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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エレメンタルとリアニメイト、ハイブリッドなグリクシス(スタンダード)

岩SHOW


 デッキ構築に行き詰まること、あるよなぁ。今日はどんなデッキを作って遊ぼうか、毎日のようにあれこれと様々なデッキを試すうちに、自分にはどんなデッキがしっくりくるのか、見失ってしまうこともある。あるいは全く新しいマジック体験を味わいたいが、アンが浮かばずに手持ちのデッキでずっとプレイしている……理由はいろいろあれど、誰もがデッキを構築することの行き詰まりに直面するものだ。

 そんな時には、ハイブリッドが良いアプローチになるかも?デッキの雑種、即ち2種類以上のデッキを混ぜ合わせて1つにする……大変に思うかもしれないが、色が合致していれば意外とすんなりいくケースもある。待った高方向性が異なるアーキタイプを1つにまとめるのは難しいかもしれないが、似たような速度感で共通するパーツがあったりすると、ハイブリッドデッキを組むのは意外にも難しくなかったり。ハイブリッドと言ってもコンセプトを100%持ち込む必要もなく、あるデッキの良いところ・エッセンスを抽出して別のデッキに移植する、これもハイブリッドの内。

 というわけで今回はスタンダードにおけるハイブリッド的なリストを1つピックアップしてお届けしよう。現スタンダードは土地が強い!《湿った墓》など2種類の基本土地タイプを持ったショックランドをはじめ、2色以上を捻出できる土地が多種多様。ハイブリッドデッキを作る上で気になるマナ基盤の問題も、土地さえそろえばなんとかなる!というわけで今回のデッキはスタンダードの青黒赤……グリクシスと呼ばれる3色のものだ。

Carlo Chua - 「グリクシス欺瞞」
ストアチャンピオンシップ(フィリピン・タギッグ) 準優勝 / スタンダード (2026年5月23日)[MO] [ARENA]
2 《魂の洞窟
4 《湿った墓
4 《血の墓所
3 《蒸気孔
4 《グルームレイクの境界
4 《ブレイズマイアの境界
2 《地底街の下水道
3 《
-土地(26)-

4 《再点火、アシュリング
4 《スーペリア・スパイダーマン
1 《油浸の機械巨人
3 《観念の名誉教授
4 《欺瞞
-クリーチャー(16)-
4 《報いの呪詛
2 《保安官を撃て
1 《苦々しい勝利
2 《黒い太陽の日
1 《死人に口無し
3 《強迫
3 《食糧補充
2 《傷残す批評
-呪文(18)-
2 《脅迫戦術
1 《無情な行動
2 《紅蓮地獄
1 《一巻の終わり
1 《戦略的裏切り
2 《魂標ランタン
1 《強迫
1 《無効
1 《否認
2 《カルシの帰還者
1 《油浸の機械巨人
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

回転

 

 クリーチャー呪文と非クリーチャー呪文の枚数がほぼ同じで、3マナ以上のカードが多めの構成……所謂ミッドレンジと呼ばれるものになる。《報いの呪詛》から始まるクリーチャー除去は、《黒い太陽の日》や《死人に口無し》など、メインデッキから全体除去を搭載している構成。対戦相手が自分より早くクリーチャーを並べて攻めてくるのであれば、それらを除去の雨でシャットアウト。そして中量級のクリーチャーで切り返して攻守を交代する……そういうややコントロール寄りの構成になっているリストだ。

 しかし序盤から自分も能動的に仕掛けていく要素を持っている。《再点火、アシュリング》だ。このデッキの赤い要素の主体であるアシュリング、2マナで1/3とやや硬めのボディであり、戦場に出ると手札を入れ替える能力が誘発。そして次のターン以降の第一メインフェイズ開始時、このクリーチャーは変身する能力が誘発……《凍炎縛り、アシュリング》に変身するか、その状態で第一メインフェイズを迎えると、任意のマナを2つ加えられる。マナ総量4以上の呪文にしか使用できないという制限があるが、これでデッキ内の4マナ以上のクリーチャーらをスムーズに展開することが可能となり、他のデッキに速度負けしないどころか先にプレッシャーをかけられる。

 このアシュリングと相性抜群なのが《欺瞞》だ。6マナと重いコストを支払うための助けになり、黒か青のマナを2つ支払っているかどうかが能力誘発のカギとなる《欺瞞》にとって、選んだ色が2つ得られるアシュリングはただのマナ加速以上の意味合いを持つ。そして、《欺瞞》は青青か黒黒のコストでも唱えられる。想起という能力であり、これで唱えた場合は即生け贄となり墓地に落ちる。クリーチャーとしては留まらないが、バウンスか手札破壊の恩恵を2マナでサクッと受けられるので、序盤はこの想起コストが有難い。想起で唱える場合でも、《欺瞞》のマナ総量はそれに印刷されているコストを参照するので6となる。つまりアシュリングから得た2マナは、想起コストの支払いに充てられるわけである。こうしたアシュリングと《欺瞞》のようなインカーネーションの組み合わせは、エレメンタルデッキにおいて重要なファクターだ。このデッキはエレメンタルデッキではないが、これらのパッケージを導入している。

 

 そして《欺瞞》と相性が良いカードと言えば……《スーペリア・スパイダーマン》。これは墓地のクリーチャーのコピーして戦場に出ることができるカードで、想起などで墓地に落ちた《欺瞞》のコピーとして出せる。《欺瞞》は唱えた際に支払ったマナを参照して能力が誘発するわけだが、《スーペリア・スパイダーマン》はコストに青と黒両方のマナを含んでおり、{U}{U}{B}{B}という形でマナを支払ったなら、バウンスと手札破壊の両方を誘発させられる。これにより邪魔なパーマネントを戻したうえでそれを即捨てさせたり、トークンを潰しつつ追撃のカードも奪うなど一手でカード2枚分と交換させることも可能!

 4マナという現実的なコストで《欺瞞》のフルパワーを引き出すこの組み合わせは、リアニメイト系のデッキや「ディミーア(青黒)加虐者」といったアーキタイプで見られる要素であり、それを抽出してエレメンタルの要素とハイブリッドにしている……というのがこのグリクシス・カラーのミッドレンジのメインコンセプトだ。《傷残す批評》《苦々しい勝利》など手札を捨てる要素も備え、これらで《油浸の機械巨人》《観念の名誉教授》を捨ててスーペリアで化けるというアクションも狙える。特に名誉教授は3枚ドローが可能で非常に強力、対戦相手が何とか対処したこの名誉教授をスーペリアで即再利用すれば、圧倒的なリソースの差で勝負ありだ。

 エレメンタルデッキの良いところと、リアニメイトデッキのメカニズム。《欺瞞》というカードを軸に、これらをハイブリッドさせたこのリストは、それらのアーキタイプの良さを少しずつ味わえて、このデッキ独自の体験も盛り込まれている、面白いものだ。こうやってパーツが被る2種類のデッキをハイブリッドうせるというコンセプト、皆も新しいデッキを組む際にトライしてみて欲しいね。

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