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Making Magic -マジック開発秘話-
『ストリクスヘイヴン』展望デザイン提出文書 その2
2021年4月26日
先週、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の展望デザイン提出文書の公開を始めたが、1記事には多すぎたので、今回が第2回、完結編となる。もう一度言っておくが、以下のすべての文書は基の文書にある実際のものである。それに関する私のコメントは、右側の欄内に書かれている。
フラッシュバック(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、フラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、これを追放する。)
呪文関連のセットでは、可能な限り多くのインスタントやソーサリーを唱える必要がある。インスタントやソーサリーにしか持たせられない、フラッシュバックは呪文を2回唱えられるようにする。このセットにまさにふさわしいもので、フラッシュバックは素晴らしいメカニズムなのだ。これを展望デザインに入れたことには何も後悔していない。採用されなかったのは残念だ。残念ながら、なぜこれが除かれたのかという話には非公開の情報が含まれるので、今日その話をすることはできないが、可能になった暁には必ずやお話しすることを約束しよう。
〈粉飾〉
{U}{R}
ソーサリー
このターンにあなたが次のあなたのインスタントやソーサリーを唱えたとき、その呪文をコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
フラッシュバック {2}{U}{R}(あなたはあなたの墓地にあるこのカードを、フラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、これを追放する。)
フラッシュバックは再録メカニズムである。これはインスタントやソーサリーをテーマとするセットにふさわしく、プレイヤーがゲームごとに唱えるインスタントやソーサリーの数を最大化することができる。多色呪文がそのギルドの性質を表現するものである一方、単色のフラッシュバック呪文は、それを使う2つの学校の間の分岐となりうる。速いギルド(シャディックスとラヴォーナ)には、すぐに再び唱えられるように軽い呪文が入ることになる。
召魔/Conjure [クリーチャー・タイプ] ― [コスト] (あなたがこの呪文を[コスト]で唱えたなら、これが戦場に出たとき、[該当するサイズ、色、クリーチャー・タイプの]クリーチャー・トークン1体を生成する。)
クリーチャー・トークンは、充分なクリーチャー数を保ったままでデッキ内のインスタントやソーサリーの数を増やすことができるので、呪文関連のセットで重要である。セットデザイン・チームは最終的に、キーワードに依るのではなくカード個別の単位でそれをすることにした。構造を追加するよりも取り除くほうが簡単なので、展望デザインでは、私は構造化した方法をセットデザイン・チームに提示することが多い。召魔が追加コストではなく代替コストを使っているのは、そのほうがプレイヤーが扱いやすいということがわかっているからである。
〈霊の復元〉
{W}
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。
召魔 スピリット ― {2}{W}(あなたがこの呪文を{2}{W}で唱えたなら、赤白の2/2のスピリット・クリーチャー・トークン1体を生成する。)
召魔はインスタントやソーサリーが持つ能力である。召魔によって、追加のマナを消費して該当するタイプのクリーチャー・トークンを生成することができる。このメカニズムは、プレイヤーが長期戦でクリーチャーを使えるようにしながら多くのインスタントやソーサリーを唱えることができるようにするためにこのセットに入っている。これらのカードはキーワード化しないこともできるが、そうした場合は呪文が自動的にクリーチャー・トークンを出すという1つの選択肢しかない。トークンは、学校の5つのクリーチャー・タイプに対応している。
使徒/Familiar ― あなたがクリーチャー・トークンをコントロールしているなら、[効果]。
私は、展望デザイン・チームのことを、セットデザイン・チームにセットを組み上げるために使える道具箱を与える、道具作り師だと考えるのが好きである。我々は展望デザイン中にトークン作成に少しばかり寄せていたので、この能力語はトークン作成の役割が大きくなるようなカード群を具体化するもう1つの方法なのだ。この能力語に関して私が一番気に入っていたことは、使徒の概念をセットに導入することであり、これは魔法学校というジャンルでは重要な素材なのだ。
〈黒い仲間〉
{3}{B}
クリーチャー ― 人間・ウィザード
2/2
威迫
使徒 ― あなたがクリーチャー・トークンをコントロールしているなら、[カード名]は+1/+1カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
使徒は、クリーチャー・トークンをコントロールしていると追加の効果を得られるカードを示す能力語である。このメカニズムはそのクリーチャー・トークンが何であるかは問わず、クリーチャー・トークンをコントロールしているかどうかだけを見る。これは能力語なので、セットの単語を減らしたければカードから取り除くことが可能である。
多面カード(MFC)
最初は、MDFCはこのセットにしか存在しないことになっていたので、ずっと大きな役割を果たす予定だった。それをマジックの「1年」に広げたことで、ずっと存在感は小さくなったのだ。
『Fencing』の多面カードは、どれも学校とその根源たる本質的対立を表すようにテーマ付けされている。このセットには15枚の多面カードがあり、3つのサイクルになっている。
〈死去の学部長〉
{2}{B}
伝説のクリーチャー ― 人間・アドバイザー
2/3
あなたの終了ステップの開始時に、このターンに対戦相手がライフを失っていた場合、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは-2/-2の修整を受ける。//
〈誕生の学部長〉
{2}{G}
伝説のクリーチャー ― 人間・アドバイザー
3/2
あなたの終了ステップの開始時に、このターンにあなたがライフを得ていた場合、「これが死亡したとき、1点のライフを得る。」を持つ1/1の黒緑の地虫・クリーチャー・トークン1体を生成する。
各学校を各大学の対立の各部分を表す2人の学部長が率いるというアイデアはかなり初期に始まった。カードはすべてがセットデザイン中に作り直されたが、サイクルは残っている。我々のバージョンのデザインは印刷されたバージョンよりもメカニズム的にもう少し対照的だった。
学部長(神話レア) ― 各学校を率いているのは、その学校の対立の各面をそれぞれ表す2人の学部長である。これらのカードは両面ともが伝説のクリーチャーであり、それぞれがメカニズム的に敵対色の対立の各面を表している。我々は、このサイクルが統率者戦プレイヤーたちの(そして競技構築にも)心を躍らせるものになると信じている。
このサイクルはほとんどがデザインされ直したが、残っている。このサイクルの我々のバージョンは、大学内の対立を扱うという焦点が少し強かった。
〈論理の議論〉
{6}{U}
エンチャント
[カード名]が戦場に出たとき、クリーチャー最大2体を対象とする。[カード名]が戦場にあるかぎり、それをのコントロールを得る。//
〈野生の感情〉
{4}{R}
ソーサリー
クリーチャー最大2体を対象とする。それらをアンタップし、ターン終了時まで、それらのコントロールを得る。ターン終了時まで、それは速攻を得る。
パーマネント/呪文(レア) ― このサイクルでは、1面が1色のパーマネント、もう1面が別の色のインスタントやソーサリーになっている。これらのカードは、学校内の対立を扱っており、同じデッキで作用するようにデザインされている。
このサイクルは採用されなかった。これは神話レアに格上げになり、プレインズウォーカー・カード2枚と裏面が呪文の伝説のクリーチャー3枚に置き換えられた。
〈考古学の用地〉
土地
{T}:{C}を加える。
{4}{R}, [カード名]を生け贄に捧げる, {T}:クリーチャーやプレインズウォーカーのうち1体を対象とする。[カード名]はそれにX点のダメージを与える。Xは追放領域にありあなたがオーナーであるカードの枚数に等しい。//
〈歴史家の書庫〉
土地
{T}:{C}を加える。
{4}{W}, あなたの墓地から3枚のカードを追放する, {T}:2/2の赤白のスピリット・クリーチャー・トークン1体を生成する。
土地(レア) ― このサイクルは、タップして無色マナを出す両面土地からなる。片方の面には、毎ターン使えるタップ能力を持つ有色の起動型能力がある。もう1面には、生け贄に捧げることをコストとする有色の起動型能力があり、一度しか使えない大型の能力が可能である。この2つの面はお互いにシナジーを持つように作られている。
巻物(巻物はアーティファクト・トークンである。これは、生け贄に捧げることで記されているインスタントやソーサリーを唱えることができる。)
セットデザイン中に取り除かれたあらゆるものの中で、私が最も残念に思ったメカニズムはこれだ。非常にフレイバーに富んでいて、刻印以外ではほとんど扱われてこなかった空間を扱っている。私は、このコンセプトが、このセットへの素晴らしい追加となったミスティカルアーカイブというアイデアにつながったと信じたい。私は、これがうまく当てはまるような将来のセットを見つけられるまでこのアイデアを取っておくつもりだ。
〈野生の公証人〉
{3}{G}{U}
クリーチャー ― 人間・ドルイド
1/1
瞬速
[カード名]が戦場に出たとき、 インスタントやソーサリーである呪文1つを対象とする。それを追放する。その追放された呪文の巻物・トークン1つを生成する。
{T}:好きな色1色のマナ1点を加える。
巻物は、インスタントやソーサリーである呪文を(巻物というフレイバー通り)その中に保っているアーティファクト・トークンである。このアーティファクトを生け贄に捧げ、マナ・コストを支払ってその呪文を唱えることができる。その後、この呪文は実際に唱えられたのと同じように扱われ、呪技を誘発させ、コピーされたり打ち消されたりすることもある。アンコモンには、既存の呪文(どれも非常に有名なマジックの呪文である)が書かれた巻物を持つクリーチャーのサイクルがある。レアには、さまざまな方法で巻物を作ることができる、2色のサイクルとアーティファクトがある。巻物の意図は、低い開封比、高いレアリティにおいて派手で新しいものであるということである。
他の要素(テーマ、サイクル)
寮/Dorms
このサイクルは採用されなかったが、各大学の学舎を表す土地のサイクルは居場所を見つけた。寮という土地の細部タイプには心をくすぐられた。
〈芸術の寮〉
土地 ― 寮
[カード名]はタップ状態で戦場に出る。
[カード名]が戦場に出たとき、あなたがこれ以外で[カード名]という名前の土地をコントロールしていた場合、2点のライフを得る。
{T}:{U}か{R}を加える。
寮は『Fencing』版の門(コモンの2色のマナ基盤)である、コモンの土地のサイクルである。これらは寮というサブタイプを持ち、同じ寮を複数使うことでメリットが得られる。
無色魔法
このサイクルは講義になり、個別のカードには変更があったが、印刷に到った。無色の1年生の呪文、というフレイバーは、逃すには良すぎたのだ。
〈基礎風水学〉
{3}
ソーサリー
あなたのライブラリーから基本土地・カードを1枚探し、タップ状態で戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。
コモンには何枚か(現在は5枚)、大学の1年次の授業を表す無色のインスタントやソーサリーがある。(生徒は2年目の初めに学校に配属される。)我々はこれらをプレイヤーがインスタントやソーサリーでデッキを埋められる用意するための道具として作った。これらの5枚のカードは、通常のセットのコモンのアーティファクトにあたるものである。
学校便覧/Prospectuses
このサイクルは、各大学の旗を描く場所が欲しかったことから作られたものである。このセットにはマナ・アーティファクトがないので、入れる場所がなかったのだ。これはエレガントなデザインだったと考えている。
〈歴史学の学校便覧〉
{3}
{T}:{R}か{W}を加える。
{1}{R}{W}, [カード名]を生け贄に捧げる, {T}:赤白の2/2のスピリット・クリーチャー・トークン1体を生成する。
学校便覧は、タップして2色のどちらかのマナを出し、後には両方の色を含むコストを支払って生け贄に捧げることでその学校のクリーチャー・トークンを生成できる、このセットの「マナ・アーティファクト」として働くコモンのアーティファクトのサイクルである。クリエイティブ的には、このサイクルは各学校のシンボル(このセットでは学校ごとにすかしを使うと想定している)や校旗を描写する場所としても想定している。
仲間・クリーチャー/Buddy Creatures
これは使徒という能力語を使ったコモンのサイクルである。目的は、フレイバーに富んでいてシンプルなものを作ることであった。このサイクルは、その能力語とともにボツになった。
〈赤い仲間〉
{4}{R}
クリーチャー ― 人間・ウィザード
4/4
トランプル
使徒 ― あなたがクリーチャー・トークンをコントロールしているなら、[カード名]は+1/+1カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
これはコモンの単色クリーチャーのサイクルで、それぞれが使徒を持ち、クリーチャー・トークンをコントロールしているなら+1/+1カウンター1個が置かれた状態で戦場に出る。
倍加呪文
先週、提出したときは印刷されたセットよりも少しコピーが多かったという話をした。これがその一例である。上述のサイクルと同じように、これも、この能力語とともにボツになった。
〈倍増〉
{1}{G}
インスタント
使徒 ― あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたがトークン・クリーチャーをコントロールしている場合、これをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。
これは、クリーチャー・トークンをコントロールしていたらそれ自身をコピーするという使徒を持つ、単色のコモンのインスタントやソーサリーのサイクルである。これは呪技と、トークンの前段カードとしてデザインされている。
神童/Prodigies
このサイクルは初学者になった。そして伝説にはならなかった。
〈修辞学の神童〉
{2}{W}{B}
クリーチャー ― 人間・ウィザード
3/3
呪技 ― あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えたりコピーしたりするたび、クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+0の修整を受け威迫を得る。
これは呪技を持つ、アンコモンの敵対色クリーチャーのサイクルである。これらは学校のプレイパターンで使うようにデザインされており、学校のドラフト戦略を伝える助けとなるカードの一種として働く。これらは学校の優秀な生徒たちというフレイバーである。このサイクルは伝説のクリーチャーにすることもできるだろう。
命令/Commands
先行デザインでの課題の1つは、他の色の組み合せではやっていたが敵対色ではやったことのないサイクルを見つけることだった。列記した中の大きいもの2つが伝説のドラゴンと命令だったので、両方をセットに入れた。セットデザイン・チームはカードそれぞれをデザインし直したが、どちらのサイクルも残っている。
〈数学的命令〉
{G}{G}{U}{U}
ソーサリー
以下から2つを選ぶ。
- 緑の3/3の象・クリーチャー・トークン1体を生成する。
- あなたがコントロールしているクリーチャー1体のコピーであるトークン1体を生成する。
- クリーチャー1体を対象とする。それを追放する。そのクリーチャーのコントローラーは緑の3/3の象・クリーチャー・トークン1体を生成する。
- あなたがコントロールしているクリーチャー1体につき1枚のカードを引く。
命令は、4つのモードのうち2つを選ぶ、レアの敵対色ソーサリーのサイクルである。単色の命令や友好色の命令は作ったことがあるが、敵対色のものを作ったことはなかった。これらはもちろん各学校に対応している。
混成のレアのクリーチャー
これは、我々が未来だけでなく過去を見ている見方の好例である。『テーロス還魂記』には信心要素があり、我々はプレイデザインに、信心をスタンダードに合わせるツマミとして濃い混成要素を入れることを求められた。これらのカードは最終的に必要なくなったので、取り除かれた。セットデザイン・チームはこのセットの別のところで少し混成を使った。
〈混成生物学者〉
{B/G}{B/G}{B/G}{B/G}
クリーチャー ― 人間・シャーマン
接死
あなたがこれでないパーマネント1つを生け贄に捧げるたび、カード1枚を引く。
これはレアの敵対色混成クリーチャーのサイクルで、学校に関連している。これらはプレイデザイン・チームが信心をスタンダードに適応させるための道具として存在している。これらは学校のテーマに沿った派手なクリーチャーで、メカニズム的にはどちらの色でも使えるようにデザインしてある。
伝説のドラゴン
敵対色の伝説のドラゴンが必要なことは早期にわかっていたので、ダグ・ベイヤー/Doug Beyerはそれを大学の創立に組み込むことができた。そしてこのサイクルは神話レアに格上げになっている。
〈計算屋、赤白〉
{4}{R}{W}
伝説のクリーチャー ― ドラゴン
5/5
飛行
あなたがコントロールしているクリーチャー1体がダメージを受けるたび、クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。[カード名]はそれにそれに等しい点数のダメージを与える。
マジックにはこれまで、単色、友好色、弧3色の伝説のドラゴンはいたが、敵対色はいなかった。これを物語に入れることは非常に重要なので、5つの学校それぞれが別のドラゴンによって創立されたとした。これらは現在レアのサイクルであるが、神話レアに格上げするべきかもしれない。これらは派手で、競技でも頼りになるものとしてデザインされている。
トップダウンのデザイン
私は、素材の力がセットのデザインを強めるとずっと確信している。我々が展望デザインでトップダウンのカードを作るのに時間を費やしているのは、それらの実際のカードが印刷される必要があると考えているからではなく(ただし一部は印刷されている)、トップダウンのデザインを使ってセットに特定の雰囲気を出すことの重要性を示したいと考えているからである。私は、この手法が我々よりも下流の全員に明らかに受け入れられていることに非常に満足している。ところで、展望デザイン中に集めた学校や魔法学校の素材を列記した独立のファイルが存在している。私が先に参照したのはこれである。
〈学生運動〉
{1}{U}
インスタント
以下から1つを選ぶ。
- 呪文1つを対象とする。それのコントローラーが{X}を支払わないかぎり、それを打ち消す。Xはあなたがコントロールしているクリーチャーの数に等しい。
- あなたのライブラリーの一番上にあるカードX枚を見る。Xはあなたがコントロールしているクリーチャーの数に等しい。そのうち1枚をあなたの手札に、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
特に高いレアリティでは、学校(一部は魔法学校)を再現したトップダウンのデザインである、さまざまなデザインがある。展望デザイン・チームとクリエイティブ・チームは、セットデザイン・チームが使えるように素材のリストを作った。非常に豊富で、芳醇で、奥深い素材の集まりである。
追加のもの
我々が時々これらの提出文書でしていることの1つが、我々が展望デザイン中に作り、取り除いたものを提示することである。それらは必要であればセットデザイン・チームが使うことができる追加の道具なのだ。また、セットデザイン・チームがそれを元に、それに似た別のものを作ることもありうる。
以下の2つのものは、デザインから取り除かれたものである。
研究/Study
研究は、一見すると非常に楽しくフレイバーに富んでいるが、結局は不必要にゲームプレイを複雑化させるメカニズムの好例である。また、これはこのセットが求めるよりもパーマネント寄りであった。とてもクールなものがあるとは思うが、もう少し反復工程が必要だろう。
〈守護祖先〉
{1}{W}
クリーチャー ― スピリット
2/2
{2}:研究する。この能力はあなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。
(A) あなたがコントロールしているすべてのスピリットは警戒を持つ。
(B) {T}:あなたがコントロールしていてこれでないクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それはあなたが選んだ色1色のプロテクションを得る。
研究は、リソース(コモンではタップ、アンコモンではマナ)を支払ってカードに能力を加えるメカニズムである。研究を持つカードは、それぞれ追加する能力として2つの選択肢を持つ。それを2回目に起動したとき、1回目には選ばなかった能力を追加することができる。このカードは、どちらの能力を使ったかを明らかにする補助具として働くカード枠を持つことになるだろう。このメカニズムは、あまりにも盤面の複雑さを高めることと、研究はテーマ的ではあるがセット全体の構造との関連が薄かったことから取り除かれた。
備品/Implements
これも、気高い目標を持っていたが残念ながらゲームプレイに悪影響を与えたメカニズムである。このメカニズムはルール・マネージャーの公式な確認を経ていないので、「両方を行う」が実際に作用するかどうかはわからない。
〈黒緑の備品〉
{2}
アーティファクト
[カード名]の能力はあなたがソーサリーを唱えられるときにしか起動できない。
{2}{B}, {T}:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは絆魂を得る。
{2}{G}, {T}:クリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。
{4}{B}{G}, {T}:両方を行う。
備品は、(その学校の各色1つずつの)2つのタップ能力と、その2つの能力の組み合わせである3つ目の能力を持つアンコモンのアーティファクトのサイクルであった。これは3つの学校で使えるが1つの学校で最大に使えるアーティファクトとしてデザインされた。盤面の複雑さを抑えるため、セットから取り除かれた。
結論
『ストリクスヘイヴン』に私が満足している理由は、(クリエイティブ・チームの多大な助けを受けた)展望デザイン・チームがこのセットの非常に説得力のある展望を広げ、セットデザイン・チーム(と、開発部内外のさまざまなセクション)がどのコンセプトを受けて可能な限り最高のバージョンを作るべく働いたからである。私は最終的なセットの出来栄えに超満足している。
展望デザイン提出文書の記事の終わりにいつも書いている通り、この文書はマジックのセットを作るための非常に精緻なシステムのほんの一欠片なのだ。私は全員が同じものを読んで理解できるようにすべてのことを書いているが、展望デザイン・チームとセットデザイン・チーム(そして他の様々なチーム)には、この文書だけでなく工程の中でさまざまな意思疎通が存在しているのだ。
これらが『Fencing』の主要な要素である。この文書の初めに列記した4つの特徴を満たしていれば、このセットは大成功すると信じている。4つの特徴の重要なポイントは、5つの学校の独自性である。それぞれの学校が、その学校の学校性を表すものと関わる、色の対立を浮き立たせるような(確立させるために展望デザイン・チームとクリエイティブ・チームが尽力した)明快な独自性を持ち、それをあらゆる学校の素材で包んで呪文テーマを重視したなら、成功の秘訣を掴んでいると信じている。
セットデザイン・チームにはプレイ上の実装において調整の余地がある。(例えば、赤白はミッドレンジで墓地中心のデッキにしたほうが遅くてコントロール寄りのデッキよりもうまく動くかもしれない。)重要なのは、あらゆる変更が学校の独自性の枠内にあることである。私は、我々が作った道具を使って、諸君がどのようなものを組み上げることができるのか非常に楽しみにしている。質問があれば、ぜひ私に連絡してくれたまえ。
ご清聴に感謝する。
マーク・ローズウォーター
以上が『ストリクスヘイヴン』のデザイン提出文書である。非常に人気があることがわかっているので、今後も公開を予定している。いつもの通り、この文書や今日の記事、『ストリクスヘイヴン』全般に関して、諸君からの反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Instagram、TikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
それではまた次回、『ストリクスヘイヴン』に関する質問にお答えする日にお会いしよう。
その日まで、あなたが『ストリクスヘイヴン』のデザインについて新しい何かを履修できますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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