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EVENT COVERAGE
プロツアー『カラデシュ』
準々決勝ステージ2:Matthew Nass(アメリカ) vs. Carlos Romao(ブラジル)
Corbin Hosler / Tr. Keiichi Kawazoe
2016年10月16日
マシュー・ナス/Matthew Nass(ティムール「霊気池」) vs. カルロス・ロマオ/Carlos Romao(ジェスカイ・コントロール)
マシュー・ナスとカルロス・ロマオはどちらも大舞台に不慣れなわけではないが、ナスにとってはこれが初めてのプロツアー・サンデーの舞台であり、一方2002年の世界選手権以来何度かグランプリのタイトルを獲ってきたロマオにとってはもう少し慣れ親しんだものである。ここホノルルでのロマオの快進撃は未だに止まる気配がなく、ついにこのナスとの準々決勝にまでたどり着いたのだ。
一方のナスはこの7年でグランプリのトップ8に毎年入っている、安定性の象徴ともいえるプレイヤーだ。しかし彼はこの週末、その安定の源を集中し、乾坤一擲の戦いに臨んでいた。
デッキ選択
マシュー・ナスは、この週末を席巻した《霊気池の驚異》というコンボデッキを使っている。このアーティファクトは今大会の目玉であり、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》や《約束された終末、エムラクール》を最速で4ターン目にも唱えさせる驚異的な可能性を秘めている。初日時点で使用率は18%弱という、最も人気のデッキであった。
この爆発的な力を考えれば、今大会でさほどの驚きをもたらしたわけではない。もちろん、それはロマオにとってもいえることで、彼のジェスカイ・コントロールは、このコンボデッキのことをしっかり考慮して構築されているのだ。第一に《奔流の機械巨人》のカードパワーと、彼のデッキが除去と打ち消し呪文で溢れていることで、ナスのアクションに対して十分な回答をゲームのいかなる時点でも用意できうるのだ。
ゲーム展開
3本先取の最初の2ゲームは、サイドボードを使用できない状態で行われる。つまり、その間《霊気池の驚異》一点特化型のナスのデッキに対して、ロマオは打ち消し呪文を使える一方、クリーチャー除去呪文を腐らせてしまうことを意味している。
最初のアクションは2ターン目にナスが唱えた《ガラス吹き工の組細工》だ。これで彼は3つのエネルギー・カウンターを得たが、4ターン目に《霊気池の驚異》を出すことはできず、代わりに《発生の器》を置くにとどまった。そして、驚異を探すべく《有事対策》と《光り物集めの鶴》を唱えたが、結局重要なアーティファクトを探し当てることはできなかった。
ナスはその後エネルギー・カウンターを12まで増やしたが、結局《霊気池の驚異》を見つけることができずに土地をプレイしてターンを返すのみだった。そして、結局そのまま《約束された終末、エムラクール》を手札から唱え、ロマオに回答を迫ったのだった。ロマオは、これに《即時却下》で対応する。
状況はここからヒートアップしていく。ナスがついに脅威を見つけていったのだ。
2枚目の《約束された終末、エムラクール》―《即時却下》をもう一度。
2枚目の《霊気池の驚異》―《奔流の機械巨人》からの《即時却下》。
彼の繰り出す脅威はすべてロマオに回答され、その機械巨人の攻勢を前にナスは第1ゲームの投了を選択した。
第2ゲームもまた、第1ゲームに似た光景が展開された。ナスは《霊気との調和》から《有事対策》へ繋いでエネルギーを稼ぎながら《霊気池の驚異》を探していた。《ガラス吹き工の組細工》が続いたが、前のゲームと同様ナスは《霊気池の驚異》を探すよりも手札の《約束された終末、エムラクール》を唱える方向にシフトしていった。
直面した脅威の少なさから、ロマオは6ターン目に《奔流の機械巨人》から《予期》を唱え、《織木師の組細工》で少し増えていたナスのライフを詰め始めた。
このゲームを速やかに勝ちへと繋げる道を見つけられなかったため、ナスは負けを遠ざけるために《霊気溶融》で機械巨人を止めて、組細工を追加して《霊気池の驚異》を見つけるまでの時間を稼ごうとした。
《霊気溶融》で機械巨人が対処されたのを見て、よりクロックを上げるべくロマオは《ドビン・バーン》と《大天使アヴァシン》を追加し、《霊気溶融》の働きをなきがごとくの状況とした。
溜め込んだエネルギーが30に達したとき、ついにナスは《霊気池の驚異》を引き当てた。しかしながら、このアメリカ人にとって不幸だったことは、それが《虚空の粉砕》に消えていったことだ。そして、ロマオは《蓄霊稲妻》で自らの機械巨人を破壊し、アヴァシンを変身させてさらにクロックを上げた。これでさらにナスのライフの減少が加速し、彼が得たライフをすべて考慮しても、もはや後がないところまで追い込んだ。
ナスはここで勝負に出る決断をした。しかし、《約束された終末、エムラクール》は《即時却下》で打ち消され、2枚目のエムラクールも機械巨人からの却下を食らったところで、ナスはカードを畳んで第3ゲームへと向かった。
これでようやくサイドボードのカードを使うことができるようになる。ナスはキーカードを守るための《払拭》を、ロマオはより効果的な打ち消し呪文を手に入れるのだ。
またもナスは序盤をエネルギー・カウンターを貯めることに費やしたが、第4、5ターンには《天才の片鱗》でデッキを掘った。その間、一方のロマオはただ土地を置いてターンを返すのみである。
ナスが我慢を続けた理由は、第6ターンに明らかになった。彼は2枚の《払拭》を構えた状態で《霊気池の驚異》を唱えたのだ。これはカウンター合戦への有効な解決策であり、なんとしても《霊気池の驚異》を解決させようという意思の現れだった。
しかし《払拭》は、ロマオがこの脅威をゲームから取り除くために抱えていた《呪文捕らえ》に対しては全くの無力だった。ナスがこれに対して取れた行動は《光り物集めの鶴》だけだったが、それも結局何ももたらさなかった。
ロマオは《呪文捕らえ》と《大天使アヴァシン》でクロックを刻むために、その鶴を《停滞の罠》で対処すれば十分だと思っていた。次の攻撃でナスのライフは10に減少し、崖っぷちに追い込まれたものの、2枚目の《霊気池の驚異》を見つけ、逆転を狙った。
ナスは4マナをタップして《霊気池の驚異》を唱え、ゲームを決めようとした。しかしロマオはこれも《否認》で返す。そこで、ナスは《払拭》で対応する。もう1枚を手札に構えている。このカウンター合戦はナスの勝利に終わるかに見えた。
しかし、もう一度《呪文捕らえ》が登場し、《霊気池の驚異》を取り去った。さらに攻勢は強化され、ナスは《発生の器》に最後の望みを託した。唱えてすぐに割って、4枚のカードを公開したのだ。
しかし、そこに《霊気池の驚異》はなかった。そして、最後のカードを公開したとき、ナスの命運は尽きた。彼は見上げると、ロマオに握手を求め、準決勝進出を祝った。
カルロス・ロマオが3-0でマシュー・ナスを下し、準決勝進出を決めた!
7 《森》 3 《島》 1 《山》 4 《植物の聖域》 3 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《光り物集めの鶴》 4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 4 《約束された終末、エムラクール》 -クリーチャー(12)- |
4 《霊気との調和》 2 《発生の器》 4 《ガラス吹き工の組細工》 4 《織木師の組細工》 3 《有事対策》 2 《霊気溶融》 3 《コジレックの帰還》 4 《霊気池の驚異》 -呪文(26)- |
4 《儀礼的拒否》 4 《払拭》 1 《霊気溶融》 1 《否認》 1 《コジレックの帰還》 4 《天才の片鱗》 -サイドボード(15)- |
6 《平地》 4 《島》 4 《港町》 3 《感動的な眺望所》 1 《尖塔断の運河》 4 《さまよう噴気孔》 4 《霊気拠点》 -土地(26)- 2 《大天使アヴァシン》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(5)- |
4 《蓄霊稲妻》 3 《予期》 3 《鑽火の輝き》 1 《神聖な協力》 3 《光輝の炎》 3 《虚空の粉砕》 1 《停滞の罠》 4 《天才の片鱗》 2 《即時却下》 1 《隔離の場》 2 《燻蒸》 2 《ドビン・バーン》 -呪文(29)- |
3 《呪文捕らえ》 1 《保護者、リンヴァーラ》 3 《儀礼的拒否》 3 《否認》 1 《神聖な協力》 1 《燻蒸》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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