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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」より
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グランプリ神戸11
第14回:グランプリ・神戸 直前特集~白単タッチ青、フェアリー、ヴァラクート
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」より
読み物
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.04.15
第14回:グランプリ・神戸 直前特集~白単タッチ青、フェアリー、ヴァラクート
今週から2週にわたり、グランプリ・神戸 直前特集として、各地の大会結果と、自分のエクステンデッド雑惑を述べていきます。
以前の記事もご参照ください。
- 第6回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その1
- 第7回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その2~ヴァラクート・白青
- 第8回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その3~包囲戦がもたらしたもの
- 第9回:「神戸への道」エクステンデッド攻略 その4~赤単、ボロス、4色ビート
「白単タッチ青ビートダウン」
5 《平地》 1 《島》 4 《秘教の門》 4 《天界の列柱》 4 《金属海の沿岸》 1 《氷河の城砦》 4 《反射池》 2 《乾燥台地》 -土地(25)- 4 《闘争の学び手》 4 《運命の大立者》 4 《戦隊の鷹》 3 《石鍛冶の神秘家》 3 《刃砦の英雄》 -クリーチャー(18)- |
4 《流刑への道》 3 《清浄の名誉》 4 《幽体の行列》 4 《謎めいた命令》 1 《肉体と精神の剣》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -呪文(17)- |
4 《ブレンタンの炉の世話人》 3 《瞬間凍結》 3 《マナ漏出》 2 《審判の日》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
メインはほとんど白単ビートダウンで、去年紹介した「殿堂白単」に近い形ですね。それに加えて、もはや白いデッキの定番である《石鍛冶の神秘家》《戦隊の鷹》コンビが追加されている形です。
スタンダードでも最近グングン採用率を伸ばしている《刃砦の英雄》は、エクステンデッドでも十分通用する性能です。そのコストパフォーマンスもさることながら、エクステンデッド環境ではフェアリーなら《見栄え損ない》、ヴァラクートなら《稲妻》というように軽さを重視した除去選択をするため生き残りやすく、《清浄の名誉》と組み合わせたときは圧倒的な攻撃力を見せ付けますね。
そして《幽体の行列》は往年のキスキンの強さを支えていたカードで、《戦隊の鷹》3体が1度に出るといえばその強さがよくわかるカード。青白同系では他のどのカードよりも強く、《コジレックの審問》も《呪文づまりのスプライト》も効きづらいためフェアリーに対しても効果的で、このデッキの一番の武器とも言えます。
メインで青マナを必要とする呪文は《謎めいた命令》4枚だけで、あとは《天界の列柱》のクリーチャー化のみ。実質《謎めいた命令》のためだけに青を足しており、《幽体の行列》のために3ターン目に{W}{W}{W}、4ターン目に《謎めいた命令》で{U}{U}{U}と、マナベースにかなり無理をした構成になっています。しかし、無理をしてでもタッチするほどの価値が《謎めいた命令》にはあることを、結果が証明しています。
以前の記事で紹介した、青マナが出るデッキのすべてに4枚フル投入されていることからもわかるように、《謎めいた命令》は今のエクステンデッドを象徴するカードです。
「カウンター」「バウンス」「タップ」「ドロー」、どのモードを使用するにしても相手のターンを自分の都合の良いように捻じ曲げることができ、特に「カウンター&バウンス」は実質2ターンぶんの働きをしています。
4つのモードすべてが強いですが、中でも最も強力なのは「あなたの対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーをタップする」。どんなに不利な盤面であろうと逆転を生み出してくれるのは、この「タップ」がクリーチャーデッキ相手には実質《時間のねじれ》と変わらない働きをするからでしょう。白単ビートダウンは最後の一押しで苦労するデッキですが、《謎めいた命令》によってその突破口を開いているとも言えます。自身がクリーチャーデッキであるほうがこの「タップ」モードを活かしやすいですからね。
サイドボードも、タッチ青により融通が効くようになっていて、
エリート社員。ビートダウンデッキに対しては《審判の日》《火山の流弾》のような全体除去をサイドインするのが普通ですが、サイド後はジェイスのおかげでそれらをケアししつつも別のベクトルから攻めることが出来るようになります。特に青白同系で強いカード。
白いビートダウンは「手札破壊」「カウンター」といった相手への干渉能力を持たないため、「赤緑ヴァラクート」を苦手としてきましたが、その弱点を補うカード。この6枚により、サイド後の相性がぐっと改善されています。
「青黒フェアリー」
エクステンデッドはメタの移り変わりが速く、これまでにも数多くのデッキを紹介してきました。
現在のエクステンデッドのメタゲームをまとめると、Tier1は
- 青黒フェアリー
- 赤緑ヴァラクート
この2つだと、自分は考えています。環境がフェアリーに寄れば《火山の流弾》《テューンの高僧》が流行し、ヴァラクートに寄るようなら《地盤の際》《瞬間凍結》が取られる。そしてどちらも対策カードに対する回答がある、対策カードを乗り越えるだけのブン回りを持つデッキです。
他のデッキを使う場合でも、対策を強いる、対策する必要があるという点で、やはりこの2つは避けて通れません。どの大会を見ても2つとも必ずトップ8に存在するデッキであり、プロツアー予選の結果を見てもやはりこの2つが飛びぬけて多いです。
4 《島》 2 《沼》 4 《忍び寄るタール坑》 4 《人里離れた谷間》 4 《闇滑りの岸》 2 《沈んだ廃墟》 4 《変わり谷》 2 《地盤の際》 -土地(26)- 3 《呪文づまりのスプライト》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 3 《霧縛りの徒党》 2 《誘惑蒔き》 -クリーチャー(11)- |
3 《見栄え損ない》 3 《思考囲い》 1 《コジレックの審問》 4 《苦花》 3 《マナ漏出》 3 《喉首狙い》 4 《謎めいた命令》 2 《饗宴と飢餓の剣》 -呪文(23)- |
4 《吸血鬼の夜鷲》 2 《誘惑蒔き》 2 《呪文貫き》 1 《コショウ煙》 2 《瞬間凍結》 2 《消耗の蒸気》 2 《地盤の際》 -サイドボード(15)- |
フェアリーを相手にしたとき、4マナがアンタップ状態のときに《謎めいた命令》か《霧縛りの徒党》かの2択で悩まされる場面は非常に多いです。
戦闘前に呪文をプレイすれば《謎めいた命令》で「カウンター&バウンス」でテンポを失い、逆に先に戦闘を行ってしまうと《霧縛りの徒党》により第2メインフェイズに行動ができなくなる。どちらかをケアしようとすると必ず裏目が出てしまいます。
答えの出ない2択とも言えますが、もしあなたがビートダウンデッキでこの究極の2択に迫られたときは、《霧縛りの徒党》の方をケアして(重く見て)第1メインフェイズに呪文をプレイすべきです。
《謎めいた命令》の方はまだ4マナで1ターン失うだけで済みますが、《霧縛りの徒党》の場合は1回4/4飛行が出た上で攻撃クリーチャーを1体失ってしまい、もう取り返しがつかない場になりますからね。
フェアリーvsヴァラクート
基本的に、フェアリーが攻める側のゲームです。長引くと《マナ漏出》が意味のないカードになってしまい、《見栄え損ない》《喉首狙い》も役に立たないことの方が多いですからね。メインはカウンターを構えるよりも、6マナ揃える前のターンにどんどん攻める展開が望ましいです。
「赤緑ヴァラクート」
10 《山》 7 《森》 4 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》 2 《新緑の地下墓地》 3 《広漠なる変幻地》 2 《進化する未開地》 -土地(28)- 4 《原始のタイタン》 1 《ゼンディカーの報復者》 -クリーチャー(5)- |
2 《稲妻》 4 《不屈の自然》 4 《カルニの心臓の探検》 2 《探検》 3 《虹色の前兆》 3 《砕土》 2 《耕作》 2 《火山の流弾》 4 《風景の変容》 1 《原初の命令》 -呪文(27)- |
3 《難問の鎮め屋》 3 《自然の要求》 1 《耳障りな反応》 2 《焼却》 2 《紅蓮地獄》 1 《余韻》 2 《金屑の嵐》 1 《原初の命令》 -サイドボード(15)- |
エクステンデッドは相手のデッキ次第で初手のキープ基準が大きく異なる環境です。
コントロール相手の《見栄え損ない》や、ビートダウン相手の《思考囲い》など、対戦相手のデッキ次第ではカードの強さが大きく異なるのが、その理由です。
一方、ヴァラクートはデッキ全体が「土地を伸ばす」というテーマに沿っているため、「相手を選ぶカード」が少なく、他のデッキに比べてメイン戦は無駄カードが生まれにくい。コンボに重点を置くデッキはそういう強みを持っています。
ヴァラクートvsフェアリー
実はフェアリー側が《風景の変容》を対処できるカードは限られていて、土地7枚以上で撃つので《マナ漏出》は効かず、確定カウンターは《謎めいた命令》4枚のみ。それもサイド後は《耳障りな反応》《難問の鎮め屋》で対処可能です。
《思考囲い》《苦花》のライフルーズにより自然と《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の射程内になることもあり、長期戦になったときはヴァラクート側が有利です。
《霧縛りの徒党》《ヴェンディリオン三人衆》といった単体のクロックが高いクリーチャーがゲームの焦点になるので、それらを対処できる《焼却》の方が《火山の流弾》よりも効果的だと自分は考えています。実際《霧縛りの徒党》を巡るゲームになりやすいですし、《難問の鎮め屋》と《火山の流弾》を併用するのは少し矛盾していますからね。
フェアリーとヴァラクート、この2つに共通して言えるのは「序盤が弱く中盤~終盤にかけて強くなっていくデッキ」だということ。キーカードが4マナ以上のものが多く、1枚で盤面をひっくり返せるようなカードが多いからです。
しかし逆に言ってしまえば、2つとも「序盤が弱い」という明確な弱点があるので、そこを突く戦略を取っているのが、「その4」で紹介した赤単、ドランといったビートダウンですね。相手の強いカードが4ターン目以降なら、3ターン目以前に優位を築いてしまおう、という戦略ですね。
グランプリ・神戸まで残り一週間。みなさんも使い慣れたデッキで、練習に励んでいる頃だと思います。
フェアリーとヴァラクートも、グランプリ・神戸本戦でも母数の多いデッキになるでしょう。予想されるメタゲームとしては、そのあとに青白石鍛冶、緑単エルフと続く形でしょうか。
使うにしろ使われるにしろ、相手のデッキの長所と短所を理解し、対策を怠らないようにしていくことが重要ですね。この記事がその参考になればと思います。
では、また来週。
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