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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:あの猫の仔が大活躍、BGキャット(レガシー)

岩SHOW
 

 マジックからしか得られないクールな要素を、デッキやカードについて語ることで摂取していくことが目的の当コーナー「今週のCool Deck」。今回は……親子をテーマに取り上げよう。マジックには様々な親子が登場し、カード化されている。親子の形はそれぞれ、たとえば最近のセットで見られる親子であればケランとオーコ。領界路編はこのクールな親子を取り巻く物語だったね。

 あとはタミヨウとナシも血のつながりはないが立派な親子だ。そういう意味ではファイレクシアとの戦いに執着したウルザと、そのウルザの血統計画により生み出されたジェラード、あるいはそのジェラードの友人であり同じくウルザのレガシー計画の一部であったカーンなども親子と言えるかもしれない。

 そんなのをすっ飛ばして親子がカードになっているものといえば《Infernal Spawn of Infernal Spawn of Evil》。邪悪なる地獄の落とし子こと《Infernal Spawn of Evil》の地獄の落とし子であり、イラストには獣の親子の姿が描かれており、なんとも微笑ましい。ジョークセットであるアン・セットらしいクールなカードであり、初代地獄の落とし子から見た孫までもカード化されていたりする。これはマジックならではのクールさを体現した1枚だ、これを使ったデッキを紹介したいところだが、一体何のフォーマットでどんな人が組んでいるのかわからないって!

 

 邪悪なる地獄の落とし子一家のことを思い出したのは、レガシーのデッキリストを漁っている時にあるカードを目にしたからだ。それは《大鎌猫の仔》。大鎌猫といえば『ゼンディカーの夜明け』の《縄張り持ちの大鎌猫》のこと。この親大鎌猫は上陸により+1/+1カウンターが乗るコモンである。

 その子どもである仔猫が《大鎌猫の仔》。おどけなくも静観に見えるこの仔猫は、ハッキリ言って親猫よりも何倍も強い。親と同じく上陸で+1/+1カウンターを乗せる能力を持つが、これはなんと仔以外のクリーチャーを対象にとって乗せることもできる。ただ単に自分がデカくなるだけでなく他を強化できるのはそれだけでクールだ。そしてさらに!これが同一ターンで2回目の誘発であった場合、カウンターを1個乗せるのではなくそのクリーチャーに乗っているカウンターを倍にするという変則的な処理を行う。カウンターをゴリゴリに乗せられる可能性を持ち、親よりもスリムな2マナ2/2という現実的なスペックの持ち主だ。

 ところでこのカード、僕は今回初めて目にしたのだけどもこれは何のカード?答えは『ファウンデーションズ ジャンプスタート』!昨年秋にリリースされた『ファウンデーションズ』と同時にリリースされた、2つのパックを組み合わせて遊べるジャンプスタートというゲームのためのパックだ。タイトル通り『ファウンデーションズ』のカードを中心に、このセットのオリジナルカードも多数収録されている。そのオリジナルカードはレガシーやヴィンテージ、統率者戦などで使用することが可能だ。2パックのお気軽リミテッドでクールに遊んだ後には、自分のデッキに採用して輝かせたいところ。

 では前置きが長くなったが、この《大鎌猫の仔》を搭載したレガシーのデッキを紹介させていただこう。

Mark Kohler - 「BGキャット」
4. Fischkrieg-Series 2025 優勝 / レガシー (2025年4月19日)[MO] [ARENA]
4 《新緑の地下墓地
4 《霧深い雨林
2 《Bayou
1 《地底の遺体安置所
2 《ガイアの揺籃の地
1 《ボジューカの沼
1 《ドライアドの東屋
1 《ハイドラの巣
3 《不毛の大地
2 《マダラの鉤爪門
1 《
2 《
-土地(24)-

4 《下賤の教主
1 《極楽鳥
2 《エルフの開墾者
2 《森を護る者
4 《大鎌猫の仔
4 《聖遺のワイト
3 《オークの弓使い
1 《溜め込み屋のアウフ
2 《忍耐
-クリーチャー(23)-
4 《思考囲い
2 《殺し
4 《緑の太陽の頂点
3 《むかしむかし
1 《飢餓の潮流、グリスト
-呪文(14)-
2 《突然の衰微
1 《爆発域
2 《活性の力
1 《辺境地の罠外し
1 《溜め込み屋のアウフ
2 《殺し
2 《攪乱のフルート
4 《虚空の力線
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 こちらはゴルガリ(黒緑)カラーのクリーチャー主体デッキ、「BG Cat」とも表記されているリストだ。Catはもちろん猫、BGはデッキリストの表記だと黒と緑のことである。キャットは勿論《大鎌猫の仔》のことであり、この猫を主役にしたデッキということが理解できる。レガシーで主役になれるということはそれだけクールなポテンシャルを秘めているということだな。レガシーと言えば《新緑の地下墓地》などのフェッチランド、生け贄に捧げることで特定の土地を探して戦場に出す土地のサイクルだ。これで2つ以上のタイプを持つ土地を探すことで多色デッキを安定化させ、ライブラリーを圧縮したり切り直すという副産物も得られるためありとあらゆるデッキで採用されている。そのフェッチで上陸能力を楽々2回以上誘発させ、《大鎌猫の仔》でクリーチャーをガンガンに強化して殴る…そんなアグレッシブなデッキだ。

 

 このリストはただフェッチと猫を組み合わせているだけでなく、あらゆる手段で上陸を達成させる。《緑の太陽の頂点》は猫を確実に繰り出す手段であり、かつ《ドライアドの東屋》をサーチすればマナ加速しつつ上陸を引き起こす。《溜め込み屋のアウフ》や《忍耐》など特定のデッキに効く1枚をサーチするシルバーバレット戦術も取れる。そしてサーチと言えば《聖遺のワイト》や《エルフの開墾者》、これらはクリーチャーや土地を生け贄に捧げることで、代わりにラブラリーから土地を探して戦場に出す。このサーチする土地は基本土地などの縛りはなく何でも持ってこれるので、フェッチを持ってきて上陸連打したり《不毛の大地》でマナ基盤を攻めたり色々とクールなアクションを起こせる。

 

 レガシーでこの手の緑のクリーチャーデッキであれば、その強みは《ガイアの揺籃の地》が使えるところ。クリーチャーの数だけ緑マナを加える、古のクールな最強土地の1つだ。これをワイトや開墾者で持ってきてドドドッとマナを溢れさせ、《緑の太陽の頂点》を唱えて《飢餓の潮流、グリスト》を持ってくるなどして戦うのが緑のデッキの特権だ。

 このタップリなマナの使い道として《マダラの鉤爪門》は激シブな仕事をしてくれるだろう。これが戦場に出た時、クリーチャー1体をフェイズ・アウトさせる。戦場にいないかのように無視するこの処理を、この土地はマナさえあれば任意のタイミングで行える。{4}払えば手札から戦場に出せるので、対戦相手のターンなどインスタントのタイミングでフェイズ・アウトを起こせる。これで対戦相手のクリーチャーを無視して攻撃したり、あるいはこちらのクリーチャーに除去が飛んできたりしたのを回避するなど、状況に合わせてフェイズ・アウトさせつつ猫の上陸を引き起こそう。このアクションはマナを食うので、そこはガイアで捻出しましょうと。

 《大鎌猫の仔》と《縄張り持ちの大鎌猫》、セットを越えた親子のカード作られるマジックは本当にクールだ。皆が今プレイしているカードも、後に何かのカードの親になるのかもしれないね。カードの家族、クールすぎるぜ。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Family Reunion‼

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