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グランプリ・名古屋2016

観戦記事

決勝:平見 友徳(大阪) vs. 竹内 亮太(静岡)

By 矢吹 哲也

 伝統あるグランプリ、その決勝の舞台に、新しい風が吹き込んだ。

 平見 友徳、竹内 亮太。今この場に残った「2/2656」は、両者ともグランプリ・トップ8初入賞だ。シンデレラ・ボーイの物語は数あれど、決勝を戦うふたりともがその物語を紡いでいるのには、新たな時代の到来を予感せずにはいられない。

 ごく短い期間で積み上げた練習は、彼らに最大のチャンスをもたらした。

 どちらが勝ってもグランプリ初優勝。名誉、賞金、世界の注目、そしてさらに上のステージ。大好きなゲームを通して世界と繋がれる喜び。今、彼らの目の前には、多元宇宙さながらの無限の世界が広がっている。

 だから彼らは、改めて強く誓う。

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 この大舞台での自身の勝利を。

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 世界にその名を知らしめることを。

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 すべては、愛するマジックへさらなる情熱を捧げるために。

ゲーム展開

 両者キープでゲーム開始。

 竹内が《殺戮ドローン》、平見が《忍び寄りドローン》とそれぞれの先兵を繰り出し、竹内がそこへ《無謀な奇襲隊》を加えて攻め入ったところで軽量エルドラージ同士が相討ちになる。

 その後の組み立ては平見が速い。《オンドゥの戦僧侶》、《鎌豹》とひと息に展開し、竹内にプレッシャーを与える。一方の竹内も《不快な集合体》で盤面を一度落ち着かせたかと思えば、直後に《抑圧的支配》で一気に勢いを振り戻した。

 しかしこの攻勢はここまで。平見がサイズに勝るクリーチャーを戦線に送り出すと、天秤は少しずつ彼の側に傾いていった。早めに状況を打破したい竹内だが、彼のライブラリーは土地をもたらすばかり。火力による除去も、対象のサイズを「支援」で上げられ防がれてしまう。

 平見は《タジュールの道守》、そして《マキンディの巡回兵》とクリーチャーをさらに追加したところで、広く展開したクリーチャーたちに全軍突撃を命じた。竹内はドローを見ると、次のゲームへ望みをかけた。


あと1勝。平見の目に宿るプレインズウォーカーの灯がひと際輝く

 2ゲーム目、竹内は《》のない手札を前に少々考え、それでもキープを宣言。

 先ほどと同様に竹内が《殺戮ドローン》、平見が《忍び寄りドローン》の立ち上がり――だが、《殺戮ドローン》を《焼尽の光》で退場させられると、《》が並んだ竹内の手が止まってしまう。

 《闇の掌握》で《血統絶やしのワーム》は対処した竹内だが、その後も《》はやって来ない。平見はその後も《鎌豹》、《落とし子縛りの魔道士》、《鞍背ラガーク》とスムーズな展開を見せ、着実に勝利をたぐり寄せていく。

 そしてそのときはやって来た。

 最後のドローにも《》の姿が見えず赤に染まった手札を抱えた竹内は、それらを広げて置き、真っ直ぐ右手を伸ばしたのだった。

平見 2-0 竹内

 差し出された手を取り、「よっしゃ優勝!」とつぶやくように感情を露わにした平見。その後の生放送でのインタビューも終始冷静な様子で受け答えし、早くも王者の風格を感じさせた。

 一方、最後の戦いでデッキの力を十全に引き出せなかった竹内。惜しむ気持ちも悔やむ想いも当然あるだろう。

 それでも彼は、前を向いた。

「また、ここに来ます」

 彼の目に宿るプレインズウォーカーの灯も、誰より明るく燃えていた。

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平見 友徳、グランプリ・名古屋2016優勝おめでとう! 新世代のこれからの活躍を見逃すな!

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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