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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

プロツアー王者はセレズニア上陸!白の理由と、メタゲームの恩恵(スタンダード)
プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』が5月頭のゴールデンウィーク期間にて開催された。アメリカでのトーナメント、配信は時差の問題もありリアルタイムでは追いかけるのが難しい……かもしれないが、今回は連休というのも手伝って、多くの方が夜更かしできたのではないだろうか。筆者も日本版放送の実況陣の一員として初日と二日目のフィーチャーを見届けさせていただいた。
一言、どシンプルな感想。やっぱりプロツアーは面白い!世界中から予選を勝ち抜くなど、実力を示して招待券を勝ち取ったプレイヤーが集うわけで……今大会は340名ほどが参加したわけだが、その人数は全マジックプレイヤーの何パーセントになるだろうか?世界中でプレイヤー人口が膨れ上がっている中、プロツアー参加者は変わらず限られたものである。精鋭中の精鋭が参加し、対戦をするわけだから、そりゃあ面白いに決まっているよなぁと改めて実感した。
『ストリクスヘイヴンの秘密』のドラフトとスタンダード構築戦での混合フォーマットとなった同トーナメント、ドラフトラウンドではこれぞプロが組んだデッキという強烈な動きを目の当たりにし、このセットの奥深さを体験。それだけでも大満足だった、予選と決勝でスタンダードの新環境をたっぷり楽しめるのだからたまらない。公式発売日の一週間後に開催ということで準備期間は短いプロツアーだったが、世界中の精鋭たちは各々のデッキを組み上げて、覇を競った。この大会の結果は今後のスタンダードにおける試金石となるわけだが……
ご存じの方が大半だとは思うが、今回のトーナメント開催直前に公開されたメタゲームブレイクダウン……ざっくりいうと使用デッキの分布において、「イゼット(青赤)果敢」が最大勢力となることが判明していた。全体の30パーセントであり、予選初日と二日目の合計10回のスタンダードラウンドで、フルにプレイした場合3回はこの「イゼット果敢」と当たることになるわけだ。
また上位4デッキの内果敢を含む3つは「イゼット○○」であり、このトーナメントは青赤に支配される形に……というのが、開戦前の印象だ。実際にフィーチャーマッチでもそれらのデッキは頻繁に登場することになったが……その最大勢力である「イゼット果敢」は、結果的に上位8名には残れず、日曜日の決勝ラウンドへ勝ち残ることはなかった。この意外な結果に加えて、決勝戦では青も赤もない、同じデッキ同士での対戦が行われることに。そのデッキは……
| 2 《寺院の庭》 7 《森》 4 《寓話の小道》 4 《ハッシュウッドの境界》 3 《脱出トンネル》 2 《平地》 3 《バーシンセー》 -土地(25)- 1 《神出鬼没の狩人、スーラク》 4 《サッズのヒナチョコボ》 2 《氷耕しの探検家》 1 《鋭い目の管理者》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《アナグマモグラの仔》 2 《混合成体、ダイアドライン》 4 《強靭形態の調和者》 1 《苔生まれのハイドラ》 -クリーチャー(23)- |
4 《浸食作用》 2 《重厚な世界踏破車》 2 《薮打ち》 4 《土のベンダーの位に至る》 -呪文(12)- |
2 《神出鬼没の狩人、スーラク》 3 《幽霊による庇護》 1 《回復魔法》 1 《マラメトの模範、クチル》 2 《苔生まれのハイドラ》 3 《安らかなる眠り》 2 《蛇皮のヴェール》 1 《勝利の楽士》 -サイドボード(15)- |
緑単色で組まれることが多い上陸デッキに、ほんのりと白を足した「セレズニア上陸」!上陸デッキと言えばすっかりスタンダードでもおなじみ、土地を戦場に出すことで誘発する上陸能力を駆使して戦う攻めのデッキだ。土地が戦場に出ると+1/+1カウンターを乗せる《サッズのヒナチョコボ》《土のベンダーの位に至る》といったカードと、《寓話の小道》《脱出トンネル》など1枚で複数回の上陸を引き起こす土地とを組み合わせ、早いターンから巨大なサイズのクリーチャーを用意して攻撃を仕掛ける……スタンダードでもお馴染みちゅうのお馴染みな、定番デッキの1つ。
この上陸デッキは緑単色のものが使用率2位につけており62名が使用していたが……このセレズニア型は11名とそれらよりも低い値になった。これはチームで調整されたデッキであり、他の上陸デッキと一線を画すものと捉えた方が正しい。
この上陸デッキが白を足している理由は、クリーチャー除去にあり。緑単色の上陸は、文字通り緑のカードのみを扱うため、どうしてもクリーチャー除去の点でやや不便なところがある。格闘をしたり飛行クリーチャーを撃ち落としたりといった緑らしい除去はあるものの、不確かなカードである。そこで白を足してクリーチャーをメインとした除去呪文を取り入れたセレズニア型が作られるわけだが……このリストでは最新セットから《浸食作用》を採用。1マナで対象にさえ取れれば条件なく、クリーチャーorプレインズウォーカーを破壊!この超万能インスタントで、自分のアクションの合間に相手の厄介なクリーチャーらを除去していくというわけである。
この《浸食作用》には、過去の同系統のカードに倣って、パーマネントを破壊されたプレイヤーは基本土地を探して戦場に出せるという、お詫びの品を受け取れる調整が施されている。たった1マナで破壊するのだからそれぐらいのサービスはしてあげないということだが……この呪文は自身のクリーチャーに対して唱えて、土地を探してくることができる。つまり……状況によってはこれで自身のクリーチャーを土地に変換、上陸を引き起こすこともあるというわけ。特に《強靭形態の調和者》との組み合わせは絶品!上陸によりクリーチャーのパワーを倍にするこの調和者、《寓話の小道》《脱出トンネル》の複数回の上陸でゲームを決める上陸デッキのフィニッシュ枠だ。
対戦相手が隙を見せたら、この調和者と《浸食作用》を組み合わせ、攻撃しない連中を土地に変換して一気にゲームを決めよう!《アナグマモグラの仔》《バーシンセー》などの土の技でクリーチャー化している土地を対象にし、破壊して土地を持ってきつつ土の技の効果で割られた土地も墓地から戦場に戻す、というムーヴも機会があれば狙っていこう。
白を足した恩恵は既存のカードの採用にも見られる。特徴的なチョイスは《混合成体、ダイアドライン》!支払ったマナの数だけ+1/+1カウンターが乗って戦場に出てくる構築物。これをコントロールしている状態でクリーチャーで攻撃すると、2体のクリーチャーから+1/+1カウンターを取り除くことを選べる。そうするとロボットを生成しつつカードを引けるという、面白い能力を持っている。このデッキは《サッズのヒナチョコボ》をはじめ、カウンターを得ることに特化したデッキだ。2体からカウンターを取り除くという他のデッキでは難しい条件も「セレズニア上陸」なら簡単に。上陸というメカニズムと直接に関係を持たない、しかし噛み合っているカードが加わったことで、デッキの幅がグッと拡がった。序盤に最低限のマナで出して良し、土地を並べることを得意とするデッキなので超巨大なトランプル持ちとしてフィニッシャー運用して良しの柔軟な1枚だ。
白といえばサイドボードを強くする色でもある。《安らかなる眠り》は各種イゼットをはじめ、墓地を利用するデッキに対して効果的な1枚。これを採用したことで、上陸デッキの顔とも呼べる《氷耕しの探検家》が2枚に抑えられている点にも調整が見られる。墓地の土地を戦場に出すこの昆虫で小道などを使いまわして、上陸を稼ぎながら土地を伸ばすムーヴはメインデッキでは狙っていきたい、でもサイド後は自身の《安らかなる眠り》で機能不全に陥ってしまうので、採用は2枚に留める……これはチームの調整、やり込みを感じる構築だ。
「イゼット果敢」が最大勢力になることを予測し、果敢デッキは互いを意識し合った構成へとシフト。その結果、クリーチャーを手札に戻すバウンス系の呪文や《神出鬼没のカワウソ》といったカードの採用枚数が減少傾向に。その追い風を受けて、このリストのような上陸デッキが躍進した、というのが今回のプロツアーのメタゲームだ。
そしてこの結果を受けて、果敢などの各種イゼットデッキは上陸デッキへのガードを再び上げてくることになる。そのような環境で、このリストをそのままコピーして持ち込んで大きく勝てるかというと……そうではないのはお分かりの通り。このデッキの流行り廃りと構築の変化、それがメタゲーム。メタゲームを追いかける楽しみもスタンダードの醍醐味だ。今回の結果を受けて、君なりのデッキを考えてスタンダードを戦っていこう!
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