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戦略記事

スタンダードデッキピックアップ ~『マジック:ザ・ギャザリング | ミュータント タートルズ』~

富澤 洋平


 『マジック:ザ・ギャザリング | ミュータント タートルズ』発売から間もないタイミングで開催されたスタンダードの大型イベント、チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2(以下、チャンピオンズカップファイナル)。トップ8には緑単上陸を筆頭に、5つのアーキタイプが入賞した。結果はバント律動の優勝で幕を閉じたわけだが、いずれも細部まで趣向を凝らした素晴らしいデッキだった。

 また、トップ8こそ逃したものの、独自の調整を施したデッキを持ち込み、戦果をあげたプレイヤーがいたのも事実だ。少ない調整時間で膨大なカードプールの中から新たな原石を発掘し、研磨してきたわけである。これらのデッキは今後のスタンダード環境を大きく揺るがす存在となり得るかもしれない。

 本稿ではチャンピオンズカップファイナルにてスイスラウンド全13回戦中7勝以上をあげたデッキの内、『マジック:ザ・ギャザリング | ミュータント タートルズ』のカードを採用したリストを紹介していく。本稿が今後のデッキ構築の参考となれば幸いである。

白単アグロ
YUYA, TASE  - 「白単アグロ」
チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2 / スタンダード(2026年3月14日~15日)[MO] [ARENA]
17 《平地》
4 《放棄された気の寺》
-土地(21)-

4 《空飛ぶ友だち、モモ》
4 《大空の賢人》
4 《星原の番人》
3 《養育するピクシー》
4 《コスモグランドの頂点》
1 《寓話の大立者》
4 《光に導かれし者、ハリーヤ》
1 《小癪な家ネズミ》
1 《勝利の楽士》
1 《黒服の男、エージェント・ビショップ》
-クリーチャー(27)-
4 《縫い目破り》
4 《バネ葉の太鼓》
4 《失せろ》
-呪文(12)-
2 《没収の強行》
3 《幽霊による庇護》
1 《割に合わない一撃》
4 《安らかなる眠り》
4 《鳴り渡る龍哮の征服者》
1 《嵐の討伐者、エルズペス》
-サイドボード(15)-

 白単アグロは序盤からクリーチャーを展開していき、戦線を横へ広げながらビートダウンを目指すアグロデッキ。クリーチャーが並んだ後は《コスモグランドの頂点》などでまとめて強化し、一気に打点を伸ばす。

 

 《空飛ぶ友だち、モモ》はこのデッキにおけるベストクリーチャーであり、2ターン目に《バネ葉の太鼓》経由で《大空の賢人》をプレイすれば、コピーが誘発。わずか2ターンで3体のクリーチャーが並び、支配的な盤面を構築する。

 

 クリーチャー展開後は《コスモグランドの頂点》や《黒服の男、エージェント・ビショップ》で強化し、ライフを攻めていく。一見すると《コスモグランドの頂点》はアグロ戦略とアンチシナジーのように思えるが、《星原の番人》や《光に導かれし者、ハリーヤ》が追加の手札を届けてくれる。

 新カードである《黒服の男、エージェント・ビショップ》は生きている限り、毎ターン+1/+1カウンターをばら撒き続ける。軽さと強さを兼ね備えたクリーチャーであり、いつ引いても嬉しい1枚だ。

ゴルガリ上陸
Atsuji, Makoto - 「ゴルガリ上陸」
チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2 / スタンダード(2026年3月14日~15日)[MO] [ARENA]
1 《沼》
12 《森》
4 《寓話の小道》
4 《草むした墓》
3 《脱出トンネル》
3 《バーシンセー》
-土地(27)-

4 《サッズのヒナチョコボ》
4 《氷耕しの探検家》
4 《ラノワールのエルフ》
4 《アナグマモグラの仔》
2 《強靭形態の調和者》
2 《沼地のハンター、レザーヘッド》
2 《苔生まれのハイドラ》
-クリーチャー(22)-
4 《土のベンダーの位に至る》
2 《大ドルイドの魔除け》
3 《若木の生育場》
2 《報いの呪詛》
-呪文(11)-
 
2 《金属の技の原点》
1 《神出鬼没の狩人、スーラク》
1 《死の印》
1 《報いの呪詛》
1 《倦怠の宝珠》
1 《鋭い目の管理者》
1 《沼地のハンター、レザーヘッド》
2 《強迫》
1 《脚当ての陣形》
1 《保安官を撃て》
2 《魂標ランタン》
1 《零地点のバラード》
-サイドボード(15)-

 上陸をフィーチャーしたデッキといえば緑単上陸がその筆頭であるが、意外にも多色化が可能ということを見逃してはならない。各種ショックランド、7枚前後のフェッチランド+1枚の基本土地をとれば、ほとんどマナベースを圧迫せずに2色目を採用できる。シングルシンボルの強力カードを採用しよう。

 このデッキではメインデッキに《報いの呪詛》、サイドボードに《強迫》などがタッチされている。メタゲームに合わせて、臨機応変にタッチカラーの変更も可能である。

 

 《サッズのヒナチョコボ》からスタートし、毎ターン土地を出して強化していく。1枚で二度の上陸を誘発させるフェッチランドも使いどころが重要だ。手札に《アナグマモグラの仔》や《土のベンダーの位に至る》があるなら、フェッチランドを土の技の対象にしよう。

 クリーチャー化したフェッチランドを起動すれば、土地サーチに加えて、土の技の効果で起動したばかりのフェッチランドが戦場へと戻ってくる。フェッチランドを何度も使い回して、上陸を繰り返し誘発させよう。

 

 《若木の生育場》は上陸でトークンを生成する。先ほどのフェッチランド+土の技のシナジーをぜひとも狙いたいエンチャントである。

 《沼地のハンター、レザーヘッド》はトランプルを持ち、《強靭形態の調和者》と強烈なシナジーを形成するニューカマー。呪禁のため、単体除去で処理されない場持ちの良いクリーチャーである。

 さらに、エンチャント/アーティファクト対策まで兼ね備えた至れり尽くせりな仕上がりとなっている。単なる強打者にとどまらず、ミラーマッチでは《若木の生育場》や《土のベンダーの位に至る》といったエンチャントを処理してくれる。

ディミーア・ミッドレンジ
Nakata, Tsuyoshi - 「ディミーア・ミッドレンジ」
チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2 / スタンダード(2026年3月14日~15日)[MO] [ARENA]
2 《始まりの町》
3 《島》
5 《沼》
4 《マルチバースへの通り道》
4 《湿った墓》
3 《魂石の聖域》
4 《グルームレイクの境界》
-土地(25)-

4 《フラッドピットの溺れさせ》
4 《悪夢のビーバー》
1 《カルシの帰還者》
2 《暗黒騎士、セシル》
4 《永劫の好奇心》
3 《ティシャーナの潮縛り》
4 《大洞窟のコウモリ》
-クリーチャー(22)-
4 《悪夢滅ぼし、魁渡》
1 《呪文貫き》
2 《苦々しい勝利》
2 《保安官を撃て》
4 《報いの呪詛》
-呪文(13)-
2 《軽蔑的な一撃》
2 《戦略的裏切り》
1 《司書、ワン・シー・トン》
1 《カルシの帰還者》
1 《キヨシ島の大ウナギ》
2 《強迫》
2 《無効》
2 《黒い太陽の日》
1 《魂標ランタン》
1 《否認》
-サイドボード(15)-

 ディミーア・ミッドレンジは、軽量クリーチャーから《悪夢滅ぼし、魁渡》へと展開してアドバンテージを稼いでいく攻撃的なミッドレンジである。3マナのプレインズウォーカーを最大限に活かすべく、1~2マナ域のクリーチャーを多めに採用している。

 除去、打ち消し、瞬速持ちクリーチャーと、妨害と展開を同じタイミングでプレイできる。インスタントタイミングでのトリッキーな動きが強みであり、干渉手段を駆使して攻撃をサポートしていく。

 

 《フラッドピットの溺れさせ》は攻撃を止めたり、ブロッカーを寝かせたりと状況に応じて役割を変える器用なカード。《悪夢滅ぼし、魁渡》への道を強引にこじ開ける。

 《報いの呪詛》は今のスタンダードのメタゲームにフィットするテンポ面の優れた除去カード。先手後手を入れ替えるのにもぴったりなカードである。

 

 《悪夢のビーバー》は戦場に出た時ライフをドレインするため、1マナながら後半引いても嬉しいカード。飛行を持つため、序盤から終盤までほぼ確実にダメージを稼いでくれる。

 飛行によりブロックされにくいため、《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術コストとしても適任。使い回せば、最後の詰めとなりえる。

赤単アグロ
MIZUNOUE, KOJI - 「赤単アグロ」
チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2 / スタンダード(2026年3月14日~15日)[MO] [ARENA]
20 《山》
3 《魂石の聖域》
-土地(23)-

4 《剃刀族の棘頭》
4 《焼き切る非行士》
4 《呪詛の壊し屋》
4 《雇われ爪》
1 《光砕く者、テルサ》
2 《ナイトウォッチャー、ラファエロ》
1 《次元の先駆者、ケラン》
4 《新星のヘルカイト》
3 《手に負えない二人組、トッカとラーザー》
-クリーチャー(27)-
2 《焼きつけ》
2 《ショック》
4 《噴出の稲妻》
2 《稲妻の一撃》
-呪文(10)-
 
2 《焼きつけ》
2 《刺し背の恐怖》
4 《魔道士封じのトカゲ》
2 《月殺し、ジャオ》
3 《陽背骨のオオヤマネコ》
2 《除霊用掃除機》
-サイドボード(15)-

 赤単アグロは、序盤からクリーチャーでライフを攻めていく攻撃的なアーキタイプ。《焼き切る非行士》でエンジンを始動させ、速度を上げていく。《剃刀族の棘頭》や《呪詛の壊し屋》が盤面に並べば、戦闘を介さずともダメージを稼げる。

 《新星のヘルカイト》はマナクリーチャーの多いバント・律動に効果的であり、さらに《噴出の稲妻》と《ショック》を合わせて、テンポよく盤面をさばいていく。これらの火力は除去であり、最後の数点のライフを削るフィニッシュブローでもある。

 

 《手に負えない二人組、トッカとラーザー》は回避持ちのアタッカーであると同時に、マナの踏み倒しを咎めるメタクリーチャーでもある。ワープや兆候、さらには《全知》に対して、追加のダメージ源を見込める。

 

 《ナイトウォッチャー、ラファエロ》のテキストは実にシンプル。自軍の攻撃クリーチャーは二段攻撃を得る。1~3ターン目まで順次クリーチャーをプレイしていた場合、4ターン目に《ナイトウォッチャー、ラファエロ》が着地すれば二桁近いダメージを期待できる。

 また、隠密も見逃せない。仮に《焼き切る非行士》と《剃刀族の棘頭》がいる状況で、威迫を持つ《焼き切る非行士》と入れ替えれば、8点もの戦闘ダメージが入る。3ターン目にして8点のダメージだ。

 かなり軽く、それでいて攻撃的なデッキデザインであり、緑単上陸やイゼット果敢などのデッキとのダメージレースの差し合いも想定して構築されている。

アゾリウス・フラッシュ
Akiyama , Taichi - 「アゾリウス・フラッシュ」
チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2 / スタンダード(2026年3月14日~15日)[MO] [ARENA]
3 《不穏な投錨地》
4 《始まりの町》
4 《フラッドファームの境界》
4 《神聖なる泉》
1 《島》
2 《マルチバースへの通り道》
2 《行き届いた書庫》
1 《放棄された気の寺》
2 《魂石の聖域》
2 《平地》
-土地(25)-

2 《古代ペット》
4 《フラッドピットの溺れさせ》
4 《素早き救済者、アン》
4 《エイヴンの阻む者》
2 《永劫の無垢》
4 《勝利の楽士》
1 《永劫の好奇心》
-クリーチャー(21)-
4 《真昼の決闘》
1 《三歩先》
2 《スパイダーセンス》
3 《縫い目破り》
3 《失せろ》
1 《アバターの怒り》
-呪文(14)-
2 《軽蔑的な一撃》
2 《没収の強行》
1 《縫い目破り》
2 《ティシャーナの潮縛り》
2 《無効》
2 《アバターの怒り》
3 《魂標ランタン》
1 《鳴り渡る龍哮の征服者》
-サイドボード(15)-

 アゾリウス・フラッシュは瞬速を持つクリーチャーやインスタントを中心に構築されたデッキである。これが意味するところは妨害と展開の両立であり、同じタイミングおこなえるトリッキーなデッキであること。対戦相手視点では何を構えているのか判別がつきにくく、適切な対処が難しい強みがある。

 

 《素早き救済者、アン》と《エイヴンの阻む者》はこのデッキの二枚看板であり、要といえるクリーチャー。3マナで対戦相手の呪文に干渉しつつ、同時にダメージレースを開始できる。《素早き救済者、アン》は戦場に出ているクリーチャーも対処できる汎用性の高い1枚である。

 

 《古代ペット》は打点こそ低いもののブロックされにくく、マナのあまりやすい中盤以降はゲームのロックに貢献する縁の下の力持ち。自分のクリーチャーをバウンスできるため、《素早き救済者、アン》や《エイヴンの阻む者》を使い回せる。対戦相手の呪文を根こそぎ追放してしまおう。

ティムール全知
Kumagai, Riku - 「ティムール全知」
チャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド2 / スタンダード(2026年3月14日~15日)[MO] [ARENA]
1 《森》
2 《始まりの町》
3 《踏み鳴らされる地》
3 《繁殖池》
2 《マルチバースへの通り道》
4 《巨大な神核、ウスロス》
3 《魂の洞窟》
2 《尖塔断の運河》
2 《蒸気孔》
4 《記念の星、カヴァーロン》
-土地(26)-

4 《救助のけだもの、コーナ》
3 《再点火、アシュリング》
3 《マラング川の執政》
3 《北風の守護者》
4 《並外れた語り部》
-クリーチャー(17)-
1 《雷魔法》
1 《噴出の稲妻》
1 《削剥》
1 《間の悪い爆発》
2 《冬夜の物語》
1 《呪文嵌め》
2 《洪水の大口へ》
3 《食糧補充》
4 《全知》
1 《スパイダーセンス》
-呪文(17)-
1 《ストームケルドの先兵》
1 《全変する変わり身》
1 《除霊用掃除機》
1 《洪水の大口へ》
1 《北風の守護者》
1 《マラング川の執政》
1 《間の悪い爆発》
1 《紅蓮地獄》
1 《削剥》
2 《スパイダーセンス》
1 《魂標ランタン》
1 《量子の謎かけ屋》
1 《殲滅戦艦》
1 《勝利の楽士》
-サイドボード(15)-

 ティムール全知は《救助のけだもの、コーナ》で《巨大な神核、ウスロス》の配備コストを支払うことで生存が誘発し、《全知》を出すコンボデッキである。

 《再点火、アシュリング》経由で最速3ターン目に《全知》が着地し、以降、すべてのカードをただでプレイできるようになる。

 

 《救助のけだもの、コーナ》+《全知》の組み合わせは古くから存在したが、生存のためのタップが課題であった。《巨大な神核、ウスロス》をはじめとした配備を持つ土地カードの登場は、ティムール全知を一介のデッキからトーナメントレベルのデッキへと引き上げた。

 

 《全知》着地後は《北風の守護者》から《マラング川の執政》を手札に加え、プレイして《北風の守護者》をバウンス。再度プレイして《全変する変わり身》を手札に加え、《マラング川の執政》のコピーとしてプレイすることで、事実上すべてのサイドボードを得られます。

 

 《殲滅戦艦》を使いまわせば、対戦相手のパーマネントは何一つ残らない。《食糧補充》や《並外れた語り部》など、サポートカードが充実しており、再現性の高いコンボデッキとなっている。

 上記のデッキについては熊谷 陸本人によるデッキテクでも詳細に語られているため、そちらも合わせてご覧いただきたい。

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