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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:スタイフルノートの新テクニック(レガシー)
今週もマジックのクールさを語る金曜日がやってきた。さて、このコンテンツは何度も言うように歴史そのものがクールだ。30年を超えて続いているものを想像してみて欲しい。うん、あれやこれ……どれもクールすぎるものだろう?マジックはそれらに勝るとも劣らない分厚い歴史、連綿と繰り返されるカードやデッキの系譜からなる。過去と繋がりがあり、そして常に新しい未来が生まれている。今日もそんなクールな過去と現在が交わるデッキを紹介しよう。
基本的に時を重ねるにつれ、カードは強くなっている。マジック最初期の、まだ様々な常識や道理が形成される前のぶっ飛んだカードを除けば、過去のカードを土台にして作られた最新のカードは非常に強い。モダンやレガシーを見ればそれは明らかで、通常セットからも特殊セットからも、新カードが出るたびにそれらのフォーマットの過去のカードにとって代わって採用される光景を我々は幾度も目にしてきた。しかし、どれだけの時間が経ってもその地位を揺るがぬものとし、昔のままであり続けているカードやデッキも存在している。
《ファイレクシアン・ドレッドノート》……これぞワンアンドオンリー、唯一無二のクールさを誇る1枚。1マナ12/12トランプル、桁違いのコスパを誇る並ぶもののないクリーチャー。これは戦場に出た時に、パワーが合計12になるようにクリーチャーの生け贄を要求する。普通はこれは払えないので、そうできなかったペナルティとしてドレッドノート自身を生け贄にせざるを得ない。
しかしながらこのカードは《もみ消し》と出会って化けた……誘発型能力をたった1マナで打ち消すこのインスタントにより、カードを2枚は使ってしまうが、たった2マナでパワー12の破壊神を戦場に降臨させられる。2ターン目から一気にクライマックス、この世の終わり、Hell on Earth。この両者の英名を合わせたデッキ「スタイフルノート」はレガシー最初期から今日に至るまで、実に20年に渡って使われ続けている。クリーチャーの能力を一時的に失くしてしまう《激しい叱責》など、追加のパーツは現れているが、それでもやっぱりドレッドノートには《もみ消し》だ。
今回紹介するのはこの「スタイフルノート」の最新リスト。相手の起動型能力や誘発型能力を打ち消す妨害も兼ねる《もみ消し》はもちろん採用されているが、それ以外にも現在のカードの力を借りることで、ドレッドノートを運用している、伝統と革新が両立された実にレガシーらしいクールなデッキだ!
4 《溢れかえる岸辺》 1 《沸騰する小湖》 3 《虹色の眺望》 2 《Tundra》 1 《行き届いた書庫》 4 《不毛の大地》 3 《島》 1 《平地》 -土地(19)- 4 《ファイレクシアン・ドレッドノート》 3 《知りたがりの学徒、タミヨウ》 2 《思慮深き人工知能、キュリー》 2 《忌まわしき眼魔》 -クリーチャー(11)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 2 《虹色の終焉》 3 《記憶への放逐》 3 《目くらまし》 4 《意志の力》 3 《もみ消し》 3 《激しい叱責》 -呪文(30)- |
1 《流刑への道》 1 《空の怒り》 2 《水流破》 1 《呪文貫き》 1 《記憶への放逐》 2 《否定の力》 2 《墓掘りの檻》 1 《フェアリーの忌み者》 1 《封じ込める僧侶》 1 《呪われたトーテム像》 2 《聖カトリーヌの凱旋》 -サイドボード(15)- |
昔ながらの青に白を足し、《剣を鍬に》などでパーマネント対策を追加した伝統的な「スタイフルノート」。そこに追加されたのは、今様々なフォーマットで引っ張りだこの《忌まわしき眼魔》!この空を漂う巨大な眼、3マナ5/5飛行とこれまた優秀なスペックであるが、唱えるには追加コストとして墓地のカード6枚を追放しなければならない。この追加コスト、レガシーであれば《溢れかえる岸辺》《虹色の眺望》など生け贄に捧げて別の土地をサーチするフェッチランドや、《渦まく知識》《思案》などの軽量ドロー、《目くらまし》《意志の力》といった代替コストで唱えるピッチスペル……そしてこれまた生け贄に捧げる《不毛の大地》!能動的にも受動的にも、早いターンにこの墓地にカード6枚という条件を達成することが可能だ。
そして戦場に出た眼魔、これは各対戦相手のアップキープに戦慄予示を行う。ライブラリーの上から2枚見て1枚を裏向きのクリーチャーとして戦場に。こうして戦場に出したクリーチャーは2/2の能力なしではあるが、もしそのカードがクリーチャーだった場合、それのマナコストを支払うことで表向きにすることができる。そうでなくてもノーコストで2/2が得られて、1回でもこの能力が誘発すればそれだけで強い、うっかり2回以上となるとゲームを決定づけるだけの支配力を誇る……このクールな戦慄予示。これでドレッドノートを戦場に出すとどうなるか。裏向きの名無しのクリーチャーとして出てきたのでそのデメリットは誘発せず、表になったところで何も起きない……たった1マナでオープンできて、いきなり12/12でインパクトを与える!まさか単体で強い眼魔が、ドレッドノートのアシストまでクールにこなすとは……。
そして見慣れないロボットが……《思慮深き人工知能、キュリー》。これは『Fallout』統率者デッキに収録されている。コラボ元のゲーム「Fallout」の4作目に登場するらしく、このカードの起動型能力はゲーム中のストーリーを再現しているとのことだ。
その能力は、アーティファクト・クリーチャー1体を追放し、それのコピーになるというもの。この能力はインスタントのタイミングで起動できるので、ドレッドノートを戦場に出しその能力が誘発したところで、それをキュリーの対象として追放。キュリーはドレッドノートのコピーになり、そしてコピー元のドレッドノートの誘発型能力は無視して問題なし。こういうクールな方法でドレッドノートを使う方法もあるのか……ってちょっと待て。キュリーはプレイヤーに戦闘ダメージを与えると、その基本のパワー分のドローをもたらす。この能力は何かのコピーになっても所持したままになる……つまりドレッドノート化して攻撃に成功すると、滅茶苦茶カードが引けてしまう!これはちょっと……クールすぎやしないかい。こんなん決まったらもうニマニマが止まらない、パンパンになった手札をターン終了時に捨てれば眼魔のコストにもなろう。こんなクールなカードが隠れていたのかよ……こんな夢の共演が楽しめるのもマジックの醍醐味だ。
《ファイレクシアン・ドレッドノート》と《もみ消し》というゴールデンコンビは今後も使われ続けるのだろう。そこにさらに現在そして未来のカードがこれからも加わっていく。こんなにクールなことがあるだろうか。古いカードも新しいカードも、どっちもすごくて全部がクール。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Unleash the Dreadnought!!
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