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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

精神接合器コントロール!FFから得るのは“X”呪文(スタンダード)

岩SHOW
 

 マジック期待のコラボセット、『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』。ユニバースビヨンドと呼ばれるマジック以外のコンテンツとのコラボにおいて、このセットは初の本流セットになる。つまりスタンダードで使用可能なセットということで、これまでのユニバースビヨンドよりももっと多くのプレイヤーがこのセットに触れることになるだろう。

 また本流であるため、このセットには再録カードの姿も見受けられる。過去の名カードが、FFのビジュアルを装うことで全く異なる印象に。練りに練った原作再現新規カードも良いが、こういった形での共演も心に響くものがある。

 

 そんな再録カードの中に《中略》が!初出は2001年の『オデッセイ』。その頃のFFといえば……映画やアニメが公開され、そして10作目「FINAL FANTASY X」がリリースされた年!かなり重要な時期だったわけだ。《中略》は度々再録されてきた打ち消し呪文で、{X}の追加コストを要急し支払えなければ呪文を打ち消す。そして打ち消した呪文を追放できるのが強い、いぶし銀なインスタントだ。

 これが今回の再録では、FF10の主要キャラであるシーモアのイラストが与えられているというのが……なんだか深いね。X(エックス)とX(テン)でかかってもいるのだろうか。そんな粋な1枚を使うなら、こんなデッキはどうだろう。

Rob Versluis - 「スゥルタイ・コントロール」
Faction Championship 6 トップ8 / スタンダード (2025年5月18日)[MO] [ARENA]
2 《華やかな宮殿
4 《グルームレイクの境界
1 《ウェイストウッドの境界
3 《ウィローラッシュの境界
4 《地底街の下水道
1 《地底の遺体安置所
1 《迷路庭園
1 《キシュラ村
2 《眠らずの小屋
2 《
2 《
2 《
-土地(25)-
 
1 《切り崩し
4 《苦痛ある選定
1 《シェオルドレッドの勅令
4 《死人に口無し
1 《霊気化
1 《羅利骨灰
1 《緊急の検死
4 《幽体の否認
4 《三歩先
4 《ラクシャーサ流取り引き
2 《神秘の指導
1 《オーロラの行進
1 《彼方よりの霊感
1 《啓示の終焉
1 《極悪非道の盗人
4 《精神接合器
-呪文(35)-
3 《切り崩し
2 《暗殺者の戦利品
1 《中止 // 停止
4 《強迫
4 《強情なベイロス
1 《忘れ去られし伝承のスフィンクス
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 スタンダードの青黒緑、スゥルタイ・カラーのコントロールデッキだ。このリストは勝つための手段がほとんど採用されていない、ノンクリーチャーの根っからの重コントロール。キーカードは《精神接合器》。このアーティファクトは毎ターン、油カウンターが乗っていく。そしてこの油1つにつきインスタントかソーサリーのコストを{1}軽減するという、変則的なマナ加速だ。

 この接合器と相性の良いのがX呪文で、マナを払えば払う程効果の上がるそれらの呪文を接合器で美味しく運用しようという算段でデッキが組まれている。X打ち消しとして《幽体の否認》が採用されており、円滑にことが進めば青マナ1つで相手の呪文を打ち消せる。この否認はパワー4以上のクリーチャーをコントロールしているとコストが軽減されるというオプションがあるが、このデッキ的にはそれはほとんど関係がない。なので『ファイナルファンタジー』がリリースされれば《中略》と置き換えることで、デッキのコントロール力はより高まることになるだろう。

 

 打ち消しやクリーチャーなどのパーマネントを除去するインスタント&ソーサリーで対戦相手の攻めを潰し、ゲームを掌握。瞬速持ちの接合器を隙を見て繰り出し、ゲームを徐々に優位に進めていく……そんなロングゲームを仕掛けるこのデッキの、他のX呪文も見てみよう。

 《極悪非道の盗人》は対戦相手のライブラリーをX枚追放、その追放したカードをプレイできるようになる。そこからアドバンテージを得て、ゲームに勝つためのフィニッシャーを得たり……場合によってはこれで対戦相手のライブラリーを削り切ってライブラリーアウトで勝利したり。

 そしてもう1つのX呪文もアドバンテージ源だ。《啓示の終焉》!ひっそりと再録されていたこのソーサリーはX枚ドローであり、Xの値が10以上になればボーナスが。土地を5枚アンタップし、引いてきたカードがすぐに使えるように。さらに手札の上限もなくなるため、カードの束を抱えて気持ちよくなることが可能に。接合器は2枚以上並べばそれぞれのコスト軽減が適用されるため、終焉X=10も決して夢物語ではないのだ。

 

 ド派手なアドバンテージ源も良いが、もっと現実的で堅実なものもコントロールデッキには必要だ。カラーリングから無理なく運用できる《ラクシャーサ流取り引き》は色マナが揃えば3マナのインスタントで手札の枚数が増え、しかも手に針生カードは自分でチョイスできるので量だけでなく質も望める。そしてこのカードの面白いところは、混成マナであるところ。色マナを払うか{2}を払うかを選べるわけだが、つまりはこのカードのコストは接合器で軽減できる!というわけで最大でなんとマナの支払いゼロで唱えられるのだ。こんなん、そんな美味しい思いが出来るなら精神でもなんでも接合してくれと叫びたくなるよ。

 そして《神秘の指導》、これもコスト軽減されることで扱いやすくなる1枚。インスタントをサーチして手札に加えられ、フラッシュバックを持つので1枚が2枚のインスタントに化ける。そして何より面白いのが瞬速持ちのカードもサーチできる。デッキの心臓である《精神接合器》を手札に加えられるのだ。これらの組み合わせ、一度お試しあれ。

 

 瞬速といえば《インスタントラーメン》!《神秘の指導》からライフ回復を狙えるようになるのは面白い。接合器によるコスト軽減が活きてきそうなのは《黒魔紋の力》、ただのドローに留まらずウィザード・トークンを生成してブロックに回したり、呪文を唱えてライフを削ったりできる。ド派手な伝説クリーチャーなどだけでなくこういったシブい呪文も『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』の魅力、《中略》の再録もあって《精神接合器》デッキがより完成度を増すかもしれない!

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