READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スタンダード環境を象徴する1枚《渦泥の蟹》編(スタンダード)

岩SHOW


 前回では2026年夏のスタンダードにおける「環境を象徴する・代表するカード」について扱った。今回も同じく現スタンダード環境の主要デッキにおいて根幹をなしている1枚についてとりあげよう。今回のカードはこちら。

 

 《渦泥の蟹》……このクリーチャーは7マナ5/5で瞬速持ち、戦場に出ればクリーチャーを2体タップできる。対戦相手の攻撃クリーチャー指定前に出して、攻撃を防ぐ。あるいは普通に自分のターンに出して、こちらの攻撃を強引に通すなど、攻防両面で役に立つ能力を持っている。そしてさらにもう1つ、無視できないのがコスト軽減能力。7マナと重いコストではあるが、墓地にあるインスタントやソーサリーカード1枚につき{1}コストが軽減される。5枚あれば青マナ2つのみで唱えられるというわけだ。このコスト軽減が蟹の最大の魅力である。

 

 現スタンダードにはこのインスタントとソーサリーの中でも、コストが軽く優秀なものが沢山ある。特にそれらの呪文を得意とする青と赤は素晴らしいラインナップを誇っている。《選択》《手練》は手札を減らさずに1マナでライブラリーを掘り進める。これらで蟹やその他の必要なカードを手札に引き込みつつ、墓地のカウントを増やせる。クリーチャー除去であれば《噴出の稲妻》《すべきでない悪ふざけ》《焼きつけ》といったカードがある。

 他にも《呪文嵌め》などの打ち消しやアドバンテージを大きく得られる《没頭》などなど……そういった青と赤のインスタントを主軸に構成されたイゼット(青赤)系アーキタイプは、現スタンダードにおける一大勢力だ。そしてそれらのデッキで《渦泥の蟹》はそのポテンシャルをいかんなく発揮し、ゲームの決め手となっている。まさに環境を象徴する1枚であるこの蟹、イゼットの中でも最も重要視しているデッキが……

rushi_00 - 「イゼット・スペレメンタル」
Magic Online Standard Showcase Challenge 優勝 / スタンダード (2026年7月11日)[MO] [ARENA]
4 《蒸気孔
4 《リバーパイアーの境界
4 《尖塔断の運河
2 《轟音の滝
6 《
-土地(20)-

4 《かまどの精
4 《渦泥の蟹
4 《刻み群れ
-クリーチャー(12)-
4 《選択
4 《手練
2 《没頭
2 《冬夜の物語
2 《傷残す批評
4 《噴出の稲妻
2 《すべきでない悪ふざけ
2 《呪文嵌め
2 《今のうちに出よう
4 《プリズマリの魔除け
-呪文(28)-
2 《除霊用掃除機
2 《無効
1 《軽蔑的な一撃
1 《舷側砲の一斉射撃
1 《間の悪い爆発
1 《魂の洞窟
4 《彩嵐の雄馬
2 《液状の重罪犯、ハイドロマン
1 《轟く機知、ラル
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 「イゼット・スペレメンタル」!スペル(呪文)とエレメンタルを合わせた造語であるこのアーキタイプ。メインの構成要素はスペルことインスタントとソーサリーだ。それらを序盤から連打することで、墓地を豊かにして蟹を早いターンに唱えられるようにする。そして加えて、同様にコストが軽減される《かまどの精》も採用。早ければ3ターン目からこれらのエレメンタルが戦場に出てくるため、上手く回ればサイズで対戦相手を圧倒できる。

 そして……これらのクリーチャーの共通点はエレメンタルのタイプを持っているということ。高コストのエレメンタルという共通点を持ったこれらのカードは《刻み群れ》を唱えることを助けるという同じベクトルのカードでもあるのだ。《刻み群れ》はエレメンタルのコストを参照してこれのコストも軽減されるため、蟹たちエレメンタルをコントロールすることでかなりのコスト軽減が見込める。そして、《刻み群れ》が戦場に出ればエレメンタル以外のクリーチャーはいなくなる……戦場から手札にバウンスされてしまうのだ。すべてまとめて!エレメンタルを用いないクリーチャーデッキは、これが出てきたらジ・エンドと言って良いレベルだ。パワフルなエレメンタルらを繰り出すために墓地にスペルをため込み、早いターンに繰り出したエレメンタルで殴り勝つ。これが「イゼット・スペレメンタル」というアーキタイプの戦略だ。

 

 《手練》などを連打していくのがデッキの主な動きなわけだが、真面目に唱えた呪文を1枚ずつ置いていくというのではまどろっこしい。ショートカットも必要だ。たとえば《プリズマリの魔除け》。これは3つのモードから選んで唱える便利なインスタントで、タフネス1が複数体並んでいるところをまとめて除去したり、厄介なパーマネントをバウンスしたりと妨害手段であり……そして諜報2を行ってカードを引くモードもある。これはライブラリーの上から2枚見て、望むだけ墓地に置いて残りを並べ替えるという処理である。もしこのカードでスペルが2枚見えたとしたら……両方落とせば、魔除け自信を足して合計で3枚ものスペルが墓地に落ちることになる。こうなれば《かまどの精》も《渦泥の蟹》ももう難なく唱えられる範囲だ。

 また《冬夜の物語》はカードを3枚引いて、クリーチャーカード1枚を捨てるか手札を2枚捨てるかを選ぶ。クリーチャーを捨てた場合、手札の枚数が増えてお得なソーサリーとなるのだが、あえて2枚捨てるのを選ぶことで、これまたスペルのカウントを3つ進めることができてしまう。また《冬夜の物語》は墓地にある時にも調和コストで唱えられる。このコストの支払いはクリーチャーをタップすることでそれのパワー分だけマナが軽減される。メインデッキの面々はいずれもパワー4以上なので、これらを出してタップすれば青マナ1つだけでまた3枚ドロー&ディスカードを狙える。スペレメンタルデッキには特に噛み合っている1枚だ。

 

 スタンダードを象徴するカードの1つ《渦泥の蟹》。今回取り上げた「イゼット・スペレメンタル」以外にも「イゼット果敢」にも採用されるこのクリーチャー。青赤2色のデッキが土地を寝かせずにターンを終えた時、墓地の枚数をチェックして蟹が飛び出してくるか否かを確認しよう。兎に角よく目にするクリーチャーなので、常に念頭に置いておきたい1枚だ。というわけでスタンダード初心者に向けて、環境を象徴する1枚をピックアップしてデッキ情報をお届けするこのシリーズ……今後もやっていこうと思うので、どうぞよろしゅう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索