READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:オルゾフ・ピクシーでフォーマットを跨ごう(パイオニア)

岩SHOW


 マジックはクールな存在であることを改めてかみしめる、デッキからそのクールさを味わう今週のCool Deckのコーナー。今回はフォーマットというもののクールさについて。マジックにはフォーマット=遊び方が多数存在する。個人的にはこれらは3つに分けられると考えている。パックを開封してそれを用いて即興でデッキを作る、シールドやドラフトといった“リミテッド”。使用可能なカードでデッキを前もって構築して対戦する“構築戦”。そして統率者戦などの“多人数戦”。当コラムではこのうち構築戦フォーマットにフォーカスしてデッキを取り上げているわけだが、構築戦と一口に言ってもこれまたいくつかにわかれるわけで。現在はスタンダード・パイオニア・モダン・エターナルと段階的にカードプールが拡がっていく仕様になっている。近年リリースされたセットのみが使えるスタンダードからスタートして、一歩一歩階段状となっているのがクールだ。

 個人的にスタンダードとパイオニアというステップはうまく機能しているように感じている。スタンダードで成功を収めたデッキを、そっくりそのままパイオニアに持ち込んでもある程度戦えるからだ。まんまスタンダードのリストで大会優勝をしているケースもあったりする。スタンダードのデッキを組み上げれば、隣り合わせになっているパイオニアにも挑戦できるというのは素晴らしいことだ。そしてパイオニアを実際に遊んでみると「そんなカード/デッキがあるのか!?」という出会いや発見に至り、スタンダードと共通のデッキがある一方で全く異なるパイオニアならではのデッキがあることも知ることだろう。なのでスタンダードを遊んでいる人はパイオニアにも挑戦してほしい。そのままのデッキを持っていっても決して恥をかくことはない。少し工夫してパイオニアならではの要素も味わえばなおクールだ。たとえばこんな風に……

Adrikmtg - 「オルゾフ・ピクシー」
Magic Online Pioneer League 5-0 / パイオニア (2025年5月5日)[MO] [ARENA]
4 《神無き祭殿
4 《秘密の中庭
4 《砕かれた聖域
4 《ブリーチボーンの境界
4 《陽光昇りの小道
4 《薄暗い裏通り
1 《ロークスワイン城
1 《皇国の地、永岩城
2 《噴水港
2 《平地
1 《
-土地(31)-

4 《養育するピクシー
4 《陽光真珠の麒麟
-クリーチャー(8)-
4 《致命的な一押し
4 《消失の詩句
4 《思考囲い
4 《望み無き悪夢
4 《勢い挫き
4 《逃げ場なし
4 《ケイヤの誓い
2 《軍団の上陸
4 《裏切る恵み
4 《予言された壊滅
2 《精霊の姉の召集
1 《放浪皇
-呪文(41)-
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》(相棒)
4 《無駄省き
2 《山賊の才能
2 《真昼の決闘
2 《安らかなる眠り
3 《ヴェールのリリアナ
1 《放浪皇
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 オルゾフ(白黒)カラーのピクシーデッキだ。スタンダードでも活躍している、軽量呪文が中心ながらコントロール要素を強く持つ、手数で戦うアーキタイプ。デッキ名となっている《養育するピクシー》に加え『タルキール:龍嵐録』にて《陽光真珠の麒麟》が参入、これらのクリーチャーは自分のパーマネントを手札に戻すことができる。本来パーマネントを戻すという行為は嬉しくなさそうに思えるが、《望み無き悪夢》《逃げ場なし》などの戦場に出た際に能力が誘発し、出てからはもう役目を終えているタイプのカードと組み合わせるとメリットになる。それらを回収して使いまわす、特に《望み無き悪夢》で手札とライフをゴリゴリと削る動きはどんな相手にとっても悪夢となるクールなムーブ。早いアグロデッキ相手には《勢い挫き》やパイオニアといえばこの除去な《致命的な一押し》などで捌き、《軍団の上陸》でブロッカーを用意して耐える。相手を選ばない柔軟さがこのピクシーデッキの魅力だ。

 

 パイオニアならではの要素として、このリストはスタンダードのピクシーデッキをメイン80枚にバルクアップさせている。この増量によりこのフォーマットを代表するカードの1つ《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒にすることができるのだ。相棒はサイドボードからかけつけるクリーチャーであり、ヨーリオンはパーマネントを追放してから戻すというブリンクと呼ばれる能力を持つ。土地でないパーマネントを好きなだけブリンクできるのがヨーリオンの強みでありクールなポイント。これをピクシーや麒麟らの親玉、最終兵器として据えてロングゲームを競り勝つ。ただアドバンテージを取ったり盤面を支配するだけでなく、一気にフィニッシュまでも持っていける。《望み無き悪夢》を出入りさせて一気にライフをこそぎ取るわけだが、そこに《ケイヤの誓い》も加わればかなりの高火力に。誓いはクリーチャーやプレインズウォーカーの除去にも使えて3点回復もできる、久しぶりに目にしたけども本当にクールで良いカードだな。

 

 パイオニアで久しぶりに目にしたといえば《予言された壊滅》。このエンチャントも滅茶苦茶クールだ。各プレイヤーは自身のアップキープに土地でもトークンでもないパーマネントを生け贄に捧げなければならない。そうできなければそのプレイヤーは手札を1枚捨ててライフを2点失い、壊滅のコントローラーは1枚ドロー・2点回復・2/2警戒の騎士を得る。この壊滅でジリジリと相手のパーマネントを削っていく動き、好きな人にはたまらないクールなムーブ。自分が生け贄にするものは先にも挙げている通り役目を終えたエンチャントがいくらでもあるので困らない。《裏切る恵み》は3枚ドローをもたらすが、その後は戦場に残ってライフを失わせるというデメリット持ちである。これを壊滅により安全に処理すると、ああ今マジックやってるなぁ……とクールな快感に浸れる。工夫によりカードの良いところだけ享受する、これぞこのゲームの醍醐味だ。

 スタンダードとパイオニアのパイプは強く機能していると実感している。このクールな繋がり、活用して一つでも多くのフォーマットを楽しんでもらえれば幸いだ。いくつもデッキを用意するのは難しくとも、スタンダードベースにちょっとカードを入れ替え追加し……各自のペースでエンジョイしていただければと願う。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Play across formats!!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索