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Making Magic -マジック開発秘話-

得られた教訓 その9
2026年5月26日
私は自分のブログ「Blogatog」で週刊コラムを執筆し、質問に答えている。加えて、「Drive to Work」という週刊ポッドキャストも公開しており、これは通勤中に録音することが多い。各エピソードは約30分(職場までの通勤時間である)で、週に2本投稿している。「Drive to Work」で繰り返し行っているシリーズの1つに「得られた教訓/Lessons Learned」があり、私がリードまたは共同リードしたセットを取り上げ、デザインを主導する中で学んだことを順に語っている。2023年、私はこのエピソード群の記事版を書き始めた。本日はその第9回である。過去8本の「得られた教訓」記事は以下である。
前回は『ファイレクシア:完全なる統一』と『機械兵団の進軍』について話した。今回は『イクサラン:失われし洞窟』から始める。
『イクサラン:失われし洞窟』
教訓:「メカニズムのテーマは、そのセットのニーズに応えるものでなければならない」
この記事を書いている時点で、私は約50個のセットのデザインをリード、あるいは共同リードしてきた。『イクサラン:失われし洞窟』は、その中で私が最も道を見失ったセットだったと思っている。どのセットも、展望デザインから提出されたものをもとに発展していく。しかし私がリードしたセットの中で、これほど大きく変化したセットは他にない。これには外的な理由がいくつもあった。最大の理由は、セットが提出された後にクリエイティブ・チームが下した判断である。もともとこのセットは新しい次元を舞台にする予定だったが、通常よりはるかに遅い工程の終盤になって、舞台を既知の次元であるイクサランへ変更する決定が下された。

この「得られた教訓」記事やエピソードの目的は、私がそのデザインで何をしたかを正直に振り返ることである。厳しい真実を言えば、この変更は主にそのセットの展望デザインが原因で起こった。展望デザインは何かを成し遂げようとしていたが、最終的にはそれがセットのニーズに応えるものではなかったのだ。根本的に、展望デザインの最大の目的は、セットの中核となるアイデンティティを決定することである。最終的なセットの中には、展望デザインの成果が確かにいくつも残っているが、『イクサラン:失われし洞窟』はその展望を適切に確立できなかった。そしてその責任は、このセットの展望デザイナー・リードである私にある。
我々は何年もの間、地下世界を舞台にしたセットを作ることについて話し合っていた。扱える定番要素の領域は十分にあり、格好良いビジュアルをたくさん作れるだろうと考えていた。地下世界の設定に正式なゴーサインが出たとき、私はその展望デザインをリードすることに興奮していた。プレビュー記事(その1とその2)で説明したように、地下世界を作るにあたっては、さまざまな道筋を選ぶことができた。最初の大きな分岐はジャンルである。地下という舞台は、冒険ものにもホラーものにもできる。『マジック』はすでに多くのセットでホラーを扱ってきたので、私は冒険の方向性を探ることに興奮していた。次の分岐は世代的なものだった。ゲームにおける地下世界の大きな表現には2つある。1つはロールプレイング・ゲームのダンジョン探索に基づくもの。もう1つは資源獲得型のビデオゲームである。当時、後者はまだあまり探られておらず、より若い層に傾いていた。そして『マジック』は若い層を引きつける方法を探していたため、我々は後者の道を選んだ。


それらの判断がどれも間違っていたとは思わない。しかし地下に行くと決めた時点で、私はこの舞台が、何年もゲームに戻そうとしてきたテーマ「色が重要」に理想的な場所だと確信するようになった。カラー・パイはゲームの有機的な一部である。リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが『マジック』を作ったとき、色は非常に重要なメカニズム上の要素だった。初期のメカニズムには、色や土地タイプを明確に参照するものがある(プロテクション、畏怖、土地渡り、生息条件である)。対抗色にマイナス効果を及ぼすカード・サイクルも丸ごと存在する。特定の色をプレイすることに報酬を与えるサイクルもある。色はゲームに深く組み込まれており、過去にさかのぼるほどその傾向はさらに強くなる。年月を経る中で、その多くは取り除かれていった。我々は、色を参照することが振れ幅の大きすぎる要素だと分かったのだ。まったく意味をなさないか、ゲームを支配してしまうかのどちらかだった。
『シャドウムーア』ブロックは混成マナに大きく依存していた。その副作用として、多くのカードが多色でなければならなかった。それによって、メカニズム的に色が重要な小型ブロックが実現したのである。(『シャドウムーア』ブロックは、単色デッキを安定してドラフトできることで有名だ。)私はこれを大いに楽しみ、もう一度このテーマを訪れたいと思っていたが、年月が流れても、これを必要とするセットを見つけることはできなかった。『イクサラン:失われし洞窟』の展望デザインを始めるまでは。
第2回グレート・デザイナー・サーチでは、最終候補者それぞれに独自の世界を作ってもらったが、2人の候補者が地下世界を作った。その地下世界の1つ、ジョナソン・ラウクス/Jonathon Loucksが作ったものには、光と闇というテーマがあった。その発想に興味を惹かれた私は、光の表現として色を探ることに関心を持って、展望デザインのプロセスを開始した。
デザインに取り掛かり始めると、私は色のよりよい使い道を見つけた。このセットは、資源を見つけ、その資源を使って強力な魔法のアイテムを作るテーマになっていった。鍵となったのは、「レシピ」を作る方法、あるいは既存のものを特定のパターンで組み合わせることでプレイヤーが新しいアイテムを作れるようにする方法を見つけることだった。私は、それらのアイテムが実際の宝石であるアイデアに魅了されていた(ビデオゲームではよくあることだ)。そこから我々は、マジックにはすでに象徴的な5つの宝石があることを思い出した。モックスである。

プレイヤーは5色それぞれのトークンを集める。白はパール、青はサファイア、黒はジェット、赤はルビー、緑はエメラルドである。我々はそれらに副次的な機能を持たせたかったので、手近な選択肢を選んだ。それらは宝物・トークンとほぼ同じだが、1色のマナしか生み出さないものだった。つまり、それらを作製のレシピに使うことも、呪文を唱えるために使うこともできたのである。
展望デザイン・チームも「色が重要」テーマに傾いていった。「照明/illuminate」という名のメカニズムがあり、それはあなたのパーマネントの中に何種類の色があるかを参照するものだった。(このメカニズムは『ローウィンの昏明』で色彩として印刷されることになる。)我々は、より多くのデッキが他の色にアクセスできるように、ツーブリッド・コスト(特定の色のマナ1点、または不特定マナ2点を支払う)を使った。別の色のトークンを作るカードも入れた。自分の色を変えられるカードも増やした。このテーマをかなり強く打ち出したのである。
展望デザインの最後の月には、「展望サミット」と呼ばれる会議がある。これは展望デザイン・チームが自分たちの成果を開発部の他のメンバーに見せ、フィードバックを得る会議である。招待されるさまざまな参加者は、展望デザインの下流工程におけるさまざまな懸念事項を代表している。この会議によって展望デザイン・チームは、ファイルを提出する前に取り組める、セットに関する実践的なフィードバックを多く聞くことができる。『イクサラン:失われし洞窟』(当時のコードネームは「オフロード」)の展望サミットは厳しいものだった。
プレイ・デザインは、実質的に5種類の宝物があることをひどく嫌った。彼らはそれが追跡しにくく、極端に速いプレイ環境につながると感じたのである。また、それらのトークンのマナ能力は資源としての役割よりはるかに優れていたため、誰も作製を使わないのではないかという懸念もあった。そのフィードバックを受けて、展望デザイン・チームはアーティファクト・トークンからカウンターへと方向転換した。カウンターには副次的な機能はなく、自分の墓地から該当する色のカードを追放することで作られるものだった。これは「採掘/dig」という新しいメカニズムで行われた。カードには依然として作製用のレシピが記されていた。


完成したセットは作製を残したが、参照する対象は色からカード・タイプへと移った。「色が重要」テーマはセットから完全に排除された。また、このセットの舞台がイクサランになると決まった後は、イクサランの要素を捉えた構造にすることに多くの枠を費やした(探検の再登場や恐竜のタイプ的要素など)。
振り返ると、このセットのデザインにおける私の最大の欠点は、環境が必要としているものの最善の実行方法を見つけることより、特定のテーマを使う方法を見つけることに意識が向いていたことである。私は「色が重要」テーマを噛み合わせようとすることに夢中になりすぎて、「『色が重要』は本当に最適なのか?」と自問自答しなかったのだ。

私は、デザインは大胆な選択をしなければならないと強く信じている。ある道を進んだときに何が起こるかを探らずに、展望を実現することはできない。「色が重要」というテーマを探ったこと自体に不満があるわけではない。試みたことは正しかったと思う。振り返って私が悔やんでいるのは、その選択がデザインを可能にするよりも制限していることを見抜けなかったことである。心理学者アブラハム・マズローの著書「科学の心理学/The Psychology of Science」にある、私の好きな引用を紹介しよう。「手元にある道具がハンマーだけなら、あらゆる問題が釘に見えるようになる。」
強い焦点を持つことには力がある。しかし、その焦点が自分を誤った方向へ導いているときには、それを認識しなければならない。私はこのセットのリードを引き受けた日から、地下世界こそが「色が重要」を復活させる方法であるという考えを固く握りしめていた。私は探索デザインから展望デザインを通して、セットを提出するその日まで、このテーマを推し続けた。それは間違いだったし、私はもっと早く認識すべきだった。
このデザインから得た最大の教訓は、私自身が最大の障害だったということだった。
『カルロフ邸殺人事件』
教訓:「物語には筋書きが必要であり、マジックのエキスパンションには舞台設定が必要である」
『カルロフ邸殺人事件』はもともと完全に新しい次元から始まり、最終的には既存の世界を舞台にすることになった。ただし、このエキスパンションの変更は展望デザインの途中で行われたため、我々はそれに適応することができた。このセットにゴーサインを出させたアイデアは単純だった。複雑な一連のパズルをセット内に組み込んだ、トップダウンの殺人ミステリー・セットである。私はこのセットをマーク・ゴットリーブ/Mark Gottliebと共同リードした。マークは優れたパズル制作者である。当初から、パズルは彼が監督する計画だった。私は探索デザインと初期の展望デザインを監督し、ファイルをマークに提出した。彼は展望デザインの後半とセットデザインの初期をリードした。


このデザインはトップダウン・デザインとして扱われた。我々は、殺人ミステリーというジャンルを捉えたセットにプレイヤーが何を期待するだろうか、と自問するところから始めた。まずは手近なものから始めた。『イニストラードを覆う影』で初登場した調査を再登場させたのである。探偵は何をするのか? 殺人事件を調査する。我々には文字通り調査するためのメカニズムがすでにあったのだ。


次に、我々は変異を調整した。殺人ミステリーの中核をなすものの1つは謎である。調査によって発見されなければならない未知の事実が存在する。裏向きのメカニズムというアイデアは、この未知のものにうまく噛み合うと感じられた。対戦相手は、そのクリーチャーが何なのかを突き止めなければならない。我々は何年もの間、変異の更新について話し合っていた(年月を経てクリーチャーは大きく強化されており、3マナで2/2を得ることは強くなくなっていた)が、このセットでついにそれを行った。最初は3/2のクリーチャーにすることを試したが、最終的には護法{2}を持つ2/2のクリーチャーになった。我々は、それによってプレイヤーがそのクリーチャーを表向きにできる可能性が高まる点を好んだ。さらに、予示の更新版である偽装が加えられた。


我々は探偵というクリーチャー・タイプを作り(技術的にはコマンダー・デッキのセットで初登場しているが、それは『カルロフ邸殺人事件』から借用したものだった)、これを参照するカードをいくつか追加した。私はトップダウン・デザインのために、特定の単語をルール・テキストに入れる方法を見つけることに強く意識を向けるようになっていた。探偵をクリーチャー・タイプにすることで、殺人ミステリーの雰囲気を放つカードを作れるようになった。我々は容疑メカニズムを作ったが、その主な目的は、クリーチャーを容疑者にするカード・テキストを作れるようにするためだった。我々は事件という新しいエンチャントのサブタイプをセットに加えた。これもまた、『ゼンディカー』のころから何年もいじっていたメカニズムである。もともとは『ゼンディカー』の探索に似たもので、特定のタスクを完了すると報酬が得られるものだった。我々は事件で、それを行う正しい方法をついに解き明かした。最後に、墓地を資源として使う証拠収集メカニズムを作った。
ラヴニカへの移行は、関係するキャラクターを人々がすでに知っているなら、物語がはるかに大きな重みを持つと我々が気づいたことから生じた。我々はニューカペナを舞台にすることも検討していたが、プレイヤーはほとんどのキャラクターになじみがなく、またこの次元にしっかりとした法制度が存在しないこともあって、奇妙な適合になってしまった。我々はラヴニカを強調するための要素をいくつかセットに加えた。多色カードの開封比を高め、分割カードを入れ、過去のラヴニカ・セットを参照する個別のカードを多数加えたのである。


最終的に、このセットにはいくつもの問題があった。何よりもまず「殺人ミステリー」は物語のジャンルであって、環境のジャンルではないということだった。対照的に、ゴシック・ホラーやギリシャ神話には、それに結びつく定番要素があり、舞台設定に独特の雰囲気やムードを与えてくれる環境が丸ごと付随している。殺人ミステリーが主に共有しているのは、典型的なキャラクターや筋書きの要素である。これを元に我々は多くのカードを作ることはできたが、世界を作ることはできなかった。だからこそ、このセットのために独自の世界を作るのにあれほど苦労したのである。
振り返ると、我々は殺人ミステリーのテーマを強く打ち出しすぎ、ラヴニカに寄せる時間を十分に取らなかったのだと思う。『灯争大戦』がそれでうまくいったのは、その直前の2セットが伝統的な陣営型のギルド・セットであり、プレイヤーがすでに十分に満足していたからである。『イクサラン:失われし洞窟』もまた「背景セット」(我々が作った用語で、世界を基盤としながら、その世界のメカニズム上のアイデンティティに焦点を置かないセットのことだ)ではあったが、その世界観をメカニズムで表現する点では、はるかにうまくやっていた。
もしもう一度やるなら、私なら次のように変えていただろう。調査は残す。変装は残し、偽装は取り除く。偽装は不必要な複雑さを加えており、その年の後半には『ダスクモーン:戦慄の館』が予示の調整版を出すことになっていた。容疑は取り除くだろう。探偵のクリーチャー・タイプは残すが、探偵のタイプ的カードはすべて取り除くだろう。事件は残す。証拠収集も残すが、もう少し汎用的な名前に変えていただろう。そうすれば再登場させやすくなる(私はこのメカニズムがとても好きである。)。殺人ミステリーをテーマにしたカードの開封比は下げていただろう。

そうして空いた枠に、ラヴニカ中心のデザインをもっと加えていただろう。ギルドを基盤としたカードを増やすことに腹を決めていただろう。各ギルドに1枚ずつの10枚サイクル、おそらくは透かし入りのものすら検討しただろう。このセットをラヴニカのセットらしく感じさせるために、もっと多くのことをしていたはずである。
このデザインから私が得た大きな教訓は、すべてのジャンルが同じように作られているわけではないということだった。私は共鳴の大ファンである。プレイヤーがすでに知っているものを基に、それを中心にセット全体を作ることが大好きである。しかしマジックはその中核において、環境的な物語を語るものなのだ。プレイヤーがどのカードを開封するかを我々は制御できないため、ブースターを開封したときに、世界の雰囲気がすべてのブースターに広がっていることが重要である。つまり、我々は説得力のある環境を作る必要がある。視覚的であり、世界のあらゆる細部にまで反映されているような環境だ。我々がキャラクターに探偵帽をかぶせ続けていたという事実は、このジャンルが必要な重みを支えられるほどに環境的ではなかったことを示す兆候だった。
とはいえ、私はあのすべてのパズルを行ったことを嬉しく思っている。プレイヤーのごく一部しかこれらに触れなかったため、期待したほどの影響はなかった。しかし境界を押し広げ続けることは重要だと思うし、『カルロフ邸殺人事件』はパズル・イベントにおいて、これまで一度も行われたことのないことを成し遂げた。過去のどのパズルとも違う形で、これは製品の中に刻み込まれていた。そしてこれを達成したことを私は誇りに思っている。
振り返ると、『イクサラン:失われし洞窟』については、提出文書を調整してこのセットが到達すべき形へ近づく方法はなかったと思う。対照的に『カルロフ邸殺人事件』については、文書をおそらく30%ほど変更すれば、目指すべき形へ到達できたと私は考えている。興味深いことに、今日取り上げた2つのセットに共通するテーマは、展望がずれていたということである。そしてその責任は、両方のセットの展望デザイナー・リードである私にある。
事件解決
これで、また1本の「得られた教訓」記事は終わりである。過去のデザインを内省的に振り返るこの内容を楽しんでもらえたなら幸いである。いつも通り、本日の記事についてでも、私が話したどのセットについてでも、皆さんのあらゆる考えを聞くことを楽しみにしている。どんなフィードバックでもぜひ聞かせてほしい。メールやソーシャル・メディア(X、Tumblr、Instagram、Bluesky、TikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。
次回は『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』のプレビュー開始でお会いしよう。
それまで、あなた自身の過去の選択を振り返られますように。
(Tr. Ryuki Matsushita)
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