EVENT COVERAGE

プロツアー『マジック2015』

観戦記事

準々決勝:William Jensen(アメリカ) vs. Pierre Mondon(アメリカ)

authorpic_adamstyborski.jpg

Adam Styborski / Tr. Takuya Masuyama

2014年8月3日


 ただプロツアーのトップ8にたどり着いたというだけでは、対戦相手と同じものを目指してプレイしているということにはならない。勝利することはいつものように全てのプレイヤーの目標だが、勝利に伴うものが何であるかを考えることがますます重要になってきている。世界選手権の出場権、ワールド・マジック・カップのキャプテンの座、そしてプロツアー・プレイヤーズ・クラブの恩恵は、勝利にプロツアーのトロフィー「だけ」でなく多くのものを与えてくれる。

プレイヤー

 もし世界ランキング20位のウィリアム・ジェンセン/William Jensenについて、今シーズンまだ聞いたことがないというならモグリだろう。かつてのプロツアー・プレイヤーは、彼がプロツアー殿堂顕彰を受けたゲームに帰還し、そしてその技術が殿堂に見合う以上の価値があることを証明する旅に出た。1シーズン中8回というグランプリ・トップ8入賞の新記録を樹立して彼の生涯記録を2倍にし、プロツアー・プレイヤーズ・クラブのプラチナ・レベルに到達して、今や今年の世界選手権の出場も視野に入っている。

 ピエール・モンドン/Pierre Mondonはグ、ランプリ・フィラデルフィアでのトップ8とグランプリ・オクラホマシティの優勝で今シーズンを熱くさせた。そのトップ8によるプロツアー『マジック2015』の参加権利を得たのは、彼のプロツアー初参加からは時間が空いた後だったが、そのことは彼がトップ8に進むことを阻まなかった。トップ100に残るだけでシルバー・レベルに到達するのだが――プロツアー『タルキール覇王譚』の権利を得るのには十分だ――彼はそれを大きく超えて、プロツアー・サンデーの舞台へと戻ってきた。

それぞれのデッキ

 ジェンセンは彼のチームメイトの多くと同じく、白黒ミッドレンジをこの週末に持ち込んだ。自由に使える大量の除去で戦場を支配し続け、《群れネズミ》、《ヴィズコーパの血男爵》、もしくは《幽霊議員オブゼダート》で勝利をもぎ取る。《太陽の勇者、エルズペス》と《今わの際》のようなカードは、《生命散らしのゾンビ》や《群れネズミ》の支配力を補完する、このデッキの白い要素のうちの2つだ。

 モンドンのデッキは彼が「Magic Online」から選び出したものだ。デイリー・イベントの結果を調べた後、モンドンはこのデッキをプロツアーで使うことに決めた。構築ラウンド9-1の成績とともにトップ8へと進み、この選択は彼にとって極めてよく機能した。アグロとコントロールに対する解答として、《見えざる者、ヴラスカ》や《歓楽者ゼナゴス》を含む強力な呪文と、除去や《ラクドスの復活》を唱えることにより、モンドンは金曜日と土曜日のあらゆるタイプのデッキを打ち破ってきた。

qf_jensen_mondon.jpg
世界ランキング20位のウィリアム・ジェンセンは白黒デッキで驚異的なシーズンを締めくくるために勝利を求める。一方ピエール・モンドンはプラチナ・レベルのためにジャンド・プレインズウォーカーズをプレイする。

ゲーム展開

 序盤の《思考囲い》がモンドンの手札にある複数の《紅蓮の達人チャンドラ》を暴き出したが、そのうち1枚が戦場に現れるまでにはもう少しターンがかかった。4ターン目に土地を置けず、ジェンセンは《歓楽者ゼナゴス》が速攻を持つトークンを出し始めた頃には既に遅れを取っていた。ジェンセンは《地下世界の人脈》で引いてきた土地から解答となる《払拭の光》を打ち、戦場に残ったサテュロスの攻撃を通してライフは13まで落ち込んだ。

 ジェンセンが毎ターン《地下世界の人脈》でライフをカードに変え続けると、《紅蓮の達人チャンドラ》がモンドンのために援護射撃を開始した。不幸なことに、《ラクドスの復活》はまさにこのような相手と戦うためのカードだった。X=3の《ラクドスの復活》はジェンセンの手札を1枚にしてライフを5にし、その後ジェンセンは再び《地下世界の人脈》を使ってライフを4にした。サテュロス・トークンを殺した後、ジェンセンはさらに解決策を探し続けてライフを3へと下げた。《生命散らしのゾンビ》が《ゴルガリの魔除け》と《戦慄掘り》を暴き出したが時既に遅く、2ターン後にチャンドラがジェンセンを焼き殺した。

qf_mondon.jpg
モンドンのプレインズウォーカーはゲームの中でかなり深刻なダメージを与えることができる。

 2ゲーム目はジェンセンの《強迫》から幕を開け、《歓楽者ゼナゴス》を捨てさせる。モンドンの手札には《ミジウムの迫撃砲》、《真髄の針》、《骨読み》、《ラクドスの復活》が残された。ジェンセンは2枚の《地下世界の人脈》を置いて大量のカードを引いたが、モンドンは《骨読み》で自らのデッキを掘り進め始めた。

 モンドンは《突然の衰微》でジェンセンの《地下世界の人脈》の片方を破壊し――とはいえ次のターンにおかわりが出たが――続いて《森の女人像》を唱え、次のターンに《紅蓮の達人チャンドラ》、そして《真髄の針》を置いて《》を指定した。これはジェンセンの《地下世界の人脈》に対する遠回しな対処方法だ。

 ジェンセンが《思考囲い》を唱え、モンドンの更新された手札を公開させた。2枚の《ミジウムの迫撃砲》、《ラクドスの復活》、《見えざる者、ヴラスカ》があり、ジェンセンは最後のカードを捨てさせることに決めた。《英雄の破滅》がチャンドラに対処したが、再びの《ラクドスの復活》X=3がジェンセンの手札を1枚に減らした。《地下世界の人脈》を使いライフを9にして、ジェンセンは《払拭の光》で2枚目の《地下世界の人脈》を解放し、失った手札を素早く補充しにかかった。

qf_jensen.jpg
ジェンセンは答えを探すために人脈をフル活用する。

 《生命散らしのゾンビ》が、モンドンの手札には2枚の《ミジウムの迫撃砲》があり、そのうち1枚はかなり前から使われていないことを確認した。さらなる《生命散らしのゾンビ》はモンドンが3枚目の《ミジウムの迫撃砲》を引いたことを明らかにしたが、それは新たに引いてきた《紅蓮の達人チャンドラ》によって殺された。またもや《英雄の破滅》が炎のプレインズウォーカーを始末すると、ジェンセンは《太陽の勇者、エルズペス》をプレイした。

 《ミジウムの迫撃砲》がジェンセンの兵士の第一波を一掃し、《生命散らしのゾンビ》が3枚目の《ミジウムの迫撃砲》がまだあることを確認したが、それは問題にならなかった。その次のターンにモンドンは《ラクドスの復活》を引いて公開し、大量のマナとともにジェンセンをその場で焼き尽くしたのだった。

「グッドラック」 ジェンセンはそう言って手を差し出した。

「トップ8おめでとうございます、えーと......5回目でしたか?」とモンドンは尋ねた。

「ああ」 ジェンセンは常に冷静に、このシーズンの最後のステージから去っていった。

ピエール・モンドンがウィリアム・ジェンセン(世界ランキング20位)を2-0で下して準決勝進出!
  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索