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マジック・スポットライト:シークレッツ

決勝:陳 鳴陽(中国) vs. 堀 雅貴(大阪府) ~イゼット果敢こそが王者のデッキ~
プロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』から始まった今期のスタンダードで、ほぼすべてのメタゲームにおいて上位にいたデッキがある。低コストのクリーチャーを展開し、インスタントとソーサリーでバックアップしていくイゼット果敢だ。
しかしながら、メタゲーム通りに結果が出ないのもマジック。使用者数に反して、イゼット果敢をトップ8に見ることは少なかった。プレイヤーの意識は思いのほかイゼット果敢へと向いており、苛烈にメタられてしまったかたちだ。その結果として勝つことはなかった。
新たなデッキの台頭、メタゲームの変遷を経て、少しずつイゼット果敢へのガードは下がっていった。わずかに、ほんのわずかに。
イゼット果敢はその瞬間を見逃さなかった。総勢893名が参加した「マジック・スポットライト:シークレッツ」(以下、マジック・スポットライト)ではその強さを存分に発揮し、トップ8中5名が同デッキを使用していた。
これよりマジック・スポットライトの決勝を戦うのも2つのイゼット果敢。最強デッキが最強であることの証明。
そして、初タイトルをかけて2人のイゼット使いが激突する。
陳 鳴陽/チェン ミンヤン(中国)はプロツアー『カルロフ邸殺人事件』でトップ8入賞経験を持つ強豪であり、今回のマジック・スポットライトに焦点を合わせて来日してきた。次回のプロツアーの権利のない陳にとって、この旅路はトップ8というかたちで報われた。
青いテンポデッキをこよなく愛する陳。イゼット果敢はスタンダードにおけるベストデッキであり、相棒と呼ぶのに相応しい。メタゲームを含めて、その選択は最良であったに違いない。
最後の一戦を勝利でかざれるだろうか。
対するは関西の雄、堀 雅貴(大阪府)。チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド2で準優勝の経歴を持ち、ここ最近のトーナメントシーンでホットなプレイヤーの一人だ。
プロツアー直後に開催されたチャンピオンズカップファイナル シーズン4ラウンド3では、トップ8にあと一勝と迫った状況からまさかの3連敗を喫し、プロツアーの権利すらも獲得できない憂き目にあった。勝負の世界とはいえ、誰の目から見ても不運な境遇にあった。
しかし、あの時の連敗はマジック・スポットライトでの飛躍への必然だったのかもしれない。
今大会ではトップ8へ入賞し、プロツアーの権利を獲得。そして、初タイトル獲得へ向けて、最後の一戦へと挑む。
お互い席につくと、
堀「リベンジマッチですね」
堀の一言で卓上の熱が上がる。聞けば、今大会のスイスラウンドで対戦し、その時は陳が勝利しているとのことだった。
陳「OK、レッツゴー」
お互いに求めているのは優勝トロフィーであり、初タイトルの獲得。手に入れられるのはどちらか一人のみだ。
「グッドラック」と声をかけあい対戦は始まる。
さぁ、最後の最後、最高の舞台で、雌雄を決めようじゃないか。
ゲーム1
先手・陳の《嵐追いの才能》からゲームがはじまり、《選択》で早くも2点。しかし、《選択》で掘り進んだにもかかわらず、陳は2枚目の土地を引けない。
堀はカワウソ・トークンを《プリズマリの魔除け》で対処し、《没頭》でドローしていく。
陳は4ターン目に《手練》経由で《蒸気孔》を引き、2枚目の土地とともに赤マナの供給源も確保する。
土地が詰まっていた分、陳の手札は濃い。《没頭》で2枚のカードを手札へ加え、順当に土地も伸びていく。
インスタントとソーサリーが揃ったことで本命となる2枚目の《没頭》をプレイする堀だったが、そこに《呪文貫き》が突き刺さる。
ゲームが本格的に動いたのは堀が4枚目の土地をタップインで置いたターンの終わり。遂に陳が《渦泥の蟹》をプレイする。
堀も譲らない。返すアップキープに《渦泥の蟹》をプレイし、攻撃を牽制する。すると陳も同様のプレイをし、お互いの場に《渦泥の蟹》は出つつも、ライフはまったく動かない。
堀は《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》で1体を除去するも、陳は負けじと《渦泥の蟹》3号機をプレイ。
そこへ堀が《渦泥の蟹》2枚目をプレイしたことで盤面に5/5が4体並ぶもダメージレースは一向に進まない。
堀が《ブーメランの基礎》で《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》を使い回し、さらに陳のアップキープに都合3体目となる《渦泥の蟹》をプレイしたことで、やっと有利に進められるように思えた。
盤面は不利な状況下にあっても、陳は揺るがない。《没頭》3枚で得たアドバンテージを軸に、挿し切るゲームプランを構築していた。
タップアウトの堀を尻目に、素早く《精鋭射手団の目立ちたがり》をプレイ、続けて《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》、《嵐追いの才能》をプレイして一気に5点をあたえる。たった一撃で、堀のライフは13まで落ち込んだ。
堀も除去を駆使して《精鋭射手団の目立ちたがり》へ対処すると同時に、《渦泥の蟹》で10点のカウンターパンチを見舞う。ギリギリのライフレースをしかけるしかない。
陳は再び《精鋭射手団の目立ちたがり》をプレイすると《渦泥の蟹》と一緒に攻撃へ向かう。ダメージが入る前に《選択》、そして《鮮やかな迸り》でピッタリ13点。
シーソーゲームは鮮やかに陳が制した。
陳 1-0 堀
ゲーム2
ゲーム2開始時も「グッドラック」と言葉をかわして気持ちよく始まる。
マリガンながら《嵐追いの才能》スタートした堀、対して陳はやや考え《蒸気孔》から《噴出の稲妻》で応じる。
ターンが返ってきて堀は悩む。陳の2枚の土地からは、強烈に《今のうちに出よう》が読み取れる。
そこで堀は《ブーメランの基礎》で《嵐追いの才能》を回収すると、《嵐追いの才能》を出し直さずに《没頭》をプレイ。これには陳も頷き、《手練》と《無効》が手札に加わる。
3ターン目もドロゴーの陳。堀は《没頭》をプレイし、リソースをドンドン伸ばしていく。
そして待望のクロックが先に出たのは堀。陳のアップキープに《渦泥の蟹》をプレイすると、予定調和的に《今のうちに出よう》が飛んでくるが、そこを《呪文嵌め》で返す。
そのままターンが移ると5点を刻み、ショックインしていた陳のライフは11となる。《嵐追いの才能》は《無効》されたものの、《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》をドローモードで設置する。
土地も止まり、やや窮屈な陳。再び5点のダメージを受けて残りは6に。堀のターンエンドに《渦泥の蟹》をプレイし、自身もクリーチャーを得る。
さらに堀の追加の《渦泥の蟹》は《今のうちに出よう》で対処し、アタックにきたのを相打ち、一時的にボードをクリアにすることに成功する。
ならばと堀はアドバンテージへと舵を切る。《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》をドローで、追加リソースを得る。
しかし、6枚目の土地をセットし、《呪文貫き》をケアできるタイミングで陳が動く。《轟く機知、ラル》をプレイしたのだ。堀は《ブーメランの基礎》で《轟く機知、ラル》本体をバウンスするも、カワウソ・トークンが残ってしまう。
《轟く機知、ラル》の再プレイを経て攻撃し、堀のライフは14へと落ち込む。
十分に土地が伸びたところで堀が動く。陳のエンドにX=5で《司書、ワン・シー・トン》をプレイ。たまらず陳は戦場に出た時にスタックして《鮮やかな迸り》で本体を落とすが、カードを引かれてしまう。
堀は再度《ブーメランの基礎》でプレインズウォーカーをバウンスすると《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》のもう一方の扉を開けてトークンを除去。《嵐追いの才能》を追加し、攻守を入れ替える。
三度プレイされる《轟く機知、ラル》。そこから《手練》に繋げるが、スタックして堀は《渦泥の蟹》。陳の防衛網であるトークンを2体とも寝かせる。
変幻自在の《渦泥の蟹》が決定打となった。
陳 1-1 堀
ゲーム3
最後のゲームは爽やかな握手で始まり、双方7枚でキープ。
陳は力強く《蒸気孔》に2点のライフを支払いエンド。堀は《呪文貫き》されることを承知のうえで《手練》をプレイし、予定調和に《呪文貫き》。
返すターンに陳は《嵐追いの才能》を送り込むが、堀も《嵐追いの才能》で応える。どちらも一歩も譲らない。
陳は《没頭》をプレイし、スタックして堀は《噴出の稲妻》でカワウソを除去。一時的に堀がボードの優位を得る。
堀は自分のターンとなると、条件を満たした《没頭》をプレイ。からの、《除霊用掃除機》を設置!
ゲーム展開を考えるうえであまりにも致命的、あまりにも効果的なタイミングで《除霊用掃除機》が登場する。
陳は《没頭》を重ねるも、条件を満たせない。ドローのみならず後続の《渦泥の蟹》すらも牽制されたかたちとなる。
続く脅威は堀の4ターン目の《司書、ワン・シー・トン》。単に盤面はリードしているだけでなく、《除霊用掃除機》により陳の動きを封殺している。コツコツとカワウソトークンで攻撃し、気がつけば陳のライフは14へ。
陳は都合4枚目の《没頭》でやっと条件を満たすが、このアドバンテージ差は埋まるだろうか。
堀はさらなる《没頭》で手札を増やし、《司書、ワン・シー・トン》とカワウソ・トークンで5点のダメージを刻む。そのままターンを渡さずに安全に《渦泥の蟹》をプレイし、陳にカウンターを使わせない。
陳の《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》へ堀は《無効》。かなり強烈な一手で、ボードの主導権を譲らない。
それでもアップキープに《渦泥の蟹》で堀の《渦泥の蟹》と《司書、ワン・シー・トン》はタップでダメージレース少しでもスローダウンさせる。
堀は《没頭》から入り、《ブーメランの基礎》で《嵐追いの才能》を戻し、《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》で陳の《渦泥の蟹》を除去しつつ、ダメ押しとなる《嵐追いの才能》を追加。果敢が4回誘発し、カワウソトークンで攻撃し陳の残ライフを4とした。
陳は《選択》から《ブーメランの基礎》で《嵐追いの才能》を戻し、ボードを作りターンを返す。
堀のアップキープに《鮮やかな迸り》で《司書、ワン・シー・トン》を除去しつつ《渦泥の蟹》をタップ。さらに《渦泥の蟹》でカワウソトークン2体を寝かせる。
堀は落ち着いて《轟く機知、ラル》をプレイし、カワウソ・トークンを生成。《手練》で《渦泥の蟹》を加える。
手札も盤面も有利な堀。あとはいかにライフを削りきるかだ。
それでも陳は諦めない。《渦泥の蟹》で果敢にアタックし、死地に活路を見出す。堀のライフは9。
アップキープに《渦泥の蟹》をプレイすると、堀のアクティブなクリーチャーはカワウソ・トークン2体のみ。
堀はブロッカーをどかすべく《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》をプレイするが、陳の手札からは《無効》が!
すんでのところで踏みとどまったが、これが陳の最後の抵抗だった。
手札がないことを確認すると、堀は大きく深呼吸。これまで幾度となく勝負を決めてきたであろう《渦泥の蟹》をプレイする。
堀は丁寧にブロッカーをタップすると、決勝戦へと終止符を打った。
陳 1-2 堀
ゲーム1を決めたのは《没頭》。
ゲーム2を決めたのは《渦泥の蟹》。
勝負を決めたのは《除霊用掃除機》。
リソース、トリッキー、サイドボードと、イゼット果敢同士がっぷりよつに組み合った見応えのある決勝であった。
最終ゲームを振り返り、陳はベストハンドだったと語る。ソフトカウンターとクロック、複数枚の《没頭》が揃っており、うまくいけば圧倒的なアドバンテージゲームをものにできていたはずだった。
勝負を分けたのは、たった1枚の《除霊用掃除機》。フェイタルなタイミングでの墓地対策が刺さり、陳はアドバンテージレースで大きく後退せざるを得なかった。
堀は非常にバランスの良い手札をキープし、複数の選択肢からプランを練ることができた。過剰に押さず引かず、冷静に最適な行動を取り続けた。その過程で《除霊用掃除機》の設置に成功し、ゲームを有利に進めることができた。
最後の最後、ライフが尽きるまで、堀も陳も冷静であった。最善と最悪の想定を重ねて天秤にかけてプレイし、ベストをつくしたからこそ、ハイレベルなゲームとなり、お互いに讃えあえる好ゲームとなった。
今回は堀のプレイが上回り、勝利をおさめた。堀自身の実力とイゼット果敢という比類なきデッキ、双方が最強であると証明してみせたのだ。
オーバーパワーなデッキを巧みに使いこなし、最後まで戦い抜けた。
見事リベンジを果たし、初タイトルを獲得した勝者をここに祝福しよう。
勝者は最強のイゼット果敢使い、その男の名は堀 雅貴。
「マジック・スポットライト:シークレッツ」、優勝は堀 雅貴!!
おめでとう!!
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