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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ファイラス大反射(スタンダード)

岩SHOW

 週に一度のこのコーナーでは、強さとか実績とか、そういったものよりも何よりそのデッキがクールなのか否かを独断と偏見で判断。これはクールだと言えるデッキを見つけて紹介するコラムとなっている。

 ただビジュアルのクールさだけを紹介する時もあるが、なるべく使用感を交えたいので組めるデッキはコピーして試してみる。そんな時、クールすぎてデッキに理解が追い付かないことがしばしばある。

 今回ご紹介するのも、そんな「クールの壁」というものを体感させられた逸品。ちょっとレベルが高すぎて、ここで紹介できるほど理解できているかというと、そんなこともなく……デッキに申し訳ないという気持ちもないこともないが、オンリーワンの思想で組まれた魅力が伝わればと、ピックアップを決意。

 それじゃあリストを見てもらおう!

Platinum-Mythis Rank Player - 「ファイラス大反射」
スタンダード (2021年5月17日)[MO] [ARENA]
8 《冠雪の森
5 《冠雪の平地
1 《
1 《
1 《
1 《世界樹
2 《寓話の小道
1 《進化する未開地
-土地(20)-

1 《水蓮のコブラ
3 《カザンドゥのマンモス
3 《正義の戦乙女
2 《地平の探求者
1 《樹の神、エシカ
2 《アルダガルドのスピリット
3 《世界を彫る者、ファイラス
4 《豆の木の巨人
-クリーチャー(19)-
1 《冒険の衝動
4 《世界樹への道
3 《神秘の反射
3 《狼柳の安息所
1 《偉大なる存在の探索
4 《耕作
1 《鴉の警告
4 《古き神々への拘束
-呪文(21)-
4 《カザンドゥの蜜壺虫
4 《硬鎧の大群
4 《渡る大角
1 《世界を彫る者、ファイラス
1 《不気味な教示者
1 《精霊龍、ウギン
-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 まず、どうジャンル分けして良いかがわからない。コンボであることは確かだ。MTGアリーナのスタンダードのランク戦で使用され、プラチナ~ミシック間で6連勝以上の成績を残したとされている。

 キーカードをまず1つ、《世界を彫る者、ファイラス》。

 ファイラスはコントロールしている基本土地の数だけ植物・トークンを生成する。つまりは使うのであれば土地てんこ盛りのランプ系デッキ、そう思い込んでいたのだが……デッキの土地総数は20枚。少ない!

 《耕作》《世界樹への道》《古き神々への拘束》で土地を得るのでそんなに枚数はいらないという思想だろう。まずこの大胆さがクールだな。

 そしてファイラス、真面目に上陸能力で植物を育てて殴っても良いが、前述のようにコンボを決めるために用いるのだ。それでは詳しく解説していこう。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:植物たちの大反射

 ファイラスは1枚で複数体のトークンを生成可能だ。そのトークンは0/1の植物。弱く、使い捨てのブロック役くらいしか使い道がない。もちろんファイラス自身の能力でサイズアップさせられるが、もっと手っ取り早く戦力に変えて勝利したい。

 そのために《神秘の反射》を用いる。

 ファイラスの能力が誘発し、それを解決する前にこのインスタントを唱える。すると、大量に発生する植物・トークンは代わりに反射で対象にしたクリーチャーのコピーとなる! では、何をコピーするのかというと……

 これらが候補となるかな。巨人やスピリットで高パワークリーチャーを一気に複数体得るも良しだが、最強は《正義の戦乙女》。それぞれの戦乙女が自分以外の戦乙女の数だけ能力を誘発させ、マシンガンのように4点回復を連射。結果としてライフは27を超え、そうなると戦乙女全員がすべての自軍クリーチャーを+2/+2の修整を与え……なんかもうめちゃくちゃな戦場になる。

 《神秘の反射》は予顕でき、その際は{U}で唱えられる。戦乙女などコピー元を出しながら予顕し、次のターンにファイラスから反射と動けば計7マナでコンボが決められる。《耕作》などを絡めれば、5ターン目くらいには決められるというわけだ。対クリーチャーデッキにおいては無茶苦茶にクールな動きだ。

 ファイラス以外にもトークンを生成するカードがいろいろとあるので、《神秘の反射》を上手く使ってゲームを進めていこう。

クールポイントその2:クール極まるサイドボード

 このデッキのサイドボードは、これまた異形とも言えるクールさを誇っている。まず《鴉の警告》を採用している関係から、ライブラリーの上に持ってきて嬉しいカードをいくつか散らしている。

 4枚目のファイラス、圧倒的な盤面掃除役《精霊龍、ウギン》、そして《世界樹》なしでは唱えられない《不気味な教示者》。

 この教示者は主に《神秘の反射》を得るためのものだろうね。凄まじい発想だ。

 そして残りの12枚は、土地に関する能力を持ったクリーチャーたち。上陸能力を持った2種類の昆虫と、変容して基本土地を戦場に出す《渡る大角》だ。

 サイド後は大角を《硬鎧の大群》に変容して3/4軍団で戦場を埋め尽くしたり、大群が生み出すトークンを反射で別の者に変換して戦うプランなのだろう。とんでもないオリジナリティの高さにはクールとしか口にできない。

さらなるクールのために

 このリストをコピーして、使用感を確認しようとしたが……恥ずかしながら《世界を彫る者、ファイラス》を4枚持っていなかった。代わりを務めるカードが何かないか探してみたところ、《調和のアルコン》はクールな1枚になり得るなと。

 この執政官は戦場に出た際に人間・トークンを2体生成する。その能力を解決前に《神秘の反射》でアルコンを対象にすれば、2体のトークンはアルコンのコピーとして戦場に出る。そのコピーがまたそれぞれ2体の人間を生成する。結果、アルコンと反射、カード2枚で4/5飛行×3体+3/3×4体という、20点を超えるダメージを叩き出せる軍団が戦場に降臨する! 比較的実現可能なコストなのがクールだな。

クール・ウォーニング!

 当コーナーでも初めて出てくる項目だ。もしこのデッキに興味を持ったクールなプレイヤーがいた時のために、注意点を記しておく。クールなデッキというのは癖が強いものだ、後世に知識を託してこそクールの伝道師。

 このデッキで気を付けてほしいのは「あまり無茶苦茶しないように!」という一点。どういうことかと言うとだね……コンボを実体験するため、MTGアリーナで怪しげなデッキをプレイする際にお馴染みのBot戦、Sparkyとゲームを行っていた。

 彼女を相手に安全な状況で、コンボの使用感を試そうと思ったのだが……どれだけ引いても《神秘の反射》が引けず、ゲームはズルズルと長引いていく。いたずらに土地が並び、それ故にファイラスの生成する植物の数は膨れ上がることに。

 ようやく反射を引いたので、ファイラスを唱えて能力誘発→反射と動く。対象は《正義の戦乙女》。すでに戦場には戦乙女が2体いる状況で、そこにファイラスが16体の戦乙女を引き連れてきた。すべてで272回、戦乙女の能力が誘発し……ゲームは引き分けになった。

 あまりにも能力がスタックに積まれ過ぎて、正常に処理されなかったのだ。いつでもこのトラブルが起こるとは限らないが(1000に近い数の能力が誘発した経験もあるが、それらは正常に処理された)、無駄に打点を大きくし過ぎないように、勝てる値で満足してコンボを決めるのが無難だろう。オーバーキルすぎてもクールじゃないってことだね。

クールなまとめ

 改めてリストを眺めると、その独自性とこの複雑怪奇なデッキで6連勝以上を成し遂げた使用者の能力の高さに驚かされる。クールデッキは底なしのジャンルだ、安易に手を出すものじゃないという警告のようにさえ思える。が、こちらも世にクールを広めるのだと覚悟を決めた身だ。まだまだ、もっと背筋にゾクリとくるようなデッキを見つけて紹介していくぞ!

 それでは今回はここまで。Stay cool! Let’s reflect!

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