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開発秘話

Making Magic -マジック開発秘話-

デザインファイル:『ウルザズ・デスティニー』その3

Mark Rosewater
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2025年5月5日

 

 この2週間、その1その2の記事で『ウルザズ・デスティニー』の私のデザイン提出文書から印刷までたどり着いた何枚ものカードを見てきた。今回の記事では、私がデザインしたがこのセットでは採用されなった多くのカードを見ていこう。中には後のセットで採用されたカードもある。


CW07
〈救済の恩寵〉
{1}{W}
インスタント

サイクリング:白のクリーチャーを2体タップする。
対象のクリーチャーが受けるダメージを4点軽減する。

CU07
〈弾き〉
{1}{U}
インスタント

サイクリング:あなたがコントロールする島2枚を、あなたの手札に戻す。
対象の、アーティファクト1つかクリーチャー1つか土地1つをタップかアンタップする。

CB09
〈掘りまくり〉
{1}{B}
ソーサリー

サイクリング:
サイクリング:2点のライフを支払う。
あなたの墓地の対象のクリーチャー・カード1枚を、あなたの手札に戻す。

CR08
〈土地の消え去り〉
{3}{R}
ソーサリー

サイクリング:土地を1つ生け贄に捧げる。
対象の土地1つを破壊する。

CG11
〈草原の輝き〉
{1}{G}
インスタント
サイクリング:あなたがコントロールするクリーチャー1体を、あなたの手札に戻す。
あなたがコントロールするクリーチャーに与えられる、すべての戦闘ダメージを軽減する。

 『ウルザズ・デスティニー』は『ウルザズ・サーガ』ブロックの第3セットであり、当時のメカニズムに関するルールに従っていたため、このセットのメカニズムはブロックの第1セットで登場した2つの名前付きメカニズムの拡張版しか作れないことになっていたそのうちの1つがサイクリングだ。『ウルザズ・サーガ』と『ウルザズ・レガシー』のすべてのサイクリング持ちカードは{2}のサイクリング・コストを持っていた。他のマナ・コストを試してよいか尋ねたらダメだと言われたので、マナ以外のサイクリング・コストを試すことにした。

 上記のカードはコモンのサイクルであり、それぞれ異なるサイクリング・コストを持っていた。これらはブロックの他のカードに比べて余りにも奇抜だったため、開発中に削除されることになった。マナ以外のコストを持つサイクリング・カードの登場は『未来予知』のミライシフト・カードまで待たねばならず、またその後もほとんど作られることがなかった。ここで作成したコストの多くは『メルカディアン・マスクス』で代替マナ・コストとして使用され、土地のバウンスは『神河物語』でムーンフォークのメインテーマとなった。

RW02
〈自由の天使〉
{4}{W}{W}
天使の召喚

3/3
[カード名]が場に出たとき、土地6つをアンタップする。
飛行、攻撃してもタップしない

CU06
〈自由化光線〉
{4}{U}{U}
インスタント

[カード名]の解決に成功したとき、対象の土地6つをアンタップする。
対象の、対戦相手がコントロールしているクリーチャー1体をアンタップし、ターン終了時までそれのコントロールを得る。このターン、そのクリーチャーは召喚酔いに影響されない。

UU01
〈自由の魂〉
{3}{U}
スピリットの召喚

1/2
[カード名]が場に出たとき、対象の土地1つをアンタップする。
飛行
[カード名]がプレイヤーにダメージを与えたとき、カードを1枚引く。

 『ウルザズ・サーガ』では、私はキャントリップ(カードを1枚引く呪文)をまったく入れることのないようにと言われた。当時、キャントリップを散発的に収録することは、それの再録を期待させるためであり一般的な考えだった。しかしその後、キャントリップは華々しいテキストではなく、むしろ便利で使いやすいツールであることに気が付いたため、常盤木メカニズムとして定着した。

 

 キャントリップに似た働きをする変わったテキストを考えていると、カードを引く代わりにマナを生み出す呪文を思い付いた。これらは後に「フリースペル」と呼ばれるようになる。これらの呪文は、効果の一部としてそのマナ・コストと同じ数の土地をアンタップする効果を持っており、そのマナ・コストを実質的に0として唱えることができる。

 私は主にブロック前半のメカニズムをベースとして作業中だったため、新しいフリースペルをいくつか作ってみた。天使、一時的なコントロール奪取カード、そして《好奇心》効果を持つカードを作成した。実際に印刷されたフリースペルは強すぎたため、これらのカードはボツとなった。《ウルザズ・デスティニー》で印刷されたフリースペルは《不実》だけであるが、これも競技フォーマットで問題となってしまった。

CW09
〈生命の恩恵〉
{1}{W}
エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされているクリーチャーは、場にある他のエンチャント1つにつき+2/+2修正を受ける。

 

 このセットのエンチャント・テーマの一環として、エンチャント先のクリーチャーのサイズを、場にあるエンチャントの枚数に応じて大きくするエンチャント(クリーチャー)カードを作成した。これは私が『ウルザズ・サーガ』で作成した、森を参照する《ブランチウッドの鎧》からアイデアを得たものだ。土地よりもエンチャントの方が枚数が少なくなりがちなため、これの効果は+1/+1ではなく+2/+2ずつ増えていく。

 

 『ウルザズ・デスティニー』では、このカードはクリーチャー・カードの《ヤヴィマヤの女魔術師》になり、エンチャント1つにつき+1/+1修正を受けることになった。その後の『メルカディアン・マスクス』で、〈生命の恩恵〉を緑のカードの《祖先の仮面》として収録した。

RW01
〈壊滅〉
{3}{W}
兵士の召喚

1/1
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、すべてのプレイヤーがそれぞれコントロールしているパーマネントの数が等しくなるよう、すべてのプレイヤーは自分のパーマネントを生け贄に捧げる。コントロールしているパーマネントの数が最も少ないプレイヤーは、これによりパーマネントを生け贄に捧げることはできない。

RU02
〈運命の魔道士〉
{3}{U}
ウィザードの召喚

1/1
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、すべてのプレイヤーは手札を捨て、その後カードを7枚引く。

RB01
〈動物学者の葬儀屋〉
{4}{B}
ミニオンの召喚

2/2
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、すべての墓地のすべての黒のクリーチャーを場に戻す。

RR02
〈ヌカ・ボーイ〉
{3}{R}
兵士の召喚

1/1
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、各プレイヤーは自身がオーナーであるすべてのクリーチャー、アーティファクト、基本でない土地を生け贄に捧げる。

RG02
〈決まぐれな女魔術師〉
{2}{G}
エンチャントレスの召喚

1/1
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、場にあるエンチェント1つにつきカードを1枚引く。

 死亡誘発テーマの一環として派手な能力を持ったクリーチャー・サイクルを作成したが、どれも印刷には至らなかった。白は《天秤》を彷彿とさせるカードだったが、パーマネントの総数を参照する点が異なっていた。この手の効果は悪用されやすいものだったため、死亡すると《神の怒り》系の効果を誘発させる《まやかしの預言者》に変更された。

 青と赤のカードは対応するカードを想起させるものだった。青のカードの効果は《Timetwister》と似通っていたが、『ウルザズ・サーガ』に《時のらせん》があったため、同じネタのジョークを持ちだすのは止めることにした。赤のカードは『アイスエイジ』の《ジョークルホープス》に似たカードだったが、開発チームによって中止となった。

 黒のカードは全体蘇生呪文であり、この効果は結局『ジャッジメント』の《汚らわしき者バルソー》まで印刷されなかった。緑はエンチャントレスだったが、開発チームはこれも却下した。

 

 完成したセットには、死亡誘発を持つレアのクリーチャーが何枚か存在したがサイクルにはなっておらず、白に2枚、アーティファクトに1枚の構造になっていた。

CU09
〈呪文摘み〉
{1}{U}
インタラプト

サイクリング
対象の、唱えるコストが2以下の呪文1つを打ち消す。

 

 小さい呪文を止められる少し軽い呪文、というアイデアは気に入っていたが、〈呪文摘み〉は結局弱くなってしまった。最終的に『インベイジョン』で《禁制》を印刷することになったが、キッカー・コストを支払うことでマナ総量が4以下の呪文を打ち消せるようにした。

UU03
〈巧みな魔術師〉
{1}{U}
ウィザードの召喚

[カード名]が場にある間、あなたの手札にあるすべてのカードはサイクリングを得る。({2}, カードを捨てる:カードを1枚引く。)

 呪文メカニズムを作るときによく検討することの一つは、そのメカニズムを呪文すべてに与える呪文を作ることだ。サイクリングは、このブロックに登場する2つの名前付きキーワードのうちの1つだ。私は、これが{2}でルーティングできる起動型能力を持つことと同じことだと気付いた。最終的には、これは必要ではない効果だと判断した。

RU04
〈時代の変革者〉
{3}{U}
ウィザードの召喚

1/2
{U}, {T}:対象のクリーチャーについているエンチャント1つを、他のクリーチャーに移す。新しいクリーチャーは、エンチャントの対象として適正である必要がある。

 

 ジョニー・デッキビルダーとして、私は『レジェンド』の《エンチャント移動》の大ファンだった。Duelist誌の『マジック』パズルでもよく使っていた。ウィザーズに入社したとき、同様の効果をもっとたくさん作りたい、特に起動型能力で効果を使えるクリーチャーで実現させたいと考えていた。『ウルザズ・デスティニー』では印刷まで至らなかったが、このカードは『ディセンション』の《シミックのギルド魔道士》としてついに日の目をみることになった。

RU05
〈支配魔法〉
{4}{U}{U}
ソーサリー

対象の対戦相手1人のデッキを見る。クリーチャー1枚を選び、あなたのコントロール下で場に出す。

 

 『ウルザズ・デスティニー』でクリーチャーを奪うフリー・スペルを作成したため、このカードはセットから外れることとなった。このカードは『メルカディアン・マスクス』で《袖の下》として印刷された。今にして思うと、このデザインはよくなかったと考えている。デッキに魅力的なクリーチャーを入れるプレイヤーを咎めることになってしまうからだ。本来は、入れることを奨励する立場に我々はいなければならない。

RU06
〈神秘の魔法〉
{3}{U}{U}
ソーサリー

あなたの手札を捨てる。あなたが捨てたカード1枚につき、あなたの墓地にあるカード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。

 おそらくだが、墓地からカードを引く代わりに墓地からカードを戻す点だけ変更した、《Timetwister》の亜種を作ろうとしていたのだろう。しかし、青は墓地からすべてのカードを戻してよい色ではない。戻してよいのはインスタント、ソーサリー。そしてたまにアーティファクトだけだ。このような効果は、どの色でも、またはどの色の組み合わせでも作られたことがないように思う。

CB07
〈二重強制〉
{4}{B}
ソーサリー

対象のプレイヤー1人の手札を見る。あなたはカード2枚を選び、そのプレイヤーにそれらを捨てさせる。

 

 これは『ウルザズ・デスティニー』ではカットされたが、『メルカディアン・マスクス』で収録することになった呪文だ。コストが{3}{B}{B}に調整され、レアリティはレアになった。

CB08
〈下水漏出〉
{2}{B}
ソーサリー

対象の、タップ状態の土地1つを破壊する。

 これは、開発部がまだ土地破壊のあるべきパワー・レベルを把握しようとしていた時期のカードだ。これをファイルに入れただけでなく、開発チームに引き継いだということは、まだ把握には程遠い状況だったということだ。

UB02
〈地獄の鐘〉
{2}{B}
ミニオンの召喚

1/1
{B}:再生
各対戦相手のアップキープの間、[カード名]はその対戦相手に、その対戦相手の手札が4枚未満なら1枚につき1点のダメージを与える。

 

 何故かわからないが、私は『アンティキティー』の《拷問台》をクリーチャー化することにしていた。しかも、これに再生能力まで持たせていた。その後、これは再生能力を消してアーティファクト・クリーチャーとして『ネメシス』で印刷されることになった。

RB04
〈ネズミのための命〉
{X}{B}
ソーサリー

X点のライフを支払い、場に鼠・トークンをX体出す。それらは1/1の黒のクリーチャーである。

 

 『エクソダス』で、私は《憎悪》というカードを作成した。〈ネズミのための命〉も同じコンセプトだが、ネズミ・トークンを主眼に置いている。私は《憎悪》の教訓から、マナ・コストに{X}を追加した。

RB05
〈大減〉
{3}{B}{B}
ソーサリー

すべての黒でないクリーチャーを破壊する。

 黒が一体や複数体のクリーチャーを破壊することはよくあるが、すべてのクリーチャーを破壊することはまだなかった。私はこのカードを『次元の混乱』の《滅び》の前身だと考えている。

UR05
〈神秘的なショック〉
{1}{R}{R}
インスタント

あなたがコントロールするエンチャント1つにつき、[カード名]は対象のクリーチャー1体かプレイヤー1人に1点のダメージを与える。

 これは、エンチャント関連の赤いカードを試そうと思い作ったカードだ。赤はエンチャントを破壊することはできないが、戦場にあるエンチャントの数を参照することはできる。

RR07
〈土地地震〉
{2}{R}{R}
ソーサリー

基本土地タイプを1つ選ぶ。選ばれた土地タイプのすべての土地を破壊する。

 この提出文書を振り返ってみて一番辛かったことの一つは、土地破壊がとても多いことだ。重要な教訓を学ぶために、自分の作業を振り返ることは大変なことである。

CG05
〈ミニ・トラッカー〉
{2}{G}
ビーストの召喚

2/2
{T}:[カード名]は対象のクリーチャー1体にこれのパワーに等しい点数のダメージを与え、そのクリーチャーはそれのパワーに等しい点数のダメージを返す。

UG04
〈クリーチャーの殴り合い〉
{2}{G}
インスタント

対象の、あなたがコントロールするクリーチャー1体をタップする。それは、対象の他のクリーチャー1体に、パワーに等しい点数のダメージを与える。そのクリーチャーも、パワーに等しいダメージを対象のクリーチャー1体に与える。

UG07
〈中規模な追跡者〉
{2}{G}{G}
兵士の召喚

3/3
{T}:対象のクリーチャー1体に[カード名]のパワーに等しいダメージを与え、そのクリーチャーはそのクリーチャーのパワーに等しいダメージを[カード名]に与える。

RG01
〈大きな追跡者〉
{4}{G}{G}{G}
ビーストの召喚

7/7
{T}:対象のクリーチャー1体に[カード名]のパワーに等しいダメージを与え、そのクリーチャーはそのクリーチャーのパワーに等しいダメージを[カード名]に与える。

 

 緑にクリーチャー破壊がないことがリミテッドで問題となっており、我々はその解決策を探していた。この緑の垂直サイクルは『ザ・ダーク』の《Tracker》を参考にしている。これらのカードは、戦闘以外の形で他のクリーチャーと「格闘」する能力を持つクリーチャーである。この問題の解決策となったキーワード処理による格闘は『イニストラード』まで待つ必要があったが、このカードから、私がそれに向けて前進しつつあったのを見ることができる。

UG01
〈リスへの殉教者〉
{3}{G}
エルフの召喚

2/2
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、リス・トークン3体を場に出す。それらは1/1の緑のクリーチャーである。
{2}, [カード名]を生け贄に捧げる:カードを1枚引く。

 私の初期の大きな目標の1個に、リス(さらにたくさんのリス)を『マジック』に導入する、というのがあった。『ウルザズ・デスティニー』では成功しなかったが、それでも導入に挑戦していた。そして『ウルザズ・レガシー』には《錯乱した隠遁者》を入れることに成功した。

UG03
〈スクラーグノスの残響〉
{3}{G}
ビーストの召喚

4/5
打ち消されない。
エコー、プロテクション(青)
[カード名]が場から墓地に置かれたとき、あなたの手札から緑のクリーチャー・カード1枚を場に出す。

 《スクラーグノス》は、私がデザインしたカードの中で最も初期の内の1枚かつ最も初期に印刷されたカードである。『テンペスト』に収録された。私が《スクラーグノス》を少しアレンジしたものを作成しようとしてできたのが、上記のカードである。開発チームは、私ほど《スクラーグノス》を気に入ってはいなかったようだ。

UG05
〈変身〉
{G}
ソーサリー

対象のクリーチャー1体を生け贄に捧げる。あなたのライブラリーから、唱えるコストが生け贄に捧げたクリーチャーに1を足した数以下のクリーチャー1体を探し、それを場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。

 

 私が『新たなるファイレクシア』の《出産の殻》をデザインしたわけではないが、同じ考えを持って〈変身〉をデザインしていた。

RG06
〈狂戦士の憤怒〉
{G}{G}
エンチャント(クリーチャー)

エンチャントされているクリーチャーのパワーとタフネスは2倍になる。

 知らない人もいるかもしれないが、私は何かを倍にするのが好きだ。私は『ウルザズ・デスティニー』のただ一人のデザイナーであったため、倍にする効果を入れようとした。

RL01
〈ヤヴィマヤの森〉
伝説の土地
[カード名]はこのターンにプレイされた土地の数に数えない。
{T}:あなたのマナ・プールに{G}を加える。

 

 『ミラージュ』では、《テフェリーの島》という伝説の土地を作った。これはセット内で唯一の伝説の土地だった。我々はこれを、5年に及ぶメガ・メガサイクルの一部とすることを決めた。つまり、複数のブロックに跨るということである。上記の土地は1年目の第1セット、2年目の第2セット、3年目の第3セット、4年目の第2セット、そして5年目の第1セットに収録された。

 『ウルザズ・デスティニー』には、このサイクルの3枚目の土地があった。これは、そのスロットに派手なカードを作ろうとした、私の大胆な試みであった。このカードはモックスに比肩するレベルで強すぎたため、開発中に完全に再デザインされた。

UA05
〈迅速の杖〉
{2}
アーティファクト
サイクリング
すべてのクリーチャーは召喚酔いの影響を受けない。

 

 《調和の中心》は、私のお気に入りの1枚だ。1994年の世界選手権で使用したデッキのキーカードのうちの1枚でもある。『ウルザズ・デスティニー』でアーティファクト版を作ろうとしたが、開発チームに「駄目だ」と言われてしまった。後年、私は『ミラディン』で赤バージョンをデザインすることとなった。

UA07
〈トレイリアのコンパス〉
{4}
アーティファクト
{4}, {T}:あなたの墓地の対象のエンチャント1枚をあなたの手札に戻す。

 

 もう1つのお気に入りの1枚は、『ザ・ダーク』の《オームの頭蓋骨》だ。このセットはエンチャント・テーマなので、私はこれの調整版を作ろうとしていた。しかし、開発チームは同様にこのアイデアを好いてはいなかった。

RA05
〈速唱のオーブ〉
{3}
アーティファクト
エコーを持たないすべてのパーマネントはエコーを得る。

 すべての呪文にサイクリングを与えることについて語った。エコーはこのセットのもう1つの名前付きメカニズムなので、すべてにエコーを与えてみてはどうだろうか?これはすべてのプレイヤーが影響を受けることを考えていた。つまり、すべてのクリーチャーがエコーを持っているとどうなるだろう?

 プレイテストの結果、これはそれほど面白くないことが分かったのでセットから削除した。


ランクと(カード)ファイル

 これで今回の「デザインファイル」シリーズも終了だ。『ウルザズ・デスティニー』のデザインの振り返りをお楽しみいただけただろうか? いつものように、今日の記事や取り上げたカード、『ウルザズ・デスティニー』への感想やフィードバックをメールやソーシャル・メディア(XTumblrInstagramBlueskyTikTok)を通じて(英語で)送ってもらえると幸いだ。

 来週は『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』のデザインについて話そうと思う。

 それまで未印刷のカードを楽しんでほしい。


(Tr. Ryuki Matsushita)

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