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プロツアー:闇の隆盛・ホノルル

読み物

(翻訳記事)Round 9: Martin Juza(チェコ) vs. Ben Stark(アメリカ)

Bill Stark / Translated by Yusuke Yoshikawa



「ベンのデッキがさぁ、ファーストピック15枚とサードピック8枚、みたいになってるんだけど」

 Juzaは席に着くなり、笑いながら愚痴を言った。プロツアー・闇の隆盛の第9回戦で対面するのは、彼の友人でありチームメイトだ。

 Ben Stark(ちなみに筆者とは何の関係もない)はリミテッドの戦略家として名高く、チーム・ChannelFireballno新たなリミテッド・フォーマット戦略を決めていく大黒柱と言える存在だ。彼のアドバイスは、Magic Onlineでの研究が使えない、闇の隆盛/イニストラードの形式のプロイベント緒戦にあたり、非常に有用なものとして迎えられている。

 Juzaはこの遠いイベントまでチームメイトの助けによってやってきたが、今回は自分で見つけ出した戦略で、リミテッドの首領たるStarkを倒すべく挑もうとしている。


チームメイトであるMartin Juza と Ben Stark が、2日目最初のラウンドで対戦する。

Game 1

 《教区の勇者》《礼拝堂の霊》から入ったStarkは、3枚の《平地》を並べ白単のようだ。一方のJuzaは、陰鬱なしの《ウルヴェンワルドの熊》がファーストアクションとなった。

 すると《旅の準備》、さらにフラッシュバックが、Starkの軍勢を一段と強化する。

「チャンスをくれよ...」

 ライフを記録するためにペンに手を寝橋ながら、Juzaはため息をつく。

 2枚目の《旅の準備》、またもフラッシュバック。Juzaは頭がクラクラしてきた。

「4ターン目に、もうチャンプブロックしないとダメなの?」

 Juzaは悲鳴をあげ、少しの暗算の後、

「これは死んだ...」


もういいかい? まあだだよ?

Martin Juza 0, Ben Stark 1

「接戦だったな!」

 Juzaはシャッフル中、そう言って相手を茶化す。

「ああ...そうだな、ドローは悪くなかったな」

 Strakは笑って返した。


Game 2

 第2ゲームのJuzaは、先ほどよりは少し良い滑り出しを見せた。第2ターンに《内陸の隠遁者》だ。Starkは《忠実な聖戦士》。Juzaは《ケッシグの狼》を加えると、《忠実な聖戦士》をブロックしてこれを《不浄の聖戦士》に返信させる。Starkは《スレイベンの異端者》を軍勢に加えるが、《不浄の聖戦士》を《炉の小悪魔》で失った。

 ChannelFireballの面々は新たなドラフトフォーマットを高速なものと捉えているようで、 この第9回戦のフィーチャーマッチも彼らの戦略が適切であることを示しているようだった。彼らは戦闘で次々とクリーチャーを行き来させ、小さなパワー2のクリーチャーがレッドゾーンを支配していた。

 Juzaの《レインジャーの悪知恵》がしばし相手の脅威を押さえ込んだが、Starkも《悪鬼の狩人》で押し返す。

 ゲームは混沌としているようであったが、その中にあってStarkのマナ不足は決定的な差であるようだった。彼の土地は3枚の《平地》で止まり、対戦相手が次々に対処を要求してくる一方で、呪文をキャストできない。

「マナスクリューだな...こうなったのも、おまえが良いデッキをドラフトしたってことだよ」

 Starkはつぶやくと、次のゲームに向けてシャッフルを始めた。

Martin Juza 1, Ben Stark 1

 第3ゲームに向けてのシャッフルの間、私はあることを思い出して、なるほどと感じていた。

 StarkとJuzaが昼食をとりにサブウェイに行き、戦術について話し合っていたときのことだ。

「肉は多めで注文していたほうがいいぜ」

 Starkはアメリカの有名なサンドウィッチ・チェーン店について評した。


「ときどき肉をケチられるからな!」

Game 3

 このマッチの最終ゲーム、Juzaはマリガンをするかどうかで頭を悩ませていた。マリガンをすることに決めた後も、彼はそうしたほうがよかったかどうか話していた。

 次の6枚はあきらめたようにキープして《内陸の隠遁者》から入ったが、早々に《スレイベンの異端者》が《信仰の縛め》をまとって殴りかかってきて、またしても頭を悩ませることとなった。

 《スレイベンの歩哨》がStarkの軍勢に加わるが、土地は《平地》ばかりで、《旅の準備》をキャストするための《》が見つからない。

 Juzaの《血統の切断》が、《スレイベンの歩哨》をトリガーさせることなく《スレイベンの異端者》を除去すると、どうやら盤面を落ち着かせる時間が得られたようだった。


Starkは《》なしで勝利への道を探す。

 《炉の小悪魔》が《スレイベンの守護者、サリア》を打ち倒し、《ただれ皮の猪》がフルパワーで現れる段になっても、Juzaはこのマッチは不利と感じているようであった。Starkの2回のマナ不足があってようやく勝とうとしているのだから。

 ただStarkの《礼拝堂の霊》はJuzaの軍勢の奔流を止めるには至らず、《ただれ皮の猪》と《炉の小悪魔》の脇から、さらに《ケッシグの狼》と《燃え投げの小悪魔》が首根っこ目掛けて飛びかかってくる。

「なんにもいいことねえなあ」

 Starkはあきらめたように言い、せめて最も適切なブロックをすべく、レッドゾーンを押しつぶす対戦相手の軍勢を見回した。

 ライフトータルは11対5でJuzaリードとなり、Starkはここでわずかな手勢――《スレイベンの民兵》と《不浄の聖戦士》によって最大限の一撃を与えるしか道はないと考えた。Juzaは自信なさげにブロックを行い、7点のダメージを受けた。そうしたところで、Starkは握手を求め、投了の意を示した。

「グッドゲーム」

 Starkは、マナ不足に落胆しながらも、対戦相手である友人の勝利に敬意を払って、そう言った。

Martin Juza 2, Ben Stark 1

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