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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アブザン・ピクシー:包囲サイを継ぐもの(スタンダード)

岩SHOW
 

 『タルキール覇王譚』リリース直後、鬼神の如き働きを見せているカードがあった。《包囲サイ》だ。アブザン家に属するこのサイは、4マナ4/5トランプル……今では普通かもしれないが当時はかなりのビッグサイズであり、かつ戦場に出れば対戦相手のライフを3点吸い取る能力を持っていた。これが攻防を同時に行う優れモノで、序盤押された側がこれの回復により態勢を立て直して攻勢に出たり、あるいは攻める側がトドメの一撃に使ったりと、どっちの局面でも優秀。とにかく《包囲サイ》は強かった!今では単色で同格かそれ以上のサイズと回避能力を持ったクリーチャーも珍しくなくなり、目にする機会は減ってしまった。

 

 そんな《包囲サイ》が時を経て、包囲ではなく《遊撃サイ》として帰ってきた!『タルキール:龍嵐録』にて登場した新型のサイはよりスリムに、不特定マナ{1}を排除したアブザン(白黒緑)カラーのマナのみのコスト。その分サイズは一段階落ちて3/4。3マナでこのサイズでトランプルな今の時代でも見劣りしないぞ。そしてライフを吸う能力も健在だ。2点といえども確実に響く、ボディブローのような一発だ。折角あのアブザン家のサイが帰ってきたのだから使いたい!そんなプレイヤーにおすすめなのがスタンダードのこのデッキ!

Dustin Heuston - 「アブザン・ピクシー」
地域チャンピオンシップ予選(アメリカ・ミネアポリス) 7-2 / スタンダード (2025年5月4日)[MO] [ARENA]
3 《低木林地
4 《秘密の中庭
4 《花盛りの湿地
4 《剃刀境の茂み
4 《ブリーチボーンの境界
2 《地底の遺体安置所
1 《平地
2 《
-土地(24)-

4 《養育するピクシー
4 《陽光真珠の麒麟
4 《絶縁の僧侶
4 《遊撃サイ
1 《第三の道のロラン
4 《ヤサンの街道見張り
1 《黙示録、シェオルドレッド
3 《ベイルマークの大主
-クリーチャー(25)-
4 《望み無き悪夢
1 《不気味なガラクタ
3 《逃げ場なし
1 《勢い挫き
1 《失せろ
1 《大渦の脈動
-呪文(11)-
1 《不気味なガラクタ
2 《苦痛ある選定
1 《失せろ
2 《鋼と油の夢
2 《強迫
2 《大洞窟のコウモリ
1 《除霊用掃除機
2 《クチルの側衛
1 《グリッサ・サンスレイヤー
1 《黙示録、シェオルドレッド
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 「アブザン・ピクシー」!今を時めくピクシー系デッキのいちバリエーションだ。《養育するピクシー》《陽光真珠の麒麟》で自身のパーマネントを手札に戻し、それを再度出すことで誘発型能力などを使いまわすことを狙ったデッキだ。白と黒を組み合わせるのが基本でそこに3色目を足すパターンもあり、このリストは緑をチョイスしたもの。《遊撃サイ》の能力を使いまわす!これで対戦相手のライフをゴリゴリと積極的に削っていく。元々ピクシーデッキは《望み無き悪夢》を連打してライフを詰めるのが得意なデッキ。そのライフを減らす手段が増えた上に回復もできる、戦闘もできる、素晴らしい。また緑を足すことで《大渦の脈動》などパーマネントに対処する選択肢も増える。《第三の道のロラン》などコントロール要素が豊富なのもセールスポイントだ。

 

 アブザンということでサイ以外にも新たな3色カードが採用されている。《絶縁の僧侶》は要注目のカードで、これは戦場に出ることで対戦相手の手札1枚を追放させる。かなり強烈な妨害能力であるが、デメリットとしてこれが戦場を離れると追放したカードのマナ総量分のサイズのクリーチャーを対戦相手にプレゼントすることになる。気軽に戻して出してという動きをやりすぎると、相手の盤面に強烈なヤツらがゴロゴロと並ぶことに。実際にこのデッキと対戦して、こちらはほとんど何もせず僧侶から生成されたトークンで殴り勝ってしまったゲームもある。しかし背に腹は代えられないというか、いざという時に手札追放を使いまわせる選択肢があるのは良いことだ。またテキストが長くて埋もれているが接死を持っている。初見の時気付かず突っ込んでしまった、そんなミスをするのは僕だけで良いので皆は気を付けて。

 あとこの僧侶やサイと相性が良いのが《ヤサンの街道見張り》。4マナ3/3に追加で3マナ以下のクリーチャーがついてくるチャンスを秘めた1枚だ。僧侶などを拾って能力を誘発、ピクシーらでこの街道見張りを戻してワンモアセット。こういうカードって、本当に良いよなぁ。

 《包囲サイ》ほど強烈な存在感はなくとも、《遊撃サイ》も味わい深い1枚。今のところスタンダードではピクシーデッキで使いまわす動きが強いが、今後環境の速度が変化すれば3マナ域の戦闘要員としてアブザンの定番カードになるかも。名カードの後継機として、マジック界を盛り上げてもらいたいものだ。

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