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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

レインボーリッチ(スタンダード)

岩SHOW

 ずっとマジックをやっていると、時折「異形のデッキ」ってのを作りたくなるもんだ。

 それは呪いのようなもの。わかっている、こんな出鱈目な構築で勝てないことなどわかっているんだが、それでもやってみたいんだからしょうがない。荒唐無稽なカードの組み合わせ、およそ実戦の場で決まるとは思えぬハチャメチャなコンボを狙う、そういうところにもマジックの楽しさ・喜びというものはあるものなのだ。

 その欲を満たすために、往々にして勝利という最も欲しいものを手放さなければならないのだが……世界は広い。同じような異形のデッキで、大規模トーナメントで勝ってしまう猛者たちがいるもので。

 先日、100名を超えるトーナメントで優勝したのは……なんと、あのロマンの具現化《リッチの熟達》をキーとしたデッキだった。

 僕もこのカードに魅せられたことがあって、《不死身、スクイー》と一緒に使うコントロールデッキなどを考えたが、良い形にできずに、結局このカードを使ったコレというデッキは組めなかった。天才の出現を待っていたのだが……ついにその時が来たかッッ!

 これが「レインボーリッチ」のその麗しき姿だ!!

Ali Aintrazi - 「レインボーリッチ」
StarCityGames.com Standard Classic Charlotte 優勝 / スタンダード (2018年10月28日)[MO]
1 《平地
1 《
1 《
4 《孤立した礼拝堂
2 《湿った墓
1 《水没した地下墓地
3 《寺院の庭
2 《陽花弁の木立ち
2 《内陸の湾港
3 《草むした墓
1 《森林の墓地
1 《聖なる鋳造所
1 《蒸気孔
1 《硫黄の滝
1 《竜髑髏の山頂
1 《ギルド門通りの公有地

-土地(26)-


-クリーチャー(0)-
4 《活力回復
1 《アズカンタの探索
4 《楽園の贈り物
2 《栄光の好機
1 《予言
3 《残骸の漂着
3 《ヴラスカの侮辱
2 《首謀者の収得
1 《薬術師の眼識
3 《ミラーリ予想
2 《浄化の輝き
3 《リッチの熟達
4 《発見+発散
1 《発展+発破

-呪文(34)-
2 《秋の騎士
3 《正気泥棒
1 《黎明をもたらす者ライラ
3 《殺戮の暴君
2 《強迫
1 《自然のらせん
1 《轟音のクラリオン
1 《不滅の太陽
1 《苦悩火

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 《リッチの熟達》はただでさえ{B}{B}{B}のコストを支払うのが大変で、2色デッキでも運用は簡単ではないカードだと思っていたのだが、そんなものは臆病者の思想だと笑うかのように豪快な5色=レインボーという構成。これぞラヴニカパワー、《湿った墓》など通称ショックランドと呼ばれる2色土地の加入により、これぐらいのわがままは押し通ったりするのだ。

 このデッキが誕生したのはショックランド以外にも『ラヴニカのギルド』で得たものがあったからだ。それではこのデッキの奇想天外なリッチデッキがたどる摩訶不思議な物語を読み解こう。

手順1

 とにかく耐える。これ大事。リッチのようなぶっとんだカードで勝とうと思うのであれば、謙虚さは必須。まずはこの6マナのエンチャントを安心して運用できるようになるまで、相手の攻撃を凌いで生き延びること。《楽園の贈り物》で回復しながらマナを伸ばして、《残骸の漂着》《浄化の輝き》《ヴラスカの侮辱》でとにかく死なないように耐える。

 安全な盤面を作るまでは、コントロールデッキとして立ち回るのだ。《活力回復》のように回復カードはあるので、可能な限り引き付けて効率よく全体除去で薙ぎ払ってやりたい。

手順2

 除去の枚数自体はそれほど多いわけではない。そこで《ミラーリ予想》を使って再利用する。

 このカードはドロー呪文を回収することにも使えるので、ここからアドバンテージを得ながらゲームを進めていく。隙あらばドローして手札を整え、土地もしっかりと置いていく。《首謀者の取得》を使い、その場その場で必要なカードを積極的に探すように。

手順3

 {B}{B}{B}{W}{R}を含む9マナ以上が用意できれば、いよいよ動き出す時だ。《リッチの熟達》を出すと、あなたはゲームに敗北しなくなる。これを利用して《栄光の好機》をノーリスクで使用する。

 3マナで追加ターンを得て、そのターンが終わっても負けることがない。こうして得たターンで、《活力回復》《楽園の贈り物》で回復してリッチでその分ドロー。この動きを何度か行いつつ、《ミラーリ予想》で《栄光の好機》を回収して再利用までいければ最高だ。

 《ミラーリ予想》で回収した《首謀者の取得》でサイドボードから《自然のらせん》を引っ張ってきて、これで《ミラーリ予想》を回収。再度使用すれば《栄光の好機》《自然のらせん》を回収できる。

 《ミラーリ予想》が2枚以上になると、回収・再使用・《栄光の好機》をⅢ章能力でコピーというサイクルが完成する。

手順4

 もう相手にターンが返ることはない。この時点で投了されるとは思うが、相手が最後までコンボを見たがる場合には、《発展+発破》かサイドから持ってきた《苦悩火》を《ミラーリ予想》Ⅲ章能力でコピーして勝つことになる。


 一体どうやってこんな難解なパズルを構築したのか? その素晴らしい発想に敬服! 実際のゲームでこの動きを毎回決められるのかどうか、異形愛好家の皆様には一度トライしていただきたい。

 《浄化の輝き》に弱いので、サイド後はリッチコンボのパーツを抜き去って《殺戮の暴君》などクリーチャーをサイドインして殴るデッキに変貌するのも面白い。

 俗に言う「初見殺し」を決めまくっての優勝だとは思うが、さあネタバレしてなお勝てるのか? 今度は君の手でこのリストをブラッシュアップし、真のリッチ(不死者)へと昇華させる番かもしれない!

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