EVENT COVERAGE

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』

観戦記事

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』初日の注目の出来事

Corbin Hosler

2026年7月18日

 

 「Play the game, meet the world.」 それは単にマジックのプロツアー黎明期を象徴するフレーズではない。プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』に向けたリミテッドとモダンの調整のため、メイソン・ブオナドンナ/Mason Buonadonnaのチームがドイツの小さな町に集結したとき、彼が実際に味わった感覚でもあった。80を超える国と地域から参加者が集まり、少なくとも十数種類の言語が飛び交うプロツアーは、まさに世界規模のイベントだ。しかし、参加者全員に共通する言語がある。それがマジックだ。

 「これまで参加したどのイベントよりも、まさにその言葉を実感しました」と、ブオナドンナは大会を前に熱っぽく語った。「ドイツ・デュッセルドルフ郊外の小さな町にある、本物の古い館を丸ごと借り切ったんです。地元の人たちとも仲良くなって、一週間は僕たち自身が町の名物みたいな存在になりました。ヨーロッパの田舎にある古い館で、仲間と一緒にマジックを遊びながら夏を過ごす以上の過ごし方なんてありますか?」

 そして、その場所の魅力に心を奪われたプロツアー参加者は、彼だけではなかった。

これは、テストハウスで撮った写真の中でも歴代で一番お気に入りかもしれない。 マジックというゲームが、本当に特別なものだと感じさせてくれる一枚だ。

 

 プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』には350人を超える有資格者が集結し、数年前にテーブルトップ競技が復活して以来、最大規模のプロツアーの一つとなった。そして今大会は歴史的な意味も持つ。トップ8では、2010年のプロツアー・サンファン以来となるブースタードラフトが実施されるからだ。当時は、後に殿堂入りを果たすパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaが優勝を飾っている。

 「トップ8は、誰が勝つかなんて本当に分からないんです」と、彼は大会前にメーガン・ウルフ/Meghan Wolffの取材で語った。「構築戦のトップ8なら、『この人たちは構築戦でずっと好成績を残しているし、デッキもすごく強い』という見方になります。どんな展開になって、どのデッキがどのデッキに有利なのか、ある程度は予想できます。でもドラフトは違います。ドラフトは毎回ゼロから始まるんです。トップ8に進んだ時点で、すべてが白紙の状態になります。トップ8では全員が同じスタートラインに立つので、その点が大きく違うと思います。」

 今回のプロツアー、そして17,000人を超える来場者を迎えたMaigc Con: Amsterdamは、これ以上ないほど大きな舞台となった。会場は、2024年のプロツアー『モダンホライゾン3』が開催された地への帰還でもある。当時はサイモン・ニールセン/Simon Nielsenが、その後禁止カードとなる《有翼の叡智、ナドゥ》を用いた同型対決でサム・パーディー/Sam Pardeeを破り、マジック史に残る快進撃を締めくくった場所だ。今回のイベントにはギョーム・ワフォ=タパ/Guillaume Wafo-Tapaをはじめとする往年の殿堂プレイヤーたちも姿を見せたほか、《オパールのモックス》と《暴力的な突発》の禁止解除によって大きく生まれ変わったモダン環境にも注目が集まった。

 

 参加者数の多さは、それだけトップ8争いがかつてなく熾烈になることを意味していた。そこへたどり着くためには、日曜日の舞台に立つはるか前から、『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』というセットへの深い理解を証明しなければならなかった。

ドラフトでパワーアップ

 金曜日最初のドラフトを前に、プレイヤーたちの間でいくつかのことは明白になっていた。中でも特に、今セットでは白のカードが群を抜いて強力だという点だ。《S.H.I.E.L.D.スパイキット》を軸にした攻撃的な立ち上がりに加え、《糸巻き》のような優秀な除去呪文も揃っている。もちろん、ドラフトというフォーマットは「自己修正」が働くことで知られている。つまり、全員が強いと分かっている色には自然と人が集まり、その結果として価値が下がっていく。各テストチームも、ドラフト卓で何が最も競合するかを理解したうえで会場に入っていた。著名なリミテッドプレイヤーであり、マジック・リミテッド・チャンピオンシップ2027への出場権も獲得しているエドゥアルド・サイジャリク/Eduardo Sajgalikは、自身がTeam Worldly Counsel Heavy Playのためにまとめた基本方針を次のように語る。

 「対戦相手に自滅させろ。」

 「私たちがたどり着いた結論は、『空いているレーンをドラフトする』戦略の方が良い成績を残すということでした。『最強デッキ』を無理に目指すよりも、チーム全体の勝率は明らかに高かったんです」と彼は説明する。

 「私自身は、チーム全体のドラフト成績をとても重視しています。ドラフト卓に座ったとき、一緒の卓のプレイヤーたちが最強アーキタイプを無理に狙ってくるのか、それとも競合を避けるために別の色へ流れるつもりなのかは分かりません。ドラフトでチームが何と当たるかをコントロールすることはできません。でも、どんな状況でも通用する考え方と、しっかりした理論をチームに与えることはできます。このリミテッド環境で成功するために重要なのは、ドラフトで何が起きているのかを正しく理解し、ほかのプレイヤーにミスをさせることなんです。」

 白系アーキタイプの強さは、その層の厚さにあった。《糸巻き》は文句なしの優秀な除去呪文だが、それだけではない。《アトラスのエージェント》や「神話レア級のコモン」とも評される《修行中のヒーロー》といった優秀なクリーチャー群に加え、2ターン目に出されれば恐るべき脅威となる《エージェント、フィル・コールソン》のような強力なフィニッシャーまで揃っている。そのため白は、一つのドラフト卓の中で複数人が強力なデッキを組めるだけの厚みを備えた色となっていた。

 

 そのことを見越して、多くのチームは代替プランも用意していた。そしてフランシスコ・「パチ」・サンチェス/Francisco "Patxi" Sánchezも、まさにそのプランに活路を見いだした一人だった。

 「白が群を抜いて一番強い色だと考えていましたし、どのドラフト卓でも白は取り合いになると予想していました。1本勝負なら攻撃的な戦略は非常に強力です。でも、3本勝負なら私はゲームを長引かせて勝つ方法を見つけるほうが好きなんです」と彼は語る。「《スターク・インダストリーズの重役》や《キングピンの手下たち》のようなカードで得られる、小さな2対1交換(ツー・フォー・ワン)は何でも積み重ねていきます。ゲームが12ターン目までもつれ込むこともまったく気にしません。」

 その考え方は、金曜日午前のドラフトで彼が3勝0敗を記録したデッキによく表れていた。そのデッキには《ソーのハンマー、ムジョルニア》と《ヤング・アベンジャー、ホークアイ》が採用されており、この2枚が組み合わさることで、ほぼ一方的な全体除去のような状況を作り出すことができた。

1ゲームも落とすことなく3勝0敗。 ここからはエスパー・コントロールで構築ラウンドだ。 #PTMSH

 

 その戦略は功を奏し、サンチェスはプロツアーで行われた40卓を超えるドラフトポッドの一つで3勝0敗を記録した。同じく3勝0敗を収めたのがリー・シー・ティエン/Lee Shi Tianだ。彼は第2パックで、強力な白のカードが5枚も一周して戻ってこなかったのを見て取り、それを合図にバックアッププランとして用意していた赤へと舵を切った。そして、殿堂プレイヤーの名にふさわしい見事なドラフトを披露し、3勝0敗で構築ラウンドへと駒を進めた。この成績は、現世界王者のセス・マンフィールド/Seth Manfield(こちらはしっかりと強力な白カードを確保していた)も達成している。

エージェンド・デッキがうまくいった!
#PTMSH は3勝0敗スタート!

 

殿堂の復活

 Maigc Con: Amsterdamで行われた数々の発表の中には、マジック史上でも最も初期に、そして間違いなく最も有名な才能の集まりの一つに関するものも含まれていた。

今年、プロツアー殿堂が復活することをお知らせでき、非常に嬉しく思います!
詳細は今週日曜日、プロツアー配信の準々決勝終了後にお届けします。ぜひ http://twitch.tv/Magic をご覧ください!

 

 そのとおり。マジック・プロツアー殿堂が復活する。

モダン環境を読み解く

 日曜日のトップ8はドラフトによって争われる。そのため大会を制するには、合計9回戦のリミテッドと10回戦のモダンを戦い抜かなければならない。しかし、その重要なシングルエリミネーション形式のドラフトへたどり着くためには、新しくもどこか見慣れたモダン環境で並外れた結果を残す必要があった。《オパールのモックス》のモダン復帰によって、《ピナクルの特使》や《河童の砲手》を採用した新世代の親和デッキが台頭し、環境は大きく変化した。そして今大会は、昨年マイケル・デベネデット=プラマー/Michael DeBenedetto-Plummerが「タメシ・ベルチャー」で制したプロツアー『久遠の終端』以来となる、モダンを採用した初のプロツアーとなった。

 

 今回はベルチャーはほとんど姿を見せなかった。その代わりにテーブルを席巻していたのは、《暴力的な突発》でも《オパールのモックス》でも《信仰無き物あさり》でもなく、《コジレックの命令》だった。そして、環境の常連となっているボロス・エネルギーも引き続き存在感を放っていた。

 

 その原動力となったのは、主に《日を浴びる繁殖鱗》コンボへの採用だった(もちろん、このカード名の由来でもある伝統的なビッグマナ・エルドラージデッキでも活躍している)。こうしてもう一つの「Kコマンド」はモダン環境の柱となり、ロレンツォ・グルッピ/Lorenzo Gruppiのようなプレイヤーに、ほぼ完璧と言えるモダンラウンドの成績をもたらした。

 しかし、モダンというフォーマットで重要なのは、単に環境を知っていることではない。その知識をどれだけ深く身につけているかだ。あるいは、エスパー・ブリンクで勝ち越しを決め、大会全体でも6勝2敗の成績を収めたクリス・クラルの言葉を借りれば、「理論上はより強いかもしれないデッキ」を使うよりも、自分が隅々まで理解しているデッキを使う方が良いということだ。

 「私にとっては、慣れ親しんだデッキを選んだというのが大きかったですね。同系統のデッキで継続的に結果を出してきましたし、それで初めてプロツアー出場権も獲得しました」と彼は語る。 「『より強いデッキ』を75~80%の完成度で使うくらいなら、自分のデッキを95%の完成度でプレイした方がいいんです。」

 この助言は大会のトッププレイヤーたちの間でも繰り返し語られており、多くのプレイヤーが自分の「愛用デッキ」で結果を残した。例えば、ジェイク・ベイリー/Jake Baileyはサムワイズ・コンボを独自に改良し、モダンで4勝1敗という好成績を収めている。そして、それ以外にも個性的で刺激的なデッキリストが数多く見られた。

ジェイク・ベイリー/Jake Baileyがラウンド7でジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazを相手に、再び猫コンボで勝利! #PTMSH

 

 「私はクリーチャー・コンボ使いなんです。《スランの医師、ヨーグモス》かサムワイズを使っていますが、今週末に向けてサムワイズ用にかなり良いテクノロジーを用意していました」とベイリーは語る。「フェアデッキとのマッチアップを改善するために、アジャニ&猫パッケージを採用したんです。」

 金曜日終了時点のメタゲーム上位は、多くの人にとって驚くようなものではなかった。予想どおり、ボロス・エネルギー、繁殖鱗コンボ、イゼット親和が上位に顔を並べていた。一方で、順位表の下位には意外なデッキも見られた。ジョディ・キース/Jody Keithは独自の《死せる生》で4勝1敗を記録。このリストには《スーペリア・スパイダーマン》に加え、『ローウィンの昏明』で登場した想起を持つエレメンタルや、ドローの安定性を高めるための1マナの土地サイクリング・カードやフィルターランドが採用されていた。さらに、先日プラハの地域選手権を制したラスマス・エネグレン/ Rasmus Enegrenは、初日を0勝3敗という最悪のスタートで迎えながら、自身が調整を重ねてきた《創造の歌》デッキでその後を全勝し、最終的に5勝3敗まで巻き返した。「私はもう世界選手権の出場権を持っています」とエネグレンは笑う。 「だから、自分の愛用デッキを使わないわけにはいきませんでした!」

ラスマス・エネグレン - 「Song of Creation」
プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / モダン 2026年月17日[MO] [ARENA]
1 《天上都市、大田原
1 《
3 《沸騰する小湖
4 《霧深い雨林
1 《迷路庭園
1 《踏み鳴らされる地
1 《繁殖池
2 《
2 《変容する森林
2 《蒸気孔
1 《ウルザの物語
-土地(19)-

4 《知りたがりの学徒、タミヨウ
2 《ブルース・バナー
2 《六番
3 《湖に潜む者、エムリー
1 《忍耐
-クリーチャー(12)-
1 《レンと六番
3 《撤廃
4 《モックス・アンバー
3 《仕組まれた爆薬
4 《オパールのモックス
4 《創造の歌
4 《ミシュラのガラクタ
4 《邪悪鳴らし
1 《トーモッドの墓所
1 《神秘を操る者、ジェイス
-呪文(29)-
2 《アノールの焔
1 《レンと六番
1 《血染めの月
1 《稲妻
1 《否定の力
1 《大梟の小夜曲
2 《覆いを割く者、ナーセット
1 《トーモッドの墓所
1 《機能不全ダニ
1 《ウルザの物語
1 《白鳥の歌
2 《邪悪な熱気
-サイドボード(15)-

 それから8回戦に及ぶ激戦を経て、プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』初日がついに幕を閉じた。ドラフトを6勝1敗、入念に調整されたボロス・エネルギーでゲームカウント10勝3敗を記録した結果、ただ一人、8勝0敗のパーフェクトレコードで首位に立ったプレイヤーがいた。このデッキは、《火の怒りのタイタン、フレージ》を失った影響をまるで感じさせることなく、アムステルダムで再びメタゲームの頂点へと返り咲いた。

#PTMSH初日を8勝0敗で終えた @MartinJuza 選手、おめでとうございます!

 

今後の展望

 土曜日の朝にプロツアー2回目となる全3回のドラフトが始まる時点で、首位に立つのはジュザ/Juzaだ。しかし、いつものことながら、この舞台では許されるミスはほんのわずかしかない。そのすぐ後ろには、モダンラウンドを全勝で駆け抜け、7勝0敗1分という成績を収めたティモ・ベットラムが控えている。さらに、6勝1敗グループにも実力者が数多くひしめいており、トップ8争いは土曜日の終盤までまったく予断を許さない展開となりそうだ。

 土曜日には220名のプレイヤーが再び戦いの舞台へ戻ってくる。果たして誰がトップ8進出の切符をつかみ取るのか、その熱戦をぜひ見届けてほしい。

 
  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

VIEW MORE

サイト内検索