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プロツアー『カルロフ邸殺人事件』

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プロツアー『カルロフ邸殺人事件』トップ8ハイライト

プロツアー『カルロフ邸殺人事件』トップ8ハイライト

2024年2月26日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 「MagicCon: Chicago」の会場には、「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」でマジックの記録にその名を残すべく250名を超えるプレイヤーが集まった。そして『カルロフ邸殺人事件』ドラフト6回戦とパイオニア構築10回戦を経て、その夢を果たせる者は8人に絞られた。残る3回戦で、チャンスを掴む者が決する。

 確率や前例というものを跳ね除けて、現世界王者と昨年のプレイヤー・オブ・ザ・イヤーは両者とも、世界選手権から続けてのプロツアー・トップ8入賞を果たした。ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazとサイモン・ニールセン/Simon Nielsenは、再びトップ8の舞台に上がったのだ。ドゥプラは自身7度目、ニールセンは4大会連続となる5度目のトップ8入賞だった。

 ニールセンの偉業は、マジック30年の歴史の中でこれまで達成されたことのない記録だった。2024年の幕開けにふさわしいプロツアーの、決勝ラウンドの舞台は整った。

 スター揃いの(しかも大成功を収めた「ラクドス吸血鬼」を含む)トップ8ラウンドは、期待を裏切らないものだった。6試合の激闘を経てタイトルを争うことになったのは、セス・マンフィールド/Seth Manfieldとサイモン・ニールセンだった。そこまでの戦いを振り返ろう。

準々決勝

 トップ8ラウンドは、開幕から大一番を迎える――殿堂顕彰者マンフィールドと、世界王者ドゥプラの対戦だ。マンフィールドは、ポール・リーツェル/Paul Reitzlの発想をチームで2週間をかけて磨き上げた今大会の目玉デッキ「ラクドス吸血鬼」を手にしている。長年「Ultimate Guard」や「Channel Fireball」で活動してきたメンバーによって大部分が構成されるこのチームは、誰もがプロツアーの環境を打ち破るすべを知り尽くしていた。まさに彼らの面目躍如と言えるこの大胆な選択は(専門家のほとんどが「解明済み」と考えていた環境を崩してみせたのだ)、マンフィールドとサム・パーディ/Sam Pardeeをトップ8へ送り出し、他のチームメンバーも好成績を残る結果になった。

 このデッキは、《傲慢な血王、ソリン》と《血管切り裂き魔》の「コンボ」を軸に構築されている。『カルロフ邸殺人事件』の新クリーチャーは、クリーチャーの生け贄を要求する護法能力を持つ。そのコストはこのフォーマットの人気デッキ(「アゾリウス・コントロール」など)にはほとんど支払えず、重くのしかかるのだ。

 ドゥプラが操るのは、何年にもわたりこのフォーマットを席巻してきたクラシックな「イゼット・フェニックス」だ。パイオニア版では攻撃的なデッキに除去で対応できるよう最適化されながらも、「睡蓮の原野コンボ」に対して時間を稼げる干渉手段も備えている。

 試合は両者とも出足が鈍く、なかなかアクションを起こせない。それは「イゼット・フェニックス」有利の展開だ。このデッキを放っておけば、ゲームプランを毎ターン進めていく。《選択》や《考慮》のようなキャントリップ呪文でドローを進めながら《弧光のフェニックス》を墓地へ送り、来るべきビッグ・ターンに備えて呪文を貯め込んでいくのだ。その結末は、いつも同じだ。怒れる鳥の群れが勝利を奪うのだ。

 第1ゲームはまさにその通りの展開になり、こうして次へ進むためのレースが始まった。開幕の1ゲームを取ったドゥプラだが、試合はすぐにマンフィールド有利に傾いていった。彼はその後の3ゲームを素早く連取し、準決勝1番乗りを決めたのだった。

 ほどなくして次の勝者も決した。サム・パーディとチェン・ミンヤン/Mingyang Chenの試合だ。パーディの「吸血鬼」デッキは、強力な「睡蓮の原野コンボ」を前に他のデッキとはまったく異なる難題に直面することになった。デッキのトレードマークである《傲慢な血王、ソリン》から《血管切り裂き魔》のコンボは、勝利に向かってライフを少しずつ動かす必要のないデッキに対して脅威になりにくいのだ。

 結果は、かつての王者が新人に敗れ去るという番狂わせなものだった。チェンが3ゲームをストレートで取り、「『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ」王者を打ち破ったのだ。こうして、中国の地域チャンピオンシップでトップ8に入賞してこの舞台にやってきたプレイヤーが、プロツアーの準決勝へ駒を進めたのだった。

ベストを尽くしたが、今日は俺の日じゃなかった。次は勝つぞ! 今回は@SethManfieldが仇を取ってくれることを願う #PTKarlov

 一方反対側のブラケットでも、同じような早さでゲームが進んでいった。トップ8で唯一の「アマリア・コンボ」を使うクリストファー・ラーセン/Christoffer Larsenは、3ゲーム続けてデッキのゲームプランを効率的に遂行していった。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》と《野茂み歩き》、それから「探検」を誘発させるものやライフを得るものを揃えて、コンボを始動。そして最後はアマリアが他のクリーチャーを吹き飛ばし、20点以上の攻撃を加えるのだ。

 

 現世界王者は敗退したが、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのニールセンは残った。爆発力がある「ボロス・ヒロイック」は素晴らしいパフォーマンスを発揮し、アダム・エデルソン/Adam Edelson「イゼット・フェニックス」を3ゲーム立て続けに退けたのだった。

準決勝

 こうして迎えた準決勝は、この上なく予想外の展開を見せた。

 片方のブラケットで対峙するは、マンフィールドとチェン。チェンの「睡蓮の原野」デッキはマンフィールドの「吸血鬼」も倒そうと意気込んでいた。

 しかし今度は、マンフィールドがチームメイトの仇討ちを果たした。それぞれのデッキの形勢を逆転させ、3勝1敗で勝利をもぎとった。

 それはパイオニアの教科書に載るような鮮やかな展開だった。一方もう1つの準決勝は、もつれにもつれることになった。

 ラーセンの「アマリア・コンボ」には、強力な面と興味深い面がある。強力な面は、クリーチャーを一掃してから20以上のパワーを持つクリーチャーで攻撃する動き。そして「興味深い」面は、このコンボの特徴の1つである。《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》の能力は、誘発したときにパワー20の場合のみ他のクリーチャーを除去するため、能力を解決する際に何らかの理由でアマリアのパワーが20以外の数字になれば、クリーチャーは除去されないのだ。

 我らがパイオニアの専門家フランク・カーステン/Frank Karstenが予測した通り、この相互作用が重大なマッチの鍵を握った。《野茂み歩き》が戦場にいれば、アマリアの能力と無限に誘発させ合うことができる。本来アマリアは他のクリーチャーを破壊することでブレーキをかけられるのだが、それができないと永遠に誘発を繰り返し、ゲームは引き分けになってしまうのだ。

 たしかに、めったにあることではない。

 しかしこの準決勝で、それは起きた。ニールセンのコンバット・トリック(《ロランの脱出》と《果敢な一撃》)が、無限ループを引き起こしたのだ。《ロランの脱出》で《野茂み歩き》を破壊不能にするか、《果敢な一撃》でアマリアのパワーが20のときに機能する効果をスキップしてやればいい。

 プロツアーのトップ8ラウンドは「5本勝負」だと考えられがちだが、正しくは「3本先取」だ。通常なら、そこに違いはない。

 しかしこの試合では違いが生まれる。この試合、ニールセンは2ゲームを引き分けに持ち込んだのだ。

 この3本先取のマッチはどうなったのか? それは5本ではなく7本勝負になった――卓を挟んで対峙することになったチームメイトたちは、最高の集中力を見せてくれた。

 ニールセンとラーセンは長いマッチで一進一退の戦いを繰り広げ、ニールセンはラーセンの決め手を危機一髪で防ぐプレイを見せた。彼らの戦いは記録に残る第7ゲームを迎え、そしてついに、ニールセンがこの壮大なマッチを終わりに導く手を見出したのだった。

 こうして、決勝の舞台が整った。そこで退治するは、「ラクドス吸血鬼」のセス・マンフィールドと、「ボロス・ヒロイック」のサイモン・ニールセンだ。

セス・マンフィールド

サイモン・ニールセン

 
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