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プレインズウォーカーのための『ブルームバロウ』案内 その2
2024年7月16日
「案内」シリーズのブルームバロウ編、第2回です。7月17日公開(英語版)の最終第3回もお楽しみに。また、この次元とそこに住むアニマルフォークについてさらに詳しく知りたい場合は、第1回もチェックです。
渓間のアニマルフォークたち
渓間においては、知性ある生物は自分たちをアニマルフォークと呼んでいます。彼らの生活はおおむね平和です――家族を養い、農業を営み、芸術活動に励み、周囲の世界を探検します。彼らの管理のもとで渓間は豊かな自然に恵まれ繁栄しています。生活は必ずしも楽とは言えませんが、理由のない悪意による行為も稀です。多くのアニマルフォークにとって、命の危険が及ぶほどの戦いは歴史書に載るほどの事件です。
共同体
アート:Mariah Tekulve |
渓間内のさまざまな種族は、繁栄と安全という共通の目的のもとに結ばれて共に暮らし、働き、楽しんでいます。アニマルフォークは単一の種族で成り立つ小村、似通った生活様式を共有する複数種族の村、あるいは渓間のあらゆる場所からあらゆる種族がやって来る大きな街に住むこともあります。様々なアニマルフォーク種族に独自の文化と伝統があり、彼らはそれを継承し守っています。ですが全員の成功のためには、誰も除けものにしないことが最も重要です。アニマルフォークは一般的に、戦闘スタイルや魔法の伝統や芸術の様式といった知識を気軽に共有します。共同体は、茂みに住むリスフォークとラビットフォーク、池に住むカワウソフォークとカエルフォークというように、似通った気候と環境に生きるアニマルフォークで構成される傾向にあります。それでもあらゆる種類のアニマルフォークが、様々に異なる住民たちで構成される都市や街を築いてきました。
小村、街、都市
渓間に単一の支配者はおらず、通常は首長や議会が権限を委ねられます。集落ごとに独自のルールがあり、それぞれ期待される物事がありますが、暴力で法を強制する文化は渓間にはありません。合意形成こそが第一の、そして多くの場合唯一の統治方法となっています。都市では統治がより細分化される傾向にあり、地区ごとに管理を任せることもよくあります。ですが小規模な街とは異なり、迅速な決定を下すために都市にはしばしば「王」あるいは単一の統治者がいます。彼らは議会によって、あるいは民主的に選出され、通常は幾つかの季節の間のみ統治した後に権力を放棄します。
魔法織り
渓間では、呪文を用いることは「魔法織り」と呼ばれています。この地ではありふれたものであり、どのアニマルフォーク種族でも努力によって達成できるものです。魔法織りは自然に根ざしており、世界から力を引き出して自然を何らかの目的のために操ります。魔法的な伝統はしばしば親や年長者、あるいは村の呪文使いから受け継がれます。かまどに火をつける、作物を成長させる、あるいは屋根を補修するためにアニマルフォークはしばしば魔法織りを用います。一方で追い詰められたり適切な訓練を受けたりした場合は、魔法を織り上げて武器を強化したり、速度を上げたり、敵の生命力を吸収したりすることができるようになります。
渓間の食事
アート:Raluca Marinescu |
アニマルフォークの文化には、それぞれの必要性と生理学に基づいた多様な食べ物が存在します。各アニマルフォーク種族が独自の食文化を発達させており、好みの味や材料も異なりますが、他のアニマルフォーク種族のものも積極的に取り入れます。一般的にアニマルフォークは菜食であり、種子や木の実、穀物、果物、野菜、その他栄養豊富な食材を豊富に含む食事を楽しみます。カワウソフォークのような一部のアニマルフォークは魚も食べ、昆虫もまた大規模な食事の一部として時折楽しまれています。通常、こういった生の食材は季節ごとに異なる食事へと調理されます。典型的なものとしてシチュー、スープ、パイ、サラダ等があります。
渓間の産業
渓間は自然世界と調和してはいますが、それでも発明の精神と産業は存在しています。渓間のアニマルフォークたちは単に自然の摂理に耐えるのではなく、自分たちの前足や翼で周囲の世界を改善しようとしています。
金属加工
渓間の金属は木々から採取され、融かされた後に種子鞘と木の実の殻で作られた鋳型に流し込まれます。リザードフォークはこの工芸に熟達していますが、ほとんどのアニマルフォークは自分たちの必要性に合わせて金属を成形する独自の手法を所持しています。
布の生産
渓間において布は葉を原料にした革から、あるいは毛皮や植物といった天然素材を織った後に天然の色素で染めて作られます。各アニマルフォーク種族に布地を作る独自の技術がありますが、他よりもその手作業が得意な種族もいます。
バードフォーク {W}{U}
アート:Henry Peters |
渓間の空は、その性格も色彩も多種多様なバードフォークの住処です。バードフォークはアニマルフォーク同士の繫がりを助け、郵便物を配達し、援助を届け、また渓間じゅうに他のアニマルフォークを運びもします。好意的に言うと、バードフォークは騎士道精神に溢れて信念に忠実、無私無欲です。非好意的に言うと彼らは尊大で頑固、見下すような態度をとります。
典型的な性格
バードフォークは堅固な理想主義者として育てられます。彼らは自分たちより弱いアニマルフォークをかばい、誰が加害者であろうと不当な仕打ちから目を背けることはありません。自分たちは渓間のアニマルフォークの中でも生まれながらの指導者であると自認しており、正義と平和のためには自らの羽を危険にさらすこともいといません。
バードフォークは、外見と社会的地位に高い関心を持っています。彼らは自身の栄光を表現し、自分たちの伝統を反映するために羽を整え、服装を飾ります。ある程度大規模な村のバードフォークは仕事の合間の特定の時間に、休憩を取るとともに外見を整えるために「繕い所」と呼ばれる浴場に集まります。バードフォークは伝統を守ることに熱心ですが、これは個性を表現する余地がないという意味ではありません。奉仕と騎士道への献身を維持する限り、バードフォークは独自の様式をまとうことが奨励されています。
羽信隊
数あるバードフォークの伝統の中でも、最も有名かつ最も尊敬されているのが「羽信隊」です。これは渓間を越え、「世界の先端」と呼ばれる山へと辿り着く危険な旅です。他のアニマルフォークが決して足を踏み入れようとしないこの危険な山の頂上に、バードフォークは決意と忍耐の証として自らの翼の羽根を一枚残し、飛び去る前に古の呪文を唱えねばなりません。この旅を無事にやり遂げたバードフォークは、超自然的な速度と敏捷性に恵まれます。彼らは飛行の熟達者である証として「風冠の者」と呼ばれ、その功績を誇示するために、しばしば一本の染めた羽根を頭部に飾ります。
空中戦闘
飛行能力を持つため、バードフォークは災厄の獣やそれ以外の敵に対して、他のアニマルフォークとは異なる戦い方をします。彼らは長い槍やその他の長柄武器を構え、真下または鋭い角度に急降下するのを好みます。この攻撃は不意討ちこそ困難であるものの強力で、戦闘中の複数のバードフォークは空中という利点を活用してあらゆる角度を補い合うため、防御することは困難です。バードフォークの織り手は飛行能力を生かし、険しい地形においても他のアニマルフォークを救助することができます。とはいえ他のアニマルフォークのような地上での戦闘能力を彼らは持ちません。そのため狭い下草の中に閉じ込められたり、怪我で飛べなくなったりした場合は、その攻撃は不器用で未熟なものになってしまいます。
渓間におけるバードフォークの役割
バードフォークは非常に協力的で冒険好きであるため、しばしば他のアニマルフォーク種族とともに冒険パーティーを組みます。そして自分こそが先導者であると宣言し、一日の始まりには仰々しい演説で自己主張を行います。彼らは全員を鼓舞する癒し手や最前線の騎士、そして空からの偵察役といった役割を好んで担います。空を飛べるため、バードフォークは地上の困難な地形を回避し、簡単に長距離を移動することができます。そのため彼らは渓間における伝令役のほとんどを担っています。渓間の共同体間における意思疎通は自分たちにかかっていると彼らは理解しており、自分たちの仕事に誇りを持っています。
自信に満ち溢れる彼らは、計画の主導者や外交官としての役割を担います。協力を好みはするものの、バードフォークは問題に対する最終決定権を持ちたがり、長々とした非難で議論に加わることもよくあります。自分たちが参加する大規模な共同体に献身的であり続けますが、栄光への嗅覚から他の種族と対立することもあります。手段はその結果と同じほどに重要だと確信するバードフォークもおり、そういった者は集団に損害を与えてでも特定のやり方で物事を達成することにこだわります。
他のアニマルフォーク種族との関係
共にとても冒険好きで栄光を追い求めるため、バードフォークはマウスフォークと非常に仲良くやっています。マウスフォークは時に軽率で無謀ですが、その行動は燃えるような理想に突き動かされているため、バードフォークは彼らが仲間として常に傍にいてくれることを幸せに思います。カエルフォークはその文化的にバードフォークよりも用心深く、またカエルフォークの悲観主義的な傾向は、論理的かつ客観的な態度とも相まってほとんどのバードフォークの行動の原動力となる熱意とは相反しています。
魔法織り
バードフォークの魔法は第一に、冒険の仲間を助け支援するためのものです。バードフォークは生涯の早い段階で魔法を学びます。通常は教えを願う年長者を自分で選びます。学問的な教えの他に「羽ばたきの道」という倫理的な枠組みがあります。魔法を用いた生涯にわたる献身への決意を教えるものです。
バードフォークの建物と居住地
バードフォークの住処は「止まり木」と呼ばれています。通常、それらは高木の上部や草むらから高くそびえる支柱の上にあり、下界がよく見えるようになっています。ひとつの家に多くの異なるバードフォークがしばしば巡回し、その扉は危険にさらされたあらゆるアニマルフォークに隠れ場所を提供するために開け放されています。
ラットフォーク {U}{B}
アート:Valera Lutfullina |
ラットフォークは渓間の秘密の守り手であり、渓間の創設当初からの遺物や知識を収集しています。何世代も前、彼らは今よりも率直に知識を公開していました。ですが悪意をもったとある侵入者が災厄の獣を制御しようとして失敗し、彼らの故郷に計り知れない破壊をもたらしました。それはこの世の終わりとすら言えるものでした。この知識の誤用から、ラットフォークの社会は孤立主義で秘密主義に、疑い深いものへと変わりました。ラットフォークは好意的に言えば思慮深く、自立しており、知的です。非好意的に言えば排他的、軽蔑的で非協力的です。
個性
ラットフォークは一般的に独立独行で冷淡、孤独を好みます。自分の技術を信頼し、他者との関係を築くのが苦手です。ラットフォークは通常、他のアニマルフォークではなく昆虫の相棒と絆を深めます。彼らは昆虫たちの欲求についての感覚を鋭く発達させていますが、周囲の他のアニマルフォークは同じ理解を持たないため、それに苛立つこともあります。ラットフォークは彼らのこの態度を「共感性に欠ける」とみなしています。
ラットフォークは孤立を好むため、特有の文化的習慣を保持しています。独り言を言う、昆虫の相棒に話しかける、貝殻で彫刻を作る、発見したものを几帳面に記録して住処に持ち帰るなどです。他のアニマルフォークと絆を結ぶと、ラットフォークは執着心が強くやや高圧的になりがちです。また、自分の興味や価値観を共有する相手に出会うと興奮します。
渓間の記録保管者
渓間の全長にわたって流れる長川は、ラットフォークが故郷と呼ぶ広大な湿地帯へと最終的に流れ込みます。この川はあらゆる場所から残骸やごみを運んできます。ラットフォークにとってこれは恩恵であり、彼らはそういった歴史的な宝物を拾い上げて保管し、その材質や推定される起源、および用途を細かく記録します。そういった遺物は沼地の広大な地下トンネルの中、「知識の納骨堂」と呼ばれる場所に保管されています。ここには無害な知識も破滅的な知識も同等に、厳重に隠され守られています。知識の納骨堂が通常とる形状から、ラットフォークは自分たちの知識の集大成を「世界渦巻き」と呼んでいます。
精神的相棒
ラットフォークは湿地帯の厳しい環境に適応しており、そこに同じく生息する在来種の昆虫を友としています。ラットフォークは昆虫を熟知し、また魔法の訓練を通して精神的な繋がりを発達させ、生涯を通じて一匹の昆虫と絆を結ぶこともあります。この繋がりは昆虫よりも大型で知性を持つ生物にも、例えば近づくラットフォークの精神をねじ曲げるほどの催眠の力を持つカタツムリ、グロットジャイアにも適用が可能です。通常、ラットフォークは戦闘時の相棒として昆虫を使えるように訓練し、単独でも側面攻撃を行ったり、相手を注意散漫にさせられるようにします。それ以外にも、昆虫は勉学の相棒よして暗闇の中で書物の頁を照らしたり、住処を離れて長い旅をする旅の相棒にもなります。
渓間におけるラットフォークの役割
ラットフォークがどれほど孤立主義的な態度を取ろうとも、渓間には親しみの精神が溢れているため、彼らは会話や家々へと喜んで迎え入れられます。そして他のアニマルフォークがラットフォークの村に招かれた際も、同等のもてなしを受けます。会話においては、ラットフォークは混乱を招くことなく最も重要な情報だけを与えられるよう、注意深く言葉を選びます。
ラットフォークは機知に富んで知識豊かな助言者や文書管理者、情報屋として活躍します。最近では、より多くのラットフォークは快適な住処から出て大規模な集落に加わり、自分たちの専門知識や文化をより広い世界と共有しています。そして故郷に戻る時には、渓間から得た新たな知識を同類へと持ち帰るのです。
ラットフォークの文化では技術と専門知識が重視されます。そのため彼らはならず者や魔道士として冒険者の優れた一員となり、また知識豊富な協力相手や匠としても重宝されます。冗長さよりも簡潔さを重視するため、ラットフォークはよそよそしい印象を与えることがあります。同様にラットフォークの文化では、衣服や部品や材料の再利用を重視しています。
他のアニマルフォーク種族との関係
再利用と歴史からの学びを尊ぶため、ラットフォークはリスフォークと親しい友になる傾向にあります。リスフォークは貴重品を少々ぞんざいに扱いがちですが、ラットフォークは彼らの工夫の才を高く評価しています。対照的に、リザードフォークの無謀さと、彼らの芸術の「過程」の一環として作品を破壊する傾向は、歴史を記録することに価値を見出すラットフォークの性質とは完全に相反しています。
魔法織り
ラットフォークは催眠の魔法に長けています。彼らはカタツムリの殻を魔法の導管として用い、気づいていない敵を騙して弱体化させます。この魔法は侵入者を傷つけることなく知識の宝庫から遠ざけるために開発されたものですが、自分たちの接近や逃走を隠すこともでき、また対象が不意を突かれたときに最も効果を発揮します。いざという時には、ラットフォークは念動力を用いて距離を保ったり、相手を動揺させたりすることもできます。
ラットフォークの建物と居住地
ラットフォークの家々は地下に作られており、むしろ装飾のない兵舎に似ています。彼らの村は一見、単純に見えるかもしれません。壁に沿ってカプセルのような部屋が何列も並んでおり、そこでは誰でも眠ることができます。ですが広場や主要道路にはラットフォークの文化と芸術的表現が満ちており、彼ら独自の生活様式を反映しています。
リザードフォーク {B}{R}
アート:Mark Zug |
リザードフォークは、渓間の生まれではない唯一のアニマルフォークです。遠い昔の季節、リザードフォークは渓間でも数少ない頁岩の丘と岩だらけの峡谷に移り住みました。そこは彼らの故郷の環境に最も似ているのです。彼らは勤勉で気難しく、炎の崇拝者であり、自分のペースで生活しては好きなように渓間へと貢献します。他のアニマルフォークから見ると、彼らは非協力的で無愛想かもしれません。ですが冒険に対する彼らの意欲と熱意は、どんな素晴らしいパーティーでも拠り所となります。好意的に言うと、リザードフォークは情熱的で粘り強く、率直です。非好意的に言うと、リザードフォークは気分屋で攻撃的で残忍です。
個性
リザードフォークは無愛想で、冷淡と言ってもよく、渓間の他のアニマルフォークが重視するようなもてなしや感じの良さを期待されてはいません。ですがそれは文化的期待が異なるというだけであり、意地の悪さや共感の欠如とみなすべきではありません。リザードフォークは可能な限りのあらゆる方法で力を貸してくれます。彼らの行動には表面的な優しさが欠けているというだけなのです。彼らは手伝う際に不平や文句を言うかもしれませんが、仕事は何にせよ完了します。リザードフォークは発見と興奮を愛しており、アイデアが浮かぶと神経質になったり、他に何も見えなくなったりすることもあります。そのためある意味、彼らは常に仕事をやり遂げる、頼れる存在なのです。
リザードフォークは遺恨を長く抱き続ける傾向があり、真に和解の試みがなされない限りは相手を許しません。ですがひとたびその相手を許したなら、その件は二度と口に出しはしません。
同じように、リザードフォークの文化において好意は非常に重要であり、好意に応えることはひとつの義務です。リザードフォークは、自分たちの関係性をある意味では取引とみなしているため、相手に好意を抱くことは精神的疲労や動揺をもたらす可能性があります。好意は同等の価値である必要はありませんが、心の平穏と引き換えに何かが必要とされます。
リザードフォークは冷血であるため、必要な仕事をしていないときはたいてい休み、後のためにエネルギーを蓄えます。日光浴をしすぎると負荷がかかりすぎて落ち着かなくなり、エネルギーのはけ口を求めてでたらめに走り回るようになります。
芸術の天才
リザードフォークの文化では、主に金属加工を通して、あるいは布や絵の具を用いて、幼い頃から芸術的表現を奨励しています。芸術に対する考え方はアニマルフォークの中でも独特であり、芸術の創造だけでなくその破壊にも重きをおいています。リザードフォークの芸術には、朽ちたり、壊れたり、燃やされたりすることが意図されています――時には創造直後に。道標や巨大な彫刻など、記念碑的なものにはより長期間残るものもありますが、リザードフォークの文化における芸術の最も重要な側面は、それが呼び起こす畏敬の念です。ひとたび共同体や当事者がその芸術に飽きたなら、彼らはそれを破壊して新たな創造的行為に集中するでしょう。その際は古い芸術の断片がしばしば新たな作品に取り入れられます。古いものから新しいものを創造する。それが奨励されていることで、リザードフォークは自分たちの文化と伝統を不滅とする方法を見出しています。彼らは、記念碑が崩れた後も、その芸術の背後にある精神が長く生き続けることを願っています。
炉の炎
火はリザードフォークの生活の中心です。火は感情的な意味を持つだけでなく、日光浴ができないときに熱を蓄えるための役割も果たします。すべてのリザードフォークの共同体には、共用のかまどや神秘の残り火、または鍛冶場など、その中心となる火の源があります。共同体の炉や家のそれの前では舞踏や歌や日光浴といった儀式が行われ、これらはリザードフォークの日常生活の一部です。この習慣には霊的な性質があり、遥か遠くの共同体を起源として渓間に持ち込まれました。リザードフォークが他のアニマルフォーク種族と共に暮らす大きな村や街にこういった大きな炎はありませんが、リザードフォークが光と熱から遠く離れることのないように沢山の小さな火元が作られています。
渓間におけるリザードフォークの役割
熱烈なシャーマンや隠れ潜む暗殺者として乱闘に加わると、リザードフォークはその真価を発揮します。彼らは単独で戦うことを怖れはしませんが、いざという時に助け出してくれたり休息中に守ってくれたりする支援役がいる方を好みます。際立って好戦的なリザードフォークの中には、時に狂乱したり血に飢えたりする者もいます。彼らは余分なエネルギーを消費する必要があるため、友と戦闘訓練を行う際ですら攻撃的になることがあります。
ほとんどの共同体は、長い冬と雨季の間には炎を点し続けるためにリザードフォークの火守りに頼ります。火守りはまた野火の拡大を抑え、火の進路を誘導して周囲の村への被害を最小限にとどめます。他にもリザードフォークは鍛冶師や匠として職を見つけ、荒々しく危険ではあるものの最終的には刺激的な教え方で、その技術を他のアニマルフォークへと伝えています。
他のアニマルフォーク種族との関係
儀式や霊的な修行を好むという点から、リザードフォークはバットフォークと仲良くやっています。細部について両種族は口論することもありますが、最終的には互いへの尊敬が勝ります。ラットフォークは保存と歴史を重んじるため、芸術に火をつけるというリザードフォークの着想はラットフォークの文化では忌み嫌われています。リザードフォークの芸術のほとんどは破壊されているため、ラットフォークの広大な書庫にもリザードフォーク文化の物理的な遺物はほとんど残っておらず、そのため両種族間の理解には亀裂が生じています。
魔法織り
リザードフォークの魔法は松明に火を灯すことから巨大な火の玉を投げることまで、概して火の使用を中心としています。彼らの火の魔法は、敵を焼き尽くすためにも使用されます。リザードフォークの秘伝の技の中には、毒を炎に込めるというものもあります。一撃でも致命傷を与える強力な組み合わせです。
リザードフォークの建物と居住地
リザードフォークの家は崖に建てられ、あるいは石や金属を切り出して作られており、日光浴に適した平らな屋根が付いています。リザードフォークの家で、装飾が施されていないものはありません。装飾を施した結果その家が芸術作品になるのではなく、しばしば芸術作品を中心として家が建てられます。最も基本的な装飾は、家の外側に鱗状のタイルを単純に敷くことですが、内部は豪華なものとなり、その住民が小さく見えるほど巨大な金属彫刻が置かれます。
ラクーンフォーク {R}{G}
アート:PINDURSKI |
渓間のラクーンフォークは収集家や採集者や放浪者です。彼らは大きな村にいようとも、旅路や荒野にいようとも家と変わらずにくつろぎます。その自由奔放な態度と自然への愛は、旅によって形作られます。どんな危険が待ち受けていようとも、冒険から引き返すラクーンフォークはほとんどいません。ラクーンフォークは型破りで、自らが興奮するもののために責任を放棄しがちであると他のアニマルフォークはみなすかもしれません。ですがラクーンフォークにとって、自己発見よりも重要な義務はないのです。好意的に言えば、ラクーンフォークは意志が強く、冒険好きで、愉快な者たちです。非好意的に言えば、気が散りやすく、孤独を好み、衝動的です。
個性
ラクーンフォークは生まれながらの冒険家であり、曲がり角や枝の先に待ち受ける発見のスリルを大切にしています。喜んで他の者たちと共に旅に出ますが、自分が先へ進みたい時はさっさと行ってしまいます。それでも彼らの記憶力は堅固で、多くの季節を経た後でも昨日別れたばかりのように昔の友に会います。記憶力は良いのですが、集中力はそうではありません。ラクーンフォークは重要な締め切りを過ぎたり、噂を追ったり何日も道をさまよったりしたあげく、謝りもせずに戻ってきたりします。
ほとんどのラクーンフォークは、財産や所有権といった概念に馴染みがありません。そのため、帰宅して家に客がいても驚きはしません。ですが自身の所有物や歴史が敬意を持って扱われることを彼らは期待しており、主に家の壁に並べたり、隅に積み上げたりした小物の収集物を気にしています。
放浪者たち
ラクーンフォークは他のアニマルフォークのように定住はしません。代わりに彼らは生涯のほとんどを旅路にて過ごし、同類から離れて自分のペースで世界を放浪します。その結果、彼らは渓間でも多くのアニマルフォークが聞いたこともないような場所や、果ては茨野原についての知識すら所有しています。ほとんどのラクーンフォークは途方もなく沢山の物語を記憶しています。それらはすべてが真実でも完全に嘘でもありませんが、旅の間の経験が元になっています。歴史と文化は口伝で行き当たりばったりに受け継がれるため、断片的ではありながら多様な伝統が生まれます。それらは時に、特定の場所や個々のラクーンフォーク完全に特有なものとなることもあります。
思い出の品とガラクタ
どこへ旅をしようとも、ラクーンフォークは思い出の品を持ち帰ります。多くの場合、それらは壊れた茶器や粉々になった武器、布切れ、小石などガラクタのように見えます。ですがこれらの品はラクーンフォークの持ち主の記憶を呼び起こし、そこからしばしば長い追憶と回想が始まります。ラクーンフォークはこれらの思い出の品を、魔法で編んだ蔓の背負い袋に入れて運びます。いざという時にはこの背負い袋は殴打武器となり、思い出の重みが加わることでより大きな衝撃を与えます。
渓間におけるラクーンフォークの役割
ラクーンフォークは、他の多くのアニマルフォークと深い友情を育んでいます。ラクーンフォーク文化の根底にある自由奔放な喜びは、最も冷たい気質さえも溶かしてしまうためです。アニマルフォークの中でも平均以上の体格であるため、ラクーンフォークは集団や計画における牽引役となることが多く、あるいは自然を操るドルイドとして敵を倒します。渓間じゅうの様々な種族や文化を広範に理解しているため、ラクーンフォークはその世俗的な知識で計画を成功に導く、優れた助言者としての役割を担うことがよくあります。そして彼らの助言が役に立たない場合は、世界のどこかで見つけたガラクタが問題を解決してくれるかもしれません。
ラクーンフォークの家に招待されるということは色々な意味を持ちますが、たいていは送別会が近づいているという合図です。他のアニマルフォークが開催する繊細な晩餐とはかけ離れたこの宴会は、遊戯やお祭り騒ぎや沢山の食べ物とともに夜遅くに始まります。全員が満腹になったら、物語の始まりです。参加者はそれぞれ、前の参加者が終えたところから物語の続きを語りはじめます。その結果、誰もがパーティーの思い出として記憶する貴重な物語が生まれるのです。ラクーンフォークの主催者はこれを、真に貴重な贈り物だと考えています。
他のアニマルフォーク種族との関係
好奇心旺盛で危険を恐れない性格から、ラクーンフォークとカワウソフォークは仲良しです。とはいえ災厄の獣を挑発するカワウソフォークの性質は、自然を愛するラクーンフォークにとっては無礼に感じられるかもしれません。バットフォーク社会の厳格な階層的秩序は、ラクーンフォークの独立独歩の気質とはあまりうまく調和しません。その結果、両者の文化の間には衝突が生じています。
魔法織り
典型的なラクーンフォークの魔法は、一般的には「ごみ」とみなされる廃棄材料を操り、それを飛び道具や障壁として使うというものです。並外れた技術を持つラクーンフォークは、植物材料から結び目を作ってエネルギーを吹き込むことで、自分自身と周囲の自然界に力を与える魔法を用います。ドルイドは杖を魔法で成長させて物を包み、それは運搬道具と武器の両方の役割を果たします。非常に熟達したラクーンフォークのドルイドは、周囲の環境を自然の防御に変えることもできます。
ラクーンフォークの建物と居住地
ラクーンフォークの家は木の根元の中に作られることが多く、大きな丸い扉と、在宅中にはいつでも中を光で満たす暖かな暖炉があります。他のアニマルフォークの目には、これらの家は無計画に建てられているように見えます。ですが実際には何世代にもわたって持ちこたえられる丈夫な構造をしているのです。多くの場合、これらの家は「住居」というよりは「保管庫」であり、ラクーンフォークが旅で集めた数え切れないほどのガラクタや記念品を蓄える場所という方が適切です。言うまでもなくその中は雑然としており、ラクーンフォークが新たな家に引っ越す際には周囲に大量のガラクタを散らかしていくことになります。ラクーンフォークは所有者が放棄した家を再利用し、前の所有者の装飾を残しつつ自身の装飾を追加します。
ラビットフォーク {W}{G}
アート:Victor Adame Minguez |
ラビットフォークは才能ある調理師やよく働く農民として、渓間の食料の大半を供給しています。家に籠りがちの退屈な者たちとも言われていますが、渓間のあらゆるアニマルフォークは、卓を満杯にしてくれる働き者のラビットフォークを尊敬しています。好意的に言えば、ラビットフォークは信念篤く、親切で平和的です。非好意的に言えば頑固で心が狭く、臆病です。
性格
ラビットフォークの文化は大地と共に働くことを重んじており、自然とその恵みを大切にするように教えています。争いを嫌う性質のため、直接対決するよりも問題を静観することを好むという理由だとしても、彼らは他のアニマルフォークと上手に付き合っています。非常に効率的で組織的であり、相手よりも礼儀正しくあろうとするため、約束や夕食には早めに現れます。ラビットフォークがますます早く到着するようになると、これは問題になる可能性があります。極端な例では、ラビットフォークは夜遅くに始まるパーティーへと朝一番に現れることが知られています。
ラビットフォークは、単純な考えや簡単にわかる価値を大切にします。明確な解決策のない複雑な問題では決断できずに固まったり、その状況を完全に避けたりすることもあります。概してラビットフォークは明らかに親切で気配りが行き届いていますが、特定の行動の理由を明確に説明しようとした場合はしばしば「そうあるべきだから」という結論に至ります。ラビットフォークの共同体では、贈り物は金銭的な価値だけでなく量の面でも豪華になりがちです。自分や家族や共同体が安全で繁栄していることを示すために、たとえそれが真実ではなくとも、気前よく与えることが期待されています。
あえて大都市へと移り住むラビットフォークは、たいていは家族との絆を保って頻繁に里帰りをし、自分の立場を利用して故郷を支えています。彼らは常に喜んで他者へと前足を差し伸べますが、見返りを期待しないことがほとんどです。他のアニマルフォークはこの習慣を利用しますが、この搾取的な態度はラビットフォークには理解できないものかもしれません。
家族と農業
ラビットフォークの社会で最も重要とされるのは、家族と共同体です。ラビットフォークの多くは共同体の中で生涯を過ごし、市場で農産物や他の品物を売る時以外はその小村を離れることはありません。ラビットフォークの生活は、フラッフルと呼ばれる大家族と自作農場を中心に回っています。家族の中でも最年長のラビットフォークはその一家の事実上の権威者であり、子供や孫やひ孫たちから大いに尊敬されています。非常にまれに、ラビットフォークがその村を完全に離れて、より大規模村や都市で生活を始めることがあります。移住したラビットフォークは、大抵はどこへ行こうともその地のラビットフォークの共同体に受け入れられます。そうでない場合は、献身できる別のアニマルフォークの集団を見つけることもあります。
脚当て部隊
ラビットフォークは概して平和主義ですが、それでも自分たちの家や土地を断固として守ります。最も献身的なラビットフォークは脚当て部隊に加わります。これは強く熟達した戦士の集団であり、渓間を巡回して災厄の獣から守ります。脚当て部隊のラビットフォークは枝角をつけた兜と、金属で覆われた大きな武器と盾で知られています。脚当て部隊の構成員たちはその技術と持久力で有名ですが、それは優れた糧食のおかげである部分が大きいでしょう。
渓間におけるラビットフォークの役割
ラビットフォークの調理師は名高く、その腕前に匹敵する他のアニマルフォークはいないと言われています。気配りが細やかで献身的に働くラビットフォークは接客の技に優れており、宿屋の従業員として引っ張りだこです。ラビットフォークは他のラビットフォークの村との繋がりを持つため、新鮮な食材を調達できると期待ができ、常連客を引きつけています。
冒険に出るラビットフォークはしばしば聖職者として働き、仲間を癒したり大きな恩恵を与えたりします。最も勇敢で逞しいラビットフォークの中には、まさかの時に強烈な打撃を与える最前線の戦士として働く者もいるのです!
他のアニマルフォーク種族との関係
ラビットフォークとマウスフォークはどちらも大家族を形成し、野外においても街においても頼もしい相棒です。両者とも家庭料理を愛しているため、夕食会に招待し合うこともよくあります。とはいえ、時にマウスフォークは体格が大型のラビットフォークへと十分な食事を提供することに苦労します。関係性という点では、ラビットフォークとリザードフォークは正反対です。刺々しく無愛想で冷淡なリザードフォークの性質は、温厚なラビットフォークにとってストレスになります。
魔法織り
ラビットフォークの魔法は、農業や植物の栽培、周囲の植生の回復に役立てられています。ラビットフォークの成長魔法は、植物を巨大化させることさえできるのです。
ラビットフォークの建物と居住地
ラビットフォークの家は地面に直接建てられることが多く、その下には長い巣穴があり、上には背の高い風車がついています。ラビットフォークの建物は、他のアニマルフォークの住居もそうですが、より環境に溶け込んでいます。それらは風景に馴染みつつ、サイロや粉ひき小屋としても機能しています。
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