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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット果敢の変化と、それがもたらしたもの(スタンダード)

岩SHOW
 

 プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』にて最多勢力を誇ったスタンダードのデッキは「イゼット(青赤)果敢」。多くの熱心なプレイヤーにとって、これは予想通りだったことだろう。最新セットの恩恵を受け、MTGアリーナのランク戦でもMagic Onlineのリーグ戦でも使用率が高い……特に話題を集めている《没頭》があることなどから、このデッキはストリクスヘイヴンのカードが使用可能となったプレリ期間から注目を集めることに。

 予想通りの最大勢力となった「イゼット果敢」だが……しかし予想外のことも。それは……決勝ラウンドに進出となる上位8名に、「イゼット果敢」が1つも勝ち残らなかったこと……これは完全に意表を突かれた。ビックリしたよ……フィーチャーでも度々目にしたのに、優勝をかけた日曜日に進出できないとはね…解説の方々の言葉からは、新セットの参入で形が変わったことが、プロツアー的にはプラスにもマイナスにも働いたということ……新カードが入るということは、従来採用されていたカードが抜けるということ。

 

 それにより上陸系デッキとの相性が変化し、苦戦したのではないか……というわけだ。これについてはこちらの回でも触れているのでそちらも読んでもらえると嬉しい。そんなわけで最多勢力でありながら、負け組になってしまったイメージが強い果敢デッキだが……スタンダード構築戦で戦われた合計10ラウンドの結果のみを純粋に見た場合、8勝という好成績を残したリストの中に4つ、その姿を見ることができる。7勝となるとさらに数は増え、決して弱いデッキだったというわけではない。というわけで今回は色々と話題を集めた「イゼット果敢」のリストをチェックしてみよう!

Liam Kane - 「Izzet Prowess」
プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』 / スタンダード(2026年5月1~5月3日)[MO] [ARENA]
7 《
2 《マルチバースへの通り道
4 《リバーパイアーの境界
4 《尖塔断の運河
4 《蒸気孔
-土地(21)-

4 《彩嵐の雄馬
2 《ドレイクの孵卵者
4 《精鋭射手団の目立ちたがり
-クリーチャー(10)-
4 《ブーメランの基礎
2 《跳ね弾き
4 《噴出の稲妻
2 《没頭
4 《選択
3 《秘密の正体
4 《手練
4 《嵐追いの才能
2 《鮮やかな迸り
-呪文(29)-
1 《軽蔑的な一撃
2 《ドレイクの孵卵者
2 《没頭
2 《今のうちに出よう
2 《洪水の大口へ
1 《轟く機知、ラル
1 《焼きつけ
2 《金屑の嵐
2 《呪文貫き
-サイドボード(15)-
 

 先述の通り、プロツアーにて10戦中8勝した「イゼット果敢」のリストの1つだ。果敢という能力はクリーチャーではない呪文とを萎えることで誘発する能力、ターン終了時まで+1/+1修正を受けるというもの。この能力を持つクリーチャーは素のサイズはそれほど大きくないので、あまり強そうに見えないと感じるプレイヤーもいるかもしれない。しかししかるべき構築を施せば、この能力を効果的に誘発させて、結果同様のコストのクリーチャーのサイズを上回らせて戦闘に突入することが可能だ。

 《嵐追いの才能》の生成するカワウソ、《ドレイクの孵卵者》らが果敢を持ったクリーチャーであり、また《精鋭射手団の目立ちたがり》も同様の能力を持つ。こちらはタフネスが上昇しない分、非クリーチャー呪文1回につきパワーが2上昇と効率が良い。これらのクリーチャーを展開した後、《手練》《選択》のような軽い呪文を連打。これによりパンプアップしたクリーチャーで殴る……クリーチャーの数こそ多くはないが、アグレッシブなアーキタイプである。《ブーメランの基礎》で相手のクリーチャーをどかして攻撃を通す、あるいは自分の《嵐追いの才能》を戻して出し直してカワウソ増産&果敢誘発など、細かいテクニックを内包しているのもやり込んだプレイヤーから人気を獲得した要因だ。

 

 果敢デッキと言えば少し前までは《神出鬼没のカワウソ》を採用するのが一般的だった。大多数のリストにはこの1マナの果敢持ちが採用され、ブロックに制限をかける能力を駆使してダメージを効率よく叩き込んでいた。しかしこのカワウソは果敢デッキ同士のマッチアップでは、強く働かないカードとしてサイドアウトされる率が高い。プロツアーで果敢同士のミラーマッチが増えることを想定したプレイヤー達は、これの枚数を減らし、このリストのように不採用という形も多く見られた。そしてその空いたスロットに新クリーチャー《彩嵐の雄馬》が入ることに。この雄馬、演目という果敢に類似した能力を持っており、それでいて3マナ3/3とサイズもコスト相応、そこに速攻と護法{1}までついており、文句なしのハイスペックっぷり!

 さらに演目という能力は、唱えたクリーチャーでない呪文に合計5マナ以上を支払っている場合、ボーナスが発生するというもの。この雄馬の演目は、まさかのコピー生成!というわけで《噴出の稲妻》をキッカー込みで唱えるとサイズアップして4/4になった上に、コピーであるトークンも出てくる……コピーも勿論速攻を持っているため、一気に大ダメージを叩き込める!この新たな大技でとどめを刺すスタイルの果敢デッキがプロチャーに多く持ち込まれたというわけだ。そして……それは勿論機能し、このリストのように好成績を残したものもある。しかし「緑単上陸」などのような盤面をクリーチャーで固めるデッキに対しては、《神出鬼没のカワウソ》を減らしてしまったことで苦戦……というのが今大会の結果に繋がったと考えることができる。競技マジックは読み合い、半歩先まで見据えた戦いが行われているということがよくわかるケースだ。プロツアー開催までの調整機関がもう少し長ければ、また違った結果になったことだろう。このゲームの奥の深さを再認識できるね。

 プロツアーの結果を経て、この果敢デッキは更にブラッシュアップされていくことだろう。《彩嵐の雄馬》は間違いなく強力なカードなので、このリストのように4枚フル投入したものもあれば、他のクリーチャーとバランスを調整したリストも出回るだろう。どれが正しいか?それはプレイヤーの考え方や好み、対戦する環境やタイミングで変動し、完璧な正解等は存在しない。つまり、自分にとっての最高のデッキを練り上げるのは自分自身。プロツアーなどの大型イベントで使用されたデッキを参考にしつつ、自分にとっての最適なリストを見つけ……大舞台で結果を残す日を目指そう。

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