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プロツアー『カルロフ邸殺人事件』
プロツアー『カルロフ邸殺人事件』2日目の注目の出来事
2024年2月25日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
2024年のプロツアー・シーズンは、シカゴで行われる今年最初のプロツアーで開幕した。連絡通路を渡って「MagicCon: Chicago」の会場へたどり着いたその先では、世界最高のプレイヤーたちによる最高レベルの競技が繰り広げられている。
「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」は、期待を裏切らなかった。6回戦のドラフトと10回戦のパイオニアを通して世界最高のプレイヤーたちがマジックの腕を試す姿や、プロツアー初出場の選手たちが高みへ突き進んでいく様子、このゲームの偉人たちがカメラの前で繰り広げる卓越した試合、そして「『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップ」王者を含む堂々たるトップ8の面々は、私たちを大いに楽しませてくれた。
最初にトップ8への切符を手にしたのは、猛烈な勢いで12勝2敗を記録したサム・パーディ/Sam Pardeeだった。そこへ続々と、さまざまな道をたどってプロツアーの舞台に上がった者たちが優勝トロフィーを手にするべく加わってきた。パーディの走りぶりは、今大会のベスト・デッキに支えられたものだった。詳しくは後段で語ることにしよう。
この記事では、プロツアー『カルロフ邸殺人事件』の2日目の出来事を振り返っていく。
『カルロフ邸殺人事件』を最大限に活かす
各チームはシカゴへ向かう前に、数週間という限られた時間で準備を整えてきた。そしてプロツアー初日のドラフトから始まる激戦に身を投じてきた。世界最高のプレイヤーたちとのドラフトに備える必要があるなら、練習段階で8人ドラフトの経験を重ねるのが一番だろう。
プロツアーでの成功にドラフトがいかに重要かを語るのに、言い過ぎというものはない。個別のイベントで大勝するにも、今後のイベントへの参加権利を得るためのポイントを積み重ねるにも欠かせないのだ。『カルロフ邸殺人事件』ドラフトは大会全体のラウンドの半分にも満たないかもしれないが、それはタイブレーカーに影響する。アドバンテージを得られるチャンスが少ない大会においては、各日の滑り出しが非常に重要だ。プロツアーでは、対戦相手がみなこれまで対面したことのないような戦績を持つマジック・プレイヤー揃いだ。ときには最初の3回戦で、次のような当たり方をすることもあるのだ。
- ウィリー・エデル/Willy Edel
- クリスティアン・カルカノ/Christian Calcano
- 中村 修平
殿堂顕彰者に、プロツアー王者。凄まじい回数のトップ8入賞経験者――プロツアーへようこそ。
このような激戦に当たった幸運なプレイヤーとは誰なのか? これもプロツアーならではだが、なんと自身も「プロツアー『アヴァシンの帰還』」を制すなど物語に満ちたマジック・キャリアを歩んでいる、アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneだった。彼の対戦相手たちも、当然神経を尖らせていたに違いない(ヘインはこのドラフトで1勝2敗としながらも、見事なプレイで2日目へ進出した)。
ドラフト・ラウンド合計6回戦で全勝を果たしたのは、わずか5人だった。
- アダム・エデルソン/Adam Edelson
- ジェイムズ・ラーセン=スコット/James Larsen-Scott
- タイラー・ハッチェル/Tyler Hatchel
- ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas
- マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Cárvalho
彼らが2日目も遅くまでトップ8進出の目を残して戦いを続けたのは、驚くことではないだろう。そしてエデルソンは、日曜日の舞台にも上がることになった。
Five players had a perfect 6-0 draft record at #PTKarlov!
— PlayMTG (@PlayMTG) February 24, 2024
Take a look at their Day 1 and Day 2 drafts below:
#PTKarlovドラフト・ラウンド6戦全勝者は5人でした!
それぞれのドラフト・デッキをご覧ください。
「嬉しくて仕方ありませんよ。リミテッドについて話せるのも嬉しいです」と、トップ8入賞を決めたエデルソンは語る。「攻撃的な姿勢を崩さないこと。それが今回のテーマであり、ここに来た誰もが知っていたと思います。攻撃的なデッキが有利で、強力な2マナ域の有無が大きいです」
プロツアーでトップ8に入れるかどうかに関わらず『カルロフ邸殺人事件』ドラフトを磨き続けてきたこのリミテッド愛好家は(彼はMTGアリーナでほぼ毎月ミシック・ランクまで上げている)、明確な狙いを持って自身初のプロツアーでのドラフトの席についていた。
「成功した戦略は、適切な色の組み合わせを見つけることでした。できる限り、やりたい色のサインとなるアンコモンを遅めに取りたいですね」と、エデルソン。「今日のドラフトでは、《煌く機械ドレイク》を3枚取れましたよ。基本的に緑以外はどの組み合わせでも2色でやりたいですが、緑が絡む場合は3色にして、カードや除去の質を上げたいですね」
メタゲームにおける究極の選択
プロツアー『カルロフ邸殺人事件』を迎えるにあたり、パイオニア環境は大部分が知られているというのが大多数の認識だった。どこかのチームが環境を完全に崩し、私たちに衝撃を与えない限り、私たちも予想されるデッキは大部分を把握していた。
そう、環境を崩すチームが現れたのだ。あるいはどんなに控えめに表現しても、この週末のベスト・デッキを組み上げたチームとは言えるだろう。「ラクドス・ミッドレンジ」は常に人気を集める選択肢だが、この週末は別のラクドスが最高のパフォーマンスを見せてくれたのだ。
3 《硫黄泉》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 3 《黒割れの崖》 3 《魂の洞窟》 4 《変わり谷》 2 《目玉の暴君の住処》 4 《血の墓所》 3 《沼》 2 《荒廃踏みの小道》 -土地(25)- 4 《血管切り裂き魔》 3 《分派の説教者》 4 《薄暮軍団の盲信者》 4 《税血の収穫者》 -クリーチャー(15)- |
4 《傲慢な血王、ソリン》 1 《強迫》 4 《思考囲い》 4 《鏡割りの寓話》 1 《苦々しい勝利》 4 《致命的な一押し》 -呪文(18)- 2 《Smuggler's Copter》 -その他(2)- |
1 《ヴェールのリリアナ》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 2 《危難の道》 2 《強迫》 1 《苦々しい勝利》 3 《減衰球》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
圧倒的成功を収めた「ラクドス吸血鬼」は、トップ8に使用者2人を輩出するに至った。
この週末に大ブレークを果たした技術は、《傲慢な血王、ソリン》と《血管切り裂き魔》の「コンボ」だった。この『カルロフ邸殺人事件』の新クリーチャーは、(攻撃的なデッキに対して強力な)2倍《血の芸術家》であるだけでなく、クリーチャーの生け贄を要求する護法能力はこのフォーマットの人気デッキ(「睡蓮の原野」や「アゾリウス・コントロール」)にはほとんど支払えず、重くのしかかるのだ。
このデッキはサム・パーディとセス・マンフィールド/Seth Manfieldをトップ8へ送り出したのだった。
Rakdos Vampires, out of all archetypes with more than two pilots, was the best-performing Pioneer deck at Pro Tour Murders at Karlov Manor! #PTKarlov pic.twitter.com/51UH9bcfZe
— Frank Karsten (@karsten_frank) February 25, 2024
プロツアー『カルロフ邸殺人事件』におけるパイオニア・ラウンドで、使用者2名以上のアーキタイプの中で最も好成績を残したのは、「ラクドス吸血鬼」! #PTKarlov
もちろん、パイオニアの古典的デッキも存在感を発揮した。そのデッキ自体が独自のアーキタイプとされる「イゼット・フェニックス」は、現世界王者のジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanduel Deprazやアダム・エデルソンをトップ8へ導いた。両者は第15回戦で12勝を達成し、予選ラウンドが完了する前にトップ8入賞を決めたのだ。
I love my little birds sooo much https://t.co/Le7UMLJupn
— J-E Depraz (@JEDepraz) February 25, 2024
かわいい小鳥たち、だーいすき
そしてすぐ後に「ロータス・コンボ」を使うアレックス・フレドリクセン/Alex Friedrichsenが続き、このフォーマットの主力デッキを使う者がまた1人トップ8入賞を果たしたのだった。
強者揃いのトップ8が決まる
第16回戦、今大会予選ラウンド最終戦を迎えた時点で、トップ8の席は4つ埋まり、4つ残っていた。「勝てば入賞」というわかりやすい状況の試合はなく、どれも手に汗握るものだった。
初日5勝2敗1分と苦しい立ち上がりになったセス・マンフィールドはその後も苦戦を強いられ、連勝を必要としていた。しかし2日目が構築ラウンドに切り替わると、チームで組み上げた「ラクドス吸血鬼」が解き放たれ、マンフィールドは過去に幾度となくやってきたように状況をひっくり返してみせた。この殿堂顕彰者は、最終ラウンドのアドリアン・イニーゴ・タステト/Adrián Iñigo Tastetとの一進一退の3ゲームを制し、3年ぶりとなる自身11回目のトップ8入賞を果たしたのだった。
続けてルイス・スコット=ヴァーガスがチェン・ミンヤン/Mingyang Chenと対峙し、「吸血鬼」を使うプレイヤーがまた1人トップ8へ進出する可能性が生まれた(彼もまた殿堂顕彰者であることは言うまでもないだろう)。しかしここではチェンの「睡蓮の原野」デッキがマッチを制し、独特なリストをトップ8へ送り込んだ。《来世の警告》を詰め込んだ「睡蓮の原野」デッキはチェンのみが使用しており、彼を自身初のプロツアー・トップ8入賞へと送り出したのだった。
残るは2席。その枠を争うのは、最終ラウンドを勝利したハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez、クリストファー・ラーセン/Christoffer Larsen、サイモン・ニールセン/Simon Nielsenの3名だった(使用デッキは「イゼット・フェニックス」、「アマリア・コンボ」、「ボロス・ヒロイック」)。そしてタイブレーカーのすえに日曜日へと駒を進めたのは、ラーセンとニールセンだった。
プロツアー・トップ8入賞は、人生を変え得る。ここに至ったプレイヤーはみな、膨大な時間をマジックのプレイに費やしてきた。それでもキャリアの中でプロツアー・トップ8入賞を複数回達成する者はまれで、1年を通して本当にとてつもない活躍を見せるプレイヤーは両手の指で数えられるほどなのだ。
だからこそ、現プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのサイモン・ニールセンのすごさが際立つ。彼はこれで、「プロツアー『機械兵団の進軍』」、「プロツアー『指輪物語』」、「第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」、そして「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」と、最高レベルのイベントで4回連続のトップ8入りをしたことになるのだ。
殿堂顕彰者に、複数のトップ8入賞者、そしてニューフェイスが、自らの名を歴史に刻もうとしている。改めて、トップ8入賞おめでとう!
- サム・パーディ(ラクドス吸血鬼)
- アレックス・フレドリクセン(ロータス・コンボ)
- アダム・エデルソン(イゼット・フェニックス)
- ジャン=エマニュエル・ドゥプラ(イゼット・フェニックス)
- セス・マンフィールド(ラクドス吸血鬼)
- サイモン・ニールセン(ボロス・ヒロイック)
- クリストファー・ラーセン(アマリア・コンボ)
- チェン・ミンヤン(ロータス・コンボ)
こうして日曜日の舞台が整い、残るは優勝トロフィーとプロツアー王者の称号のゆくえのみとなった。ぜひTwitch.tv/Magicで(訳註:日本語では日本公式YouTubeチャンネルで)すべてを見届けてほしい!
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