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戦略記事

渡辺雄也の「リミテッドのススメ」

基本セット2013 シールド編:?しいルド!?

読み物

渡辺雄也の「リミテッドのススメ」

2012.07.06

マジック基本セット2013 シールド編:~しいルド!~


 どうもこんにちは。渡辺です。

 ついこの前にアヴァシンの帰還が出たと思ったら、今週末にはもうマジック基本セット2013(M13)のプレリリース。時間が経つのは早いですね。

M13_Logo

 既に全てのカードが公開され、全貌が明らかになっている基本セット2013ですが、皆さんの注目カードはなんでしょう?
 個人的な注目カードは〈空召喚士ターランド〉と〈ムウォンヴーリーの獣記し〉の2枚。

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 実際に使ったわけではないので本当に強いかどうかはまだ分かりませんが、この2枚の新規カードには可能性を感じています。

 また、今回は基本セットなので過去の再録カードも多いです。《怨恨》や《もぎとり》といった昔の強力なカードも採録されていますね。

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 そんな最新の基本セット2013、その「シールド戦」や「ドラフト」などの遊び方=「リミテッド」の解説、環境の分析をしていくのがこの記事です。

 これまでは「シールドの基礎」・「7つの分析」・「点数表」に分けてレビューしていましたが、今回の基本セット2013編では「点数表」ではなく、代わりに別のレビューをする予定です。
 詳しいことはまだ言えませんが、今回の3つ目の記事はリミテッド初心者の方に向けた内容にする予定です。詳しくは次回にでも。


 さて、今回は基本セット2013編の第1回、「シールドの基礎」編となります。

 明日から全国で開催される基本セット2013プレリリース。
 そこで使われる「シールド」というフォーマットの基本的なことを説明していこうと思います。

 明日プレリリースに参加するつもりだけど、普段は構築ばかりなのでシールドは不慣れ・・・という方や、そもそもシールドをやったことがない・・・という方でも、この記事を読んでもらえればシールドの基本的なことは理解していただけると思います。
 「シールドの基礎」編はそういった方のための記事です。

 逆に普段からリミテッドに精通しているリミテッドジャンキーな方や、前回・前々回の記事を読んでいただいた方にはちょっと物足りない内容になってしまうかもしれませんが、そういった方々は明日のプレリリース前にもう一回シールドの復習をするような感覚で読んでいただければ幸いです。

 今回は基本セット2013編なので、セットから具体的に当てはまるカードのピックアップもしていきますね。

 ではさっそく見ていきましょう。


強いカードを使う

 シールドは自分に配られた6パック分・84枚のカードの中からデッキを構築するフォーマットです。
 その限られたカードの中からデッキを組むなら、その中の強いカードを使うのは至極当然のこと。勝つための一番の近道ですね。

 ここでいう「強いカード」とは、1枚でゲームに勝ってしまうような力を秘めている強力なレアやアンコモンのことを指します。
 これらのことを総称して「爆弾レア」や「ボム」なんて呼び方をしたりもしますね。


 基本セット2013のカードを見てもそれにあてはまるようなカードがいくつかあります。
 〈群れの統率者アジャニ〉をはじめとした各色のプレインズウォーカーたち、〈グリクシスの首領・ネファロックス〉をはじめとした各色の伝説のクリーチャーたち、《アクローマの記念碑》や〈捕食者の暴力〉のような強力なフィニッシュブローになるようなものもありますね。

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 こういった1枚でゲームに大きな影響を与えるカードは、多く使えれば使えるほどよいので、積極的に使うようにしましょう。
 また、その強力なカードを上手く使えるようなデッキを組むようにカードの選択をすることも必要です。

 《予言》や《血の署名》のようなドローカードを使って強力なカードにたどり着きやすくしたり、相手の除去カードで対処されてしまった強力カードを再利用できるように《墓暴き》や《墓場からの復活》を使ったりと、強力レアを上手く使えるような工夫をデッキに忍ばせておきたいですね。

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除去カードは重要

 クリーチャーによる攻防が主になるリミテッドでは、相手のクリーチャーに対処することができる「除去」カードは非常に重宝します。
 破壊する、攻撃やブロックを制限して無力化するというのは、上で挙げたような強力なクリーチャーに対する一番の回答でもありますし、有利な盤面ではその有利を確固たるものにしてくれますし、不利な盤面では盤面を五分に持ち直したりと、どんな場面でも活躍してくれます。

 デッキに入っている除去の枚数でゲームの展開も大きく変わってくるので、シールドではパックの中に入っている除去カードはできるだけ使うようにしましょう。

 基本セット2013の除去カードを見てみると、〈灼熱の槍〉や〈殺害〉といった分かりやすい優秀な除去カードが用意されていますね。基本セットではお馴染みの《平和な心》も健在です。

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 ちょっとコストが重くなると《本質の吸収》や《金屑化》のような除去+何かの働きをするようなカードもあります。こういった1枚で複数枚分の働きが期待できるカードは非常に優秀ですね。

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 一つ注意しておきたいのは、除去カードだからといって必ずしもデッキに入るわけではないということ。

 例えば《垂直落下》のように打てる対象が極端に限定されている呪文は、もし相手のデッキにその対象となるカードが入ってなかったときに完全な無駄カードになってしまいます。

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 そんな事態を避けるために、このような打つ対象が限定されているカードはメインからは採用せず、相手のデッキの内容がある程度分かり打てる対象がいるのを確認した後のサイド後からデッキに入れるようにしましょう。


綺麗なマナカーブを

 シールドに限らずリミテッド全般に言えることですが、デッキを組む際にはデッキの中のカードの「マナカーブ」を意識してデッキを構築しましょう。

 「マナカーブ」とは、点数で見たマナ・コスト({2}{G}なら3、{4}{U}{U}なら6)別にカードの枚数を数えて、グラフにしたときに描かれるカーブのことです。リミテッドでは、特にクリーチャー・カードをカウントします。

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こんな感じに並べます

 リミテッドのマナカーブは放物線を描くようなマナカーブが理想的といわれていて、具体的な枚数の例を出すなら

  • 2マナ以下:5~6枚
  • 3マナ:6~7枚
  • 4マナ:3~4枚
  • 5マナ:2~3枚
  • 6マナ:1~2枚

 といった感じでクリーチャー・カードを用意できれば良いマナカーブのデッキとなります。

 このマナカーブを意識することによって、デッキ全体のクリーチャーのバランスを整えることができ、序盤から終盤にかけてバランスよくクリーチャーを展開していけるような構築をすることができます。


 特に意識しておきたいのは「2~3マナ域」で、このあたりのマナ域のカードは序盤の戦線を作るのに必要不可欠です。
 なので多少カードが弱くてもこのマナ域のカードはできるだけ枚数を確保するようにしましょう。《銀毛のライオン》や《歩く死骸》のようなカードでも、2マナ域のパワー2というだけでデッキに入れる価値は十分にありますね。

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 間違っても4マナから展開していくような重い構成のデッキにはしないようにしましょう。

 またクリーチャーカードだけでなく、《遥か見》や《天使の祝祷》のような、コスト通りのターンにプレイしてこそ最大限の効果を発揮するようなカードもあります。これらがわかっていれば、マナカーブ内にカウントしておきましょう。

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 他の呪文でも、4~5マナ以上のものに関しては、それをプレイするために丸々1ターンを費やすことになります。これもマナカーブにカウントしておくといいですね。


できるだけ2色で

 リミテッドのデッキは基本的に2色で組むのが最適といわれています。

 《極楽鳥》や2色以上の色が出る土地をあらかじめ用意できる構築フォーマットとは違い、デッキを支えるマナベースをほぼ基本土地で構築するリミテッドでは、3色以上でデッキを組むと色マナ面でトラブルを起こしてしまう原因になります。

 環境に色マナをサポートするカードが多い環境なら話は違うのですが、そういったカードが少ない基本セット2013環境は通常の2色環境だと推察できますね。

 ただシールドというフォーマットの性質上、どうしても2色ではカードが足りずデッキを3色で構築しなければいけないことや、強力カードを引いたけどその色の他のカードが弱いために強力カード+色が対応する少量の土地を加える(タッチする・スプラッシュするといいます)、ということが多々あります。

 そのようなときはデッキを3色で組むことになりますが、その際に注意しておきたいのはデッキをできるだけ「2色にタッチ1色」のような形にするということ。

 もし均等3色のような構成にしてしまうと、色マナが思うように出なくなり元々のメイン色のカードをプレイできなくなってしまう場合もあります。そのようになってしまっては元も子もありません。

 もしデッキを3色にするなら、デッキを2色にタッチ1色の形にして、できれば《遥か見》や《進化する未開地》のような3色目を探しにいけるマナサポートの力も借りるようにしたいですね。

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土地の枚数

 リミテッドは40枚のデッキに対して17枚の土地が適正といわれています。
 デッキの構成によっては変わることもありますが、極端に軽い構成だったり、逆に重い構成だったりしないのなら土地の枚数は17枚が適正でしょう。シールドで極端に軽い攻勢でデッキを組むのは難しいので、土地の枚数は大体17枚~18枚になることがほとんどですね。

 目安としては2色の綺麗なデッキなら土地は17枚。3色のデッキなら色マナの都合で18枚といった感じです。

 ただ、《遥か見》や〈適合の宝石〉のようなマナサポートしかしないようなカードは、土地の枠で数えても問題ありません。

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 土地18枚のデッキでこれらのカードまで採用すると、マナ関連のカードばかり引いてしまう、いわゆる「マナフラッド」の原因にもなりますからね。

 また、2色でも土地を18枚にする場合もあります。これは高コスト域のカードのマナ拘束が厳しいデッキのときですね。
 例えば、あなたのデッキが《原初の狩人、ガラク》と《吸血鬼の夜侯》が同居しているような黒緑のデッキになったとします。

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 両方とも強力なカードですが、これを両方とも適正ターンにプレイしようと思ったら4ターン目に{B}{B}{B}、5ターン目に{G}{G}{G}という色マナを要求されます。マナベースの大部分を基本土地で補うリミテッドでこの色マナ要求はちょっと厳しいですね。

 もしこうような事態になってしまった場合は、土地の割合を《》9枚、《》9枚の均等な割合にして、上手く引けばどちらも適正ターンにプレイできる可能性を残しておくようにしましょう。

 この構築はかなりのご都合主義ですが、2種類のトリプルシンボルのカードを使うにはこれくらいの無茶をしないといけないということです。

 強力なカードが複数使えるのは喜ばしいことですが、それをきちんとプレイするための下地もしっかりと考えるようにしなければいけませんよ。


先手を取るか、後手を取るか

 最初のゲームを始める前に、じゃんけんやダイスロール、コイントスなどで最初のゲームをどちらの先手で始めるかを決めることになります。
 ここで大事なのは、「勝った側が先手か後手かを選ぶことができる」ということです。

 さて、ダイスロールに勝ったとして、あなたは先手を選ぶべきでしょうか?

 シールドは「一般的には後手のほうが有利」なフォーマットと言われています。
 シールドはドラフトのように攻撃的なデッキを構築することが難しく、先に展開できるメリットよりも後手によって得られる「(最初のドロー)1枚分のリソース」が重要だとされているからですね。

 ただこれは環境のカードプールによってはまったく当てはまらない場合もあります。
 最近は全体的にクリーチャーの質が上がっているので、低マナ域が潤沢に揃っていて先手向きのビートダウンを組めるようなカードプールをもらう場合も少なくありません。

 『イニストラード』のシールドは変身クリーチャーを先に展開したいという理由で先手を選びたい環境でしたし、アヴァシンの帰還のシールドもパックの内容によって先手か後手かを決めるような環境でした。

 これらのことを考慮しても、最近のシールドは一概に後手を取ったほうが良いとは言えなくなっています。

 基本セット2013は基本セットなので、イニストラードやアヴァシンの帰還よりはカードパワーが抑えられているようにも感じられるますが、基本セット2013のキーワード能力である「賛美」は攻勢に出やすい先手のときに強い能力です。

 なのでもしデッキに複数枚の賛美カードが入っているなら、それは先手を取ったほうが良いデッキといえるでしょう。
 逆に賛美関連のカードが少なく、除去が多かったり《精神腐敗》のようなカードがあればそれは後手を取ったほうが良いデッキとなります。

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 結局は自分の引いたプール次第なところもあるので、自分のカードプールから組めるのは先手デッキなのか、それとも後手デッキなのかをしっかりと判断してカードの取捨選択をするようにしましょう。

 ちなみに基本セット2013のカードを一通り見た自分の見解では、基本セット2013シールドは若干先手よりな印象を受けました。

 賛美のことはもちろんありますが、装備品の指輪シリーズなどは先手の方が上手く活用できますし、他にも〈大鉈暴動〉や〈庇護のグリフィン〉みたいな先手向けのカードが多いというのが第一印象でしたね。

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 ただ《クラーケンの幼子》や《アクラサの守護者》のような壁役として使えるクリーチャーもそれなりの数がいるので、実際にやってみるまではどらちがいいのかは一概に判断し辛いところ。

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 この基本セット2013環境のシールドは「先手なのか後手なのか?」 みなさんも、カードギャラリーを見ながら明日のプレリリースまで考えてみてはどうでしょう。


 ここに書いてあることを覚えておけば、明日のプレリリースでデッキを構築する際に迷うことは少ないと思います。

 この他にも実際にデッキを組む際には色々なことを考えなくてはいけない場合がありますが、一番大事なのはやはり基礎。
 基礎がしっかりしていないと応用などもできませんし、初めて遭遇するような場面でも基礎さえしっかりしておけば何とかなってしまうこともありますよ。

 なので、ここで挙げたことはことはしっかりと覚えておくようにしましょう。


 では最後に基本セット2013のキーワード能力である「賛美」について触れておきたいと思います。


キーワード能力「賛美」

 基本セット2013のキーワード能力である「賛美」はアラーラの断片・ブロックから帰ってきた能力で、クリーチャーが単体で攻撃したときに誘発する能力です。

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 当時は白・青・緑のカードに割り振られていた能力でしたが、今回の基本セット2013では白と黒のカードに割り振られていますね。


 賛美は非常に攻撃的な能力です。
 攻撃時に誘発する能力なので当然と言えば当然なのですが、実際に使ったり使われてみるとその突破力は相当なもの。

 例えば、相手の場に3/3のクリーチャーがいる場合、普通なら自分の2/2クリーチャーは攻撃しないのが定石です。攻撃して普通にブロックされたら、ただ2/2を失うだけの結果になりますからね。

 ですがこのような場面でも賛美さえあればこちらの2/2のクリーチャーは攻撃できます。賛美のおかげでサイズが3/3になりますからね。

 それでもし相手の3/3クリーチャーにブロックされて相打ちになったとしても、それはこちらの2/2と相手の3/3が相打ちになったということなので、枚数上では1対1交換ですが、クリーチャーの質的には得をしている計算ができます。

 なのでこういった場合は余程のことがない限りはブロックされません。自分の2/2が相手の3/3を乗り越えてダメージを与えるのは普通に考えてただ得ですね。

 こういったことが起きるのが賛美という能力です。
 この例を見ても、賛美が非常に突破力に優れた能力だということが分かりますね。

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 クリーチャー戦闘が主体になるリミテッドにおいて、毎回戦闘に絡む能力が弱いわけがありません。
 もし賛美関係のカードを引いたなら、積極的に使っていくようにしましょう。


 今回の基本セット2013・シールドの基礎編はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 それではまた次回、基本セット2013・7つの分析編でお会いしましょう。


 編集より: プレリリーストーナメントが開催される店舗・開催日時については、イベント検索をご利用ください。使い方は、「WPN通信 第105回」をご参照ください。
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