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グランプリ・広州2016
第14回戦:川崎 慧太(大阪) vs. Lim, Zhong Yi (シンガポール)
By 矢吹 哲也
ローテーションのないモダンというフォーマットでは、決して少なからぬプレイヤーがひとつのデッキを使い続け、それを完全に自分の武器にしている。川崎 慧太もまたそのひとりであり、磨き上げた「ジャンド」とともに数々の結果を残してきた。
今大会もいよいよ佳境に入り、トップ8入賞をかけた試合が行われるようになる。そしてその緊張の一戦を、彼は再び迎えていた。今大会と同じくモダンで開催されたグランプリ・シンガポール2015でも準決勝まで駒を進めた川崎は、手に馴染んだ相棒である「ジャンド」を慣れた手つきでシャッフルし、戦いの準備を進める。
ここで勝てば、続く最終第15回戦を同意の上の引き分けで終え、トップ8入賞を決められる可能性が高い。そのことを川崎が持ち出すと、対戦相手のリム・ツォン=イー/Lim, Zhong Yiは「そうだね!」と陽気に応えながらも、心なしか姿勢を整えたように見えた。
川崎の愛機「ジャンド」とリム・ツォン=イーの「死の影」がトップ8入賞をかけて激突する。 |
ゲーム展開
後手のリムが1ターン目に《ミシュラのガラクタ》設置から《踏み鳴らされる地》のアンタップ・イン、そして《野生のナカティル》を展開。対する川崎は2ターン目に《闇の腹心》を繰り出したものの、リムはフェッチ・ランドから《聖なる鋳造所》をアンタップ・インして自身のライフを15点まで減らしながら《稲妻》で《闇の腹心》を対処した。
川崎は《野生のナカティル》の3点のダメージを受けたが、返しに《タルモゴイフ》を展開してリムの攻勢を阻みにかかる。リムは《通りの悪霊》の「サイクリング」とさらなる「フェッチ-ギルドランド」の動きで自身のライフを残り10点にすると、《死の影》を戦線に送り出した。
3/3の《死の影》を《稲妻》で撃ち抜こうとした川崎だが、これは《変異原性の成長》で防がれた。川崎は《タルモゴイフ》をもう1枚追加し、リムの攻撃に備える。ライフを減らしたリムの《死の影》は5/5となり、3/3の《野生のナカティル》とともに川崎を襲った。2体の《タルモゴイフ》が《死の影》を討ち取ったものの、リムは攻撃が通った《野生のナカティル》に《強大化》を放ち、一挙9点のダメージで川崎を追い詰める。
さらに2枚目の《野生のナカティル》と《ステップのオオヤマネコ》を加えたリムに対し、川崎は《漁る軟泥》を繰り出した。《漁る軟泥》の能力でライフを回復すればまだ生き残る計算だが――
2枚目の《強大化》がその望みを打ち砕いた。
トップ8入賞に向けて、自身のライフもろとも「オール・イン」するリム。 |
2ゲーム目、リムは再び《踏み鳴らされる地》のアンタップ・インから《野生のナカティル》というスタートを切り、続けて《思考囲い》を放った。2ターン目に《タルモゴイフ》を繰り出した直後の川崎の手札は、《突然の衰微》2枚、《漁る軟泥》、《台所の嫌がらせ屋》、そして土地という内容。リムはそこから《台所の嫌がらせ屋》を捨てさせた。
4/5の《タルモゴイフ》が眼前に立ちはだかるものの、リムは戦闘前に《野生のナカティル》へ《変異原性の成長》を唱え、5点のダメージを通した。さらに《わめき騒ぐマンドリル》を盤面に追加し、攻撃の手を緩めない。《コジレックの審問》を引き込んだ川崎は、それをリムへ撃ち込む。リムの手札から《流刑への道》を抜き去ると、再び《タルモゴイフ》に防御を任せた。
リムは《僧院の速槍》を戦線に加えて全軍で攻撃。《僧院の速槍》をブロックした川崎は《野生のナカティル》へ《突然の衰微》を差し向けた。それでも《わめき騒ぐマンドリル》の攻撃が通り、残りライフは9点に。
しかし川崎はここで2枚目の《タルモゴイフ》を引き込み、強大な壁を前にリムの攻勢は止まった。川崎の反撃こそ《変異原性の成長》を絡めて撃退したものの、《漁る軟泥》も加えて一転攻勢に出た川崎を止めることはできなかった。
常に死と隣り合わせの緊張感の中で「死の影」と対峙する川崎。 |
そして迎えた3ゲーム目。ここでリムが「Draw」、後手を選んだ。「OK, I Play first」と確認した川崎は、《コジレックの審問》からゲームを始める。リムの初手7枚は、《通りの悪霊》2枚、《ギタクシア派の調査》、《わめき騒ぐマンドリル》、《流刑への道》、そして土地が2枚という決め手に欠けるものだった。川崎は《ギタクシア派の調査》を抜き去り、情報戦で優位に立った。
しかしその返しにリムが《通りの悪霊》で「サイクリング」をすると、さきほど捨てた《ギタクシア派の調査》を引き込んだ。川崎も《稲妻》、《コジレックの審問》、残りが土地(1枚は《樹上の村》)という手札を明かされる。リムは引き込んだ《僧院の速槍》を繰り出し、川崎へプレッシャーをかけ始めた。
川崎は2発目の《コジレックの審問》を放ち、リムの手札から《流刑への道》を取り去る。リムは《通りの悪霊》の「サイクリング」で自身のライフを減らしつつ《タルモゴイフ》を引き込むと、戦線をさらに強化した。対する川崎もここで《タルモゴイフ》を引き込み、盤面の取り合いに負けじと追いつく。両者の《タルモゴイフ》が激突しお互いにダメージを与え合ったのちに、リムは《わめき騒ぐマンドリル》の「探査」で墓地のカード・タイプ数を減らし、タフネスの下がった両者の《タルモゴイフ》は墓地へ送られた。
リムは《死の影》を盤面に投入。残りライフは7点――すなわち《死の影》は6/6。川崎は《台所の嫌がらせ屋》を展開し、残りライフを19点に伸ばした。リムの《コジレックの審問》に対応して、手札に残る《稲妻》で《僧院の速槍》を焼く。
リムが《ミシュラのガラクタ》の能力で川崎のライブラリー・トップを見ると、そこには《ヴェールのリリアナ》の姿があった。頭を抱えるリムだが、どうすることもできない。着地した《ヴェールのリリアナ》は[-2]能力で《わめき騒ぐマンドリル》を屠り、川崎は《残忍な剥ぎ取り》も盤面に加えた。
《四肢切断》を引き込み、除去と《死の影》の打撃の強化を同時に行えるようになったリムだが、ワンショットで川崎を倒すには障害となるものが多すぎる。しばらくダメージ計算を行ったすえに勝利に手が届かないことを悟ると、リムは右手を差し出したのだった。
川崎 2-1 リム
川崎 慧太、続く第15回戦のIDにも成功し、トップ8入賞!
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