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戦略記事

市川ユウキの「プロツアー参戦記」

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 後編

市川 ユウキ


 こんにちは、市川(@serra2020)です。

 前編記事に続き、後編ではプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』の大会レポートを綴っていこうと思います。よろしくお願いします!
 

0.ドラフト雑感

 『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』ドラフトはズバリ!白が一強です。

 

 久しぶりに強いコモンタッパーが出たなと評判だった《ラフトの警備員》を筆頭に、2マナ域は《勇猛な喧嘩屋》と《アトラスのエージェント》でオールプレイアブル。

 《S.H.I.E.L.D.スパイキット》も《小剣》界隈で最強。アンタップ能力で疑似警戒ですし、アドバンテージ獲得手段が薄くなりがちな白アグロの序盤からの継続的な占術1は素晴らしい働きをします。

 

 いつだって強い《忘却の輪》こと万能除去《糸巻き》。《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》や《ギャラクタス襲来》など、強い相手に強い《マードックの聖戦》など、除去呪文も優れています。

 

 アンコモンも優秀です。2マナクリーチャー、3ターン目《エージェント13、シャロン・カーター》の動きはスノーボールゲームに向かっていきますし、《政治的勝利》も1ターン目にあまりにも出し得なカード。 《S.H.I.E.L.D.スパイキット》の項でも述べましたが、序盤からの占術が本当に優秀ですし、気付いたら盤面強化+1ドローで損する要素が全くありません。

 

 レア/神話レアも他と比べて普通に強いです。瞬速+強力な能力で大体出たターンに一方交換を取られてゲームが終わる《地球の守護者、キャプテン・マーベル》、《アベンジャーズ・アッセンブル!》。

回転

回転

 また、今回両面の神話レアサイクルがあるのですが、それらが白と青に寄っているので単純に白は他の色と比べてレアが多いです。それでいてそれらが初手級のレアなので、正直に言ってヤバすぎます。

 

 白の中では下から数えたほうが早い《S.H.I.E.L.D.のエージェント》や《ワカンダのドローン部隊》もプレイアブルで、如何に層が厚いか思い知らされます。

 実際、世の勝率データでは白絡みの4つのアーキタイプが上5個に入っていて、つまり不満なく白をやれただけで半分より上であることが確定します。

 あまりの一強っぷり故、白は流れてきたらやろう、は不可能です。流れが良いことはほぼないので、最序盤に参入して、下のプレイヤー達に諦めてもらうしかありません。

 一見リスキーな戦術にも思えますが、正直上のプレイヤーが白で被ってても気にならないレベルでカードプールが強く、また卓内の許容人数も3人は余裕で、4人もできなくもないので十分可能な戦術に感じました。

 

 一方、勝率データでは唯一非白でトップ5入りしているアーキタイプ・緑青ですが、私たちのチームでは正直理解不能でした。

 マルチカラーのカードが流れてくるのはわかるんですが、そこまで強力でもない《蟻軍団の指揮官、アントマン》だったり、そんなにアーティファクトが出ないカラーリングでその能力でもなぁと思ってしまう《ムーンガールとデビル・ダイナソー》だったりと、あまり良い印象はありません。

 

 除去も他のカラーリングと比べて薄いです。特に《ハジけたるでぇ!》は唯一の軽量除去でプレミアムなわけですが、それはそれとして最高のマナクリーチャーたる《潜伏スクラル》も喉から手が出るほど欲しい。

 つまり、序盤にピックを優先したいカードが多すぎて、どうやってみんなピックしているの?不可能じゃない?というのが私の考えです。

 実際、自分がMTGアリーナ/Magic Online/テーブルトップドラフトで30回程度はドラフトをしたのですが、緑青になったのは僅かに1回で、それもあまり要領を得ませんでした。

 チームメンバーの意見も近く、このアーキタイプの勝率が高いことを言語化することはできませんでした。

※《無慈悲な同盟》にはテキスト訂正がございます。詳細はこちら

 チーム内で白アグロの次に評価が高かったのは黒いデッキです。環境トップコモンの最強除去、《無慈悲な同盟》などから参入するパターンが多いです。具体的には黒緑と青黒。

 

 黒緑は《ワカンダの災厄、キルモンガー》や《サヴェッジ・ランドのケイザー》などのグッドスタッフなクリーチャーがプレイできるのが魅力です。

 

 また、《迅速な救助》で墓地を肥やしやすいので《ヒドラの戦闘員》や《ワカンダの災厄、キルモンガー》などの「墓地に2体以上のクリーチャー・カードがあるなら」の条件を早期に達成しやすいのが特徴です。

 

 青黒はセカンドドロー軸で組むことが多いです。《コズミック・キューブの構築》は4手目程度まで回ってくるカードですが、青黒でプレイしたら一級品。毎ターントークンが出ることもあり、これが流れてきたら参入のチャンスです。

 

 青黒はミッドレンジライクな黒緑と少し違い、ふんだんな除去呪文とアドバンテージカードで相手をすりつぶす、トラディショナルなコントロールスタイルになりやすいです。

 《未来主義者の鍛冶場》や《大胆不敵な生化学者》などのコモンで優秀なアドバンテージカードが取れるのが主因です。

 

 黒緑、青黒ともにクリーチャーの大部分を悪人で占めることができるので、《ヒドラの支配者、バロン・ストラッカー》を強く運用できるのも良いですね。

 《ヒドラの支配者、バロン・ストラッカー》は《ヒドラの戦闘員》などの墓地活用、《マダム・マスク》などのセカンドドローを誘発させやすくシナジーを形成しやすいカードです。

 

 皆さんが気になっていそうな赤緑ですが……正直私はあまりやっていませんでした。緑をピックした際は白と組み合わせて白アグロになるか、黒と組み合わせてミッドレンジになることが多く、赤緑になるのは稀だったからです。

 

 私自身はさっぱりでしたが、チームメンバーでドラフト巧者の行弘(賢)さんが調整末期にピックしていた《全身武器、アイアンフィスト》を軸にした赤緑は刺激を受けましたね。

 

 赤緑は《ハジけたるでぇ!》や《ハルクスマッシュ!》など、自分のクリーチャーを対象に取りながらプレイする除去呪文が多く、《全身武器、アイアンフィスト》がシステムクリーチャーとしてかなり優秀です。

 《全身武器、アイアンフィスト》自体はそこまで世間で評価されておらず、8手目付近でピックできることも多いため、プランが立ちやすいです。

 

 一旦色の強弱に話は立ち返りますが、最弱色は赤です。

 兎に角クリーチャーが弱い。《スターク・インダストリーズの重役》はほぼ戦闘に参加できませんし、《クンルンの戦士》は悪人でないのが痛すぎる能力。

 《ヒドラの戦闘ロボット》だけギリギリプレイアブルですが、これを出しながら悪人などを出しつつ、しかも除去などで相手の屈強なクリーチャーを捌いていく……それって無理じゃね?というのが本音です。

 

 除去もシナジーがないので《ウィドウの噛みつき》より劣る《稲妻の一撃》。チームワークするくらいならそれで殴るわということも多々ある《リパルサー・ブラスト》と、他の色と比べて明確に劣っていると言わざるを得ません。

 

 赤の救いはアンコモンです。2ターンに1回2枚捲り、つまり実質毎ターン1ドローの《私立探偵、ジェシカ・ジョーンズ》。適当に入れてもただ強いのに、捲る枚数は《私立探偵、ジェシカ・ジョーンズ》のパワーを参照しているので装備品などともシナジーします。

 

 自分のカラーリングに《稲妻の一撃》と《ハルクスマッシュ!》という2マナの除去呪文があるので、どのカラーと組み合わせてもただただプレッシャーを放つ《ロキ・ラウフェイソン》。

 

 2対1以上のトレードが余裕な《フォトン・ブラスト一斉射》など、カードの平均点は低いですが目を見張るカードもあります。

 

 つまり、赤は良いところだけ摘みましょうということ。メインカラーになってはダメ、青赤も黒赤も青ベース、黒ベースで赤いカードは絞って取ることが大事です。

 

 プロツアーの前日の木曜日に、直近2回のプロツアーでもやっていたリミテッドミーティングを今回も現地で開催しました。今回はチームメンバーが15人とチーム史上最多であったこともあり、ちゃんとしたミーティングルームを借りて行いました。

 折角お立ち台があったのでリミテッドマスターの中村(修平)さん、行弘さんには登壇して頂きました。

 主に行うのは各アーキタイプの勝率ベースの個別カード評価をもとに、アーキタイプ分析、その後チーム内で蓄積している成功デッキを参照して更に考察します。

 

 データを溜めていると特定のアーキタイプに秀でたチームメンバーというのは出てくるもので、そのアーキタイプに関してはその人に登壇してもらって主導してもらいます。

 例を出しますと、今回は青赤アーティファクトに関しては、井川(良彦)さんが回数勝率ともに群を抜いていました。ですので、井川さんに前に出てもらって解説して頂きました。

 これらを各アーキタイプで行います。朝9時から休憩を挟みつつ、大体15時程度に終わるスケジューリングですので、結構長丁場です。

 ですが、このミーティングにチームのリミテッドの知識が集約されるといっても過言ではありません。ドラフトが得意ではない私としては、チーム調整で最も重要なターンだと考えています。

 私の役割はミーティングルームの手配、PCを操作してスクリーンへの画像出し、つまりは雑用です。ドラフトに関してはスペシャルなアイディアもないのでサポートに徹します。
 

1.初日 / ブースタードラフト

 

 初日のブースタードラフトです。

 

 初手は《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》。

 泣く子も黙る環境トップのレアです。あまりの豪運に思わず席から立って雄叫びを上げそうになりましたがここはグッと我慢。

 

 2手目は《悪戯の神、ロキ》。

 カード単位での勝率自体低いものの、このカード自体は強力です。当たり前ですが、継続的に対象に取ることができる装備品やクリーチャーなどと合わせて初めて効果を発揮するカードなので、むやみやたらにデッキに入れられて勝率が下がっていると予想しています。

 

 4手目《稲妻の一撃》、5手目で《ファルコンのウィングハーネス》。

 《ファルコンのウィングハーネス》はカード自体は強いものの、青の戦略にあまりマッチしないので流れてきがちですが、《悪戯の神、ロキ》との相性も良いので早めにピック。

 

 やはり白は全く流れてこず。

 しかし《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》が使えないなんてことはあってはならないので、3手目で《アスガルドの城塞》をピック。絶対に《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》を使うんだという強い意志。

 

 その後《油圧式お助けロボ》が一周したのちに3枚ピック、また《マシンスミスの自動人形》も返って来たこともあり、リミテッドミーティングで聞いていた井川式青赤アーティファクトを踏襲します。

 

 できたデッキはこちら。

 

 あまりデッキに入れたくない《知識の渇望》、2枚目は流石に怪しい《スーパースーツ》、《悪戯の神、ロキ》と縦のシナジーの《アイアンマンの遺志、ウォーマシン》など若干厳しいドラフトとなりました。

 

 赤が予想に反して流れてこず苦戦を強いられました。青は《悪戯の神、ロキ》以降も流れてくるので青はロックし、《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》をピックしている関係上白が流れてこないなら青赤になるのは致し方なかったのかなと。

 緑だけ卓で異常な流れで、なんと《サヴェッジ・ランドのケイザー》が一周してくる事態に。恐らく卓に緑はいて1人といった様子。

ラウンド1:青黒 ○○
ラウンド2:黒緑 ○××
ラウンド3:白青 ○×○

 結果は2勝1敗。

 

 卓におよそ一人の黒緑に惜しくも敗北。

 《スーパースパイ、ブラック・ウィドウ》や《キャプテン・アメリカの盾》を有していて惜しくもライフレースを制すことができず。相手のデッキが強すぎて《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》で1対3交換したのに普通に負けました。

 

 それ以外のマッチは《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》と《悪戯の神、ロキ》が強すぎて勝利。

 自分のデッキに入っているカードの平均値は低いので、ちゃんと上2枚のカードをゲームを通してどちらか引けていることが多くて助かりました。
 

2.初日 / モダン

市川ユウキ/Yuuki Ichikawa - 「シミック新生化」
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / モダン(2026年7月17日~7月19日)[MO] [ARENA]
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《繁殖池
1 《溢れかえる岸辺
2 《
3 《迷路庭園
1 《
4 《霧深い雨林
1 《沸騰する小湖
1 《吹きさらしの荒野
-土地(15)-

4 《アロサウルス乗り
1 《偉大なる統一者、アトラクサ
2 《フレイアリーズの信奉者
1 《忍耐
2 《気前のよいエント
2 《暴走暴君、ガルタ
1 《グリセルブランド
1 《わめき騒ぐマンドリル
1 《終わらぬ歌、ウレニ
1 《歓楽の神、ゼナゴス
-クリーチャー(16)-
1 《橋仕掛けの戦い
4 《記憶への放逐
4 《異界の進化
2 《自然の要求
4 《新生化
3 《否定の契約
4 《次元の創世
1 《定業
4 《召喚士の契約
2 《夏の帳
-呪文(29)-
1 《忌まわしき眼魔
1 《大修道士、エリシュ・ノーン
1 《わめき騒ぐマンドリル
1 《洪水の大口へ
4 《神秘の論争
2 《自然の要求
1 《否定の契約
2 《稲妻罠の教練者
2 《夏の帳
-サイドボード(15)-

 デッキはネオブランド(シミック新生化)。

ラウンド4:ボロス土地破壊 ××
ラウンド5:イゼット親和 ○○
ラウンド6:ドメインズー ○○
ラウンド7:八百長試合エルドラージ ○○
ラウンド8:イゼット親和 ○×○

 4勝1敗、トータル6勝2敗で二日目へ。

 初戦のボロス土地破壊に良いところなくボコボコにされるも、それ以降は持ち直し4連勝!

 

 7ラウンド目の八百長試合エルドラージは、我らがチーム・森山ジャパンのメンバーではない唯一の八百長エルドラージの使用者でした、奇遇な巡り合わせ。

 

 初日終了時のチームの八百長試合エルドラージの勝率は26勝14敗で脅威の勝率65%!そしてネオブランド側はというと、15勝8敗で、なんとこちらも65%!

 

 私たちは強すぎるモダンデッキ、モダン環境を破壊することを“ナドゥ”と形容しているんですが、まさかのチームデッキどちらもがナドゥ状態

 こういうようにチームデッキが二分された時はどうしても明暗が分かれてしまうものなのですが、今回はどちらがナドゥなの、はたまたどちらもナドゥではないのか、初日が終わってもわからない異常事態に。
 

3.二日目 / ブースタードラフト

 
 

 初手は《アベンジャーズの始まり》。

 印象はより強い《政治的勝利》で、白に飛び込むには十分な理由です。

 

 2手目《独立エージェント、ホワイト・ウィドウ》、3手目《S.H.I.E.L.D.スパイキット》と白を主張しつつ、4手目で《伝説の戦い》をキャッチ。

 《伝説の戦い》は4/4くらいのクリーチャーに打つだけで場を開けつつ10点くらいカジュアルに入る強カード。もちろん組み合わせが大事で、1枚で勝てるカードではありませんが、4手目は流石に安く、緑に参入します。

 

 その後も《恐怖の巨人、アボミネーション》と流れが良く、また一周で《ワカンダ王室近衛部隊》をキャッチ。《ワカンダ王室近衛部隊》緑白であればカウンターの置き先に困ることがなく、実質5マナ6/6相当で運用でき、強力なカードとなります。

 

 できたデッキがこちら。

 

 案の定返しも白の流れは悪く、特に除去が取れませんでした。《ラフトの警備員》で擬似的な水増しと、《巨大化》で誤魔化します。

ラウンド9:青赤 ○○
ラウンド10:白青 ○○
ラウンド11:緑白 ○××

 結果は2勝1敗。8勝3敗でモダンラウンドへ。

 

 正直、思ったより強かったです。

 《ヒーロー達の癒し手、ナイト・ナース》と《独立エージェント、ホワイト・ウィドウ》が単純にカードが強力で且つ《アベンジャーズの始まり》と相性が良く、シナジーを発揮していました。

 これらによって《アベンジャーズの始まり》を回収してプレイすることが多く、ゲーム中に《アベンジャーズの始まり》を3回プレイしたこともありました。

 

 最終戦の緑白同型では相手は《パワフル・ブローカー》や《訓練メニュー》などのカウンターシナジーを展開してくる形で敗北。

 ミラーマッチではゲームが膠着しがちですから、継続的に戦線を強化されるのが厳しかったですね。
 

4.二日目/モダン

ラウンド12:八百長試合エルドラージ ×○○
ラウンド13:繁殖鱗コンボ ○××
ラウンド14:サムワイズ・コンボ ○○
ラウンド15:ネオブランド ○○
ラウンド16:エスパー御霊の復讐 ○○

 モダンラウンドは4勝1敗でトータル12勝4敗

 12勝4敗はタイブレークが高いとトップ8もあり得るラインですが……


 運よく8位でトップ8に滑り込み!早々に4敗目を喫していたので、正直全く期待していませんでした。

 終わったあとに調べてみたんですが、15ラウンド目で自分よりタイブレークの高いプレイヤーが尽く負けていて、それにより16ラウンド目で急浮上していたようです。バカヅキ。
 

5.三日目/ドラフト

 栄えあるプロツアーサンデー、今回はブースタードラフトで行われました。

 3日目をドラフトで行うのは、2011年に行われたプロツアー名古屋以来。実に15年ぶりとのことで、当然私も初めての体験でした。

 

 初手は《サヴェッジ・ランドのケイザー》。

 選択肢は《スーパーアダプトイド》。《スーパーアダプトイド》もピックしたら大体そのデッキで一番強い2マナ域になるので好みですが、前者をピックしました。

 

 《サヴェッジ・ランドのケイザー》はレアカードである《絶対無敵スクイレル・ガール》などよりも勝率が高いカードで、全レアリティで緑のトップのカードです。シングルシンボルなのでタッチもしやすく、緑にこだわらなくても良い受けの広さもグッド。

 

 2手目は《翠色の守護者、シーハルク》。

 カードパワーが単純に高く、破壊の対象先も困らない環境です。迷わずピック。

 

 その後は2色目をどれにするか決めかねてフラフラします。

 ソースマテリアル・カードの《ダウスィーの虚空歩き》を取ったり、《先陣を行く者、ブラックパンサー》を取ったりもしますが、6手目で《ハルクスマッシュ!》が流れてきたことにより赤の指標が立ちます。

 

 一周で《ワンダゴアの騎士》が流れてきて、少なくとも殴る緑色のデッキはいなそうだなと予想。《チーム戦術》も屈強なクリーチャーで構成される赤緑では強力なカードで、これも一周したところをキャッチします。

 

 2パック目の初手は《ヴィジョン》。

 強力なカードですが、赤緑はクリーチャー主体のデッキになるのであまり強みを活かせません。リスト非公開ならハッタリも効くんですが、リスト公開だと自分のデッキの《ヴィジョン》がどの程度のカードかわかってしまうので、意識してカードをピックしていく必要があります。

 

 比較的遅い巡目で2枚目の《ハルクスマッシュ!》、そして《ガンマ線の巨人、ハルク》が流れてきたこともあり赤緑に完全にロックします。

 《ガンマ線の巨人、ハルク》は5マナ6/5到達トランプルというタダでさえ意味のわからないくらいデカいのにパワーアップで更にデカくなったり、パワーアップの多い赤緑ではシナジーもありまさに八面六臂の活躍です。

 

 3パック目の初手は《壊し屋、レッキング・クルー》。

 指標の非常に高いカードで、純粋なパワーカード。

 

 緑主体でピックしていたこともあり、《潜伏スクラル》、《ロス・ディアブロス・ミサイル基地》とマナベースも良好でタッチも容易です。

 

 その後は2枚ピックしている《ワンダゴアの騎士》と相性の良い《内に潜む怪物、ミスター・ハイド》、足りていなかった軽量除去《ハジけたるでぇ!》など、足廻り要素が揃っていきます。

 

 強力なアンコモンである《ロキ・ラウフェイソン》、2枚目の《ガンマ線の巨人、ハルク》も取れてピックは終了。

 
市川ユウキ/Yuuki Ichikawa
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / ブースタードラフト(2026年7月17日~7月19日)[MO] [ARENA]
1 《ロス・ディアブロス・ミサイル基地
1 《サブテラニアの洞窟
1 《
6 《
7 《
-土地(16)-

1 《ロキ・ラウフェイソン
1 《アントマンの軍勢
2 《ゴリラのゲリラ
1 《プリンス・オブ・パワー、ハーキュリーズ
1 《サヴェッジ・ランドのケイザー
2 《ワンダゴアの騎士
1 《内に潜む怪物、ミスター・ハイド
1 《ペット・アベンジャーズ
1 《サヴェッジ・ランドの恐竜
1 《翠色の守護者、シーハルク
1 《潜伏スクラル
1 《死を配る者、ブルズアイ
2 《ガンマ線の巨人、ハルク
1 《壊し屋、レッキング・クルー
1 《ヴィジョン
-クリーチャー(18)-
2 《ハルクスマッシュ!
1 《リパルサー・ブラスト
1 《チーム戦術
1 《ハジけたるでぇ!
1 《迅速な救助
-呪文(6)-
1 《ヒドラのエージェント
1 《ホークアイの弓
1 《レッド・ハルク
1 《超高速
1 《ダメージ・コントロール社召集
1 《王国の簒奪
1 《超人精神科医、ドク・サムソン
1 《新星の猛者、ハルクリング
1 《パワフル・ブローカー
1 《サヴェッジ・ランドの恐竜
1 《蟻軍団の指揮官、アントマン
1 《先陣を行く者、ブラックパンサー
1 《A.I.M.のシンソイド
1 《S.H.I.E.L.D.のヘリキャリア
1 《ダウスィーの虚空歩き
-サイドボード(15)-

 できたデッキがこちら。

 《スーパーヒーローの争い、シビル・ウォー》や《コズミック・キューブ》ほど単体で勝てるレアカードを有してはいないものの、マナカーブ良し、除去あり、クリーチャーの質良しとバランスの良いデッキに仕上がりました。

準々決勝:青黒赤 ××○○○

 準々決勝は2連敗の後に3連勝で勝利!

 

 《》《》《迅速な救助》キープが実らず負けたりしつつ、3ゲーム目も最終的に《仇敵に死を》が誘発したら負けの場で非クリーチャー呪文を引かれず、返しパワーアップした《ガンマ線の巨人、ハルク》に《チーム戦術》で一発逆転、流れが一気に来た感じがしました。

 

 5ゲーム目は《氷漬け》になった《ガンマ線の巨人、ハルク》を《翠色の守護者、シーハルク》が助けるなどして勝利。

 5ゲーム目は配信で映ったゲームで、このゲームだけ見ると圧勝なのですが、私がとても嬉しそうだったのはこういう事情があったことを鑑みて頂ければと思います。

準決勝:白青タッチ赤 ○×○×○

 準決勝も辛くもフルセットで勝利。

 

 正直、5ゲーム目は良いプレイじゃなかったです。

 《宇宙に生まれし者、キャプテン・マーベル》にサイドインされた《スーパースーツ》で有利トレードをされたあたりから積極的なプレイができず崩れてしまっていました。

 

 最終的にコンバットトリックが怖くて《勇猛な喧嘩屋》とライフレースする始末に。

 まぁ結果的には《盾、構え》をドローされていたので良かったような悪かったような……準々決勝から続くフルセットで疲労もあったかと思います。

 

 なんにせよこのゲームも大きくなった《ワンダゴアの騎士》に《チーム戦術》で《勇猛な喧嘩屋》の上から大ダメージが入って勝利。

 終わったあとあまり嬉しそうじゃないのは、そういう経緯もあります。

決勝:白黒タッチ緑青 ○○○


ん?
 


ゆ、ゆ、優勝だああああああああああああ!!!

 と、いうことでプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』で優勝!頂点に立ちました!

 

 決勝はこちらのドローが良く、相手の展開と噛み合ったりして感覚的には淡々と勝ったなと。

 プレイしている最中もあまり実感がなく、最後の《ガンマ線の巨人、ハルク》の2枚目が生き残った時にはじめて「優勝するかも!」と意識しました。そのターンのアタックは手が震えて《ガンマ線の巨人、ハルク》がなかなか持ててませんでしたね。

   

 一昨年はチームメンバーの井川さん、去年は行弘さんが優勝していたので、彼らと肩を並べられて嬉しいです。

 特に行弘さんと三日目にドラフト卓を囲めたのは至福の時間でした。
 

6.ネオブランドのサイドボーディング

 ボーナストラックとして、ネオブランドのプチサイドボーディングガイドを置いておきます。

対ボロス・エネルギー

IN:
2 《稲妻罠の教練者
1 《忌まわしき眼魔
1 《わめき騒ぐマンドリル
1 《大修道士、エリシュ・ノーン
1 《洪水の大口へ
2 《自然の要求

OUT:
3 《否定の契約
1 《記憶への放逐
1 《召喚士の契約
1 《忍耐
2 《夏の帳

 基本的な考え方として、《グリセルブランド》をタップアウトでプレイして返しに負けないマッチアップでは《否定の契約》は減らします。

 

 《召喚士の契約》は《苛立たしいガラクタ》や《真昼の決闘》、《イーオスのレインジャー長》にハマるので減らします。

 《記憶への放逐》も当てる先が乏しいので1枚カットします。

 《召喚士の契約》の4マナはサイド後意外と払う展開になるので、《否定の契約》を減らせるマッチアップでは《記憶への放逐》に手を掛けても大丈夫です。

 

 《火の怒りのタイタン、フレージ》が減ったことによって入っている《イーオスのレインジャー長》が重く、意外と負けます。

 ただ、依然有利なマッチアップであることは変わらないでしょう。

対親和

IN:
2 《稲妻罠の教練者
1 《忌まわしき眼魔
2 《自然の要求
1 《わめき騒ぐマンドリル
4 《神秘の論争
2 《夏の帳

OUT:
1 《異界の進化
2 《召喚士の契約
3 《否定の契約
2 《記憶への放逐
1 《定業
1 《忍耐
1 《終わらぬ歌、ウレニ
1 《暴走暴君、ガルタ

 

 サイド後は《神秘の論争》や《自然の要求》で1対1交換が取りやすくなるので 意外とロングゲームになります。

 親和側もクロックの立ち上がり方がそこまで早いデッキではないので、概ね《金属の叱責》などのカウンターや《苛立たしいガラクタ》などのヘイトパーマネントでキープしてきますからね。

 

 《夏の帳》は各種カウンターからのバックアップはもちろん、《苛立たしいガラクタ》の誘発能力や《河童の砲手》の護法能力を貫通するのは覚えておくと良いでしょう。

 一番サイドプランを試したマッチアップで、このマッチアップが五分以上取れるという結論に至ったことが成功の要因だと考えています。

 実際に私はスイスラウンドで親和に2勝0敗でしたし、チームメンバーも1勝0敗で、大いにサイドプランが機能していたと思います。

エスパー御霊の復讐

IN:
2 《稲妻罠の教練者
1 《忌まわしき眼魔
1 《わめき騒ぐマンドリル
4 《神秘の論争
2 《夏の帳

OUT:
1 《終わらぬ歌、ウレニ
1 《歓楽の神、ゼナゴス
3 《否定の契約
2 《召喚士の契約
2 《自然の要求
1 《記憶への放逐

 

 メタゲーム上のデッキで最も相性が悪いです。

 《超能力蛙》に引かれ放題、相手の《御霊の復讐》にも基本的に干渉できませんし、《思考囲い》からの《新生化》には《否定の力》で全てを失うパターンもあります。

 スイス最終戦で勝てたのは正直かなりツイてましたね。《超能力蛙》も出されませんでしたし、《否定の力》も2ゲーム通して引かれませんでした。

イゼット果敢

IN:
1 《否定の契約
2 《夏の帳

OUT:
2 《自然の要求
1 《暴走暴君、ガルタ

 

 純粋なスピード勝負です。

 基本的にバックアップカードを構えながら《新生化》を打てるほどターン数に猶予がありませんし、イゼット果敢側もそこまでカウンターが入っているわけではないので《神秘の論争》はサイドインしないことにしました。

 

 しかし、《グリセルブランド》を出した返しにとんでもない打点が襲いかかってきて負けるパターンもそれなりにあるので、イゼット果敢はフェアデッキではありますが《否定の契約》はサイドインします。
 

7.まとめ

 

 プロツアーを、初めての優勝で終わることができました。

 初めてプロツアー・トップ8に入ってから実に10年以上経過しましたが、夢が叶いました。

 これもひとえに一緒にマジックをやってくれるチームメイトや友人、応援してくれている読者のみなさまのおかげです。

 Xなどでも国内外から沢山お祝いの言葉を頂き、本当に嬉しかったです。私の勝利を喜んでくれる人々こそが私のマジックをやってきた財産です。いつもありがとうございます。

 

 MOCS優勝、アリーナ・チャンピオンシップ優勝、プロツアー・チームシリーズ優勝、そしてプロツアー優勝。長年のキャリアで掲げられるトロフィーを相当数掲げて来た私ですが、最後に残っているトロフィーがあります。

 そう、世界選手権!

 今回のプロツアー・トップ8によって次回の世界選手権の権利も獲得しました。プロツアーと同様またここから10年掛かるかもわかりませんが、楽しみながらも真剣に優勝を目指していきたいと思います!

 それではまた~。次回の記事でお会いしましょう!


市川

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