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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

時代を作れ!フェニックス・カッター!(パイオニア)

岩SHOW
 

 マジックの歴史を振り返る機会にて、各年の代表カードが展示・紹介されることがあった。たとえば2007年を代表する1枚は《タルモゴイフ》!『未来予知』に収録されたこのクリーチャーはスタンダード、レガシー、後に創立されるモダンなどなどフォーマットを超えて大活躍。軽くて色マナの要求量も少なく、攻めるデッキにマッチ。軽いカードの選択肢が豊富であればあるほど強い、この年を代表するカードというチョイスに異論はない。時代を作った1枚だ。

 

 ではまだ上半期も終わっていない中で気が早すぎるかもしれないが……《コーリ鋼の短刀》もまた2025年を代表する1枚に選ばれるスペックではないだろうか?スタンダード・パイオニア・モダンで大活躍、高い使用率を誇る。軽くて色マナの要求量も少なく、攻めるデッキにマッチ。軽いカードの選択肢が豊富であればあるほど強い……完全にコピペだが、この装備品もまた《タルモゴイフ》クラスのインパクトを残している。まだまだ長期的な視点で、もっと後の時代に過去を振り返った時にする話なんだろうが……各年5枚のカードを選べと言われれば間違いなく入るだろう。

death_grips - 「イゼット・フェニックス」
Magic Online Pioneer Challenge 32 トップ4 / パイオニア (2025年5月9日)[MO] [ARENA]
4 《蒸気孔
4 《尖塔断の運河
4 《河川滑りの小道
1 《嵐削りの海岸
1 《ストーム・ジャイアントの聖堂
1 《天上都市、大田原
3 《
-土地(18)-

4 《錠前破りのいたずら屋
4 《弧光のフェニックス
-クリーチャー(8)-
4 《考慮
4 《選択
4 《手練
4 《宝船の巡航
4 《焦熱の衝動
3 《稲妻の斧
1 《塔の点火
1 《洪水の大口へ
1 《呪文貫き
4 《美術家の才能
4 《コーリ鋼の短刀
-呪文(34)-
2 《削剥
1 《神々の憤怒
1 《兄弟仲の終焉
1 《チャンドラの敗北
3 《無効
2 《霊気の疾風
2 《厚かましい借り手
3 《氷の中の存在
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 というわけで今回は《コーリ鋼の短刀》という時代のど真ん中を生きる我々を取り巻くデッキから1つ、パイオニアのリストを紹介しよう。これはパイオニアと言えばなデッキの一つである「イゼット(青赤)フェニックス」!

 主役は《弧光のフェニックス》、このクリーチャーが墓地にある状態で、自分のターンにインスタントかソーサリーを3回以上唱えれば戦闘開始時に戦場に戻ってくる。3/2飛行・速攻がマナを支払わずに出せるため、上手く戻せると非常に効率が良く、またしぶとく確実な攻めが可能になる。《考慮》や《錠前破りのいたずら屋》といったカードでフェニックスの条件を進めながら墓地にそれを送り込む……このプレイ感覚と、同一ターンに2回呪文を唱えることでモンク・トークンを生成できる《コーリ鋼の短刀》のそれは重なる部分がある。というわけでフェニックスデッキに短刀が切り込んだ形が流行している。「フェニックス・カッター」とでも呼ぶと必殺技名っぽくて良いね。

 フェニックスは《虚空の力線》などの墓地対策で封じられてしまうため、墓地に頼らない別のフィニッシャーを求められるデッキだ。これまではそのチョイスに苦労したものだが、カッターこと短刀が加わったことで墓地に頼らず、デッキの方向性を変えずとも運用できる勝ち手段が手に入った。果敢を持ち、短刀を携えることで速攻とトランプルも持ったモンクで切りかかるも良し、そのトークンで盤面を固めてフェニックスで上から攻めるも良し。《選択》や《手練》の連打が勝利に繋がる!

 

 フェニックスのみのデッキではなくなったことでこれらのアーキタイプのリストはよりシンプルなものが主流になってきている。1枚挿しなどが減り、4枚の短刀に入れ替わってスッキリ。そして近年のフェニックスはパイオニア初期などに見られたリストよりも手札を捨てる類のカードの総数が減っている。その分《美術家の才能》でその役目をカバーしている。この才能は非クリーチャー呪文を唱えると、手札を1枚捨てて1枚引くことができる。赤特有の手札入れ替えを、すべての非クリーチャー呪文が担うのでフェニックスを簡単に捨てられ、また不要になってしまう2枚目以降の才能も捨てて他のカードを引けば良いという自己完結っぷりが魅力的。この才能で手札がフル回転することで短刀もより円滑に疾風を誘発させるし、また墓地が貯まるので《宝船の巡航》も唱えやすくなる。巡航で3枚引く気持ち良さはパイオニアならでは。手札さえあればモンクもフェニックスも尽きることはない。

 おそらくは後世に語られることになるであろう、《コーリ鋼の短刀》。現在進行形で時代を作っているこのカード、使っても使われても後に「あんな時代があってな……」と語れる、良き思い出になるはず。

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