『機械兵団の進軍』の開発コード)は複数年に渡るファレクシアの物語の結末である。そのため、これは超大型の物語の結末としてデザインを作った、いわば事象のセットである。『Marathon』の場合、それは次元間戦争である。世界樹の力を利用し、ファイレクシアンは多元宇宙のあらゆる次元を侵略する手段を見つけた。このセットは、多元宇宙がファイレクシアの侵略に抵抗することが中心となる。このセットには以下の目標がある:
1.次元間を描きあげる
展望デザイン・チームは我々が必要とするような「次元」カード(後のバトル)にたどり着いていなかったが、それがブースター体験の展望における中核であること、そして各ブースターには次元全体を表すカードが必要なことはわかっていた。また、展望デザインが、各カードでその舞台となっている次元がわかるようにしていたこともわかるだろう。透かしを使うことについて議論があったが、最終的に、各次元特有の透かしを覚えるのは難しすぎると判断したのだ。最終的には、次元ブースター・ファンのカードで、様々な次元の仕様を使った。
なお、KSPとは、「販売上の重要点」(Key Selling Point)のことである。
『Marathon』における次元は、『灯争大戦』におけるプレインズウォーカーのようなものである。我々のクールな多元宇宙を表現し、プレイヤーに好きな次元を楽しく選んでもらう機会が訪れるのだ。次元を表すメカニズムを作り、それをすべてのブースターに入れることを計画している(詳しくは後述)。多元宇宙の豊かさは、このセットのKSPの重要部分である。セットの構造を計画するあらゆる段階で、我々は「多元宇宙の豊かさを表現する」という観点で見てきた。ほとんどのカード名には、3文字のコードがついていることがわかるだろう。最終的なカードを見たプレイヤーがその舞台がどこかわかるようにする必要がある(透かしのようなものが想定される)が、プレイテスト中にもわかるように名前の後につけてある。プレイテスト中にも、戦争の規模が感じられるようにするのは重要だと考えたのだ。
2.戦争を描きあげる
通例、戦闘を物語の中心に据える場合、デザインではその両陣営をメカニズム的に表現する必要がある。先行デザインと展望デザインで、ファイレクシアンをメカニズム的に表現する方法や「連合」を表現する方法を見つけるためにかなりの時間を費やした。これから見ていく通り、この枠組はこのセット全体の構造を定義している。
ここで言う事象とは戦争なので、このセットではそれを再現しなければならない。我々はこれを複数の手段で実現した。1つ目に、両陣営に明確なメカニズム的特徴があるようにした。ファイレクシアンは恐ろしい存在で、凝集的に感じる方法で侵略するものでなければならない。次元に住人、ここでは連合と呼ぶが、は、印刷されたセットで描かれたままではなくても、生きるために手を取り合っていると感じられるべきである。外部の脅威が深刻であれば、それまで敵対していたクリーチャーが次元を守るために協力することを描くことができる。2つ目に、ゲームプレイの進行が対立の大きさを再現するようにした。
3.『Lacrosse』と『Marathon』でのファイレクシアンを差別化する
両面カードは、ファイレクシアンをメカニズム的に表す重大な道具となった。それによって、ファイレクシア化した様々な次元の象徴的なクリーチャーを作れたのだ。また、培養メカニズムも可能になった。そして、英雄譚になる法務官も作れた。さらに、バトルを作ることもできるようになった。「変身関連」と「ファイレクシアン関連」はどちらも『機械兵団の進軍』の新テーマであり、それぞれをもとにドラフト・アーキタイプを作ることができた(それぞれ緑青と白黒)。
ここで言っていなかった重要なことが1つある。多元宇宙全体からの見覚えのあるクリーチャーのファイレクシア化したバージョンを表す片面カードを大量に作ることができた。これも『ファイレクシア:完全なる統一』ではできなかったことである。
『Lacrosse』(『ファイレクシア:完全なる統一』の開発コード)では、プレイヤーがファイレクシアの次元を訪れ、そのファイレクシアンらしさを味わうことができた。『Marathon』では、多元宇宙を攻撃するファイレクシアの侵略軍の一員となることが選べる。この2つの体験を独特のものにしながら、プレイヤーが望むならこの2つの要素を混ぜられるようにすることが重要である。これを正しく実行するのは難しい。『Marathon』では、主に『Lacrosse』で(あまり)使われなかった2つの要素である変身と部族性に焦点を当てることでこれを実現した。『Lacrosse』には両面カードはなかったので、それによって可能になったフレイバーに富んだ道具を用いて『Marathon』独特のクールなことが色々とできた。また、「変身関連」をテーマとして採用できた(詳しくは後述)。『Lacrosse』ではファイレクシアンの比率が非常に高かった(およそ80%)ので、部族的メカニズムはあまり使うことができなかった。『Marathon』でのファイレクシアンの比率はかなり低く(約30%)、そのためクリーチャー・タイプとしてのファイレクシアンを基柱としたアーキタイプを作ることができた。
4.神話的たれ
初期から、我々は両陣営を(『ミラディン包囲戦』のように)5:5にするつもりはないとわかっていた。このセットの枠組みが戦争そのものなので、ここには最初いくらかの議論があった。7:3に分けるための鍵として、このセットを斬新なものにして物語内の他のセットと違うものにするのが何かを理解することが必要だった。次元という観点が重要(であり、展望を持つことが良いデザインへの鍵だということ)である。デザインにおいては様々な側面があるもので、それらが対立したときに何を優先するかを知る必要がある。『機械兵団の進軍』の場合、多元宇宙を描くか戦争を描くかというのが大きな対立だった。このセットで新奇なことは多元宇宙全体を舞台としているということなので、新奇性の源は後者よりも前者だと考えたのだ。
『灯争大戦』は、複数年に渡る物語のど派手なフィナーレを飾ることには大いなる価値があることを示した。『Marathon』では、プレイヤーを驚かせ驚異を感じさせて満足させる必要がある。物語の規模は、これまでのどれよりも大きい。多元宇宙全体が戦争中なのだ。『Marathon』展望デザインの初日から、我々の目標は真に神話的なものを作ることだった。ユーザーが息を呑むようなものを作る必要があったのだ。
そのためにどうすればいいか。第一歩は、我々が再現しようとしている事象を強調する大きな構造を作ることだった。次元間戦争。そのためには、2つの陣営が必要である。一方の陣営は侵略するファイレクシアンで、もう一方は多元宇宙の様々な次元の住人がいる、「連合」である。各陣営にはそれぞれ独自のメカニズムとテーマが存在する。両陣営を同規模にしなかった(現状では7:3で連合側が多い)ことには理由がある。ファイレクシアンと戦うために協力している多元宇宙の住人というところには、特に『Marathon』の直前のセットがファイレクシアンに焦点を当てた『Lacrosse』であることを考えると、クールで新しい空間が大量に存在しているのだ。
各陣営は以下のようなメカニズム的性質を持つ。
ファイレクシアン
先述の通り、このセットの悪役らしさを表しながら『Lacrosse』でしたことを避けるようなファイレクシアンの要素を作る方法を見つける必要があった。この問題を解く鍵は、『Marathon』の中心を考え、多元宇宙の多様性という視点から見ることだった。ファイレクシアンと次元との連なりはなにか。
敵としてのファイレクシアンを見ることで、その答えは導かれる。彼らは、その意識するあらゆる生き物を遺伝子的に変質させようとする侵略軍らしく振る舞うのだ。つまり、ファイレクシアンを特徴づけるものの1つが、他の文化を自身に吸収することである。これをメカニズム的に表す方法はあるだろうか。あった。
変身(再録キーワード)
〈ゴールドメドウの従者 LRW〉
{W}
クリーチャー ― キスキン・兵士
1/2
{4}{G/P}:これを変身させる。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる。
/////〈ゴールドメドウの恐怖〉
4/4
トランプル
〈腐敗生まれのサリッド DOM〉
{1}{B}
クリーチャー ― ファンガス
2/2
{4}{G/P}:これを変身させる。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる。
/////〈ファイレクシアのファンガス〉
3/3
このクリーチャーが【カード名】になったとき、緑の1/1のファイレクシアン・苗木・クリーチャー・トークン2体を生成する。
セットデザインは、この起動コストの色違いマナとファイレクシア・マナの両方を採用した。『ファイレクシア:完全なる統一』でもファイレクシア・マナを提案したがセットデザイン中にかなり削り落とされたので、これが採用されるかどうかは自信がなかった。ファイレクシア・マナは非常にバランスをとるのが難しい。また、展望デザイン・チームは問題を予測して、それに備えた解決策を見つけていたことも書いておこう。会議すべての記録を保存するようになっているので、我々の主な提案がうまくいかなかったときにセットデザインは他の試案を見ることができるのだ。
両面カードは物語を語る上で素晴らしい働きをし、もっともよくあるファイレクシアの物語は同化の一種である。これは、この同化を描くために変身する両面カード(TDFC)を使うという決定に影響している。第1面は多元宇宙全体からの象徴的クリーチャーである。その後、起動コストを支払って(ファイレクシア・マナを含むコストを使って)そのクリーチャーをファイレクシア化したバージョンに変身させるのだ。
我々が作ったバージョンでは、すべてのクリーチャーは異なる色のファイレクシア・マナを持っている。これによって、ファイレクシア・マナの両方の側面の利点(コスト低減と色の回避)が活かせるようになっているのだ。第2面は、2色目にメカニズム的に関連するクリーチャーになっているが、第1面の色からは曲げの範囲で収まるようにしている。2色のままにするか1色にするかはセットデザインの判断である。
第1面は様々な次元の象徴的クリーチャーであり(それぞれの次元が容易に識別できるものが望ましい)、ファイレクシア化していない間のクリーチャー・タイプである。第2面は、ファイレクシアンというクリーチャー・タイプが追加される。これはこのセットのファイレクシアン部族テーマとよく噛み合い、大抵は部族による利益を得るために変身する必要がある。
このメカニズムがファイレクシア・マナを使うのは良いことだと思う。プレイヤーがファイレクシアから連想するバランスの取りにくいものであるが、起動型能力としてなら扱うことができるだろう。また、カードにライフを支払う要素を加えており、これも非常にファイレクシアらしく、基柱にできるものである。展望デザイン・チームは、ファイレクシア・マナが使えなかったときに変身のために使える他のものについていくらか時間を取ってブレインストーミングした。それについては、『Marathon』カードデザイン・チームのチャンネルに共有している。
変身する伝説のクリーチャー(再登場テーマ)
〈再誕のポルクラノス THS〉
{2}{G}{G}
伝説のクリーチャー ― ハイドラ
4/4
トランプル
{X}{X}{W/P}:これを変身させる。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる。
/////〈再ノーンのポルクラノス〉
4/4
トランプル
これが変身したとき、これの上に+1/+1カウンターX個を置く。そうしたとき、あなたがコントロールしていなくてパワーがこれより小さいクリーチャー1体を対象とする。それを追放する。
〈怒れるもの、トラルフ〉
{2}{R}{R}
伝説のクリーチャー ― 神
4/4
トランプル、速攻
{1}{R}:ターン終了時まで、これは+3/+0の修整を受ける。
{4}{G/P}:これを変身させる。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる。
/////〈血塗られた征服者、トラルフ〉
5/5
トランプル、速攻
{1}{R}:ターン終了時まで、これは+3/+0の修整を受ける。
これが変身したとき、あなたのライブラリーから基本土地・カード3枚を探し、タップ状態で戦場に出す。これが戦場を離れたとき、土地3つを生け贄に捧げる。
例として作ったカードの要素が印刷まで至る際、私は大いに喜ぶ。ポルクラノスのカード・デザインは完全に変わったが(『ミラディンの傷跡』のカード《ワームとぐろエンジン》、伝説のクリーチャーのファイレクシア化で有名なファイレクシアのアーティファクトを連想させた)、ファイレクシア化するキャラクターとしてポルクラノスは採用された。
低いレアリティでは平凡なクリーチャーが変身するが、高いレアリティのカードではユーザーが知っていて意識しているキャラクターがファイレクシアの影響を受けるところを描くことができる。これらのカードではかなり感情を揺さぶることができるので、魅力的で人気のカードを作ることができるだろう。
繭(新しいキーワード処理で、新しい両面トークンを作る)
〈ウィルスの乗っ取り NPH〉
{2}{U}
インスタント
クリーチャー呪文1つを対象とする。それを打ち消す。
繭2を行う。(+1/+1カウンター2個が置かれた状態で「{2}:このアーティファクトを変身させる。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる。」を持つ無色の繭・アーティファクト・トークン1つを生成する。それの第2面は無色の0/0のファイレクシアン・アーティファクト・クリーチャーである。)
〈ファイレクシアの幼生 NPH〉
{2}{G}
クリーチャー ― ファイレクシアン・昆虫
1/1
これが戦場に出たとき、繭3を行う。(+1/+1カウンター3個が置かれた状態で「{2}:このアーティファクトを変身させる。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときのみ起動できる。」を持つ無色の繭・アーティファクト・トークン1つを生成する。それの第2面は無色の0/0のファイレクシアン・アーティファクト・クリーチャーである。)
展望デザインではコストについても最初の見積もりを立てるが、セットデザインやプレイデザインの間に変更されるのが通例である。セットデザイン中に多くの培養カードがデザインされたが、コストについて我々の最初の目算が正しかったことを誇りに思っている。
我々が多元宇宙のファイレクシア化を再現するために思いついたもう1つのクールなアイデアが、(宝物、食物、手がかり、血に続く)新しいアーティファクト・トークンである。これの新しいことの1つが、両面トークンであることである。我々はこれを繭・トークンと呼んでいる。(この名前や概念は変更されるだろう。)繭は、必ず数がついているキーワード処理である。+1/+1カウンターN個が置かれた状態で繭・アーティファクト・トークンを生成する(Nはキーワードに続いている数である)。そして、2マナで、ソーサリーとして、繭・アーティファクト・トークンをファイレクシアン・アーティファクト・クリーチャーに変身させる。我々がこのキーワードを採用したのは、これによって呪文にファイレクシアらしさを持たせることができ、デザインの軸にできるような(詳しくは後述)変身要素を作ることができ、また、ファイレクシアン部族に新しい要素が加わるからである。
ファイレクシアン部族(メカニズム的テーマ)
〈翼ある侵略者 NPH〉
{2}{W}
クリーチャー ― ファイレクシアン・兵士
1/2
飛行
これが攻撃するたび、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+1の修整を受ける。そのクリーチャーがファイレクシアンなら、ターン終了時まで、それは飛行も得る。
〈侵略戦隊 NPH〉
{4}{B}
クリーチャー ― ファイレクシアン・兵士
4/4
これが戦場に出たとき、あなたがこれでないファイレクシアンをコントロールしている場合、ターン終了時まで、これは速攻と破壊不能を得る。
新しいクリーチャー・タイプを導入するときは、すぐにメカニズム的にそれを参照するカードを作りたいものである。ファイレクシアンでは、導入時に過去のカードの多くを変更したのでなおさらのことだった。私は最初『ファイレクシア:完全なる統一』でそれらのカードを作りはじめ、『機械兵団の進軍』で引き継ぐというつもりだったが、このテーマは『ファイレクシア:完全なる統一』では完全に没になって『機械兵団の進軍』で導入されることになった。ここで私がテーマの連続性について語っている理由はそれである。『機械兵団の進軍』の展望デザインを提出したとき、『ファイレクシア:完全なる統一』のセットデザインはまだ途中だったのだ。
我々が『カルドハイム』の《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》でファイレクシアンというクリーチャー・タイプを作った理由の1つは、後々になってメカニズム的な何かができるようにするためだった。今こそその時だ。『Lacrosse』はファイレクシア部族をあまり扱わなかったが、それはあまりにも多くのクリーチャーがファイレクシアンだったからであり、何よりフレイバー優先だった。適正な量のクリーチャーと変身メカニズムのおかげで、ファイレクシア部族をファイレクシアのアーキタイプの1つ(白黒)をまとめるクールなのりとして使うことができるのだ。部族デザインは、低いレアリティでは閾値1型、高いレアリティでは拡大型にデザインされている。
変身関連(メカニズム的テーマ)
〈大図書棟の本質 STX〉
{1}{U}
クリーチャー ― エレメンタル
1/3
飛行
あなたがパーマネント1つを変身させるかあなたのコントロール下でパーマネント1つが変身状態で戦場に出たとき、これの上に+1/+1カウンター1個を置く。
〈完全化なる再誕 NPH〉
{4}{B}
ソーサリー
あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。それが変身能力を持っているなら、それを変身させる。
このテーマは青黒から緑青に変更されている。これには2つの主な理由があると思う。1つ目に、黒にはすでに多くのものがあり、このテーマは必要なかった。2つ目に、緑青はいつも難しい色の組であり、「このセットのテーマ」を割り振られることが最も多い色である。
変身するファイレクシアンと繭・トークンがあることで、「変身関連」テーマ(現在青黒)が可能になっている。『Lacrosse』は両面カードを使わなかったので、これによって『Lacrosse』では見られなかったメカニズム的特徴をファイレクシアの軍勢に持たせることができる。フレイバー的に、これはファイレクシアンが他の次元を侵略するのはいろいろなものをファイレクシア化させてからだということを表している。(新ファイレクシアはほぼ完全化されている。)
法務官(サイクル)
〈時限爆弾、エリシュ・ノーン〉
{2}{W}{W}
伝説のクリーチャー ― ファイレクシアン・法務官
3/5
{1}{W}, これでないクリーチャー3体を生け贄に捧げる:これを追放し、変身した状態で戦場に戻す。
/////〈ノーンの勝利〉
エンチャント ― 英雄譚
I ― 無色の2/2のファイレクシアン・アーティファクト・クリーチャー・トークン5体を生成する。
II ― ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+1/+1の修整を受け二段攻撃を得る。
III ― ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのパーマネントは破壊不能を得る。すべてのパーマネントを破壊する。
〈優しきもの、エリシュ・ノーン〉
4/7
あなたがクリーチャー・呪文を唱えるためのコストは{2}少なくなる。
{W/P}:これを変身させる。
/////〈悪しきもの、エリシュ・ノーン〉
7/4
対戦相手がクリーチャー・呪文を唱えるためのコストは{2}多くなる。
{W/P}:これを変身させる。
展望デザインの間、我々は法務官サイクルをどうすべきかあらゆるアイデアを出した。法務官がこれまでしていなかったことが両面カードで可能になっていたので、そのデザインの提案の殆どは両面カードを扱っていた。私の記憶では、この文書にもっと多くを書いたつもりだったが、お気に入りの2つだけを書いていたようだ。(一番のお気に入りは英雄譚のバージョンだ。気に入っている順に書くものだから。)2つ目の提案は、最初の法務官の鏡面構造を継承したものだが、そのどちらか一方ずつを使うようになっている。テーマ的には法務官らしいものだが2回も使ったものだから退屈だと言えるだろう。)
物語が進むに連れて、我々は脅威を少しずつ加速させるためにファイレクシアの法務官を使った。5人の法務官すべてを『Marathon』で、おそらく神話レアで、登場させる計画である。法務官らしさを保ちながらなにか新しいものを導入したクールな何ができるか、展望デザイン・チームはブレインストーミングを行った(『Marathon』カードデザイン・チーム・チャンネルに記録がある)。上記は2種類のエリシュ・ノーンである。
この種のファイレクシアのメカニズムやテーマを組み合わせてファイレクシアのフレイバーを再現しながらその脅威を特にリミテッドのゲームプレイにうまく反映させることができると考えている。
本日はここまで。いつもの通り、今日の記事や文書、『機械兵団の進軍』そのものについての感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、この文書のその2、多元宇宙の守り手たちのデザインについて語る日にお会いしよう。
その日まで、あなたのゲームにファイレクシアの気配がありますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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