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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今年のHoliday Deck:クリスマスはカリブーに乗って(レガシー)

岩っサンタ

 Ho ho ho!! 岩っサンタじゃ。みんな、2022年も良い子にしていたかな?

 ワシはただの自称サンタなので、世界中の子どもたちにプレゼントを届けられるようなスーパーパワーはもっておらんのじゃ。そのかわりに、今年も1年かけてこのコラム「デイリー・デッキ」をお届けしてきたので……それでゆるしてほしいのう。

 というわけで今回が2022年の最後の更新じゃ。楽しんでもらえたらうれしいのう。

 さて、サンタと言えば何が思い浮かぶかのう? 赤と白の衣装、白いひげ、プレゼントを詰めた大きな袋……そしてワシらサンタの大事な仲間、トナカイもはずせないのう。

 トナカイというのはアイヌの言葉が元になっておるんじゃ。英語では「レインディア」とか「カリブー」と呼ばれるぞ。漢字では「馴鹿」と書き、これは「なれる鹿」、つまり家畜化された鹿の仲間ということじゃな。

 岩っサンタはまだまだ未熟者なのでそりを引いてくれるトナカイの友達はおらんのじゃが、この間動物園の企画で特別に来園していたトナカイに会ってきたぞい。とってもおとなしくて、かわいい動物じゃったなぁ~。でも大きいし、寒い地方の動物だから育てるのは難しいように感じたのぉ。

 だったらマジックの世界でマイ・トナカイを育てれば良いんじゃないかのう。ほら、ワシからのプレゼント、《カリブー放牧場》じゃ!

 《カリブー放牧場》は雪と氷に閉ざされた世界を舞台にした『アイスエイジ』のカードで、後に『第5版』に再録された。ワシが初めて見たのはこの基本セットのものじゃったのぅ~懐かしい。

 土地に貼り付けるオーラで、{W}{W}とその土地をタップすることでカリブー・トークンを生成! 後にも先にもこのタイプのクリーチャーはこの放牧場でのみ見られる、激レア種族なんじゃ。カリブーは0/1とマジックの世界のクリーチャーとしては最弱の部類じゃが……現実世界のトナカイが多元宇宙に行けば、まあそんなもんなのかのう。実物もとってもおとなしそうだったし、平和な動物ってことじゃな。

 このカリブーを生け贄に捧げれば、1点のライフが得られるぞ……生け贄ってちょっと残酷に聞こえてしまうが、要するに放牧場で育てたカリブーをいただくということじゃな。実際に家畜化されたトナカイは、北極の近くのような食べ物が少ない地域の人々にとって貴重な食料になるんじゃ。お肉はクセもなく、赤身でとっても美味しいらしいぞ! いつかワシも食べてみたいのう。

 マジックにおいてはこのカリブー・トークンで対戦相手の攻撃をブロックし、そのまま生け贄に捧げることで相手の攻撃を防ぎつつライフを回復するというすごく防御的なエンチャントとしてデザインされておるのう。

 トークンのサイズが小さすぎるというのもあって、これ1枚で勝利すると言うことはできないタイプの《カリブー放牧場》じゃが、かつてはこれと《謙虚》を組み合わせるという戦術もあった。

 すべてのクリーチャーから能力を奪い、サイズも1/1に変えてしまう《謙虚》。本来クリーチャーにとっては有害となるカードじゃが、元が0/1のカリブーにとってはむしろ強化カードとして働いてくれるというわけじゃ。Ho ho ho、この技を見つけた人はなかなか考えたもんじゃなぁ。

 《謙虚》は《オアリムの祈り》というカードと組み合わせることで、相手がどれだけクリーチャーを展開して攻撃してこようとも、1点回復→1点ダメージとなるため、絶対にライフが0にならない……という盤面をロックしてしまうコンボを生み出したんじゃ。

 これを搭載したロック型のコントロールデッキ「ヒューミリティ・オアリム」は当時の世界選手権でも上位入賞者が使用していた、マニア好みな長期戦デッキじゃ。

 《カリブー放牧場》は知る人ぞ知る、マニア向けなフィニッシャーとして当時のカードショップの一角なんかで輝いていたのかもしれんのう。

 というわけで……今年はこの《カリブー放牧場》を現在のマジックで活かすデッキを考えてみたぞ! フォーマットはレガシーじゃ!

Frank Meuer - 「白黒コントロール」
Bottrop Series 2022 - Legacy Juli 2022 6位 / レガシー (2022年7月25日)[MO] [ARENA]
6 《
3 《平地
4 《Scrubland
4 《湿地の干潟
4 《古えの墳墓
1 《カラカス

-土地(22)-


-クリーチャー(0)-
4 《暗黒の儀式
3 《剣を鍬に
2 《強迫
4 《トーラックへの賛歌
4 《突然の布告
4 《滅び
4 《虚空の力線
3 《謙虚
4 《最後の望み、リリアナ
4 《大いなる創造者、カーン
2 《ウルザの後継、カーン

-呪文(38)-
1 《黄金沼の橋
1 《絵描きの召使い
2 《強迫
1 《丸砥石
1 《剣を鍬に
2 《魔術遠眼鏡
4 《罠の橋
1 《Helm of Obedience
1 《マイコシンスの格子
1 《放浪皇

-サイドボード(15)-

 

 《謙虚》は最近では見かける機会が減ったカードではあるのだが、この2022年に利用されたデッキを探していると上記のようなリストが見つかったわい。白と黒の2色、オルゾフと呼ばれるカラーリングのコントロールデッキじゃのう。手札破壊とクリーチャー除去を用いて相手の自由なゲームプランを許さないタイプのデッキじゃ。

 このデッキにおける《謙虚》の役目は、プレイヤーももちろんじゃが多数採用されたプレインズウォーカーをクリーチャーの攻撃から守ることのようじゃのう。

 特に《最後の望み、リリアナ》との組み合わせは凄いのう、どんなクリーチャーでもタフネス1になるなら、彼女の能力で毎ターン1体ずつ潰せるのじゃ! すごいのぅ~Ho ho ho!

 このリストにそのまま《カリブー放牧場》を入れても良いが……ワシ、まがりなりにもサンタを名乗っておるからのう。せっかくだからトナカイとはサンタカラーのデッキで共演したいものじゃ。なのでこのデッキの姿勢を見習いつつ、カラーリングを変更してみたぞ。

岩っサンタ - 「白赤スタックス」
レガシー (2022年12月)[MO] [ARENA]
2 《平地
2 《
4 《Plateau
4 《乾燥台地
1 《カラカス
4 《古えの墳墓
1 《裏切り者の都
1 《ミシュラの工廠
4 《ウルザの物語

-土地(23)-

4 《猿人の指導霊
1 《ゴブリンの雪だるま
1 《永久のドラゴン

-クリーチャー(6)-
4 《金属モックス
1 《オパールのモックス
1 《多用途の鍵
4 《厳かなモノリス
4 《鏡割りの寓話
2 《三なる宝球
2 《カリブー放牧場
2 《謙虚
2 《煙突
4 《虚空の杯
1 《影槍
4 《大いなる創造者、カーン

-呪文(31)-
1 《玩具職人
1 《歩行バリスタ
1 《双弾の狙撃手
1 《トーモッドの墓所
1 《Arcum's Sleigh
1 《真髄の針
1 《ポータブル・ホール
1 《スクイーのオモチャ
1 《液鋼の塗膜
1 《冬の宝珠
1 《罠の橋
1 《Rocket Launcher
1 《煙突
1 《旗印
1 《マイコシンスの格子

-サイドボード(15)-

 《謙虚》《カリブー放牧場》でどう勝つか? 毎ターン1/1を生成し続けるだけで満足してちゃもったいないぞい! ワシは《旗印》でどーんと、巨大トナカイ軍団を結成して攻撃じゃ!

 というわけで《大いなる創造者、カーン》の力を借りることにしたわい。彼ならワシのそりをクリーチャー化させて自動操縦にしてくれそうだしのう!

 カーンでサイドボードから持ってくるのは……《液鋼の塗膜》《マイコシンスの格子》《罠の橋》……

 定番のものから、《煙突》《Arcum's Sleigh》《玩具職人》とサンタ要素を持ったアーティファクトも選んでみたわい。

 《スクイーのオモチャ》を無事に届けるのが任務じゃ。《Rocket Launcher》はワシが欲しかったオモチャじゃよ!

 デッキとしては「スタックス」と呼ばれていたものを意識して作ってみたんじゃ。カリブー謙虚セットはどれも4マナなので《古えの墳墓》《金属モックス》《厳かなモノリス》などでマナ加速。

 これらは《虚空の杯》《三なる宝球》で相手の動きを封じるのも助けるのじゃよ。

 そして《煙突》、これは単にサンタっぽいだけでなく対戦相手のパーマネントをジワジワ減らしていく地味ながら強力なアーティファクトなんじゃな。ワシにもパーマネントの生け贄を要求してくるが……そこは毎ターン生成するカリブーに働いてもらうとしよう! 大丈夫、生け贄というのは大げさで、彼らは煙突のすすを掃除しに行くだけじゃよ。


 さて、2022年も好き放題書かせていただいた「岩SHOWのデイリー・デッキ」。今年も読んでいただき、ありがとうございましたッ! 今年は各種イベントの復活もあり、マジック界にも希望がたくさん見えてきた1年でした。来年はもっともっと、多くの人がマジックを楽しめる1年になりますように!

 それじゃあ、また年明けにお会いしましょう。良いお年を。メリー・クリスマス!

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