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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:異次元のバント・コントロール(モダン)

岩SHOW

 プロツアーはやはりクールだった。アムステルダムで開催されたプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング|マーベル スーパー・ヒーローズ』、決勝ラウンドの盛り上がりもさることながら、そこに至るまでの予選ラウンドのフィーチャーマッチも見ごたえ抜群だった……というわけで今週もマジックのクールさを、デッキやカードを介して語り尽くすCool Deckのお時間がやってきた。

 今回のプロツアーは構築フォーマットにモダンを採用。カードプールが広大な、マジックの歴史書的なフィールド……スタンダードやパイオニアでは使えない特殊なセットのカードもひしめく魔境……そんなモダンのフィーチャーマッチにさっそうと現れたのは……一体なんだ!?と画面に前のめりになってしまう、独創的なリストだった……。

Rui Zhang - 「Bant Control」
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / モダン(2026年7月17日~7月19日)[MO] [ARENA]
1 《繁殖池
4 《溢れかえる岸辺
1 《神聖なる泉
1 《迷路庭園
2 《
1 《草萌ゆる玄関
1 《行き届いた書庫
2 《霧深い雨林
2 《平地
1 《寺院の庭
4 《吹きさらしの荒野
-土地(20)-

1 《忍耐
1 《孤独
-クリーチャー(2)-
4 《星間航路の助言
1 《対抗呪文
2 《発散する方程式
1 《浸食作用
1 《冥途灯りの行進
4 《オアリムの詠唱
4 《次元の創世
3 《虹色の終焉
2 《呪文嵌め
1 《スフィンクスの啓示
3 《時を解す者、テフェリー
4 《水浸しの教え
4 《荒野の再生
4 《空の怒り
-呪文(38)-
2 《天界の粛清
4 《記憶への放逐
1 《孤児護り、カヒーラ
4 《神秘の論争
1 《沈黙
1 《呪文嵌め
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー
1 《時を解す者、テフェリー
-サイドボード(15)-
 

 これはルイ・ジャン/Rui Zhang選手が用いたバント(緑白青)カラーのコントロールデッキ……そもそもモダンは、昔から「押し付け」が強いフォーマットと認識されている。己がやりたいことをやる!より速く、より強く!強引にこちらのプランを押し付けて、対処されきらなければ勝ち。そういった思想のデッキがひしめき合う中で、受けのデッキであるコントロールを選択することは……よっぽどのコントロール・フリークであると。確かに《空の怒り》など非常に強力なコントロール向けのカードもあるが、《対抗呪文》をかまえるようなオーソドックスなコントロールでモダンを戦い抜くには……相当な覚悟が必要だ。というわけでその大まかなアーキタイプの時点ですでにクールなデッキなのである。

 

 パーマネント除去のエキスパートである白と、打ち消し&ドローのインスタントでバックアップする青。コントロールの定番カラーが組むのは自然であるとして、緑は?《次元の創世》だの《忍耐》だのあるが、最大の理由は《荒野の再生》!懐かし過ぎて震えたぜ……このエンチャントは、ターン終了時に自身の土地を全てアンタップするというクールすぎる能力が誘発する。つまりコントロールにとっての「メインで動きたいけどそうすると構えられない」というジレンマを、このエンチャントはサクッと解決してくれるわけである。さらにこのカードは、コストにXを含むインスタントとの相性がすこぶる良い。再生の能力が誘発したタイミングで、その時点でアンタップ状態の土地を全てタップしてマナを加える。そして能力を解決し、起きた土地からもマナを加えて……と動くことで、Xに大量のマナを注ぎ込んで唱えられるからだ。

 このリストには、これまた懐かしくて感涙物の《スフィンクスの啓示》が!X枚ドローしてX点回復、これが生み出すリソース差にかつてどれだけ泣かされたやら……また《発散する方程式》にも要注目!墓地のインスタントやソーサリーを手札に回収するこのインスタント……{X}{X}という超ヘビー級のコストも、《荒野の再生》があれば無問題!ごっそりガッツリ拾って、対戦相手のどんな攻めも弾き飛ばす!

 

 フィーチャーマッチでこのデッキが登場した時に盛り上がったのは、あまりにも……超持久戦仕様の構成だったからだ。他の卓と繰り広げられるゲーム展開が明らかに異なる……異質すぎるコントロールの姿はクールすぎて戦慄するレベルだった。ロック状態……対戦相手に何もさせないことを狙うその姿勢は、このトーナメントにおいて他に類を見ないものだった。キーとなるのは《オアリムの詠唱》やサイドの《沈黙》。これらが解決されると、対戦相手はそのターンに呪文を唱えられなくなる。オアリムであればキッカーで攻撃も防げる。これを対戦相手のアップキープに唱えれば、そのターン相手は文字通り口をつぐんでターンを終えることになるわけだが……これを《時を解す者、テフェリー》で確実なものにする。テフェリーが居れば対戦相手はソーサリーを唱えられるタイミングでしか呪文をプレイできず、つまり自分のアップキープにロック呪文が唱えられる様を黙って見ていなければならないのだ。

 そうやって対戦相手のターンは何事もなく終わる。まあ、合計で5枚しかないし5ターンだけだよな?と思ってはいけない。このデッキの最終到達点は、毎ターンロック状態に持ち込むことなのだ。《発散する方程式》でこれらの呪文をまとめて拾って、相手のターンを実質的にスキップしつつ、自分の盤面に土地を並べて基盤を形成。方程式は追放されるのでこれだけでも永続的なロックにはならない。

 そこで活躍するのが《忍耐》だ。プレイヤーの墓地をライブラリーに戻してしまうこのエレメンタルで、ロック呪文をまとめて回収。ライブラリーに入ったそれを《スフィンクスの啓示》のドローだったり《星間航路の助言》でがばっと10枚以上見たり、《水浸しの教え》のサーチなりで見つけ出す。またロック状態に持ち込んでいる間に、テフェリーの忠誠度を貯め、彼の[-3]能力で《忍耐》を手札に戻し、出し直す……なんと気の遠くなるようなループだろうか。マナが大量に必要なため、《荒野の再生》なしではとてもじゃないが決まらない。

 こうして抜け出せないロック状態に持ち込んだら、対戦相手が毎ターンはカードを引いてターンを終え、ライブラリーが無くなるまで見届けて勝つか……あるいは相棒《孤児護り、カヒーラ》と2体のエレメンタルたちで、無人の荒野を駆け抜けコツコツと殴り続けて勝つか……いかに早いターンで勝つかということを他のモダンデッキが競う中で、このデッキは完全に真逆のベクトルを向いている……精神性がクールであり、最高にロックだ。番人に好かれるデッキでもないし、使いこなせるものでもない。しかしこんな特異なデッキが、比較的普通のコントロールに見えるカード達で構築できるということが、モダンのクールさを物語っている。

 いやぁ、たまんないねぇプロツアー、ぶっ飛んでるよモダン。こういう異次元のクールさを求めて、我々はマジックをプレイ、あるいはウォッチし続けるのだろう。本当に良いものを見たなと、今回のプロツアーは堪能させていただいた。それじゃ今週はここまで。Stay cool! Lock your opponent!!

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