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マジック・スポットライト:シークレッツ

インタビュー

ハヤシ リョウスケの「ティムール戦告者コンボ」

増田 勝仁
 

 初日には8連勝を記録するなど好成績を収めていたハヤシ リョウスケ。

 彼が使用したのは、「ティムール戦告者コンボ」。

 環境を読んで選んだデッキではない。長い時間を掛けて調整を続けてきた、いわば愛機とも言えるデッキだ。

 その愛機について話を聞いてみた。
 

デッキ選択の経緯

 ──「まずデッキの選択理由を教えてください」

 ハヤシ「メタゲームはあまり関係ないですね」

 そう言い切るハヤシ。

 ハヤシ「《豆の木をのぼれ》や《心火の英雄》が禁止になった(2025年6月)頃からずっと使っています。このデッキが好きなんです」

 ──「他に使用候補のデッキはありませんでした?」

 ハヤシ「他のデッキは一切考えていませんでした。このデッキを完璧な形に仕上げて持ち込むことだけ考えていました」

 環境に合わせてデッキを変えるのではなく、愛用するデッキを磨き続ける。その姿勢が印象的だった。
 

デッキのコンセプトについて

 ──「デッキのコンセプトについて教えていただけますか」

 

 ハヤシ「このデッキは《ティムールの戦告者》と《荒野無頼団の先駆者》を使ったコンボデッキです。
《ティムールの戦告者》でマナコストを軽減し、《荒野無頼団の先駆者》でドローを加速させていきます。
このクリーチャーたちが揃うと、フリースペルみたいに呪文が繋がっていくんですよ。
本来なら重いカードも次々と唱えられるようになるので、《次元転移用ウェブウォッチ》や《量子の謎かけ屋》でどんどんリソースやマナを伸ばしていき、最終的には《絶望的猛攻》でフィニッシュです」

 ハヤシ「《絶望的猛攻》は単なるフィニッシュ手段ではなく、コンボ中は《ティムールの戦告者》や《荒野無頼団の先駆者》をコピーすることで、それぞれの枚数を実質的に増やすカードとしても使うことができます」

 また、このデッキの意外なキーカードとして《蜘蛛の顕現》の名前が挙がった。

 

 ハヤシ「実は《蜘蛛の顕現》が結構軸になっています。
《次元転移用ウェブウォッチ》や《量子の謎かけ屋》といった重いカードを1ターン中に複数回唱えることができるようになるので、これでコンボパーツを集める動きとも噛み合っているんですよね」

 《蜘蛛の顕現》と並び、もう1枚名前が挙がったのが《ミケランジェロの奥義》だ。

 

 ハヤシ「《ミケランジェロの奥義》も重要なカードです。
《ティムールの戦告者》や《荒野無頼団の先駆者》にアクセスできるため、これもまたキーカードの枚数を実質的に増やすカードとして使えます」

 

このデッキの強みは「分からん殺し」

 ──「このデッキの強みを一言で言うと?」

 ハヤシ「分からん殺しですね」

 即答だった。

 ハヤシ「クリーチャーコンボなので、本当は除去や打ち消しで妨害されやすいんです。でも相手からすると、どういうコンボなのか分かってないことが多いんですよ。
相手はどこを止めれば良いか分からないので、結果的にこちらの動きが通りやすくなります。
そうして相手がタップアウトした隙を突いてコンボを決めやすいというのは、リスト非公開制ならではの強みですね。」

 もっとも、このデッキの魅力はコンボだけではない。

 

 ハヤシ「このデッキはリソースを稼ぐ手段が多いので、中~長期戦になっても息切れしません。
《量子の謎かけ屋》によってリソースを確保しながら戦うことも可能です。

 また、《絶望的猛攻》はアーティファクトを対象にできるので、《次元転移用ウェブウォッチ》を複数コピーすることで、一気にリソースを伸ばす展開もあります。

《次元転移用ウェブウォッチ》は《ティムールの戦告者》で十分な軽減が乗っていれば、0マナで唱えることも可能です」
 

色々なルートがあるのが魅力

 ──「特に注目してほしいカードはありますか」

 ハヤシ「難しいですね。1枚は選べないです」

 その理由は、このデッキの戦い方の多さにある。

 ハヤシ「本当に色々な戦い方があるんですよ。
珍しいところだと《蜘蛛の顕現》を《絶望的猛攻》で大量にコピーして赤と緑のカードをフリースペル化したり、《マラング川の執政》で《次元転移用ウェブウォッチ》を回収してリソースを稼いだり。
コンボだけでなく、小さなシナジーの積み重ねもこのデッキの魅力なんです。とにかく小テクがいっぱいあります」

 

オープントーナメント仕様への調整

 ──「最後まで悩んだ枠や調整内容について教えてください」

 ハヤシ「元々はイゼット寄りの形も試していました。
このデッキは序盤のアクションが殆ど無いので、イゼット果敢に押し切られる展開が多かったんですよね。
それに対抗する形で《噴出の稲妻》のような軽量除去を追加してみました」

 ハヤシ「ただ、長期戦になるとイゼット果敢の方が強かったんですよね。
序盤にクリーチャーを除去したところで、自分のコンボの準備が進むわけじゃないので。
じゃあもう良いかなって。思い切って除去は減らしました」

 ハヤシ「今回のイベントはリスト非公開制なので、相手が除去や打ち消しなどの妨害だけでキープする可能性は低いと考えました。
ならば自分都合でコンボの再現性を高めようと思い、《次元転移用ウェブウォッチ》や《ミケランジェロの奥義》のようなカードを厚く採用しました。
コンボの途中で除去を引いても意味ないですしね。コンボがスタートした時に完走できる確率を上げています」

 相手に合わせるのではなく、自分のやりたいことを押し付ける。それが今回の結論だった。

 ハヤシ「ぜんぶ自分都合です。アクセル全開ですね」

 

使い続けても飽きないデッキ

 ──「ここまで使った感触はいかがですか」

 ハヤシ「回れば強いです。でも回らないとあんまりですね。さっきも土地が止まって負けました……」

 そう言いながらも、その表情は明るい。

 ハヤシ「ずっと使っていても飽きません。最高のデッキです」

 コンボルートを探し、最適な順番を組み立て、相手の妨害をどう乗り越えるかを考える。
そんな奥深さこそが、このデッキの魅力なのだろう。
 

読者に向けて一言

 ──「最後に、このデッキをどんな人におすすめしたいですか」

 ハヤシ「ワクワクしながら回してほしいですね。
このデッキは回せば回すほど新しい発見があって、それでいてドロー1枚1枚、めくり1枚1枚が楽しいんです」

 そして最後に力強く締めくくった。

 ハヤシ「デッキのポテンシャルは本当に高いと思っています。
もっとみんなに使ってほしいですね。流行ってほしいです。絶対に強いので」

 回るかどうか分からない。

 コンボが完走するかどうか分からない。

 それでも回したくなる。

 ハヤシ リョウスケのティムール戦告者コンボは、そんなワクワクに満ちたデッキだった。

 
ハヤシ リョウスケ - 「ティムール戦告者コンボ」
マジック・スポットライト:シークレッツ / スタンダード(2026年5月30~31日)[MO] [ARENA]
4《始まりの町》
4《踏み鳴らされる地》
4《繫殖池》
2《マルチバースへの通り道》
2《森》
1《ウィローラッシュの境界》
1《ハッシュウッドの境界》
1《リバーパイアーの境界》
1《植物の聖域》
1《島》
1《嵐削りの海岸》
-土地(22)-

4《ティムールの戦告者》
4《ラノワールのエルフ》
4《荒野無頼団の先駆者》
4《蜘蛛の顕現》
3《量子の謎かけ屋》
2《マラング川の執政》
2《アナグマモグラの仔》
1《双つ口の嵐孵り》
1《並外れた語り部》
1《溶岩跳び》
-クリーチャー(26)-
4《ミケランジェロの奥義》
4《絶望的猛攻》
4《次元転移用ウェブウォッチ》
-呪文(12)-
2《脚当ての陣形》
2《削剥》
2《除霊用掃除機》
1《マラング川の執政》
1《稲妻曲げ》
1《炎魔法》
1《間の悪い爆発》
1《軽蔑的な一撃》
1《紅蓮地獄》
1《魂標ランタン》
1《三歩先》
1《呪文貫き》
-サイドボード(15)-
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