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プロツアー:闇の隆盛・ホノルル

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(翻訳記事)準決勝: Jon Finkel(アメリカ) vs. Brian Kibler(アメリカ)

Steve Sadin / Translated by Yusuke Yoshikawa




Jon Finkel(Delver-Spirits) vs. Brian Kibler(緑赤《ケッシグの狼の地》)

 Jon FinkelとBrian Kiblerがともにプロツアーのトップ8に残ったのは、最新でも2000年のプロツアー・シカゴに遡る。史上最高のトップ8メンバーとして名高いイベントであり、優勝した「ジャーマン・ジャガーノート」Kai Buddeは、この勝利でスーパースターへの下地を確固たるものにしたといえる。

 シカゴから10年以上の時を経ても、全時代を通じて最高のプレイヤーと目されるFinkelとKiblerの二人は、誰もがトップ8で顔を合わせたくない「ジャガーノート」だ。

 そして今、この準決勝で、ふたつの巨星が激突する。

 もはや、伝説以外の何ものでもない。


ふたつのプロツアーの巨星が、準決勝で激突する。

Game 1

 第1ゲームは両者きっかり五分の立ち上がりを見せた。Finkelが《不屈の自然》を《マナ漏出》で打ち消せば、Kiblerは《ドラグスコルの隊長》を《感電破》で除去し、2枚目の《不屈の自然》で加速する。

 恐れを知らないKiblerは6マナ揃ったところで即座に《原始のタイタン》にチャレンジするが、これはFinkelが《瞬唱の魔道士》からフラッシュバックの《マナ漏出》で退ける。

 ここで打ち消し呪文が尽きてしまったので、Finkelはタップアウトをいとわず《ドラグスコルの隊長》《秘密を掘り下げる者》と出した――これが、Kiblerに《業火のタイタン》を唱えさせる絶好のチャンスを与えてしまうことになる。

 Finkelは《地下牢の霊》でタイタンを封じ込めたが、2枚目の《業火のタイタン》が3/3飛行に仕事をさせない。


業火のタイタン》2号が《地下牢の霊》を焼き、大仕事をした1号を解放する。

 Finkelは《ドラグスコルの隊長》とそれをコピーした《幻影の像》を送り込んだが、それらは《金屑の嵐》で一掃されると、サイドボードに手を伸ばすまでにそう時間はかからなかった。

Jon Finkel 0, Brian Kibler 1


Game 2

 第2ゲーム、Kiblerがマリガンしたところで、Finkelが大げさに拳を振り上げて喜び始めた。

 KiblerはFinkelのこのリアクションを見て、こらえきれないように白い歯をこぼして笑った。

Kibler 「(クリス・)ピキュラが言ってたんだけどさ、相手がマリガンしたときに拳を振り上げたりしないのは、おまえが自分に正直じゃないからだろ、って......内心では『5枚! 5枚! 5枚!』とか思ってたりしねえだろうな......」

"

Finkel 「冗談言うなよ? 俺は『4枚! 4枚! 4枚!』って思ってるぜ。5枚までマリガンしたおまえに負けたんじゃ、こっ恥ずかしいからな」

 事実、Kiblerは2度目のマリガンをして、 またもFinkelは拳を振り上げた。

Finkel 「残念なことだが、これでも俺の勝率は65%ってとこだな。」

 Finkelの初手にあった《秘密を掘り下げる者》は《感電破》に焼かれ、次にプレイした《未練ある魂》は《高原の狩りの達人》と相対することとなった。

 Finkelは《未練ある魂》をフラッシュバックしてさらにスピリットを生み出すが、Kiblerは何も呪文をプレイせずにターンを返し、Finkelにも《高原の荒廃者》への変身を止める手立てはなかった。

 《高原の荒廃者》はスピリット・トークンのうち1体を除去したのち、Finkelはドローすると《ドラグスコルの隊長》《幻影の像》とキャストし、呪禁持ちの脅威的なスピリット軍団を完成させようとした。Kiblerもこれは看過できず、《幻影の像》に対応して《焼却》を使い、《ドラグスコルの隊長》を除去した。

 ターンの行き来により、《高原の狩りの達人》は再び正面へ、そしてまた背面へと変身し、狼・トークンを生み出しつつ、Finkelの《幻影の像》を喰った。

 Finkelのもとには《ドラグスコルの隊長》のおかわりが馳せ参じ、このプロツアー・クアラルンプール王者の軍勢に大きな存在感を放った。さらには、スピリットの軍勢を《金屑の嵐》から2枚の《マナ漏出》で守ってみせる。

 しかしながらその間ずっと、《高原の狩りの達人》に変身しては狼を生み出してスピリット・トークンとと戦闘で相打ち、《高原の荒廃者》に変身してはFinkelのクリーチャーを撃ち落とす、という仕事をこなしていた。

 しばしの繰り返しの後、Finkelは《地下牢の霊》を見つけ、《高原の狩りの達人》を封じ込めてライフレースで優位に立つことができたかに思われた...が、それも長続きしなかった。Kiblerが《業火のタイタン》をキャストし、Finkelの《ドラグスコルの隊長》を除去するとともに、盤面の支配を築き上げたのだ。

 この時、ヘッドジャッジが割って入り、プレイを中断するように告げた。Kiblerがコントロールしているはずの狼・トークンの数に疑問があるというのだ。

 VTRを再生した結果、KiblerとFinkelの両方が、戦闘によってスピリット・トークンと相打ちになったはずの狼・トークンを取り除くことを忘れていたということが、ジャッジたちによって明らかになった。

 ほとんどのトーナメント環境において、ゲームの状態を修復することは不可能であり、プレイヤーはいないはずの狼を戦場に置いたままゲームを続けることになるだろう。しかし、これがビデオマッチであったという事実が幸いし、ジャッジがゲームの状態を一場面ごとに確認でき、多すぎる狼・トークンを取り除いてFinkelのライフ総量が訂正され、完全にゲームの状態は戻されることとなった。

 とはいえ、狼・トークンが取り除かれたところで、Finkelはゲームを取り戻すためには、依然《業火のタイタン》への対処を迫られている状態だ。

 Finkelは《思案》をドローし、即座にキャストした、いくばくかの計算が素早く行われ、目にした3枚が十分でないと判断すると、ライブラリをシャッフルしてなにか良いカードを引く望みに賭けた。


マジック界の生ける伝説は、勝利をたぐり寄せるためにに必要なカードを引くこと、それを完遂してみせた。

 Finkelのデッキに1枚しかない《天界の粛清》は、まさに求めるものだった。これによりKiblerの《業火のタイタン》を追放すると、2ターン後には飛行戦力が勝利を決めたのだった。

Jon Finkel 1, Brian Kibler 1


Game 3

 Finkelの開幕《ギタクシア派の調査》により、Kiblerが2枚の《感電破》に《金屑の嵐》、《太陽の宝球》と土地という、脅威のない手札をキープしていたことが明かされた。'

 《瞬唱の魔道士》が《感電破》をおびき寄せつつ、《ギタクシア派の調査》の再利用を可能にしつつ、《ムーアランドの憑依地》の弾薬にもなった。しかし、FinkelはKiblerの爆発的なマナランプ・デッキに対しては、こんなものでは十分でないということを理解していた。

 2枚目の《ギタクシア派の調査》が、Kiblerが《業火のタイタン》を引いていたことをFinkelに知らせ、さらには《最後のトロール、スラーン》《高原の狩りの達人》と対処しづらいダメージ源がKiblerのもとへとやってくる。

 何発かの攻撃を受けつつも、《幻影の像》で《最後のトロール、スラーン》を退け、《原始のタイタン》は《マナ漏出》してみせた。《未練ある魂》がFinkelにさらなるスピリットを与え、《地下牢の霊》が《高原の狩りの達人》をタップ・ダウンさせる。

 Finkelは確かに戦場を支配しつつあったが、それでもまだ乗り越えるべき困難は多かった。

 《高原の狩りの達人》が《高原の荒廃者》へと変身し、Kiblerは《墨蛾の生息地》との合わせ技で《地下牢の霊》を除去した。これで、またも何か引かなければ第3ゲームを勝つことはできないという状況が明白になった。


Finkelは前進するために何が必要なのかを苦慮する。

 Finkelのトップデッキは、それほどがっかりするものではなかった。そう、彼はまたもたった1枚の《天界の粛清》を引き当てたのだ。

 Finkelはこれを使い《高原の荒廃者》を追放すると、《金屑の嵐》には《雲散霧消》を合わせる。すると突然、あれだけ不利な状況に見えたにもかかわらず、Finkelがこのゲームの勝利への道へと復活していることが知らしめられたのだ。

 Kiblerの《最後のトロール、スラーン》は多少の圧力にはなったものの、《業火のタイタン》は打ち消され、Finkelは困難な第3ゲームを制し2-1のリードをとることとなった。

Jon Finkel 2, Brian Kibler 1

Kibler 「なあ、おまえはもう(プロツアーを)3勝してるだろ。俺は2つ目が欲しいんだ。富は分け合おうぜ!」

Finkel 「そんなのKaiに言えよ。」


Game 4

 Kiblerは2枚の《不屈の自然》から、Finkelの《昆虫の逸脱者》を《感電破》で退けるという、爆発的な滑り出しを見せた。

 Finkelの第3ターン《未練ある魂》のおかげで、Kiblerは《原始のタイタン》を通すことができ、ゲームは一瞬にして終わるかに見えた...

 しかし《原始のタイタン》は《地下牢の霊》でタップされ、《高原の狩りの達人》は《ドラグスコルの隊長》と《幻影の像》(《ドラグスコルの隊長》のコピーとして出た)に上を行かれた。突如としてKiblerは戦局を取り戻すために何らかの奇跡を起こさなければならない立場になってしまった。


1-2と負けている状態で、Kiblerは第5ゲームに望みをつなぐには何か奇跡を起こさねばならなくなった。

「《金屑の嵐》かい?」

 Finkelが聞いた。

 Kiblerは緊張を高め、普通にカードを引くのではなく、引くカードを裏向きのままテーブルに置き、ゆっくりとした動作で少しずつ、少しずつ手札に近づけていった。

 Kiblerは《金屑の嵐》を引けなかった...しかし、それ以外で唯一の解答を見つけ出した! 2枚目の《鞭打ち炎》が、手札に残っていたもう1枚と組み合わされ、Finkelの軍勢を一掃するとともに、《原始のタイタン》を解き放ったのだ!

 Finkelは主導権を取り戻そうとしたが、Kiblerのデッキがさらなるタイタンを供給し続けると、もはやできることは何もなかった。

Jon Finkel 2, Brian Kibler 2

Kibler 「いまのゲームは全身全霊だったぜ...一世一代のな。わかるだろ」


Game 5

 Finkelの第1ターン《ギタクシア派の調査》で、Kiblerは《感電破》《焼却》《高原の狩りの達人》《緑の太陽の頂点》に土地という手札をさらした。その後しばらくは双方に動きがなかったが、Finkelは《未練ある魂》で盤面を掌握しにかかり、一方のKiblerは《高原の狩りの達人》に対する《マナ漏出》を《秋の帳》で退けた。


Kiblerは《高原の狩りの達人》の連打を浴びせ、Finkelはスピリットで空を埋め尽くす。準決勝の最後に、興奮のゲームが展開された。

 Finkelが《瞬唱の魔道士》で《思案》を使い回してデッキを循環させ、Kiblerは《緑の太陽の頂点》で《高原の狩りの達人》の2枚目を持ってくる。

 ゲームのこの序盤で不利に陥るわけにはいかないFinkelは、《天界の粛清》を使って《高原の狩りの達人》を除去すると、続くターンに《瞬唱の魔道士》で2度目の使用を可能とした。Kiblerは直前のターンとは打って変わって、狼・トークンと土地のみが残される状態にされてしまった。

 Kiblerは狼で攻撃する以外にないが、《ムーアランドの憑依地》の起動、次いで《未練ある魂》がやってくる。

 ほとんどの観客が、Kiblerが決勝に進むとしたら、先ほどのゲームと同じように、盤面を一掃する呪文をトップデックするのだろう、と思っていた。

 Kiblerはカードを引くと、狼で攻撃した。Finkelは素早く計算し、Kiblerの2枚の《墨蛾の生息地》を考慮に入れつつ、次のターンの勝利をより確実なものとするため、スピリットでブロックしないことを選び、ライフは8に落ち込んだ。

 戦闘後、Kiblerは2枚目となる《太陽の宝球》を置き、《墨蛾の生息地》を起動して、「金属術」の条件を満たした。

 そして《感電破》をキャストし、Finkelはライフ4となる。

 Kiblerは2枚目の、そして勝負を決めうる《感電破》を放つが、Finkelはこれを打ち消す《否認》を持っている。

 しかし、そこには3枚目の《感電破》があった。

Finkel 「ブロックしなければならなかったんだな。」

Jon Finkel 2, Brian Kibler 3

 Brian Kiblerが3-2で勝利して、決勝に進出!

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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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