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石村信太朗のよくわかる!リミテッド講座

第1回:『ストリクスヘイヴンの秘密』ブースタードラフト攻略
はじめまして。
今回から行弘さんよりバトンタッチし、リミテッドの解説記事を担当させていただきます、ライザ/rizerこと石村信太朗(@rizer1891)です。よろしくお願いいたします。
最初なので簡単に自己紹介させていただくと、プロツアーに出場したり、ライバルズ・リーグに参加したり、積極的に競技に取り組んできた人です。それはそれとしてリミテッドが大好き。ご飯を食べる暇があるならリミテッドを遊びたいタイプで、20年以上毎週のように遊び続けています。
少し話題が変わりますが、近年はMTGアリーナで手軽にリミテッドが楽しめるいい時代になりました。もちろん行きつけの店舗や仲間内で遊ぶリアルカードのリミテッドの魅力も色あせず、実際のカードを手に取って頭を悩ませる時間は飽きることがありません。さらに最近では最高峰の戦いであるマジック・リミテッド・チャンピオンシップの開催が決まり、MTGアリーナや国内大型イベントで予選に参加できるようになりました。
そう、いまリミテッドがとても熱いんです!
自分もマジック・リミテッド・チャンピオンシップの出場を目指して、日々リミテッドを研究しています。この記事では、そこで得た気づきや経験を共有することで、皆さんのお力になれればと思います。
それでは前置きはここまでにして、まずは最新セット『ストリクスヘイヴンの秘密』環境のポイントから見ていきましょう!
1.『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフトのポイント
環境のポイント1:対抗色でデッキを組もう
『ストリクスヘイヴンの秘密』は5つの大学に分かれた魔法学院が舞台となっており、5つの大学はそれぞれの対抗色に対応しています。そして『ストリクスヘイヴンの秘密』環境の最大の特徴として多色カードが非常に強力です。
白青や赤緑などいわゆる有効色で構築することはこれらの強力な多色カードを使えないため大きなハンデになってしまいます。そのため今環境ではかならず5つの大学のどれかに入学して対抗色でデッキを組むことを意識しましょう。
環境のポイント2:多色カードを集めよう
いざ入学する大学が決まったら、その大学の多色カードを優先してピックしていきましょう。特にコモンのマスコットサイクルは大学のテーマと密接にシナジーしているためオススメです。
大学の中核となる多色カードを集めることで、自分のデッキを強くしながら、他の人が同じ大学に入学してくる可能性を下げることができるので一挙両得です。
また強力な多色カードが豊富な関係で、マナ・シンボルの要求はいつもよりも厳しめです。そのためコモンの2色土地は気持ち早めにピックしましょう。
環境のポイント3:インスタントとソーサリーをたくさんデッキに入れよう
ミスティカルアーカイブの強力呪文がパックに1枚必ず含まれていることもあり、今環境では強力なインスタントやソーサリーがわんさか流れてきます。


インスタントやソーサリーを参照するカードも多いため、今回は普段よりもインスタントやソーサリーを数多くデッキに入れたくなります。10枚入れても満足できないほどですが、クリーチャーとのバランスを考えると採用する枚数にも限界があります。そんな時に便利なのが新メカニズムの準備カードです。
- 準備カード(準備済状態である間、あなたはこれの呪文のコピーを唱えてもよい。そうしたら、これを未準備状態にする。)
クリーチャーとして戦闘に参加しながら、呪文でアドバンテージを稼ぎ、各種シナジーの発動も狙える優秀なメカニズムです。
準備カードには準備済状態で戦場に出るカードと、準備されていない状態で戦場に出るカードの2種類が存在するため、慣れないうちはご注意ください。
インスタントやソーサリーを準備カードでさらに水増しし、際限なく呪文を唱え続ける魔法学院の優等生を目指しましょう。
余談ですが強力な呪文が多い環境では、妨害できる手札破壊や打ち消しの価値も高まります。ピック出来た際には是非ともデッキに忍ばせましょう。
環境の主要なポイントを抑えたところで、次は環境の5つの主要アーキタイプを紹介していきます!
2.『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフトの主要アーキタイプ紹介
注目のアーキタイプ・その1:白黒シルバークイル(難易度:★★)
シルバークイルのメカニズムは即妙。
- 即妙 — あなたが、クリーチャーを対象としていて、インスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたび、~。
除去呪文だけでなく強化呪文でも誘発するため、能動的に相手を攻めるデッキで使いやすい能力です。パーマネントの能力で対象にとっても誘発しないことや、対戦相手のみを対象にとる呪文では誘発しないことに注意が必要です。
「白黒シルバークイル」は、《小言を言う管理人》や《稽古を積んだ討論者》などの即妙で強化される小型クリーチャーを、強化呪文や除去呪文で支えながら高速で攻めるアグロ戦略が強力なアーキタイプです。
できるだけ毎ターン即妙を誘発させたいため、対象をとれるインスタントやソーサリーは8枚以上集めるのが理想です。邪魔なブロッカーを排除できる除去呪文が一番ですが、息切れしないためにはおまけでカードを引く効果が付属している呪文をピックすることも大事です。
シルバークイルは特にデッキのバランスに苦労するアーキタイプなので、即妙をサポートができる準備カードの価値が高いです。見かけたらぜひ確保しましょう。
シルバークイルのイチオシカードは《無言の言い渡し》。
手札の除去呪文を奪いつつ大型クリーチャーを押しつける動きが、シンプルながら非常に強力なのでオススメです。
注目のアーキタイプ・その2:青赤プリズマリ(難易度:★★★)
プリズマリのメカニズムは演目。
- 演目 ― あなたがインスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたび、~。その呪文を唱えるために5点以上のマナが支払われていたなら、~。
演目はインスタントやソーサリーを唱えれば唱えるほど強くなり、多くのマナを支払って唱えると特別なボーナスを得る能力です。後半の派手な部分に目が行きがちですが、前半だけしか使えずとも強力なカードも多いため、コストを問わずインスタントやソーサリーを多めにデッキに採用することが重要です。
「青赤プリズマリ」は、《表現豊かな火踊り手》や《ぶちかます芸術家》などの演目によって強化されるクリーチャーを赤の火力呪文や青の妨害呪文でバックアップして攻めたてるミッドレンジ戦略と、強力なレアを青赤の優秀な呪文でサポートする、コンボに近しいコントロール戦略が強力なアーキタイプです。
演目はクリーチャーのサイズを上げるものが多いため攻撃的な構成と相性がよく、盤面を抑えきることが苦手な色の性質とも相まって、攻撃こそ最大の防御の方針が似合います。今環境は青の一時的な妨害カードが豊富なので押し込みの手段には事欠かず、青の長所である手札補充の粘り強さも合わさり、一筋縄ではいかないビートダウンデッキが組めます。
またプリズマリは強力なレアをサポートすることがとても得意です。
青の防御的なカードと赤の火力除去で序盤をやり過ごし、青の手札補充や赤の宝物・トークン生成からなめらかにレアを唱えることができます。さらにクリーチャーなら《ひらめきの追求》や各種打ち消し呪文で守り、呪文なら墓地から容易に再利用可能とバックアップも万全です。いざ完成すれば向かうところ敵なしのデッキになるため、骨子となるレアをピックできた場合には是非とも狙いたいアーキタイプです。
構築でもプレイでも相手を翻弄する必要があるため難易度は高いですが、嚙み合った時の爆発力は5大学でも随一と芸術大学らしいテクニカルなアーキタイプとなっています。
プリズマリのイチオシカードは《競技場の潮流魔道士》。
プリズマリは演目の関係で土地を伸ばしたい一方、引きすぎると息切れするため、手札交換能力の価値が高いです。サイズも優秀で、中盤戦を安定して支えてくれます。
注目のアーキタイプ・その3:黒緑ウィザーブルーム(難易度:★★)
ウィザーブルームのメカニズムは注入。
- 注入 ― このターンにあなたがライフを得ていたなら、~。
注入はライフを得ることでそのターンの間ボーナスを得る能力です。サイズ修正など戦闘を有利にするものがほとんどなので、能力を発揮するためには攻撃的なデッキを組む必要があります。
「黒緑ウィザーブルーム」は、《泥水のルマレット》や《先生の害獣》などのライフを回復するカードと、《害獣のマスコット》や《古株の教育者》などのライフ回復で強化されるカードを組み合わせることでサイズに優れたビートダウンをしかける、アグロに近しいミッドレンジ戦略が強力なアーキタイプです。
地上主体の愚直なビートダウンなので長期戦は苦手で、息切れする前に相手のライフを削り切ることが重要です。墓地回収などの長期戦カードは最低限に抑え、《円熟の美辞麗句》で攻め手を守ったり、《樹根操作》で一息に押し切るなど攻めたカード選択を意識しましょう。
ウィザーブルームのイチオシカードは《メイジタワーの審判》。
ウィザーブルームは低コストの多色カードが多いため序盤から育てやすく、《交換留学生、ルーウェン》で爆発的なサイズアップを狙うこともできます。
注目のアーキタイプ・その4:赤白ロアホールド(難易度:★)
ロアホールドのメカニズムはフラッシュバック。
- フラッシュバック(あなたの墓地にあるこのカードをフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、これを追放する。)
フラッシュバックは墓地から呪文を1度だけ再利用できる定番能力です。1枚で2枚分の働きができるため、カード・アドバンテージを稼ぎやすく、息切れしづらいのが強みです。
「赤白ロアホールド」は、序盤、中盤、終盤、隙がなく、除去呪文も粒ぞろい。質実剛健を体現した、コントロールに近しいミッドレンジ戦略が強力なアーキタイプです。
ロアホールドには「1枚以上のカードがあなたの墓地を離れるたび」を条件とするテーマがあり、墓地を追放するシステム・クリーチャーやフラッシュバックと組み合わせることで高いシナジー効果を生み出します。
ただしシナジーを無理に狙いすぎる必要はありません。今環境の白と赤のカードは全体的に汎用性が高いため、マナカーブ通りにクリーチャーを展開して除去呪文で相手の脅威を排除する王道戦法だけでも十分に強力です。引きの偏りに左右されやすい色の弱点も《過去の追求》でカバーできるため隙がありません。総じて特殊なテクニックへの依存度が低いため、環境初心者に特におすすめのアーキタイプです。
ロアホールドのイチオシカードは《粗石熾し》。
速いデッキ相手は壁役として、遅いデッキ相手はマナ加速兼ダメージ役として手堅く活躍。環境でも屈指の利便性を誇る一枚です。
注目のアーキタイプ・その5:緑青クアンドリクス(難易度:★★)
メカニズムは増分。
- 増分(あなたが呪文1つを唱えるたび、あなたが支払ったマナの点数がこのクリーチャーのパワーやタフネスよりも大きい場合、このクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。)
増分は自身のサイズよりも高いコストの呪文を唱えることで成長する能力です。マナカーブ順にカードをプレイするだけで育成できるお手軽な能力ですが、大型に育てあげるには高いコストのカードを一定数デッキに採用する必要があります。クアンドリクスにはXがマナコストに含まれる呪文が収録されているので、増分の補助として活用していきましょう。
「緑青クアンドリクス」は、《篤学な一年生》や《有毒イモリ》などのマナ・ランプから、《フラクタルのマスコット》や《プテラフラクティルス》などの大型クリーチャーを素早く展開してビートダウンするランプ戦略が強力なアーキタイプです。
ランプ構成や増分の関係でアクションが大ぶりになりがちなので、《ひらめきの追求》や《追放の裏切り》などコストが軽いインスタント呪文で隙を埋めることが重要です。
クアンドリクスのイチオシカードは《教科書の図表作成者》。
諜報で山札操作ができるため見た目以上に育ちやすく、序盤の壁役にとどまらない活躍をしてくれます。
環境の主要アーキタイプを抑えたところで、次の項では一歩踏み込んだ「多色デッキの構築法」についてをお届けします。
3.『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフトのステップアップ講座
本連載は基本的に入門的な内容を扱っていく予定ですが、このコーナーでは一歩踏み込み、発展的な内容について解説していきます。
今回のテーマはずばり3色以上の多色デッキの組み方です。
多色デッキのハウツー1:3色目のカードをタッチする
多色デッキは構築するだけなら簡単で、極論3色のカードと土地を3等分してデッキに入れるだけでも意外とデッキとして機能します。ただし当然のように2色のデッキよりもマナのトラブルを起こしやすく、強力なカードを揃えたとしても勝率は伸び悩みます。そこでデッキの色を増やしつつ、バランスを崩さない方法が主題となります。
一番簡単な解決法は3色目の投入を最低限に抑えることです。主に色が合わない強力なレアが流れてきたケースで役立ちます。
ダブルシンボルのレアや、色が全く合わない多色のレアの場合は君子危うきに近寄らずの方針が無難ですが、シングルシンボルのレアの場合は是非タッチにチャレンジしてみましょう。この場合はメインカラーの土地を1枚ずつ減らして、3色目の基本土地を2枚入れるのが基本です。採用したい3色目のカードがもう1枚ある場合にはさらに基本土地を1枚足しましょう。慣れないうちはタッチするカードは2枚に抑えておくのが無難です。
もちろん基本でない土地は大いに助けになってくれます。3色目の基本土地のかわりに採用するとよりデッキの安定性が高まります。
基本でない土地は必須ではないため、3パック目で強力なレアを見かけた場合にも遅すぎるということはありません。デッキに強力なレアを加えることで、失った安定性以上のデッキパワーの向上を見込めるため、チャンスがあれば積極的に3色目のタッチを狙っていきましょう。
多色デッキのハウツー2:メインカラーで安定させよう
本格的に3色以上のデッキを構築する際に大事なのはメインカラーの概念です。一見カラフルなデッキであっても、基盤が特定の色にまとまっているのであれば、実質的な準単色デッキであるため、色マナトラブルの危険性が格段に下がります。基本土地を7枚以上入れたメインカラーのカードで相手の攻勢をしのぎつつ、耐えている間にタッチカラーの土地を揃え、強力なカードを順次使って逆転する形でデッキを構築するわけです。
大事なことはメインカラーで手札交換や山札操作、マナサポートなどを多用してデッキの再現性を高めることです。直接的な土地サーチはもちろん、複数枚のカードを見られる手札交換や山札操作も価値が高く、占術や諜報も馬鹿になりません。タッチカラーの土地とタッチカラーの強力なカードの両方を手札に揃えることで多色デッキは真価を発揮するため、実は土地サーチよりも手札補充カードの方が重要だったりするほどです。また除去呪文のような低コストの防御向きカードがあると、色が揃わない序盤に押し切られるリスクが下がるため、より強力なデッキに仕上がります。
今環境において実例を挙げると、多色適性が高い色は緑と赤、続いて青です。直接的な土地サーチができる緑の適性が高いのは分かりやすいですが、赤にも防御的な2コストのカードや、手札交換とマナサポートを兼ねる《戦利品奪取》、除去と山札操作を兼ねる《あからさまな嘲り》など便利なカードが揃っており引けを取りません。
青には手札交換や山札操作、優秀な防御カードもありますが、種類数やレアリティに難があり集めるのがやや大変。黒は低コストの防御向きカードに長けますが、手札交換や山札操作のカードが少なく、メインカラーに向きません。白は全体的に上記のカードが薄いため本格的に多色が苦手です。
この概念はメインカラーに限らずサブカラーに据えた際も補助役として一定の機能を果たします。そしてこれを対抗色大学に当てはめると、クアンドリクス(緑青)とプリズマリ(青赤)が特に多色適性が高く、緑が濃いウィザーブルーム(黒緑)や赤が濃いロアホールド(赤白)も多色が可能、シルバークイル(白黒)は多色化は最低限が無難であるとなります。いずれもできるだけメインカラーに寄せて構築した方が再現性が高く、メインカラーさえしっかりしていれば一見無茶な4色デッキや5色デッキも構築可能となるわけです。
3色以上の構成が基本となる多色サポートが豊富な環境ではその限りではないですが、通常の環境において2色以上のデッキは2色に1色を加えるタッチ型と単色に複数色を加えるメインカラー型のいずれかで組むのがオススメです。
多色デッキのハウツー3:『ストリクスヘイヴンの秘密』の収斂の遊び方
前置きが長くなりましたが、『ストリクスヘイヴンの秘密』の多色といえば収斂です。
- 収斂 ― ~は、この呪文を唱えるために支払われたマナの色の種類数に等しい。
色マナがあればあるほど強くなる能力ですが、5色に無理にこだわる必要はなく、3色で十分、4色なら非常に強力といったパワーバランスとなっています。収斂のカードは全体的にカードパワーが高く、《力を一つに》、《からみもつれる歌》、《秘儀の前兆》の3枚は特に強力です。
収斂は一見カラフルなデッキの専用カードに見えますが、実は2色デッキにタッチする使い方でも強力です。3色目のレアをタッチする感覚で1~2枚ほど基本土地を加え、片方の色が合ったコモンの2色土地や《水薬師の収集品》で収斂を補助しましょう。基本土地で3色を揃え、可能なら基本でない土地で4色目を用意し、《水薬師の収集品》でのみ4~5色目を供給できる状態で問題ありません。
もちろん積極的に収斂を狙う形で構築しても強力なデッキを構築できます。その場合は前項で触れたように、赤や緑のマナサポート、または青の手札補充を基盤として、メインカラーに寄せながら各大学のカードをつまみ食いする形をオススメします。いずれの場合も《水薬師の収集品》が鍵となるため、強力な収斂カードがピックできた場合には最優先で確保しましょう。
今回の記事は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。『ストリクスヘイヴンの秘密』は5大学のアーキタイプが親しみやすいため初級者にやさしく、各アーキタイプの中で構成をあれこれ調整できるため中級者にも遊び甲斐があり、強力な呪文を使って特殊なデッキが組めるため上級者も飽きづらい素敵なセットです。この記事が少しでも『ストリクスヘイヴンの秘密』ドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。
それではまた次回お会いしましょう。
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