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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット・スペレメンタル:フィーチャーの熱戦、新カードの手応え(スタンダード)

岩SHOW


 熱戦、熱戦、大熱戦!5月に入り気温もすっかり温かくなってきた中で、プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』が開催された。場所はラスベガス、暑くて熱い砂漠の街、まさしくプロツアーという大熱戦の舞台にぴったりだ。

 ラスベガスのホットな会場で繰り広げられた激闘の中から、各ラウンド選ばれた数試合をフィーチャーマッチとして放送。このフィーチャーマッチ、実況という形でリアルタイムで観戦させていただいたが……どの試合も良~いゲームが繰り広げられて、まさしく手に汗握る熱戦ばかりで最高に面白かったものだ。印象に残るデッキはいくつかあるが、トップ8の中から選ぶとなると……このリストなど、グッとくるものがあったね。「イゼット(青赤)スペレメンタル」!

マックス・コミノフスキ/Maxx Kominowski - 「イゼット・スペレメンタル」
プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』 / スタンダード(2026年5月1~5月3日)[MO] [ARENA]
5 《
2 《マルチバースへの通り道
4 《リバーパイアーの境界
4 《尖塔断の運河
4 《蒸気孔
-土地(19)-

4 《渦泥の蟹
4 《かまどの精
4 《刻み群れ
-クリーチャー(12)-
3 《噴出の稲妻
3 《没頭
1 《今のうちに出よう
1 《ヒーローのたまり場
2 《すべきでない悪ふざけ
4 《選択
4 《プリズマリの魔除け
4 《手練
1 《呪文貫き
3 《呪文嵌め
3 《冬夜の物語
-呪文(29)-
1 《削剥
1 《無効
1 《舷側砲の一斉射撃
1 《軽蔑的な一撃
1 《今のうちに出よう
1 《除霊用掃除機
2 《呪詛の壊し屋
2 《液状の重罪犯、ハイドロマン
2 《捧げ物の穴
2 《轟く機知、ラル
1 《隕石衝突
-サイドボード(15)-
 

 スペレメンタルという造語は、スペル=呪文とエレメンタルを合成したもの。マジックでスペルといえばありとあらゆる呪文がそれに含まれるが、イゼットカラーでいうスペルとは概ねインスタントとソーサリーのことを意味する。それらのスペルを多数採用し、エレメンタルと組み合わせたのがこのスペレメンタル。墓地のインスタントとソーサリーの枚数をカウントし、その値だけコストが軽減される《かまどの精》と《渦泥の蟹》。これがこのデッキの主役だ。《選択》《手練》と軽いスペルを最序盤からガンガンと唱えて、これらのエレメンタルを唱える下地を作り、低コストで4/5や5/5を戦場へ。特に蟹は瞬速を持ち、対戦相手のクリーチャーを2体タップする能力を持っており、このデッキの生命線とも言える1枚だ。

 そしてこれらマナ総量が大きいエレメンタルを低コストで戦場に出したら、今度はそれらのマナを参照してコストが軽減される《刻み群れ》の出番。5/5飛行、そしてエレメンタル以外をすべて手札に戻すという強力無比な盤面を支配する能力…難点は唱えるためのコストくらいだが、これを蟹たちで軽減し、現実的なコストで叩きつけていく。そんなわけでエレメンタルを用いないクリーチャーを展開するデッキにはめっぽう強いのがこのスペレメンタル。フィーチャーでも《刻み群れ》がゲームを終わらせる光景が炸裂!

 

 『ストリクスヘイヴンの秘密』はこのデッキのいうところのスペルがたっぷりと収録されたセットだ。なのでこのデッキは新セットの恩恵を大きく受けている。まずは話題のソーサリー《没頭》。普通に唱えればライブラリーの上から3枚見て1枚を手札に加える、マナ効率の悪い《手練》のようなもの。しかしインスタントとソーサリーの両方が墓地に落ちていれば、手札に加えるカードは2枚となる……そうなればマナ効率は一気に最高クラスに、軽い《食糧補充》のようなものなのだからそりゃあ強い。この《没頭》を運用するために除去の枠にソーサリーの《すべきでない悪ふざけ》、1マナのドロー系の枠には《ヒーローのたまり場》のようなカードが含まれる形に。ただそれでも常にこのカードをフルパワーで使用できるかというとそうではない。そのためこのリストでは採用枚数が3枚に抑えられていることを見逃してはならないね。そういった緻密な調整がプロツアーTOP8という素晴らしい結果に繋がったのだろう。

 もう一種の新カードは《プリズマリの魔除け》、このインスタント……見た目以上にかなりのやり手!3つのモードから1つを選ぶインスタントだが、まず第一のモード、諜報2を行ってからカードを引く動きは、このスペレメンタルの求めるものと噛み合いまくっている。諜報で2枚のスペルを落とせれば、このカード1枚で3マナ分のエレメンタルのコスト軽減が狙えるのだ。それから第二のモードは1点ダメージを最大2つの対象に。《ラノワールのエルフ》のようなタフネス1のクリーチャーを展開してくるデッキには、1:2交換が決まることも。そして最後は土地でないパーマネントを手札にバウンス。重いカードを弾いてテンポを取る、トークンを弾いて除去、自身の蟹や《刻み群れ》を戻して出し直し能力を再利用……どんなデッキ相手にも腐ることはない、超便利カードだ。状況に合わせて最適解をチョイスし、エレメンタルでのフィニッシュに繋げよう。これらのカードは確かにこのアーキタイプを強くしたなと、フィーチャーを見ていて強く実感したよ。

 

 スペレメンタルは墓地を用いてコスト軽減を行うため、サイド後は墓地対策カードが鬼門となる。《除霊用掃除機》のようなカードが……なので《隕石衝突》《削剥》などの対策への対策をサイドインするのは勿論のこと、メインとは少し違った勝ち方を狙うカードをサイドインすることも重要だ。《液状の重罪犯、ハイドロマン》は軽いエレメンタルであり、青い呪文を唱えるとサイズが上昇。《選択》《没頭》などで必要なカードを探しつつ、サイズの上がったハイドロマンで序盤から攻めていく動きは、小型クリーチャー専用の除去をサイドアウトした相手に効果的。対戦相手のターンの間は土地になり、ソーサリータイミングの除去は受け付けない、さらにマナの供給源になることでインスタントや蟹を唱える手助けになる……一度は使ってみて欲しい、玄人好みな味わい深い1枚だ。

 そして《轟く機知、ラル》!カワウソを生成、大量の手札入れ替え、そして3枚ドローとスペルにストーム付与……どの能力も強いうえ、非クリーチャー呪文を唱えれば忠誠カウンターが上昇!ということでかなり堅い、頑丈なプレインズウォーカーだ。これ1枚でゲームに勝てる超強力カードなので、安全な盤面を作って降臨させ、そのままゲームの主導権を握り続けるべし。というわけでサイド後はよりコントロールデッキの側面が強まることもある。墓地対策を出されても関係ないぞと言わんばかりにラルで勝つゲーム、楽しすぎるのでお試しあれ!

 フィーチャーマッチを盛り上げてくれたデッキの1つ、「イゼット・スペレメンタル」。新セットで確かなパワーアップを果たしており、今後もスタンダードのデッキとして定着し続けることが予想される。軽いスペルの連打と《刻み群れ》という大技を併せ持つ、このデッキならではのプレイ体験を堪能しよう!

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