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プレイヤーズコンベンション千葉2025

決勝:堀 雅貴(大阪) vs. マ・ノア(韓国) ~人が夢を見るといふ事~
モダンで開催されたチャンピオンズカップファイナルの決勝戦。この日最後の戦いの直前となるその舞台は、静かな緊張感に満ちていた。
フィーチャーマッチテーブルは配信用カメラに囲まれ、さらにそれらを遠巻きにして選手の友人たちの視線に包まれている。
予選12回戦、決勝ラウンドの2戦。ここに至るまでの長い戦いを勝ち進んできた選手たちは、表情に多少の疲労を感じさせるものの、しかしその集中力は刃のように一層研ぎ澄まされているようだった。

マジックがこの世に誕生してから32年。競技マジックに挑む者たちは、国境や時代を超えて勝利の栄光に焦がれてきた。日々の練習や数多くの対戦で味わう苦悩と喜び、そして得た経験の積み重ねが、彼らに一つの共通したビジョンを与えている。
どんな環境で育ち、どんな戦いを経験してきたとしても、その先に広がる未来は、決して遠い幻想ではなく、一つ一つの勝利を重ねてきた先に、実際に手が届く現実であることを彼らは知っている。
この日、決勝の舞台へと駒を進めた2人。堀とマもまた、国や背景は異なれども同じ景色を──トロフィーを掴み、栄光に輝く舞台を夢見て戦い続けてきたプレイヤーたちだ。

堀 雅貴(大阪)
関西を拠点に長年にわたって競技マジックに情熱を注いできた堀 雅貴(大阪)は、エターナルフォーマットを主戦場としつつもこれまで数々の大会で実績を積み重ねてきたプレイヤーだ。
しかしその長いマジックキャリアの中で、競技者として何度となく「プロツアーまであと一歩」というところまで上り詰めながらもその手に権利が握られることはなかった。それでも屈することなく挑戦を続け、この日決勝戦まで勝ち進んだことで、プロツアーだけでなく世界選手権の挑戦権までをも獲得した。長年夢見てきた最高のトーナメントへと辿り着いた彼は、この日をさらに最高の一日へと昇華すべく決勝戦へと臨む。
その使用デッキは「オルゾフ・ブリンク」。デッキ名のとおり白黒の2色で組まれたこのデッキは、《護衛募集員》によるシルバーバレット戦略と《儚い存在》や《ちらつき鬼火》によるクリーチャーの誘発型能力の再利用によって優位を築くというコントロール寄りのデッキだ。レガシーで長年「土地単」を愛好してきた彼は、このモダンというフォーマットにおいてもじっくりと構えてアドバンテージ差を広げていく戦略を選択したようだ。

マ・ノア(韓国)
一方、マ・ノア(韓国)は特にオンラインの世界でその名を知られる強豪だ。過去には「プロツアー『モダンホライゾン3』」でトップ8に入賞した経験も持ち、MTGアリーナやMagic Onlineなどで磨かれた鋭い判断力と冷静さを武器に、栄光への執念を胸にここへ集結した。
使用デッキは環境最強デッキの一角を占める「ボロス・エネルギー」だ。《魂の導き手》や《オセロットの群れ》をはじめとする優秀な軽量クリーチャーたちによるアグロ戦略を持ち味としながら、《ナカティルの報復者、アジャニ》や《鏡割りの寓話》、《ゴブリンの砲撃》+トークン戦略による本体火力を備えるなど、中盤戦以降の継戦能力も高く、多角的な強みを持ったデッキである。
彼自身モダンには自信があると語り、満を持して持ち込んだこのデッキは今大会でも最多勢力だった。マはそんなプレイヤーたちの中でもデッキのポテンシャルを最大限に引き出し、ここまでに勝利を積み重ねてきた。
両者はこれまで、それぞれの場所で、決して妥協を許さない戦いを続けながら、盤上に同じ夢を見てきた。そして今、決勝のフィーチャーマッチテーブルを挟んで彼らは同じ景色を見ている。
それは競技者として一心に見据えてきた栄光――輝かしい景色が、現実として目の前に広がろうとしている。
この先の景色、上り詰めたその先からこの大会を振り返ることができるのは果たしてどちらになるのか。ヘッドジャッジのコールによって、決勝戦の火蓋が切って落とされる。

ゲーム1
スイスラウンド上位だったマが先攻でゲームが開始される。第1ターンに《栄光の闘技場》をタップインし、第2ターンには時間を使いながら《ゴブリンの砲撃》。マの手札には《ナカティルの最下層民、アジャニ》があるため、次ターンにはこれをプレイし即座に変身させることも可能だ。
対する堀は第2ターンに《ベイルマークの大主》をプレイし、手札に《孤独》を加える。マナを必要としないインスタント除去を見せられたことで、マの目論みである《ナカティルの最下層民、アジャニ》のプレイは不発となってしまった。
ゲームプランを立て直す必要に駆られたマは、返す第3ターンを土地を置くのみで終える。「ボロス・エネルギー」としてはゆったりした滑り出しだが、堀の「オルゾフ・ブリンク」は中盤戦以降を得意としており、この展開は願ってもないところだろう。《護衛募集員》をプレイして《骨の皇帝》を手札に加え、じっくりと、しかし着実にゲームを掌握するための下準備を整えていく。

クリーチャーを展開せずマナを構えていたマは、堀のターン終了時に《スレイベンの魔除け》をエンチャント破壊のモードでプレイ。堀の《ちらつき鬼火》への保険としていつでもエンチャントを破壊できるように備えていた格好だ。デッキリスト公開制な上に両者ともフォーマットの研究は十分であり、しっかりと勘所を押さえたプレイを見せる。
続いてフェッチランドを起動したマは《優雅な談話室》を探して諜報を行い、デッキトップに《火の怒りのタイタン、フレージ》を認めると少しだけ手を止めて思考を整理しながら墓地へと置く。もちろん引いても強いが、墓地にあっても強い。いずれにせよ諜報で見ることができるカードとしては最高の1枚だ。堀も思わず「《火の怒りのタイタン、フレージ》?」と苦笑を浮かべる。
堀のデッキはガツガツ攻めるよりもじっくりと盤面をコントロールするタイプのデッキで、その手段としてクリーチャーを用いる。そのため、継続的な除去となり得る《火の怒りのタイタン、フレージ》は厄介なカードだ。今後の戦いの軸がこの墓地に置かれた《火の怒りのタイタン、フレージ》をめぐる攻防になっていくことであろうことは、堀ほどの実力者であれば容易に考えが及んだことだろう。
満を持してターンを受けるマ。まず《ナカティルの最下層民、アジャニ》をプレイすると、出てきた猫トークンを《ゴブリンの砲撃》で生け贄に捧げて堀の《護衛募集員》を除去する。これにより《ナカティルの最下層民、アジャニ》の変身能力が誘発するが、もちろん堀も黙って見ているわけにはいかず《孤独》で《ナカティルの最下層民、アジャニ》を追放する。
だが、ここで《ナカティルの最下層民、アジャニ》が除去されるところまではマの思惑通り。堀の追放除去を引き出した形だ。まだマの墓地にはカードは溜まっていないが、いずれ《火の怒りのタイタン、フレージ》が「脱出」したときのためにも見えている《孤独》は使わせる必要がある。
対する堀は《魔女の結界師》。その誘発型能力がマの《ゴブリンの砲撃》を破壊し、返すマは手札から《火の怒りのタイタン、フレージ》をプレイしてその《魔女の結界師》を破壊する。互いの展開を阻害し合う展開が続き、盤面は再び更地へと戻る。
だが、ここで堀は大きなターンを迎える。まずは再び《ベイルマークの大主》をプレイして《魔女の結界師》を手札に加えると、これを土地として置いた後、さらに《ちらつき鬼火》。《ベイルマークの大主》を明滅させ、クリーチャーとして戦場に舞い戻った《ベイルマークの大主》が再びその能力を誘発させると《護衛募集員》が堀の手札へと加わる。
脅威の展開とアドバンテージの獲得の両方を果たし、一気に優位に立った堀に対してマは現状を打破すべくフェッチランドを起動。《優雅な談話室》を探して諜報で墓地に7枚目のカードを置くと、それらを追放して《栄光の闘技場》の「督励」によって生み出されたマナを経由して《火の怒りのタイタン、フレージ》を「脱出」させる。
この《火の怒りのタイタン、フレージ》は堀の《孤独》に除去されてしまうが、誘発型能力で堀の《ベイルマークの大主》に3点のダメージを蓄積させ、さらに《電気放出》による火力をあわせることで《ベイルマークの大主》を除去する。堀に押される形ではあるが、マもまた簡単にマウントを取らせはせずゲームに食らいついていく。
それでも堀の優勢であることには変わりなく、先のターンに続いてビッグアクションを行っていく。まずは《骨の皇帝》をプレイすると、戦闘開始時に墓地の《ベイルマークの大主》を追放しつつ「順応」を宣言。

これによって《ベイルマークの大主》を戦場に戻して攻撃を行い、都合2枚のカードを墓地から回収する。手札へと加えたのは《孤独》と《ボガートの獲物さらい》──盤面の処理と墓地の《火の怒りのタイタン、フレージ》への対処手段を同時に手にした。
このまま受けに回る展開ではジリ貧だと踏んだマは、手札にあった《オセロットの群れ》と《鏡割りの寓話》をプレイ。攻勢に回ろうとするが、返す堀は冷静に《骨の皇帝》でマの墓地にあった《火の怒りのタイタン、フレージ》を追放しつつ《ちらつき鬼火》のみで攻撃を行い、マのライフを削り始める。
対するマは《鏡割りの寓話》で捨てて手札をリフレッシュすると、引き込んだ《電気放出》で《骨の皇帝》除去。さらにゴブリントークンで攻撃を仕掛けて宝物トークンを得る。
だが、すでに《骨の皇帝》は《ベイルマークの大主》のリアニメイトと《火の怒りのタイタン、フレージ》の追放という2つの仕事を完遂しており、除去されたところでこの先の展開への影響はさほどのものではない。堀は《儚い存在》で《ちらつき鬼火》を明滅させ、さらに《ちらつき鬼火》が土地だった《魔女の結界師》を明滅させることでその誘発型能力が解決され、マの《鏡割りの寓話》も破壊される。
アドバンテージの差をつけられ、徹底的に勝ち手段を潰されたマ。堀はさらにダメ押しとばかりにマの《オセロットの群れ》に《致命的な一押し》を差し向ける。第1ゲームは堀が「ボロス・エネルギー」を相手にゲームを完全に掌握していった。
堀 1-0 マ
第2ゲーム
濃い内容となった第1ゲームの直後だが、両者とも集中力は衰えることはない。勝利を至上の目標に据え、競技の頂きという一点を見つめてきた2人の手は落ちることなく、両者ともに7枚の手札をキープして第2ゲームが開始される。
先攻のマは《敏捷なこそ泥、ラガバン》をプレイし、2ターン目に攻撃を行い堀にダメージを与える。その誘発型能力が解決されると、堀のライブラリーの上から追放されたのは《ベイルマークの大主》。

2マナでプレイできるカードの中でもかなりの当たりを引き、手を止めるマに対して堀は流暢な英語でにこやかに話しかける。
堀「Do you want it?(欲しい?)」
マ「……No, No, I'm good.(いや、いい)」
勝利を目指すとて眼前の相手は敵というわけではない。生まれた国や環境は違えども同じ高みを目指す競技者だからこそ、研ぎ澄ませるのは集中力だけ。テーブルを挟んだ2人の間にほんの一瞬、柔らかな笑いが交わされ、ゲームは紳士的に和やかに進行されていった。
この《ベイルマークの大主》を唱えないことを選択したマは、それよりもさらに良い選択──《魂の導き手》と《オセロットの群れ》をプレイし、速やかに堀のライフを詰める準備を整える。宝物トークンも含めて戦場には7つのパーマネントが並び、わずか2ターン目ながら「昇殿」の達成も目前となる強力な1ターンとなった。
マの「ボロス・エネルギー」にとっては不要だったカードでも、デッキとプレイヤーが変われば意識も異なる。返す堀は2ターン目に手札にあった《ベイルマークの大主》をプレイし、めくれた4枚のカードの中から《孤独》を手札へと加えて今度は堀が手を止める。この《孤独》を今使うかどうか。仮にマにターンを返したとしても、当座の脅威は《敏捷なこそ泥、ラガバン》であることに変わりはない。そう判断し、堀は《孤独》で《敏捷なこそ泥、ラガバン》を追放する。

先攻の3ターン目を迎えたマ。ターンを返せば堀が3マナを用意し《ちらつき鬼火》をプレイできるターンになり、《ベイルマークの大主》を明滅させられてしまうかもしれない。ジャッジに《ちらつき鬼火》のテキストの確認を要請し、状況を整理してここは攻撃的にプレイを進めることを選択する。プレイしたのは《鏡割りの寓話》。
続いて総攻撃を加えつつ《魂の導き手》の能力を使い、《オセロットの群れ》を強化。さらにターンの終了時に《オセロットの群れ》がトークンを生成したことで「昇殿」を達成。《鏡割りの寓話》によってこのターンに戦場に出たゴブリントークンと猫トークンがコピーされ、一気に堀を突き放す。
わずか3ターン、堀からすれば2ターンしかゲームをプレイしていない間に、マの盤面には3体の猫トークンと2体のゴブリントークン、《オセロットの群れ》と《魂の導き手》、そして《鏡割りの寓話》が並ぶ。この圧倒的な展開は、堀に第2ゲームの勝利を諦めさせるには十分だった。
堀 1-1 マ
第3ゲーム
ゲームカウントを戻し、勝負は最終戦へと引き継がれる。堀は7枚の手札をキープすると、タップイン土地を処理しつつ2ターン目も何もせずにターンを終える。
返すマは1回のマリガンを喫し、赤マナが出ない手札をキープすることとなったが、1ターン目にフェッチランドを引いたことで色マナのビハインドを解消。まずはと《敏捷なこそ泥、ラガバン》を戦場に送り込むと、続くターンに2枚の《魂の導き手》をプレイして早期決着を目指す。

だが、堀もマの2ターン目の終了時に《溌剌の牧羊犬、フィリア》をプレイ。さらに堀がターンを受けると《孤独》で《敏捷なこそ泥、ラガバン》を処理し、続けて《ベイルマークの大主》をプレイして誘発型能力を解決。再び《孤独》を手札に加え、《溌剌の牧羊犬、フィリア》で攻撃を宣言しようとする。
だが、ここで《溌剌の牧羊犬、フィリア》に《ベイルマークの大主》を明滅させられては一気に堀にゲームが傾いてしまう。マは堀の攻撃宣言前に《電気放出》をプレイして《溌剌の牧羊犬、フィリア》を除去し、序盤の優勢を譲らない。
続くマのターンに2枚の《魂の導き手》が攻撃を行うと、マはそのまま2枚の土地を立たせてターンを終える。《溌剌の牧羊犬、フィリア》を除去してもなお、マは堀の手札に眠っているかもしれない明滅手段に対し警戒を緩めることはない。
マの予感は的中し、堀がプレイしたのは《ちらつき鬼火》。その誘発型能力の対象はもちろん《ベイルマークの大主》だ。マは口には出さないまでも「やっぱりね」という表情を浮かべながら《摩耗 // 損耗》で《ベイルマークの大主》を破壊する。
1ターン展開を遅らせてまで堀の脅威に対処したマは、その分を取り戻すかのように攻勢に転じる。まずは《オセロットの群れ》をプレイしてエネルギーとライフを得ると、慎重に《魂の導き手》1体のみで攻撃。エネルギーを支払って3/4飛行となり、堀のライフを12まで減らすと、そのままターン終了を宣言し《オセロットの群れ》で猫トークンを生成する。
堀は《護衛募集員》をプレイし、盤面を取り返すべく《疫病を仕組むもの》を手札へと加える。これで次ターン、マが猫トークンをどれだけ生成しようと一手に全てを除去できるようになった。

これに対し、マは頭を抱えて考え込む。ただ自分の展開だけを考えて勝てるのならそれほど簡単なゲームはないが、こうした難しい状況でこそプレイヤーの真価が問われる。じっくりと時間を使ってマがプレイしたのは《ゴブリンの砲撃》。どうせ次のターンに《疫病を仕組むもの》で猫トークンが除去されてしまうならば、それらを火力に変えて《ちらつき鬼火》を除去しようという判断だったのだろう。事実、そのとおりにプレイした後、マはブロッカーが《護衛募集員》のみとなった堀に対して総攻撃の号令をかけ、《魂の導き手》によって《オセロットの群れ》を強化する。
堀はこの《オセロットの群れ》に対してピッチで《孤独》をプレイするが、返すターンもはや意味をなさなくなってしまった《疫病を仕組むもの》を後々に温存して土地を置くのみでターンを終えると、続くターンのマの攻撃を喰らいつつ、そのターン終了時に《溌剌の牧羊犬、フィリア》をプレイ。綱引きの綱から手を離すことはない。
そして迎えた堀のターン、まずは《溌剌の牧羊犬、フィリア》で攻撃を宣言し、明滅能力の対象としてこれまで棒立ちしていた《護衛募集員》を指定。マもこれに対応する形で《電気放出》をプレイし、《護衛募集員》を除去して《溌剌の牧羊犬、フィリア》の能力を立ち消えさせる。堀のライフは残すところ6。マは《溌剌の牧羊犬、フィリア》そのものよりもブロッカーを排除することを優先した形だ。
後がない堀は仕方なしに《疫病を仕組むもの》をプレイし、種族名は人間を宣言。《魂の導き手》のサイズが下がるが、しかしマの手札には《敏捷なこそ泥、ラガバン》があった。これを「疾駆」でプレイしてエネルギーのカウントを6にすると、一斉攻撃。《魂の導き手》が誘発型能力を解決し、《敏捷なこそ泥、ラガバン》と合わせて7点分の飛行クロックを用意する。

マの攻撃宣言を見届け、堀はただ一言、「Congrats.(おめでとう)」と告げる。その右手をマへと差し出し、マの頭上に勝利の栄冠が輝くこととなった。
堀 1-2 マ
フィーチャーマッチテーブルを挟んで両者に流れる静寂が、激闘の余韻をそっと包み込む。勝利を掴んだマの横顔には、満足げな輝きが見えた。一方で、堀も勝者を称える柔らかな表情を浮かべながら自らの戦いを振り返っていた。
勝負を締めた一言、「Congrats」。その短い単語は、しかし単なる敗北の承認に留まらず、互いが追い続けた栄光への情熱と、これまで歩んできた厳しい道のりをも讃えるものだ。どちらが勝者であろうと、初対面同士であろうと、堀とマの両者は競技者として同じ目標──今大会の優勝を見据えてきた同志なのだ。国と言語を超えて、2人のプレイヤーの間に新たな友情が萌芽する。

競技マジックという広大な舞台に集うすべてのプレイヤーたち。彼ら、彼女らはみな、国や文化の違いを超えて日々己を磨き、勝利という共通の目標に向けて情熱を傾ける。行われる全ての対戦はプレイヤーたちの努力と挑戦の結晶であり、だからこそ、その先にある栄光は燦然と輝き続ける。
「チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド2」が幕を閉じる。この日最後に行われたこの決戦で、ひとりの選手がこの舞台の頂点に君臨することとなった。競技プレイヤーたちの憧憬の先へと辿り着いたその人は競技マジックの歴史に刻まれることだろう。
彼の名前は、マ・ノア。
