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戦略記事

市川ユウキの「プロツアー参戦記」

プロツアー『サンダー・ジャンクション』 前編

市川 ユウキ

 こんにちは!市川(@serra2020)です!今回もプロツアーに向けての調整記、大会レポートを綴っていこうと思います。

 前編では4月26日から28日までにスタンダードとドラフトの混合フォーマットで行われた「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします。
 

0.近況と目標

 前回の「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」では2勝5敗で初日落ちしてしまった市川。

 獲得精算マッチ・ポイント(何回も説明しているのですごくざっくり言うとプロツアー2日目進出者が得られるポイントです)の累計によってプロツアー参戦継続、および世界選手権出場を目指すのがもっとも現実的な現在のルールにおいて、初日落ちは大罪です。

「プロツアー『指輪物語』」9勝7敗
「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」 初日落ち

 獲得精算マッチ・ポイントでプロツアーに出場するには直近のプロツアー3つ合わせて39点以上獲得している必要があります。

 獲得精算マッチ・ポイントは勝ち数から9点(=3勝)を引いたポイントが計上されますから、現在私が所持している獲得精算マッチ・ポイントは18点になります。

 これに獲得精算マッチ・ポイントを上乗せして次回の「プロツアー『モダンホライゾン3』」に出場するとなると「プロツアー『サンダー・ジャンクション』」で求められる獲得精算マッチ・ポイントは21点。

 10勝6敗以上が要求されるため、それは獲得精算マッチ・ポイントを獲得していない人と全く同じボーダーということになります。

 つまるところ、ことプロツアーに出場するにあたって私の「プロツアー『指輪物語』」9勝7敗は全く意味をなしていないことになります。

 これもひとえに「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」で初日落ちしてしまったのが要因です。ここで2日目に大負け、6勝10敗などで終えていたとしても9点の獲得精算マッチ・ポイントの上乗せがあり、そうすると今回のプロツアーでのボーダーが7勝9敗以上になるわけです。

 プロツアー継続参戦という一つの目標に対して、途端に窮地に陥ってしまった市川。獲得精算マッチ・ポイント的にも気持ち的にも新たにしてプロツアーに挑みます。
 

1.調整メンバー

 今回も日本最強チーム(自称)の「森山ジャパン」で調整を行いました。

市川ユウキ

私です、がけっぷち!

井上徹

見た目と裏腹に意外と頑固で、デッキを決めてやり込むタイプ

高橋優太

明鏡止水のメンタリティでチームでは師範と呼ばれています

中村修平

殿堂リミテッドおじさん、最年長で面倒見が良いです

原根健太

マッチアップ相性を俯瞰で見ることができる、リミテッドが苦手

松浦拓海

アグロスキー、ラーメン二郎は天地返しするタイプ

森山真秀

総帥、思っていないことを口にするので本意を汲み取る必要がある

 以上は継続参戦の7人。

 次のプロツアー権利のボーダーは私が一番厳しいのですが、他の面々も初日落ちしたら終わりなど、ほとんどの人が次回のプロツアーの権利まで確定していません。

井川良彦

エリア予選に出るため宮崎まで遠征した情熱の漢

加茂里樹

赤単とドラフトと井上くんの話しかしません

佐藤レイ

練習の鬼、中村さんとは師弟関係にある(らしい)

 チャンピオンズカップファイナルで権利を獲得した3人。井川さんと加茂さんはプロツアーに約1年ぶりの参戦となります。

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 井川さんは前回のチャンピオンカップファイナルで優勝!世界選手権の権利も獲得し、大手を振ってチームに凱旋復帰です。おかえり!

 今回は以上の10名で調整を開始しました。
 

2.スタンダード

ディミーア・ミッドレンジ
井上 徹 - 「青黒ビートダウン」
第26期スタンダード神挑戦者決定戦 - Top8 / スタンダード(2024年3月30日)[MO] [ARENA]
4 《闇滑りの岸
3 《
4 《ミレックス
1 《天上都市、大田原
4 《難破船の湿地
4 《
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
4 《地底の大河
-土地(25)-

4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《フェアリーの黒幕
4 《大洞窟のコウモリ
3 《ヨーグモスの法務官、ギックス
4 《分派の説教者
3 《黙示録、シェオルドレッド
-クリーチャー(22)-
3 《切り崩し
4 《かき消し
4 《喉首狙い
2 《地底のスクーナー船
-呪文(13)-
1 《切り崩し
2 《強迫
2 《否認
1 《長い別れ
2 《ティシャーナの潮縛り
2 《漆月魁渡
3 《危難の道
2 《最深の裏切り、アクロゾズ
-サイドボード(15)-
晴れる屋デッキ検索 より引用)

 

 前環境の覇者、ディミーア・ミッドレンジは評価ダウン。

 ネイサンくんこと(カード化おめでとう!)《精神の決闘者》は自分のデッキにも入りますが、当然他のデッキでも試されていました。

 これが中々に曲者で、ディミーア・ミッドレンジは《遠眼鏡のセイレーン》から《ヨーグモスの法務官、ギックス》に繋げる動きが強力なのですが、それにナイスブロッカーである《精神の決闘者》が待ったを掛けます。

 《精神の決闘者》のパワー自体は0ですが《喉首狙い》などの除去呪文を組み合わせれば対戦相手のターンにパワー1になることも容易で、そうなるとおちおち《遠眼鏡のセイレーン》も攻撃に参加できません。

 その他《感動的な眺望所》の加入によって安定感が加わったボロス召集にも厳しい戦いが予想されます。

 軽いクリーチャーを多く有しているため、どうしてもサイドカードの《危難の道》や《ぎらつく氾濫》で自軍にも影響が出てしまって整合性が取り辛い。

 また対戦相手もそれらの全体除去を見越して《ウラブラスクの溶鉱炉》などをサイドインされてなんとも上手くいきません。
 

エスパー・ミッドレンジ

 一方、似たようなミッドレンジデッキであるエスパーはチーム内でもポジティブな評価です。新しく加入した《害獣駆除》が対ボロス召集用のサイドカードとして優れています。

 自軍のクリーチャーは2マナ以上で構成されていますから、自軍への影響はほぼなくボロス召集の展開する小粒のクリーチャーやアーティファクト・トークンなどを薙ぎ払えます。2マナと軽く、サイクリングもついているので展開次第では他のカードに変換することも可能です。

 また、エスパーにはディミーアにない《大洞窟のコウモリ》や《敬虔な新米、デニック》などの絆魂クリーチャーから《策謀の予見者、ラフィーン》という黄金ルートもあるため、メインボードから比較的ボロス召集に勝つ可能性を秘めています。

yami - 「Esper Midrange」
蒼紅杯~サンダージャンクションの無法者カップ~ Izzet Explosive Experiment Event / スタンダード(2024年4月21日)[MO] [ARENA]
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 《ラフィーンの塔
4 《不穏な投錨地
1 《アダーカー荒原
3 《砕かれた聖域
1 《コイロスの洞窟
4 《闇滑りの岸
2 《地底の大河
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《平地
3 《秘密の中庭
1 《
1 《難破船の湿地
-土地(26)-

4 《策謀の予見者、ラフィーン
4 《大洞窟のコウモリ
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
1 《黙示録、シェオルドレッド
4 《精神の決闘者
1 《下水王、駆け抜け侯
2 《分派の説教者
2 《敬虔な新米、デニック
2 《フェアリーの黒幕
-クリーチャー(21)-
3 《切り崩し
4 《喉首狙い
2 《喝破
2 《忠義の徳目
2 《放浪皇
-呪文(13)-
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
1 《邪悪を打ち砕く
2 《強迫
2 《安らかなる眠り
1 《第三の道のロラン
2 《害獣駆除
2 《否認
3 《ティシャーナの潮縛り
1 《ギックスの命令
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 エスパー・ミッドレンジの問題はその構築の幅の広さ。流石に3年分のカードプールが使えるフォーマットで3色ミッドレンジとなると選べるカードの量は膨大です。

 新カードとして《精神の決闘者》が採用されていることが増えてきていましたが、チーム内の評価は微妙。

 「エスパーの構築、何が正解かはわからないけど《精神の決闘者》は微妙に感じた。」

 とエスパーを試したチームメンバーは口を揃えて言っていました。

回転

 また《婚礼の発表》の採用/非採用も重要な選択です。プロツアー前のトーナメントでは《婚礼の発表》を採用していない形が一般的になっていましたが、やはり同型が多いことを考えるとミラーマッチで強力な《婚礼の発表》は欲しいところです。

 しかし、版図ランプなどには《ティシャーナの潮縛り》、ティムール・アナリストには《下水王、駆け抜け侯》などが必要になることから構築は難解。

 私はチーム調整を横目で見ながら、どのアーキタイプに向くかで構築に正解がないことと、単純に自分のプレイスタイルがエスパー・ミッドレンジのそれと全く合っていないことを考慮し、エスパー・ミッドレンジを断念。

 チームでは《婚礼の発表》採用型の原根さんと、《婚礼の発表》非採用でメインから《ティシャーナの潮縛り》と《下水王、駆け抜け侯》を採用した形を森山さんがプロツアーで使用。

原根 健太 - 「エスパー・ミッドレンジ」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《天上都市、大田原
1 《皇国の地、永岩城
1 《平地
2 《さびれた浜
4 《不穏な投錨地
3 《コイロスの洞窟
4 《秘密の中庭
2 《地底の大河
2 《ラフィーンの塔
1 《
4 《闇滑りの岸
-土地(26)-

1 《最深の裏切り、アクロゾズ
2 《復活したアーテイ
1 《ティシャーナの潮縛り
4 《策謀の予見者、ラフィーン
1 《下水王、駆け抜け侯
4 《大洞窟のコウモリ
3 《フェアリーの黒幕
2 《敬虔な新米、デニック
-クリーチャー(18)-
1 《放浪皇
2 《忠義の徳目
4 《喝破
4 《喉首狙い
2 《切り崩し
3 《婚礼の発表
-呪文(16)-
1 《漆月魁渡
1 《第三の道のロラン
3 《害獣駆除
1 《強迫
1 《邪悪を打ち砕く
1 《否認
1 《軽蔑的な一撃
2 《同化の神盾
2 《未認可霊柩車
2 《一時的封鎖
-サイドボード(15)-
森山 真秀 - 「エスパー・ミッドレンジ」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
1 《
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 《コイロスの洞窟
2 《砕かれた聖域
4 《秘密の中庭
2 《ラフィーンの塔
4 《闇滑りの岸
3 《地底の大河
1 《さびれた浜
1 《天上都市、大田原
4 《不穏な投錨地
1 《皇国の地、永岩城
1 《平地
-土地(27)-

1 《最深の裏切り、アクロゾズ
1 《復活したアーテイ
2 《下水王、駆け抜け侯
2 《ティシャーナの潮縛り
4 《策謀の予見者、ラフィーン
3 《フェアリーの黒幕
4 《大洞窟のコウモリ
2 《敬虔な新米、デニック
2 《腐食の荒馬
-クリーチャー(21)-
1 《放浪皇
2 《忠義の徳目
3 《喝破
4 《喉首狙い
2 《切り崩し
-呪文(12)-
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
1 《ティシャーナの潮縛り
1 《第三の道のロラン
1 《ギックスの命令
3 《害獣駆除
1 《強迫
1 《否認
1 《邪悪を打ち砕く
1 《同化の神盾
2 《未認可霊柩車
2 《一時的封鎖
-サイドボード(15)-

 

ボロス召集

 アグロ筆頭はボロス召集。

 前環境では弱すぎる《マナの合流点》である《スランの門》を採用しなければいけないほど脆弱なマナベースだったボロス召集。そこにとうとう対抗色ファストランドである《感動的な眺望所》が待望の加入、マナベース問題は大幅に改善されます。

 ただ、そうは言ってもデッキは暴れ馬そのもの。

 アーティファクトを要求する《上機嫌の解体》4枚に対して1マナでアーティファクトを出すカードが《ひよっこ捜査員》と《ヴォルダーレンの美食家》の8枚。またデッキのベストムーブに貢献する召集呪文が《イーオスの遍歴の騎士》4枚のみと、パイオニアのボロス召集と比べると安定感が大幅に下がっています。

 「ボロス召集は(モダンの)トロンだから!」

 とは井上さんの弁で、つまるところそれは《ひよっこ捜査員》、《上機嫌の解体》、《イーオスの遍歴の騎士》のような動きに太刀打ち出来るデッキは環境に存在せず、それらのハンドをマリガンで求めていくということです。

 画面共有で2人が同時にボロス召集のゲームをスタートして、無感情で高速でダブルマリガンしていく様を見て合点が行きました。

井上 徹 - 「ボロス召集」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
2 《平地
2 《反逆のるつぼ、霜剣山
2 《皇国の地、永岩城
4 《魂の洞窟
4 《戦場の鍛冶場
3 《
4 《感動的な眺望所
1 《日没の道
-土地(22)-

4 《イーオスの遍歴の騎士
4 《イモデーンの徴募兵
4 《毅然たる援軍
2 《養育するピクシー
4 《ひよっこ捜査員
4 《ヴォルダーレンの美食家
4 《内なる空の管理人
-クリーチャー(26)-
4 《上機嫌の解体
4 《戦導者の号令
4 《門道急行の事件
-呪文(12)-
1 《クチルの側衛
2 《抹消する稲妻
2 《石術の連射
2 《祭典壊し
2 《邪悪を打ち砕く
2 《ウラブラスクの溶鉱炉
1 《未認可霊柩車
1 《安らかなる眠り
2 《ゴバカーンへの侵攻
-サイドボード(15)-
松浦 拓海 - 「ボロス召集」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
2 《ミレックス
2 《反逆のるつぼ、霜剣山
2 《皇国の地、永岩城
2 《魂の洞窟
4 《戦場の鍛冶場
3 《平地
4 《感動的な眺望所
3 《
-土地(22)-

4 《イーオスの遍歴の騎士
2 《血滾りの福音者
4 《イモデーンの徴募兵
4 《毅然たる援軍
1 《ヨーティアの前線兵
4 《ひよっこ捜査員
4 《ヴォルダーレンの美食家
4 《内なる空の管理人
-クリーチャー(27)-
4 《上機嫌の解体
3 《戦導者の号令
4 《門道急行の事件
-呪文(11)-
2 《祭典壊し
2 《石術の連射
2 《邪悪を打ち砕く
2 《失せろ
3 《ウラブラスクの溶鉱炉
4 《ゴバカーンへの侵攻
-サイドボード(15)-
佐藤レイ - 「ボロス召集」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《日没の道
4 《感動的な眺望所
2 《平地
2 《皇国の地、永岩城
2 《反逆のるつぼ、霜剣山
3 《魂の洞窟
1 《ミレックス
4 《戦場の鍛冶場
-土地(22)-

4 《イーオスの遍歴の騎士
1 《血滾りの福音者
4 《イモデーンの徴募兵
4 《毅然たる援軍
4 《ひよっこ捜査員
4 《内なる空の管理人
4 《ヴォルダーレンの美食家
1 《養育するピクシー
1 《ヨーティアの前線兵
-クリーチャー(27)-
4 《上機嫌の解体
3 《戦導者の号令
4 《門道急行の事件
-呪文(11)-
1 《クチルの側衛
1 《抹消する稲妻
1 《石術の連射
2 《祭典壊し
2 《邪悪を打ち砕く
1 《失せろ
3 《ウラブラスクの溶鉱炉
1 《安らかなる眠り
3 《ゴバカーンへの侵攻
-サイドボード(15)-

 リストの差異はあれど、環境スタートからずっとボロス召集を調整していた井上さんを筆頭に松浦さん、佐藤さんなどのチーム内でアグロが得意な2人を含めた3人が使用。

ゴルガリ・ミッドレンジ
チーム調整デッキ - 「ゴルガリ・ミッドレンジ」
スタンダード[MO] [ARENA]
1《
3《
4《ラノワールの荒原
2《魂の洞窟
4《花盛りの湿地
2《廃墟の地
4《死天狗茸の林間地
1《耐え抜くもの、母聖樹
1《見捨てられたぬかるみ、竹沼
4《眠らずの小屋
-土地(26)-

2《黙示録、シェオルドレッド
3《グリッサ・サンスレイヤー
4《苔森の戦慄騎士
2《最深の裏切り、アクロゾズ
4《分派の説教者
4《腐食の荒馬
2《静める者、ヴラスカ
-クリーチャー(21)-
3《切り崩し
4《喉首狙い
2《ヴェールのリリアナ
2《ギックスの命令
2《長い別れ
-呪文(13)-
1《強迫
1《ヴェールのリリアナ
1《未認可霊柩車
1《羅利骨灰
2《強迫
3《危難の道
1《未認可霊柩車
1《向上した精霊信者、ニッサ
2《温厚な襞背
2《戦慄の奔出
-サイドボード(15)-

 青くないミッドレンジでは筆頭であったゴルガリ・ミッドレンジ。《花盛りの湿地》はもちろんのこと、《腐食の荒馬》、《静める者、ヴラスカ》などの新カードの感触も良好。

 ですが、やはりエスパーと比べて《策謀の予見者、ラフィーン》の有無はデッキの安定性において気になる点でした。

 3マナ域が構成上どうしても厚くなってしまい、引いたカードを回転させることは出来ないので出していくことしか出来ず、3マナのカードをプレイするだけで負けてしまうこともしばしば。

 また青が入っていない分、対戦相手への鑑賞手段は除去と手札破壊しかなく、そうなるとコントロールやランプ系に相性が悪くなります。

 チームでは松浦さんが熱心に調整していましたが、チーム内でティムール・アナリスト、版図ランプに粉々にされ、松浦さんの精神崩壊とともにゴルガリの調整も打ち止めとなりました。

コントロール

 青系のコントロールデッキは前環境からチームでディミーアとアゾリウスが調整されていました。

 青黒の利点は軽量除去の強さ。《喉首狙い》を筆頭に《切り崩し》、《長い別れ》などの優れた除去呪文をふんだんに採用出来ます。

 《死人に口無し》も器用な全体除去。証拠収集コストを払うと《外科的摘出》のような追放能力がオマケで付いてくるので、勝ち手段が限られているランプ系デッキに非常に有用です。

 白青の利点は除去呪文の範囲の広さ。《冥途灯りの行進》はマナ交換比率こそ悪いですが、除去の範囲は広くサイドボード後良くプレイされる《ウラブラスクの溶鉱炉》などにもしっかり対処出来ます。

 また青白では強力な《マナ漏出》とも言える《喝破》が採用できます。《幻影の干渉》や《かき消し》などと比べて単純に要求するマナも3マナと多いですし、コントロールミラーやティムール・アナリストでは《記憶の氾濫》を巡る攻防になりますから、それらを追放出来る点も非常に強力です。

 これらの点を考慮してチームイチのコントロールプレイヤーの高橋さんはアゾリウス・コントロールの使用を決定。新カードである《三歩先》も非常に好感触のようで、プレイするたびに「強い!」「感動的だ!」「みんなも使ったほうが良いよ!」と、後半は《三歩先》凄いよbotになっていました。

高橋 優太 - 「アゾリウス・コントロール」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
3 《
2 《金属海の沿岸
1 《天上都市、大田原
1 《解体爆破場
4 《不穏な投錨地
3 《廃墟の地
3 《アダーカー荒原
1 《皇国の地、永岩城
2 《ミレックス
1 《沈んだ城塞
4 《さびれた浜
3 《平地
-土地(28)-
 
-クリーチャー(0)-
4 《放浪皇
3 《太陽降下
4 《記憶の氾濫
3 《推理
1 《失せろ
4 《喝破
1 《かき消し
4 《三歩先
2 《幻影の干渉
4 《冥途灯りの行進
2 《一時的封鎖
-呪文(32)-
1 《船砕きの怪物
1 《加護をもたらす戦乙女
3 《ティシャーナの潮縛り
2 《邪悪を打ち砕く
3 《否認
2 《未認可霊柩車
1 《金線の酒杯
2 《一時的封鎖
-サイドボード(15)-

 

赤単ミッドレンジ
ryuumei - 「赤単アグロ」
蒼紅杯~サンダージャンクションの無法者カップ~ Izzet Explosive Experiment Event / スタンダード(2024年4月21日)[MO] [ARENA]
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
18 《
4 《ミシュラの鋳造所
-土地(23)-

4 《僧院の速槍
4 《血に飢えた敵対者
4 《魅力的な悪漢
2 《ロノムの発掘家、フェルドン
-クリーチャー(14)-
4 《熊野と渇苛斬の対峙
4 《火遊び
2 《魔女跡追いの激情
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
3 《抹消する稲妻
3 《稲妻の一撃
3 《焦熱の射撃
-呪文(23)-
2 《祭典壊し
3 《石術の連射
1 《削剥
4 《墓地の門番
3 《勝負服纏い、チャンドラ
2 《巨竜戦争
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 メインから《焦熱の射撃》や《ウラブラスクの溶鉱炉》などのサイドっぽいカードが採用されているのが特徴的な赤単。

 その分《フェニックスの雛》や《精鋭射手団の目立ちたがり》などの痩せたクリーチャーを廃していていますが、《熊野と渇苛斬の対峙》や《僧院の速槍》などの最低限スピードが出せるように低マナのクリーチャーは厳選されています。

 このデッキはryuumeiくんというアグロスキーな知り合いが配信で回していたのが出発点で、リストを見た加茂さんは一目で気に入り熱心に調整していました。

 メインから《焦熱の射撃》などの単体除去を入れている分エスパー・ミッドレンジには有利ですが、速度をそこまで出せる構成ではないのでランプ系デッキには苦戦を強いられます。

加茂 里樹 - 「赤単アグロ」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
4 《ミシュラの鋳造所
17 《
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《ミレックス
-土地(23)-

4 《血に飢えた敵対者
4 《魅力的な悪漢
2 《ロノムの発掘家、フェルドン
4 《僧院の速槍
-クリーチャー(14)-
4 《熊野と渇苛斬の対峙
2 《抹消する稲妻
4 《焦熱の射撃
2 《魔女跡追いの激情
3 《稲妻の一撃
4 《火遊び
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
-呪文(23)-
3 《レジスタンスの火、コス
1 《擬態する歓楽者、ゴドリック
3 《墓地の門番
2 《石術の連射
2 《祭典壊し
2 《未認可霊柩車
2 《巨竜戦争
-サイドボード(15)-

 

版図ランプ

 エスパー・ミッドレンジが最多、ボロス召集が次点というのがチーム内の共通認識。前環境ではトップ3に入っていたティムール・アナリストが減少中という、わかりやすく良いポジションで井川さんが注目したのは版図ランプでした。

 対ティムール・アナリストはメインの相性こそ悪いものの、サイドボード後はかなり改善されます。サイドボードに新加入した《安らかなる眠り》が劇的で、これ1枚でティムール側はプラン変更を余儀なくされます。

 ティムール・アナリスト側は墓地対策に対して《産業のタイタン》などの重量級のクリーチャーをサイドインすることである程度無視するプランが多いため、それらのフェアな展開に対しては《偉大なる統一者、アトラクサ》1枚で勝つことが可能です。

 つまるところティムール側が用意している汎用的なサイドプランが版図ランプには通じ辛い、ということになります。

井川 良彦 - 「版図ランプ」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
1 《ラフィーンの塔
4 《ジアトラの試練場
3 《平地
4 《魂の洞窟
4 《スパーラの本部
1 《
3 《
4 《ジェトミアの庭
1 《
1 《耐え抜くもの、母聖樹
-土地(26)-

3 《偉大なる統一者、アトラクサ
4 《怒りの大天使
1 《イモデーンの徴募兵
4 《装飾庭園を踏み歩くもの
-クリーチャー(12)-
4 《群れの渡り
3 《太陽降下
1 《地図作りの調査
3 《集団失踪
1 《中心核の瞥見
1 《長い別れ
4 《力線の束縛
2 《洞窟探検
3 《豆の木をのぼれ
-呪文(22)-
1 《向上した精霊信者、ニッサ
2 《温厚な襞背
2 《金属の徒党の種子鮫
3 《否認
3 《長い別れ
2 《一時的封鎖
2 《安らかなる眠り
-サイドボード(15)-

 

ティムール・アナリスト

 そんなミッドレンジあり、アグロあり、コントロールあり、ランプありのなんでもあり環境で私が使用したのはティムール・アナリストです。

 まず環境でのガードの低さ。前環境ではディミーア・ミッドレンジと並ぶ人気デッキでしたが、新環境では激減。

 ディミーア・ミッドレンジが少なくなってエスパー・ミッドレンジが増加、これは比較的干渉手段が少なく《ヨーグモスの法務官、ギックス》にボカスカ殴られるティムール的には悪くない流れです。

 またもともと相性の良かったボロス召集がマナベースの改善により増加していて、むしろポジション的に悪くなく、なんで減っているのかと首を傾げるばかりです。

 次にデッキの習熟度。

 ティムール・アナリストは前環境からプレイしている関係から慣れていて、違和感なくプレイ出来ているなという印象。

 逆にいうと他のデッキはてんでダメダメで、エスパー・ミッドレンジ、アゾリウス・コントロール、版図ランプなど上記で出たデッキはある程度プレイしてみたのですが、プレイしていて自分の下手さに絶望していました。

 最後に、サイドプランの確立です。

 ティムール・アナリストはメインボードの勝率は圧倒的で、問題は常にサイドボード後にあります。《安らかなる眠り》や《未認可霊柩車》などの墓地対策には頭を悩ませます。

 結論は、サイドボード後は重量級クリーチャー連打プラン。

 《帰化》系の呪文で《安らかなる眠り》や《未認可霊柩車》に対応するのは相手が墓地対策を引かないで腐る、逆に相手が墓地対策を引いていてこちらが対処手段を引かないでハマる、戦場に出ただけで効果的な《安らかなる眠り》や、後引きで対応しても墓地がすっからかんな《未認可霊柩車》など、墓地対策に付き合うプランを取ると裏目が多すぎます。

 なので基本《強靭の徳目》は全てサイドアウト、相手の墓地対策の枚数によっては《事件現場の分析者》を減らし墓地対策が効かない《乱伐者、ボニー・ポール》や《産業のタイタン》で殴り勝つのが一番裏目が少ないプランだと感じました。

 このプランを考えてからはこれでどれくらい勝てるかを試していき、上述した対版図ランプ以外はこのプランでいけると判断しました。

 《産業のタイタン》は《復活した精霊信者、ニッサ》で拾える、エンチャントやアーティファクト破壊のモードで大きくなった《未認可霊柩車》を対処出来る、到達があるので《策謀の予見者、ラフィーン》などから始まる飛行ビートを止めることが出来るなど……デッキが求めるクオリティが全てあります。

 唯一の懸念点は7マナという重さで、1枚から3枚で試してみましたが、3枚は流石に多すぎる。1枚だと《事件現場の分析者》で墓地に落ちた時に《復活した精霊信者、ニッサ》で拾えないなどの問題が発生し、2枚に落ち着きました。

 《乱伐者、ボニー・ポール》は『サンダー・ジャンクション』で加入した新カードです。 到達を持っている、2パーマネント展開が出来る、戦場にいる《事件現場の分析者》や《復活した精霊信者、ニッサ》でドロー出来る、土地がたくさん並ぶデッキなので「ボー」がめっちゃデカいなど、こちらも《産業のタイタン》に劣らずデッキにフィットしています。

 デメリットは《復活した精霊信者、ニッサ》で拾えない、伝説のクリーチャーなので《樹海の幻想家、しげ樹》で拾えないなど、《産業のタイタン》と比べると直接引き込まなければならず再現性の部分では劣りますが、デッキリスト公開ルールの大会では脅威が7マナのカードのみでは対戦相手がやりやすいこともあり、《産業のタイタン》と散らして採用することにしました。

 《毒を選べ》は対エスパー・ミッドレンジで効果的なカードです。《未認可霊柩車》や《安らかなる眠り》などの相手のサイドカードにも対処しつつ、《策謀の予見者、ラフィーン》を1マナで対処し得るスーパーカードで、《帰化》のようなカードと比べると腐り辛く劇的に刺さりうる可能性を秘めています。

 《遠眼鏡のセイレーン》がいると飛行クリーチャーは《遠眼鏡のセイレーン》、アーティファクトは地図・トークンで守られてしまうため、ディミーアとエスパーは似たデッキではありますが、ディミーアには《毒を選べ》はサイドイン出来ません。

 チームの調整を信じて、ディミーア・ミッドレンジは少ないだろうと考えての採用です。

市川 ユウキ - 「ティムール・アナリスト」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
6 《
4 《貴顕廊一家の劇場
4 《
4 《舞台座一家の中庭
2 《土建組一家の監督所
4 《斡旋屋一家の潜伏先
6 《
-土地(30)-

1 《好奇心の神童、ケラン
4 《復活した精霊信者、ニッサ
1 《樹海の幻想家、しげ樹
4 《事件現場の分析者
-クリーチャー(10)-
3 《強靭の徳目
4 《間の悪い爆発
4 《世界魂の憤怒
4 《記憶の氾濫
3 《勝利の炎
2 《洞窟探検
-呪文(20)-
2 《産業のタイタン
2 《乱伐者、ボニー・ポール
1 《温厚な襞背
1 《ティシャーナの潮縛り
2 《毒を選べ
2 《吸血鬼の復讐
1 《本質の散乱
2 《否認
1 《削剥
1 《勝利の炎
-サイドボード(15)-

 同じくティムール・アナリストの使用を決めた中村さんと相談して、最終的には以上のようなリストになりました。

 チームとしては、

ボロス召集 3人
エスパー・ミッドレンジ 2人
ティムール・アナリスト 2人
アゾリウス・コントロール 1人
版図ランプ 1人
赤単ミッドレンジ 1人

 と10人いて最多がボロス召集の3人。デッキリストに至っては私と中村さんのティムール・アナリスト以外全部違うという異様な状態

 ただ、正直仕方ないなとも思いました。環境に存在するデッキが多すぎる、3年分のプールによってカードを選べすぎるなど、デッキを揃える方が難しい状況。

 チームとしても意見は言うし質問はするけど、意見を揃える方向で向かわず、ある種自由な調整になったといえます。


 と、いったところで前編は終了!

 後編はドラフト環境の考察からトーナメントレポートをお届けします。お楽しみに!

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