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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スポットライト、決勝戦はイゼット果敢対決!(スタンダード)

岩SHOW


 2026年5月末、千葉・幕張メッセにてマジックの祭典の一つ、マジック・スポットライト・シリーズが開催された。今回はマジック・スポットライト:シークレッツと題して、『ストリクスヘイヴンの秘密』にフィーチャーしたイベントに。場内では大判カードの日本画ミスティカルアーカイブが展示されたり、墨絵のライブドローイングが行われたりと、日本らしさをより強調した雰囲気抜群のイベントとなった。

 そして同じ会場で、プレイヤー達が火花を散らしたのが……イベントと同タイトルのトーナメントだ。スタンダードにて行われ、2日間の予選ラウンドを経て決勝進出者となるトップ8を決め、その8人で決勝ラウンド3回戦…濃密でハードなトーナメント……勝ちあがった8名の内、5名が同一のアーキタイプを使用していた。「イゼット(青赤)果敢」だ。

 

 果敢とはクリーチャーの能力で、非クリーチャー呪文を唱えた際に+1/+1修正を受けるというもの。瞬間的ではあるが印刷されたサイズ以上に膨れ上がり、戦闘面での活躍が見込める能力だ。これを低コストで持つクリーチャーをかき集め、青を中心に非クリーチャー呪文を連打して殴る、というのがどのフォーマットでも「○○果敢」というデッキに共通してみられる。

 スタンダードのそれはやはり何と言っても《嵐追いの才能》。1マナの果敢持ちクリーチャーでありながら、それ自体は非クリーチャー呪文というのがデッキの特性に噛み合いすぎている。この才能のカワウソを筆頭に、他の果敢持ちや《精鋭射手団の目立ちたがり》のようにそれに準ずる能力を持ったクリーチャーを展開し、《選択》《手練》《噴出の稲妻》といった軽量スペルで後押しして攻撃を通していく……スタンダードでも高い人気と実力を併せ持ったこのアーキタイプが決勝ラウンドを支配し、決勝戦もまさしく果敢デッキ同士のマッチアップに。大方の予想通りの結果となったのではないだろうか。

 ただ果敢デッキと一口に言っても、クリーチャーのチョイスや細かい部分の枚数など、リストには差というものがある。同じ「イゼット果敢」に分類しても良いものか迷うような大きな違いもあったりで、このアーキタイプは奥が深いのだ。決勝戦を争った2つのリストをチェックしてみよう!

陳 鳴陽(チェン ミンヤン) - 「イゼット果敢」
マジック・スポットライト:シークレッツ 準優勝 / スタンダード(2026年5月30~31日)[MO] [ARENA]
7 《
2 《嵐削りの海岸
4 《リバーパイアーの境界
4 《蒸気孔
4 《尖塔断の運河
-土地(21)-

4 《渦泥の蟹
4 《精鋭射手団の目立ちたがり
-クリーチャー(8)-
4 《選択
4 《嵐追いの才能
3 《噴出の稲妻
4 《ブーメランの基礎
2 《今のうちに出よう
2 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ
4 《没頭
1 《すべきでない悪ふざけ
2 《呪文貫き
4 《手練
1 《鮮やかな迸り
-呪文(31)-
1 《軽蔑的な一撃
1 《司書、ワン・シー・トン
1 《無効
1 《今のうちに出よう
2 《金屑の嵐
1 《焼きつけ
1 《除霊用掃除機
1 《陽背骨のオオヤマネコ
2 《轟く機知、ラル
1 《削剥
2 《舷側砲の一斉射撃
1 《否認
-サイドボード(15)-
 

 まずは準優勝のリストから。今回決勝ラウンドに残った果敢デッキには共通点が見られる1つにクリーチャーのチョイスが最低限であったこと……いずれも8枚以内であり、《精鋭射手団の目立ちたがり》と《渦泥の蟹》をチョイス。蟹はどのリストも4枚フル投入であり、果敢を持たないクリーチャーではあるが果敢デッキの外せないエッセンスとして機能していることが伺える。墓地のインスタントとソーサリーの合計値分、マナコストが軽減されるという能力を持つため、それらを連打する果敢デッキであれば額面よりもずっと軽く早めのターンから飛び出してくる。5/5という優秀なサイズに加えて瞬速で隙なく展開可能、戦場に出るとクリーチャー2体タップと仕事をしまくるエレメンタルだ。

 この蟹と同じく墓地を参照する《没頭》も5つのリストすべてで4枚採用されていた。墓地にインスタントとソーサリーの療法があれば、2マナにして手札が2枚増えるという強力なスペル。果敢デッキは墓地も重要視したデッキであることを改めて認識させられる。

 

 そしてもう1つの共通点が、5つのリストの内4つがメインデッキから《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》という部屋カードを用いていたということ。《咆哮する焼炉》は2マナというお手頃コストで、クリーチャーに5、6点のダメージを与えることも期待できる。状況によっては大したことはできないが、高タフネスに対処できる可能性がある頼れる1枚。これは《ブーメランの基礎》で手札に戻して使いまわせるという点が優秀だ。《嵐追いの才能》を戻すためのブーメランにもう1つのオプションが用意されている。

 ゲームが長引きマナが伸びてきたなら《蒸気サウナ》としても用いて、ドローにより攻め手を補充していこう。この焼炉使いまわしムーブをより強化するために、ブーメランに加えて《今の内に出よう》が採用されている点もこのタイプのリストの特徴である。エンチャントやクリーチャーを最大2枚手札に戻せるので、才能や焼炉を戻して使いまわしたり蟹などの貴重なクリーチャーを除去から守ったり……対戦相手のクリーチャーやエンチャントに対する打ち消しにもなるので、このタイプのリストはコントロール的な立ち回りがより強くなっているということがわかる。受けにも回れる柔軟な果敢が勝ち組となったわけだ。

 

 そんな決勝ラウンド進出組のリストにも細かな違いがあるのが面白い。このリストでは《すべきでない悪ふざけ》《鮮やかな迸り》と3点ダメージをクリーチャーやプレインズウォーカーに与えられるようになっている。《噴出の稲妻》の2点では除去できないクリーチャーが多くなると見てのチョイスなのだろう。

堀 雅貴 - 「イゼット果敢」
マジック・スポットライト:シークレッツ 優勝 / スタンダード(2026年5月30~31日)[MO] [ARENA]
7 《
2 《マルチバースへの通り道
4 《リバーパイアーの境界
4 《蒸気孔
4 《尖塔断の運河
-土地(21)-

4 《渦泥の蟹
3 《精鋭射手団の目立ちたがり
-クリーチャー(7)-
4 《選択
4 《嵐追いの才能
4 《噴出の稲妻
4 《ブーメランの基礎
2 《今のうちに出よう
2 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ
4 《没頭
2 《呪文貫き
2 《プリズマリの魔除け
4 《手練
-呪文(32)-
1 《軽蔑的な一撃
1 《しっぺ返し
1 《送還
1 《瞬間凍結
2 《司書、ワン・シー・トン
1 《無効
1 《金屑の嵐
1 《跳ね弾き
1 《焼きつけ
1 《除霊用掃除機
1 《食糧補充
1 《轟く機知、ラル
1 《呪文嵌め
1 《舷側砲の一斉射撃
-サイドボード(15)-
 

 一方こちらは堂々の優勝を成し遂げたリスト。先ほどのリストと近いものではあるが、《精鋭射手団の目立ちたがり》は3枚に抑えられている。また3点除去はメインには不採用で、代わりに《プリズマリの魔除け》を2枚採用。このカードはタフネス1のクリーチャーを2体討ち取れたり、パーマネントバウンスでトークンを確定で潰せるなど、モード呪文特有の柔軟性が強み。諜報2を行ってからドローするモードでは、これ1枚で最大3枚分のスペルを墓地に送り込め、蟹の早期降臨をプッシュ。またサイドボードの違いもプレイヤーの考えや好みが反映されており、興味深く参考にするべきポイントだ。《送還》《跳ね弾き》といった1マナバウンスのチョイスが味わい深く、また《しっぺ返し》というゲーム展開を大きく狂わせるトリッキーな1枚も光っている。

 これら決勝ラウンドを戦ったリストからは学べることが沢山ある。大本が固定されているデッキでも、自由にいじれるスロットを自分に合ったしっくりくる1枚にすること、それが勝つためには必要なチューニングだ。大型トーナメントの結果という最高のサンプルから得られる情報を有難く受け取り、自分のデッキをより高めていこう!

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