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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アゾリウス全知コンボ:スタンダードで遊ぼう!(スタンダード)

岩SHOW


 やあやあ、ゴールデンウィークはどうだった?日本各地で様々なイベントが行われていたことだろう。どこかへ遠出して遊びに行くかそれとも人ごみ回避であえて地元で過ごすか。どちらもそれぞれに良さがあるね。筆者は……これといって遠出はしなかったが、まったりとした時間を味わったよ。4月後半から5月にかけての気候が好きだなぁ。そんな快適な中、友人らとマジックのイベントを運営してきたよ。小規模で地域密着という色合いが強いけども、来場した皆がマジックを楽しく遊んでいる感じが伝わってきて、ああ開催して良かったなぁと。日を経てもなお噛みしめている。

 僕としてはスタンダードのイベントを絶対にやりたいという思いがあった。なぜなら昔……十数年前なんかは、カードショップはもちろんのこと公民館の一室などの自由スペースで、マジックの草の根大会がそこかしこで催されていた。そしてそれらのメインとなっているのがスタンダード、マジックの構築フォーマットの入り口であり定番のものだからね。週末は必ずどこかでスタンダードのイベントが遊べる、大なり小なりトーナメントに参加できる。これが当たり前だった。色々な理由でそういったイベントは減少の一途をたどってしまった。

 定期的に開催される大規模イベントにスタッフとして参加し、その場においてスタンダードはかつての活気を取り戻しつつあるというのを感じ取った。だからこそ次は小規模での盛り上げが重要だ。そんな思いを、この2025年ゴールデンウィークの始まりにかなえることができた。結果、想定よりもプレイヤーが集まってくれて予選ラウンド4回戦+上位4名による決勝ラウンドという形でトーナメントを運営することができた。僕の願望を形にしてくれた協力者である友人らと、参加してくれたプレイヤーの皆様にこの場を借りて感謝を伝えたい。もっともっと皆の遊び場、作っていけたら良いなぁ。

 というわけで前置きはここらにしておいて、『タルキール:龍嵐録』参入後のスタンダードで開催された該当イベントより、全勝優勝デッキを紹介させていただこう。アゾリウス(白青)+αのカラーリングで組まれた《全知》デッキだ!

Hayato Kai - 「アゾリウス全知」
スタンダード対戦会 DAILY DECK CLUB ~Standard Showdown~ #1 優勝 / スタンダード (2025年4月26日)[MO] [ARENA]
3 《アダーカー荒原
3 《金属海の沿岸
4 《フラッドファームの境界
4 《行き届いた書庫
2 《爆発域
1 《湧霧の村
3 《平地
4 《
-土地(24)-

3 《ファラジの考古学者
3 《マラング川の執政
-クリーチャー(6)-
4 《決定的瞬間
3 《乱動するドラゴンの嵐
4 《困惑の謎掛け
3 《食糧補充
3 《エファラの分散
3 《一時的封鎖
4 《アブエロの覚醒
4 《全知
2 《アルケヴィオスへの侵攻
-呪文(30)-
2 《否認
1 《呪文貫き
2 《堂々たる撤廃者
2 《石の脳
2 《解呪
1 《失せろ
1 《審判の日
1 《一時的封鎖
1 《この町は狭すぎる
1 《食糧補充
1 《ジェスカイの啓示
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 手札から唱える呪文はマナを支払わなくてもOK、ルール無視にも程がある巨大で超強力なエンチャント《全知》。これを出せれば勝利はグッと近づくが、真面目にマナを払って唱えるというのは現実的ではなさすぎる。そんなわけでなんらかの方法でこの《全知》自体を唱えることなく設置する、そんなコンボデッキが様々なフォーマットで組まれている。現行のスタンダードではそのコンボがかなり現実的な形で組まれており、コンボスキーたちのハート掴んでいる。

 《全知》を墓地に落とし《アブエロの覚醒》で対象にして釣り上げる。このソーサリーはエンチャントかアーティファクトを1/1飛行のスピリットという形で戦場に出す、かなり変則的なリアニメイト呪文。Xを支払うことでスピリットのサイズを上げられるという仕様だ。全知状態になれるのならそれ自体の戦闘力などはさほど重要ではなく、そのためXは0にして4マナで唱えれば、非常にお手軽なコストで全知全能のプレインズウォーカーと化すことが可能だ。全環境から使われてきたこのコンボ、タルキール環境でも健在どころか全盛期を迎えた感がある。

回転

 

 カードを引いて捨てたり、諜報や切削などを行って墓地に《全知》を落として覚醒で釣る。そうしたらドロー呪文を連打しまくり、フィニッシュに至る手段を見つける。その勝利への一手が《アルケヴィオスへの侵攻》。墓地・ライブラリー・ゲーム外という領域からインスタント化ソーサリーを探して手札に加える。このバトルを用いてゲーム外=サイドボードより《ジェスカイの啓示》をサーチ。呪文かパーマネントを手札に戻し、4点のダメージを与え、モンクを2体生成し、2枚ドロー、4点回復。色々やりすぎなこのインスタントで、対戦相手に4点ダメージを与えつつ《アルケヴィオスへの侵攻》を手札に戻す。また侵攻を出し直して墓地から啓示を拾い、4点叩き込んで回収……これを繰り返して対戦相手のライフを焼き尽くす!決まればまさしく全知全能の存在になった気分が味わえる、気持ちの良いコンボだ。《全知》後の勝利パターンはリストにより異なり、プレイヤーの好みがうかがえてそういう点でもこのコンボデッキは面白い存在だ。

 

 タルキールの参入によりこのデッキはフィニッシュ以外の新戦力も手に入れた。手札から《全知》を捨てる手段となるドロー呪文が充実のラインナップに。《乱動するドラゴンの嵐》は2マナと軽く、2枚引いて1枚捨てる使いやすいドロー。そして《マラング川の執政》は前兆呪文《巻きつき捕らえ》が3枚ドローの1枚捨てるインスタントで、これも隙なくコンボのセットアップを可能にする。

 そしてこの2枚は組み合わさることで真価を発揮する。《マラング川の執政》として戦場に出せば、それはドラゴンなので《乱動するドラゴンの嵐》は手札に戻る。複数のマラング川が組み合わされば、それでお互いを手札に戻して出してドラゴンの嵐が出入りして……それだけ動けば《アルケヴィオスへの侵攻》を引き込めるはずだ。またマラング川はシンプルにデカくて飛んでいて、相手への妨害も兼ねる強いクリーチャー。コンボが決まらない時はこれがフィニッシャーとなってくれるというのも嬉しいポイントだ。

 スタンダード、定番の構築フォーマットであるからには遊ぶ場所がなくてはね。同じような思いを抱く同志が、小規模で構わないので各地で大会を開いてくれることを心から願っている。そしてそういった場所で使用されたデッキをここで紹介させてもらえれば、これほどマジックプレイヤーとして冥利に尽きることはないね!

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