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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

レインボーリッチをもう一度!(ヒストリック)

岩SHOW

 言い方は悪いかもしれないが、やっぱり変なデッキを使っている時が一番楽しいな。マジックにどっぷりハマり、20年以上プレイし続けているのはこれが最も大きい要因だと確信している。

 強いデッキや流行りのデッキ、このカードはこう使ってくれよなというメッセージに従ったデッキでプレイするのも楽しい。それと同じくらい、強さで言えば落ちるが楽しいデッキ、誰も知らないデッキ、このカードをこんな使い方で!?というデッキでプレイするのも楽しい。

 理想はこの後者、いわゆる「変なデッキ」でしっかりと勝つことだな。その偉業を成し遂げたプレイヤー、デッキビルダーを目の当たりにすると、畏敬の念を抱かざるを得ない。

 先日そういった普通じゃない、ちょっとクレイジーなデッキをプレイしたいなぁと思っていた時のこと。ある懐かしいデッキを思い出した。「レインボーリッチ」だ。詳しくは過去に紹介した回を読んでみてね(セルフ宣伝)。

 《リッチの熟達》はゲームに敗北しなくなるという強烈な一文が刻まれたエンチャント。これを維持できればまさしく不死身、無敵、不老不死!

 これと組み合わせるのは《栄光の好機》。

 追加ターンを得られるが、そのターンの終了時にゲームに敗北してしまう。これをリッチでスルー。ノーリスクで追加ターンを得られることに注目したコンボデッキだ。

 この2枚にさらに組み合わせるのが《ミラーリ予想》。

 《栄光の好機》を墓地から回収し、追加ターンをもう一丁。

 そしてこれらの3枚を揃えるために《首謀者の取得》も用いる。

 これも《ミラーリ予想》で墓地から回収可能で、拾ったこれでサイドボードから《苦悩火》をサーチ。

 続く追加ターンを迎えたら《ミラーリ予想》のⅢ章能力が誘発。このターンに唱えたインスタントとソーサリーが自動でコピーされるので、X=10以上の苦悩火をぶっ放して、禁断のX火力二度撃ちで勝利。

 このカードが複雑に絡み合う様、これぞコンボデッキ! これがスタンダードでプレイできたというのもたまらないね。このデッキがトーナメントで優勝して存在を示して以降、ずっとこのデッキをプレイしていたなぁ。

 今回はご察しの通り、この名デッキの復活を狙ってみたというお話だ。思い出のデッキを遊ぶなら、ヒストリックという格好の舞台がある。MTGアリーナでかつてプレイしていたスタンダードのデッキ。そのすべてではないが、多くのものはヒストリックで再現可能で、かつ当時のスタンダードになかったもので強化してやることさえも可能だ。

 「レインボーリッチ」で言うなら……このデッキはコンボで勝つが、基本的には盤面のパーマネントを破壊し続けるコントロールだ。除去呪文の質というのは生存可能ターンを大きく分ける。当時のスタンダードにはなかったものとして《致命的な一押し》や《神の怒り》、《絶滅の契機》といった優秀なカードがヒストリックにはズラリ。これらはありがたく使わせてもらおう。

 中でも注目すべきは《稲妻のらせん》だ。

 3点ダメージで3点回復、序盤に出てくる小物を潰しつつライフを保つナイス除去であるが、《リッチの熟達》によりこの回復は3枚ドローになる。《ミラーリ予想》のⅢ章能力でコピーして6枚ドローなど腕白が過ぎることもできてしまうので、これは絶対にセットで使いたい。

 そんなわけでリッチによる美しいフィニッシュはそのままに、歴代のカードで彩った2021年の「レインボーリッチ」のスタイルを確立せんと色々試しているのだが……これがなかなか、勝つのは難しい。

 ただコンボがスタートした時のワクワク感は尋常ではなく、まさしくアドレナリンがあふれ出る。叩き台として今いじっているリストを公開するから、同じようなもの好きなプレイヤーはもっと良いリストにブラッシュアップしてちょうだい!

岩SHOW - 「レインボーリッチ」
ヒストリック (2021年5月)[MO] [ARENA]
1 《平地
1 《
1 《
1 《
1 《
1 《孤立した礼拝堂
1 《聖なる鋳造所
1 《寺院の庭
1 《陽花弁の木立ち
2 《湿った墓
2 《水没した地下墓地
1 《繁殖池
2 《内陸の湾港
1 《竜髑髏の山頂
2 《草むした墓
1 《森林の墓地
1 《ケトリアのトライオーム
1 《インダサのトライオーム
1 《ゼイゴスのトライオーム
1 《世界樹
2 《寓話の小道

-土地(26)-

1 《不屈の巡礼者、ゴロス
1 《スラーグ牙

-クリーチャー(2)-
2 《致命的な一押し
4 《探検
2 《稲妻のらせん
1 《無情な行動
1 《アズカンタの探索
3 《楽園の贈り物
2 《栄光の好機
2 《古き神々への拘束
2 《首謀者の収得
1 《悪魔の契約
1 《絶滅の契機
1 《神の怒り
2 《ミラーリ予想
1 《影の評決
2 《リッチの熟達
2 《覆いを割く者、ナーセット
2 《伝承の収集者、タミヨウ
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー

-呪文(32)-
1 《スラーグ牙
3 《思考囲い
1 《軍団の最期
1 《新たな芽吹き
1 《引き裂き
2 《神秘の論争
1 《悪魔の契約
1 《絶滅の契機
1 《影の評決
1 《苦悩火
1 《神秘を操る者、ジェイス
1 《伝承の収集者、タミヨウ

-サイドボード(15)-

 《探検》《楽園の贈り物》で使えるマナを増やし、各種除去で耐え、十分なマナとキーカードが揃い安全な戦場が作れたら《リッチの熟達》を投下。ライフを得てドローし、《栄光の好機》で追加ターンを得て、《ミラーリ予想》と《首謀者の取得》でアドバンテージを得て、《苦悩火》で勝つ……このストーリー性がたまらない。

 諸君、これぞマジックだよ!と胸を張ってランク戦にジョインしては、ボッコボコにされている(笑)。だが、たまにコンボが決まった時、その時は「まだまだこのコンボを諦めないぞ」という気持ちが沸き起こってくる。僕自身、ある意味リッチ(生ける屍)と化しているのかもしれない。

 こういう、人を良い意味で狂わせるデッキと出会った時、マジックをしていて良かったと心から思える。あなたにとっては、それはどんなデッキだろう? ヒストリックで蘇らせることが可能ならば、ぜひ挑んでみてほしい。その挑戦は、数字にはつながらないかもしれない。しかしきっと、何か満ち足りたものは得られるはずだから。

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