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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』展望デザイン提出文書

Mark Rosewater
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2022年6月6日

 

(編訳注:この記事はPCでの表示に最適化されています。)

 展望デザイン・チームのリードの一環で、リード・デザイナーは、セットデザイン・チームのためにセットの展望を表しそのセットのメカニズムやテーマを段階的に説明する、展望デザイン提出文書というものを作らなければならない。これまで私は、この記事でいくつかの展望デザイン提出文書を紹介してきた。

(編訳注:初代『ゼンディカー』の提出文書(その1その2)も公開しております。)

 今日は、初めて、私以外の人が書いた展望文書を紹介することになる。これからお見せするのは『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』(以下CLB)リード・展望デザイナーのグレン・ジョーンズ/Glenn Jonesが書いた、CLBの展望デザイン提出文書である。提出文書をどうまとめるかはリード・デザイナーの裁量による部分が大きく、グレンが私と少しばかり違うまとめ方をしているのがわかるだろう。また、グレンがデザイン・チームをリードしたのは『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』が初めてであり、従ってこういった文書を作るのも初めてとなる。これまでの私の展望デザイン提出文書同様、これは提出されたままの公式文書にコラムでコメントをつけたものとなっている。

『Pentagon』展望デザイン

展望デザイン・チーム

 通例通り、この文書のはじめには展望デザイン・チームのメンバーが記されている。私の『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』プレビュー第1週の記事に、デザイナー各人の略歴が記載されている。『Pentagon』はこのセットのコードネームである。(本流のセットではアルファベット順でスポーツの名前が使われている。)SMEはSubject Matter Expert、技術顧問の略である。

  • グレン・ジョーンズ/Glenn Jones(リード)
  • コーリー・ボーエン/Corey Bowen
  • イーサン・フライシャー/Ethan Fleischer
  • ミカエル・グロース/Michael Grothe
  • ダビッド・イエッツィ/David Iezzi
  • マイク・ミールズ/Mike Meals(D&DのSME)
  • クリス・ムーニー/Chris Mooney
  • ジュール・ロビンス/Jules Robins
  • アニー・サーデリス/Annie Sardelis(クリエイティブ・リード)
  • クリス・ファンミーター/Chris VanMeter
  • ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verhey

 

目標

D&Dを統率者戦に混ぜる

キャラクター作成

 このセットで最も目立ち最も独特な要素の1つが、マジックをドラフトする中でのD&Dのキャラクター作成の体験で、これはこれまでマジックが扱ってきたあらゆるものと異なる製品、体験です。

 グレンは背景の話をしており、これについてはこの後で詳しく掘り下げている。

 現時点で、展望デザイン提出文書はこの活力を表現するための共闘の代わりとなるメカニズムに焦点を当てていますが、これは本質的に単一の判断で、ドラフトで非常に人気のある多色の統率者には適用されません。このメカニズムがあまり目立たない可能性はあり、他の判断ポイントや有用性を導入する方法があります。

 

 グレンは、実際の製品には採用されなかったクラス(仕事を指すクリーチャー・タイプ)に焦点を当てることを話している。これについてはまた後ほど。

冒険の仲間たち

 同様に、このセットではマジックのゲームに勝つという共通の目的を持つ冒険者のグループを組むためにクリーチャーを使うという感覚を使います。試されたことが(検討されたことも)ない実行可能な実装が大量に存在しました。『ゼンディカーの夜明け』のパーティーの好評と、D&Dとの関連性についての興奮から、充分な密度のクラス・クリーチャー・タイプがすでに必要であることを踏まえると、このセットのこの要素がコストの減少に多くの良い評判を生む可能性があることが想像できます。

多人数戦

 『統率者レジェンズ』が提供した体験、つまり1ゲームは1~2時間で、ドラフト1回で1ゲーム、ゲームの参加者は3~5人、と一致することが今回のリミテッド環境の目標です。

 同様に、このセットは4~8人のポッドで、そしてさまざまなスタイルでドラフトされるべきです。大きなゲームプレイ上の目標を果たすために、これらの基準のいくらかから外れることは問題ありません。『統率者レジェンズ』の発売後、そのゲームプレイがどう受け取られたかを調査します。

 グレンはすべての統率者カードのデザインを監督しているので、諸君もその仕事の一部を覗き見ることができる。通常、パワーレベルはセットが安定するまでは確立しないので、展望デザインではそれほど考慮しない。彼はまた、イニシアチブを得るの初期名であった「松明」についても触れている。


 かなり初期からの問題の1つが、D&Dセットでどの再録が通じるかだった。アートやフレイバー・テキストは変更できるので、カード名が使えるかどうかが大きな制約だったのだ。

 この展望デザイン・ファイルは、最終的な目標に比べて弱い可能性があります。それは、チームの焦点がメカニズムの試験とそのファイル上の影響の反復工程にあり、基本線となるパワーレベルを示すことではなかったからに過ぎません。強さ的には、このセットは『コンスピラシー:王位争奪』に近くなっています。

 展望デザインは協力的要素を入れることについて議論しましたが、理想的と思えるものを形にすることはできませんでした。「松明」はその種のゲームプレイの考えうる最善の居場所、より具体的に言うなら部屋、です。

すばらしい再録

 『統率者レジェンズ』などこれまでの多人数戦セット同様このセットにも、スタンダードや『マスターズ』で再録することが難しい、すばらしい統率者戦用の再録カードを入れる場所を開けておくべきです。それらのセットと違い、D&DのIP的に、入れられるカードはかなり限られています。

 そのセットがすることの特徴を定義することはサプリメント・セットの展望デザインで必要なことの1つである。これには、ユーザーによって許容できる複雑さが違うので、そのセットがどれだけ複雑かが含まれる。私はそれらの特徴がすでに定まっている本流のセットに焦点を当てているので、私の文書上で諸君はこれを見たことはない。

複雑さ

 D&Dプレイヤーからマジックへの隙間を埋めるための基本セット的なデザイン理念があった『フォーゴトン・レルム探訪』とは違い、『Pentagon』はそのプレイヤーたちがドラフトや統率者戦にかなりなじんでいることを想定しています。『マスターズ』セットほどは複雑ではありませんが、典型的なスタンダード製品の上限を意図しています。この製品の主な想定ユーザーは既存の統率者戦プレイヤーで、統率者戦ドラフトの独特のルール群に強く魅力を感じるのは初めてのマジックではなく斬新なマジック体験に興味を持つプレイヤーです。

 

バルダーズ・ゲートの探索

物語と舞台

 舞台はソード・コーストで、中でもバルダーズ・ゲートです。このセットでは、フォーゴトン・レルムのこの地域に固有のものであれば、広い期間のキャラクターや物語を使うことができます。「災厄の時/Time of Troubles」はフォーゴトン・レルムの歴史上最大の出来事で、今回の中心です。いくつもの物語や舞台からキャラクターを組み込むため、私たちはこれをクロスオーバー・レベルの出来事として明確に扱っています。すべてのキャラクターがバルダーズ・ゲートの物語に登場している必要はありません。この都市は重要なので、有名キャラクターが通り過ぎることも多いのです。

 『フォーゴトン・レルム探訪』は「ファンタジーの冒険とダンジョン」でしたが、『Pentagon』は「ソード・コーストの謎と怪物」です。舞台は都会的で暗く、ファンタジー版ゴッサムシティ的なものであるべきです。そのモチーフを描くため、このセットでは知性あるヒューマノイドと「怪物」の比率が強烈ですが、例外として、冒険者でない/NPCのクリーチャーの比率はおよそ15%になります。

 これは許諾を受けた製品なので、展望デザインはIPのどの部分が使われるかを意識する必要がある。具体的に、D&Dは、膨大な資料が存在する。検閲された段落は、残念ながら公開できない舞台裏の話が書かれていた。


 死せる三者、ベイン、バハル、マークールは、このセットで伝説の神として登場している。

 ここには文章がありましたが、まだ見ることはできません。皆さんはまだその準備ができていないのです。いつの日かお見せできるかもしれません。しかし、その日は今日ではありません。

死せる三者

 これらの邪悪な神々3柱はバルダーズ・ゲートの物語で重大な部分を占めていて、バハルはビデオゲームの物語上の主な敵です。そこで私たちは彼らを、初期マジックでファイレクシアがそうだったように、永遠の敵として使います。災厄の時とマジックのメカニズム上で神性を示す様々な方法のおかげで、このセットで彼らをどう描くかには様々な選択肢があります。

 

現在のメカニズム

物語と背景

 グレンはこの文書をざっと読む人に向けて各項目をまとめるためにTLDR(長すぎるから読む必要はないの意)を用いている。

TLDR:この類のなにかですが、実装については不確定です。

 物語は単色の伝説のクリーチャーが持ちます。プレイヤーはそのクリーチャーを統率者として使う場合にある色の背景を選ぶことで、そのクリーチャーに1色足すことができます。背景はゲーム開始時に統率領域にあり、マナを支払うことでそれ以降ゲームの間有効化できる紋章のような能力を持っています。この能力は、統率者自身が戦場にいる間にだけ機能するべきです。

 共闘のすべての変種の中で、背景が最も有望です。

  • この高い開封比で埋まらなかったギャップを埋める多色の統率者とともに、適正な統率者が入手できるかという不安を実質0にします。
  • ドラフトに行為主体性を加え、プレイヤーにキャラクター中心の選択を可能にさせます。
    • 関連して、フレイバーに富んでいます。背景はD&Dのキャラクター作成の楽しい部分です。
  • それがゲームやデッキやドラフトとどれほど相互作用するかによる多くの実装が存在します。
  • 統率者に面倒な量のルール文を追加しません。

 しかし、懸念もあります。

  • 照合やアクセサリーが必要となる追加のオブジェクトを導入します。
    • ドラフトできるようにできますが、そうなると「安全な」感じをもたらし、使われるのは6以下でも必要以上にドラフトされる懸念があります。
  • 多色のレジェンドはこのセットで最も心躍らせるものになるでしょう。『統率者レジェンズ』の共闘はカードとして使えますが、背景はそれ自身の空間を取ることになります。
    • プレイテストで背景が使われなかったゲームがありました。

 背景は展望デザイン提出時のファイルにあったが、どう使うのが最適化にはまだ多くの不定部分があったのは見ての通り。これは展望デザイン提出文書にはよくあることである。展望デザインは、実行する方法をセットデザインが決めるための道具を作るのだ。セットデザインは背景を決めるのに多くの時間を費やし、そして諸君がドラフトする個別のカードを作り上げる。また別の話として、ほとんどの展望デザイン・チームはセットに両面カードが必要かどうかを自問していることを書き添えておこう。大抵の場合答えはノーだが、何らかの使えるメカニズムがあることが多いのだ。

 このファイルは現在、背景がセット内のカードの裏面にあり、デッキ内では第1面、統率領域では第2面と一方の面でしか使わない疑似DFCである変種を反映しています。この変種のプレイテストをするのには時間が最重要なので、この実装は場当たり的なものになっています。これを掘り下げるなら、効果の面でもっと揃えるようにこれらのカードの第1面や第2面を調整する必要があります。ただし、シナジーに基づく背景のデザインをそのカードの第1面に反映すると、プレイヤーは第1面のためにドラフトすることが多くなって背景を使うことが減り、同時に適正な統率者を求めてうろつくようになる危険性が生じるので、この方向は少し困難です。

 

 私は個人的にこのメカニズムを検討してきていて、気に入っている実装が2つあります。

  • ドラフト外で誰でも使える背景5~10種。ドラフト用の大きなリストから5種類が無作為に選ばれるようにすることもありです。アプリに採用することもできます。
  • ドラフト外で誰でも使える「基本」背景5種と、強くて高いレアリティのカード数枚(おそらくアンコモン5枚、レア5枚、神話レア5枚)の、ドラフトがあまりにも多くの背景で埋まることを避けながら興味深い開封比を達成する疑似DFCか何か。
「松明を得る」

TLDR:自信はありますが、ダンジョンの厳密な構成は反復工程と試験に値します。

 カードがプレイヤーに「松明を得る」ように書いてある場合、ゲーム外の状態1つ(松明の保持者)の所有権を他のプレイヤーから取り除き、そのプレイヤーに与えます。この機能は本質的に、統治者の移行と同じです。松明の保持者も2つの能力を持ちます。

  • 戦闘終了時に、地下墓地の中で進む。
  • 1体以上のクリーチャーがあなたにダメージを与えるたび、それらのコントローラーが松明を得る。

 「地下墓地」はゲーム内の全プレイヤーが共有する、カード1枚分の地図です。その機能は本質的に、共有の『フォーゴトン・レルム探訪』のダンジョン・カードです。プレイヤーはその中を進み、部屋を選びそれらの部屋の能力を誘発させます。

 プレイテストの結果、全体としてこのメカニズムは好評でしたが、各ダンジョンの個別の部屋については作業が必要です。プレイヤーはゲーム中に1~2回踏破することが想定されるので、能力を実用的なものにすることは重要です。部屋に、自分自身を守るための特に効率的な方法がある占有者がいるようであれば、このメカニズムはテーブルの他のプレイヤーに使えないものだと感じられるようになり、ゲームプレイを阻害します。一番楽しいのは、動いているときです。

 後に「イニシアチブを得る」と呼ばれるものは印刷に到ったが、その途上で詳細の多くは変更されている中でも最大のものは地下街――地下墓地の最終的な名前――が共有でなくプレイヤーごとに別々になったことだ。これはこのメカニズムを『フォーゴトン・レルム探訪』のダンジョン探索と揃えるために行なわれた。このメカニズムの最終版では、誰かが「イニシアチブを得」るたび(そうするカードを唱えたり、イニシアチブを持つプレイヤーに戦闘ダメージを与えたり)、および、イニシアチブを持つプレイヤーのアップキープの開始時に、前進するようになっている。統治者との違いは、イニシアチブを持っているときにイニシアチブを得た場合にも誘発することである。

 上述の通り、部屋誘発はゲームの多人数性を扱うものであり、プレイヤーの相対的な位置を扱う要素を含むこともできます。いくつか、例を挙げます。

  • この部屋にいるプレイヤー1人につき1枚のカードを引く。
  • 隣接した部屋にいる各プレイヤーにそれぞれ2点のダメージを与える。

 これに関する疑問について、チームで結論を出していないものがあります。

  • 統治者と充分差別化できていますか?
  • 統治者と相互作用するとしたらどうなりますか?
  • これと統治者の両方が同じゲームにあって楽しいですか?

 

クラス・パーティー

TLDR:クリエイティブ的に魅力的ですが、現在の実装にはいくらか不満があります。

 このファイルには異なる「職業」のクリーチャーを可能な限り多くコントロールすることを参照するカードが大量に(55枚前後)あります。これは総合ルールにおいて、マジックの職業・クリーチャー・タイプを「クラス」の語で包括し、(およそ40種)数えられるようになるでしょう。アーロン/Aaronは、封入される宣伝カードで、このセットにあるものだけでなく総合ルール上にあるすべてのクラス・クリーチャー・タイプを列記すること条件にこの手法を認めました。

 このゲームプレイを達成するための他の方法の中で私が次に気に入っている(テストはしていません)選択肢は、クラス・タイプを持つクリーチャーをコントロールしていると「キッカー」が得られるようにして物語を伝えるというものです。例えば、

  • ドルイドをコントロールしていたらカード1枚を引く《帰化
  • バードをコントロールしていたらコストが減る騎士
  • 戦士をコントロールしていたら強くなるバーバリアン

 これは、最終の製品には採用されなかった展望デザインの一面である。クリエイティブ的課題に、展望デザイン・チームがクールなメカニズム的実装を思いついたけれども最終の製品には必要なくなったという好例だ。

 このデザイン空間のメカニズムに最も重要なことは、部族でなくクラスの多様性を報奨することです。戦士がいることを参照する、戦士でないカードと、戦士を大量にドラフトするのはいいことですが、参照する側のカードも戦士ではないことが前提です。理想的には、このセットのその種のカードの開封比が、プレイヤーが様々なタイプを意識するようになっていることが望まれます。

 

出来事

TLDR:独特のひねりを加えた人気の再録メカニズムは、高評価のもとです。

 そのメカニズム的中心では、『Pentagon』の出来事カードは『エルドレインの王権』のものと何も変わりません。A側を唱え、その後でB側を唱えるか、単にすぐにB側を唱えるかです。クリエイティブ的には、その裏にあるコンセプトは変化しています。『エルドレインの王権』では、各カードは自身のB側のクリーチャーについての物語を語っていました。『Pentagon』では、各カードはそのプレイヤーの統率者の物語を語っています。

 そのため、A側は必ず、統率者の仮想的人生の中できっかけとなる事件や中断する出来事であるべきで、B側は敵、統率者の偉業、その成功によって得たものを表します。この最後の2点を達成するため、出来事カードのB側の多くはクリーチャーでなく、さまざまなカード・タイプを使います。

 展望デザイン・チームもセットデザイン・チームも、出来事カードでさまざまなカード・タイプを試したが、最終的にはクリーチャーとアーティファクトになり、その後者は出来事の新要素になった。よくあることとして、デザインは、デザイン空間のどの部分が一番実用的かを判断するために必要以上に掘り下げるものである。

  • アーティファクト:戦利品やパズル
  • オーラ:魔術的報奨や統率者の技量
  • クリーチャー:倒したボスや出会ったNPC
  • エンチャント:魔術的報奨や統率者の技量
  • 装備品:戦利品
  • ソーサリー:運命や統率者の技量

 この一部を採用することもできます。装備品、アーティファクト、オーラは特に芳醇だと思われます。クリーチャーはいつもどおり問題なく働きます。ソーサリーは呪文を唱えることとのシナジー上の次善の策で、彼らが実際に何かをしていると感じさせることができます。インスタントは、公開状態にあって対戦相手の注意をひくという意味で本質的に問題があります。

 

会戦

TLDR:トークンにはお手軽な能力ですが、カードではあまり良くありません。

 リミテッド環境で有意義なトークンを作れるようにするためには非常に有用ですが、ライフ総量が通常の倍あるプレイヤー4人がいる統率者戦で有意義なトークンには独特の需要があります。スタンダードのカードと並べたときに違和感があり、レガシーにまで影響を及ぼす可能性もあるので、効率的なコストで巨大なトークンを作ることはできません。『Pentagon』では『コンスピラシー:王位争奪』の会戦キーワードをフレイバーに富んだ形で使い、単純な兵士・トークンを少し強化しています。

 会戦はこのセットには採用されなかった。

 クリエイティブ的に、これらのトークンは、平和を守るためにバルダーズ・ゲートの貴族たちに雇われている傭兵団の「燃える拳団」を表しています。傭兵のクリーチャー・タイプを持たせてもいいでしょう。

 

使嗾

TLDR:このセットには間違いなく必要です。

 使嗾は統率者製品では「常盤木」になっている。

 多人数戦のリミテッドや構築のフォーマットでの使嗾のゲームプレイは、かなりの楽しさと、伝統的なメカニズム構造に独特の利得空間をもたらしたので、多人数戦セットでは常磐木と考えるべきです。私は使嗾を取り除くことに抵抗しますし、このセットには使嗾を増やす余地があります。

 

果敢

TLDR:採用するかどうかは未定です。

 このセットにはインスタントやソーサリーを参照するカードはあるが、果敢そのものは最終製品には採用されなかった。「詠唱/Spellcast」は、インスタントやソーサリーをプレイすることを参照するテーマの名前である。(魔技と似ているが、コピーは参照しない。)増詠/Surgecastは、2つ目の呪文をプレイすることを参照するテーマの名前である。

 果敢は、青の詠唱や「増詠」メカニズムの補助としてこのセットに加えられています。ゲームプレイ上もドラフト戦略上も特にすばらしいことをするわけではないので、セットから取り除くことも可能です。ただし、0.5マナ程度の価値のクリーチャー能力を入れることはバランスを取る上で有用で、入れておく上で負荷にならない程度に単純です。加えて、この単語そのものはほとんどのD&Dのクラスに容易につけて専門性を示すことができ、カラー・パイの範囲内で5色すべてに広げることもできます。

 

神々

TLDR:神々はいます。しかし、どうすれば神性を持たせられるでしょうか。

 このセットには災厄の時に関係する神々、少なくともバハル、マークール、シアリック、ミストラ、エイオーがいて、その他さまざまな神々も使えます(その筆頭がトームです)。スタンダードはいくつかの方法で神性を示していますが、何らかの除去耐性を使うことが多いです(『テーロス』『アモンケット』『灯争大戦』『テーロス還魂記』)。統率者戦では、統率領域そのものが不死性の基礎になりえるのでそれほど拘る必要はありません。現在のファイルでは、単純なコスト低減メカニズムで、寄せられる信仰によってそれらの神々が強くそして呼び出しやすくなっていくことを表そうとしています。

 セットに採用された神々は死せる三者(ベイン、バハル、マークール)だけとなった。

 災厄の時の間、これらの神々は(エイオー以外)定命となったので、クラス・クリーチャーのデミゴッドで表すことができますが、究極的には満足度が下がり、これらのキャラクターをプレイすることに興奮していた人々の期待に背くことになります。

 

TLDR:これも少量だけ作るでしょうが、無視はできません。

 この製品には最終的にバルダーズ・ゲートのようなちょうど9つの門があり、基本土地を参照するカードより多い門関連のカードがある。(そのうち数枚はそれ自身が門であり、メカニズム的重要性を持たせる助けになっている。)

 バルダーズ・ゲートには門があります! ただし、360枚のセットの中で「門関連」カードに影響力を持たせるために必要な門とシナジー・カードの開封比は、他の大量の強力なカードを押し出すことになります。基本土地を参照する数枚のカードが門も参照するようにする以上のことに成功の見込みはないでしょう。

ボツにしたメカニズム

技量/運命

 技量/運命は、プレイヤーが自分の単色の統率者に色1色を加えられるという統率者のメカニズムでした。それらの統率者にはキーワードがあり、セット内の伝説でないカードは統率者に与えることができて起動すると新しい能力をもたらす怪物化能力を持っていました。

 技量/運命の問題の重点は、運命のメカニズム的機能として拡張可能で伝説でないクリーチャーと、耐性を持つ統率者の組み合わせは、両方のカードが持つ膨大なルールの負荷だということでした。テンプレート化の観点から、「ゲームに1度」の運命を統率者に、そして「存在に1度」の運命を通常のクリーチャーに持たせることは不可能でした。

 技量/運命は、背景に置き換えられた。

 究極的には、プレイテストにおけるこのメカニズムの結果は中立以下で、怪物化、順応、そして統率者税そのものと比べて不満でした。キャラクター作成要素は好評でしたが、ゲーム内で実際に楽しめるものにはなっていませんでした。

 

呪文対

 呪文対は、ゲーム開始前に、おそらくは特定の条件下で、ゲーム中に1回唱えることができるインスタントやソーサリーを統率領域に置くことでプレイヤーが自分の単色の統率者に1色を加えることができるという統率者のメカニズムです。

 このメカニズムの最大の問題は、統率領域におけるカードが非常に狭いということでした。プレイヤーが充分なマナが使える場合、ほとんどのインスタントはゲームをだめにしてしまうので認められません。プレイヤーがそれらのカードを表向きにすることを嫌がるので、リソースに見合うソーサリーは問題があります。

 呪文対は、コンセプト的にはクールなアイデアがデザイン的吟味によって崩壊した好例である。

 最も期待できるバージョンでは、統率者がカードの出来事部分を「選び」ましたが、出来事の実装への制約があまりに重く、クリエイティブ的規範をいくらか破っています。このメカニズムを他のカードに持たせることもでき、バランスが取れれば素晴らしいものになります。

 

共闘

 これは背景選択で置き換えられた。

 共闘は、『統率者レジェンズ』で示された通り、成立します。しかし、このシリーズの第2セットとして、『統率者レジェンズ』が共闘と同義になるという慣例を作ることは避けることが重要です。それはほぼ最後の手段で、70体ほどの多色の伝説のクリーチャーを試す方がいい方向でしょう。

 

「上層地域に入る」

 これは地下街探索に置き換えられた。

 「松明を得る」の元になったこのメカニズムはキング・オブ・トーキョー的な支配権を賭けての戦いと、バルダーズ・ゲートの三層構造を大まかにもとにしていました。戦闘とキーワード処理を通して、プレイヤーは都市の地図を上下し、上層に登り、他のプレイヤーを蹴落としてそこを保つことによって利益を得ます。ですが、そのインセンティブがあまりに難しく、納得できるようにバランスを取るのがぎこちなく、そして松明への熱中から、このセットがこのメカニズムに帰結するかは疑わしいものになっていました。

 

怪物化

 怪物化は、フレイバーに富み、デザインが簡単で、バランスを取ることが可能な多くのツマミがあることから、多くのセットで検討されてきたメカニズムである。セットデザイン中に、他の要素に取って代わられた。

 最初は、チームはD&Dを代表するメカニズム2つとして出来事と怪物化を組み合わせることにこだわっていました。このセットのメカニズムは、どんどん、一度限りの起動型能力という怪物化のデザイン空間に近づいていきました。そして、このセットのクリエイティブは時を経て都会性を増し、怪物化が扱える余地は減っていきました。最終的に、出来事がこの役を果たすことになり、怪物化は不必要になりました。取り除くことで、クラスを成立させるために必要な場所が確保できました。

 

草稿:セットの構造とアーキタイプ

レアリティ分布
  • コモン 141枚
  • アンコモン 120枚
    • アンコモンの統率者 30枚
  • レア 77枚
    • レアの統率者 25枚
  • 神話レア 22枚
    • 神話レアの統率者 6枚

 伝説のクリーチャーを別に記したのは、それらが独立して照合されるからです。各パックに伝説のカードが2枚入っていて、アンコモンの比率は約73%、レアが約24%、神話レアが約3%です。

パック内の照合

 レアリティと照合は、通常、セットデザインの領域である。この製品の性質上、展望デザインはこの問題に時間をかけていたので、グレンはその推薦するところを記載したのだ。

  • コモン 13枚
  • アンコモン 3枚
  • レア/神話レア 1枚
  • 統率者(レアリティ不定) 2枚
  • プレミアム版カード(レアリティ不定) 1枚

 さらなる固定の照合として、セット内の2~3枚を各伝説のカードの「補完物」としてその伝説のカードが入っているパックに必ず入っているようにすることが考えられます。この目的は、最初の2手で取るものを決めやすくしてドラフトを序盤から軌道に乗せることになります。ただし、背景をドラフトできるようにすることで、プレイヤーはこの方向を選びにくくなり、伝説と背景やシナジーのあるカードをピックする頻度が上がります。背景の実装は、追加で照合に影響を与えることになるでしょう。

 

色・テーマ

 ほとんどのセットでは色の組み合わせを使いますが、統率者リミテッドは色の関与を扱う上では独特のものです。それを受けて、このセットは単色テーマとその交わり方を中心に構築されました。プレイヤーは1色を中心にして、その後で2色目に伸びることが期待されます。

 展望デザインがドラフト・アーキタイプに関わるかは、そのセットの種類による部分が大きい。陣営セットではそれがデザインの特徴の中核になるが、そうでないセットでは工程の後半に処理されることがあり得る。展望デザイン提出文書では、必要に応じてセットデザインが自由にドラフト・アーキタイプを変えられることを前提に、その時点でのチームの考えを開示するのが通例である。ドラフトはこの製品の根本なので、展望デザインはそこに時間を費やしたのだ。追放唱/Exilecastは、追放領域から唱えられた呪文を参照するテーマの名前である。出来事と多くのシナジーがある。

  • 上クリーチャー
  • トークン

  • 詠唱
  • 2つ以上の呪文を唱えること

  • 生け贄
  • 再帰

  • 追放唱
  • 宝物

  • マナ加速
  • パワー4以上関連

 このセットはメカニズムを多く含むように進化してきたので、色の中心は単一のメカニズムよりに変化してきています。白はクラスを広く並べることとトークンを作ることに重点を置いています。青は増詠にはあまり焦点を置いていません。黒は生け贄の頻度を少し落としたいが使うことは使います。赤は宝物を作りますがあまり注目はしません。そして緑はパワー4以上にはあまり注目しなくなっています。このセットはこの第1種/第2種の混成でも成立しますが、ここに変化を加える余地があります。

 この構造を取り除き、伝統的な色の組み合わせに戻しても、このセットは成立します。ただし、『統率者レジェンズ』の要素でこのセットが進化のもとにしているのが、プレイヤーにとって最適な選択が単にレールの上を可能な限り早く走る以外にあるドラフト環境を作ることです。背景メカニズムは、プレイヤーが1色ではじめてから簡単に他の色に進むことができるようにするので、色の構造がその助けになるなら問題はありますd。『統率者レジェンズ』のほとんどの色の組み合わせにはクリスオーバーするシナジーはありませんが、すべての戦略がペアごとに異なるならありえます。

:『統率者レジェンズ』では、よく、人々は2色に絞ることになります。プレイテストでは、このセットに宝物が多く5色すべてで用いられていることと、初期の複数の部屋がマナ基盤になる松明によって、3色でも問題はありませんでした。私は個人的に、3色をドラフトすることはそれほど難しくはなく、意図してそうるのであればずっと楽にすることができるでしょう。

 

クラスの1種色

 各クラスがこのセットでどう「中心」かを示しています。これは制限ではありません。クリエイティブ的、メカニズム的に妥当なら、クラスをどの色に置くこともできます。ただし、これらの色が各クラスに多様性を感じさせる特徴の一部として芳醇であることは重要で、そうでなければ多様性のために配置を他の方法で調整することになります。これはメカニズム的重複が少なくなるように、そしてクラスごとに色に関する多様性をもたらすように選ばれています。

 セットがカード・タイプを参照する場合、デザイン・チームはそれが色ごとにどう配分されるかを考える必要がある。上述のとおり、クラス関連は最終的に大きなメカニズム的要素としては印刷に到らなかった。

  • アーティフィサー:青
  • バーバリアン:赤
  • バード:赤緑
  • クレリック:白黒
  • ドルイド:黒緑
  • 騎士:白
  • モンク:白青
  • レンジャー:緑白
  • ならず者:青黒
  • シャーマン:赤
  • 邪術師:黒
  • ウィザード:白青
  • 戦士:赤緑白

 これらの特徴は未確定で、現時点ではセットに完璧にふさわしいものでもありません。公平な配分を決める助けとなるただの基礎です。コンセプト化を始める前に、クリーチャーの種族を同じように配分する価値はあるでしょう。

 

統率者構築戦の目標

伝説

 このセットには最終的に60~80体の伝説のクリーチャーが入ることになるでしょう。このファイルには現時点で、背景を共闘に関連した色安定化メカニズムとしたおかげでその下限の数だけ存在しています。

 これはライセンス製品なので、展望デザイン・チームは最終的にカードにしたいそのIPのキャラクターを選ぶのに時間をかけた。この文書と同時に、その作業の概要をまとめたファイルも同時に提出されている。

 現在の伝説のクリーチャーはメカニズム的プレイテストに充分な数ですが完成にはほど遠く、この製品が狙っている新規性や魅力は大きく欠けています。物語からの有力なキャラクターがそこには含まれています。それらの名前に必ずカンマがついているのは、目立たず単純な区別のためです。そのスロットを埋めるために、バルダーズ・ゲートに関連するキャラクターに焦点を当てて、マイク・ミールズが開発したキャラクター表を使うべきです。

 このセットは多くのヒューマノイド・キャラクターが登場しますが、怪物を統率者として使える余地を作っておくことも重要です。

再録

 『統率者レジェンズ』には、構築戦で使い物にならないものから需要の高いカードまで、様々な再録が入っていました。『Pentagon』の新カードと再録の比率は大きく異なり、その構築の目標も合わせて変化しています。理想的には、セットの新カードはすべてが統率者戦の広い世界に、カジュアルな宝物テーマのデッキだとしても、何らかの居場所があることが望ましいです。

2色土地のサイクル

 このセットには新2色土地10枚のサイクルが存在します。2色土地は必須ではありませんし、10枚フルセットもそうです。しかしながら、それは望ましさを作る簡単な方法です。その目標を達成するため、それらは『バトルボンド』の土地の横道らしいものであるべきです。良い土地と強い土地は同じとは限りませんが、悪い土地は『バトルボンド』土地を手に入れる機会を失ったプレイヤーたちを逆上させます。現在のセットはルール的に弱くなっていて、フォーマットに必要なことですが、その代償として土地タイプがあります。

 ここも、まだお見せできないものが書かれています。皆さんはまだその準備ができていないのです。いつの日かお見せできるかもしれません。しかし、その日は今日ではありません。

 2色土地は最終的に『バトルボンド』の友好色2色土地と、1色を選べる2色のサイクルである門になった。削除された部分では、将来のことを語っている。

 クリエイティブ的にカード名がバルダーズ・ゲートのコンセプトに合っているのであれば、これらのスロットは『バトルボンド』土地にすることができます。

 

Excelでの5XXセット・ガイド

 これは、特に構造要素や開封比にどう影響するかについての、『Pentagon』を作る助けとなるエクセルのツールです。数式を誤って操作してしまわないよう、色付けがされています。

黄色:このセルは手動でデータを入力する必要があります。

:このセルは他のセルからのデータを自分のデータとして計算しています。

オレンジ:これは答えです。

 他のセルの計算がわかることもありますが、黄色は変更の必要がないのでわからないままです。これらのシートをご覧ください!

 この最後のセクションでは、デザイナーごとの手法の違いを明確に示している。グレンはデザインのさまざまな要素を記録するためにツールを作り、そしてその道具をセットデザイン・チームに提供している。彼はその要素全てについて語っている。

  • [レアリティ]シート:このそれぞれは単にそのレアリティのカードの一覧になっています。セット構築の手引となりますが、ルールは厳しくも迅速でもありません。
    • 出来事は比率を調整する助けになります。
  • 色の組み合わせ:リミテッドのテーマと、各色の組み合わせのテーマを組み合わ焦ることの評価の分析です。
  • サイクル:セット内でサイクルになっているもののリストです。それほど心躍るようなものはありません。
  • 開封比:このシートで、ソーセージが作られます。
    • シートの残りの部分のために標準的な照合を標本として使うテーマです。注:これには特別スロットは存在しません。
    • 開封比計算器は、任意のレアリティ配分でのその値、開封比を算出します。アンコモンの伝説のクリーチャーの照合や『統率者レジェンズ』が使った調整した対象を用いたを計算に入れてクリーチャーであるコモン/アンコモンの比率です。各多色クリーチャーは、各色ごとに0.5枚と計算しています。
      • これらの比率の目標は、ジュールが『統率者レジェンズ』でやったものをもとにしていて、典型的なブースター・パックから15%強化されています。この修整子は、Y7にあります。
    • 開封比計算のテーブルは、カードのルール・テキストに基づいています。(非公開の関数により、伝説の照合の計算がされています。
    • このセットのすべてのクラス用開封比計算機です。自動的にRAWデータに基づいてすべての欄を埋めます。これも伝説の照合を計算に入れています。
  • クラスの配分:クラスが色や統率者ごとにどのように配分されているかを色に基づく視覚化したものです。このページには入力はなく、すべて自動です。
    • 多色統率者の固有色は計算していませんが、同じISNUMBER(他のシートで用いられているISNUMBER(SEARCH)の技が使えます。
  • RAW:セットをフィールドそのままでペーストしたものが、スプレッドシートの残りの部分を計算するために用いられます。
    • ISNUMBER(SEARCH)のカラムと、セットの末尾に隠されたものに気をつけて。
  • クラスの企画(ボツ):本質的には、クラスをどのようにこのセットに導入するかという計画の最初のメモ帳でした。掘り下げる価値はあまりありませんが、最初どのようにしたかを示す良い道具です。
  • 『ゼンディカーの夜明け』のパーティー計算:『Pentagon』の色の配分や開封比と『ゼンディカーの夜明け』のパーティーを比較するためのぞんざいな参照です。
  • 古いアイデア:人気のあって実用的なメカニズムをメモしたものです。

 以上である。展望デザイン提出文書の別の扱いを見る機会を楽しんでもらえたなら幸いである。これを公開させてくれたグレンに感謝する。いつもの通り、この記事やこの文書についての諸君からの感想を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrInstagramTikTok)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『ダブルマスターズ2022』のプレビューの始まる日にお会いしよう。

 その日まで、あなたが古いものの新しい姿を楽しみますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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