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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑単信心(もどき):ないならないでなんとかなるぜ(パイオニア&エクスプローラー)

岩SHOW

 ないならないでなんとかなる。こういう考えを常に持っていたいものだ。

 料理している時に「あっ、○○がない!」なんてよくあること。それを嘆くという選択肢もあるが、まあないならないで……××を代わりにしよう!とか次はパーフェクトなやつ作ろう、とかポジティブに切り替えられたらそれが一番かなと。個人的にはそう考えて日々生きている。

 マジックにおいてもこの考え方はとても大事なことじゃないかな。レアの多色土地を十分な枚数持っていない!→まあコモンのやつとか基本土地でもなんとかなるかぁ、単色デッキ組んだら良いかぁ、って具合にね。

 その象徴とも言えるのがパイオニアとエクスプローラー。前者は2020年より始動したまだまだ始まったばかりのフォーマット。モダンとスタンダードの中間的なポジションであり、一部のパーツはモダンと被っているために似たようなデッキも組める。ただ土地周りなど細かいところも含めて完璧な同一デッキは組めないので、ここでもないならないの精神で構築を行うことになってくる。

 そしてエクスプローラーはこのパイオニアをMTGアリーナに導入するまでの橋渡し的なフォーマット。ほぼほぼパイオニアと同等なデッキは組めるが、100%パイオニアというわけではない……むしろその不自由さを楽しみたい。

 エクスプローラーに「ないならないでなんとかなる」、と世界中のプレイヤーに思わせている1枚は《ニクスの祭殿、ニクソス》。

 信心をカウントしてその数分のマナを捻出する、単色デッキにおける爆発的なマナブーストだ。特に信心を稼ぐことと土地を探すことを得意とする緑との相性が良く、「緑単信心」やそれに赤や青をチョイ足ししたデッキにて火を噴いている。

 これを収録した『テーロス』はまだアリーナではリリースされておらず、ニクソスがない中でデッキを作成することになる。完璧な信心デッキが組めるというわけではないが、それならそれで他の構築を楽しませてもらうよと。

 信心デッキは色マナシンボルを複数持つ低コストのパーマネントを優先するのだが、それにこだわる必要もなくなるというポジティブさもあるね。

 というわけで今日はエクスプローラーで「緑単信心」を再現したデッキを紹介だ!

Jaffer - 「緑単ランプ」
Wednesday Night EXPLORER / エクスプローラー (2022年6月1日)[MO] [ARENA]
15 《
2 《ギャレンブリグ城
2 《ハイドラの巣
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《眷者の居留地
1 《大瀑布

-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《楽園のドルイド
4 《老樹林のトロール
4 《装飾庭園を踏み歩くもの
4 《茨の騎兵

-クリーチャー(20)-
4 《狼柳の安息所
4 《収穫祭の襲撃
3 《ビヒモスを招く者、キオーラ
4 《大いなる創造者、カーン
3 《世界を揺るがす者、ニッサ

-呪文(18)-
1 《不屈の巡礼者、ゴロス
1 《隕石ゴーレム
1 《トーモッドの墓所
2 《真髄の針
2 《ケンリスの変身
1 《ニクスの睡蓮
1 《王神の立像
1 《グレートヘンジ
1 《宝物庫
1 《影槍
1 《未認可霊柩車
1 《エシカの戦車
1 《領事の旗艦、スカイソブリン

-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 ノーニクソスな「緑単信心」……いや信心要素もないから単に「緑単ランプ」となるか。

 土地の枚数自体は22枚と抑え目だが、その分クリーチャーを中心に土地以外のパーマネントでマナを伸ばし、大技に繋げる構成だ。マナがあればなんでもできる、それを体現したデッキなのでカードパワーで圧殺したいプレイヤーにもってこいだ。

 では優秀なマナ加速スタッフから確認しよう。《ラノワールのエルフ》、これは今さら言うに及ばずなマナクリーチャーの超定番。

 パイオニアであれば同スペックの《エルフの神秘家》も加わり1マナ域が8枚体制になるのだが……まあなければないで《楽園のドルイド》を使うまでよと。除去耐性もあるのでこちらが勝っているケースもあるしね。

 《狼柳の安息所》もまた土地から捻出するマナを増やすエンチャント。

 それら直接的にマナを増やすパーマネントもあれば、それ自体はマナを生み出さないが結果としてマナが増えるカードも。《装飾庭園を踏み歩くもの》は基本土地1枚をサーチして戦場に出す。

 3マナ4/4と非常に優れたボディに警戒まで持っているが、戦闘が可能になるのは土地が7枚並んでから、それまで根気強く頑張ろう。

 《老樹林のトロール》は逆にいつでも臨戦態勢の武闘派。

 相手のクリーチャーとの相討ちや追放以外の除去は歓迎。これが死亡したら土地に張り付いてマナを増やすオーラになるからだ。マナが十分に有り余る状況になれば、その土地を生け贄に捧げてトロールを再出撃させられるのも強いね。

 トロールや《狼柳の安息所》、あるいはマナを生み出すエルフたちと相性が良いのは《ビヒモスを招く者、キオーラ》。

 彼女はパーマネントをアンタップする能力を持つので、これでマナを複数加えるものを起こして一気にマナを得る。しかも彼女はパワー4以上のクリーチャーが戦場に出るとカードを1枚プレゼントしてくれるので、トロールや《装飾庭園を踏み歩くもの》で手札を減らさずにマナを増やして強い盤面を作れる。

 そして何よりキオーラは硬い! これに尽きるな。忠誠値を増やす能力は持たないが、3マナにして7からスタートは破格というほかない。これにクリーチャーで攻撃してもちょっとやそっとじゃ即退場とはならず、かと言って放置するには危険すぎる……と対戦相手を悩ませてくれること間違いなし。時間稼ぎとマナ加速を両立する、かなりすごいプレインズウォーカーだ。

 これらで増えたマナから叩きつけるのは……この手のデッキでは定番の《世界を揺るがす者、ニッサ》。

 マナが増えるし土地がどんどんクリーチャーになる、デッキの攻めのスイッチ的な存在。

 同じくプレインズウォーカーからは本家「信心」でも必須パーツと化している《大いなる創造者、カーン》。

 これで《トーモッドの墓所》《影槍》などシチュエーションに適した便利グッズを手に入れたり、マナがあふれているのであれば《領事の旗艦、スカイソブリン》《王神の立像》と勝利へと向かうための巨大兵器を獲得したり……なんでもできちゃう凄いヤツ。

 クリーチャーからは《茨の騎兵》が参戦。懐かしいなぁ、またアリーナでお前さんと戦える日が来るとは嬉しいよ!

 土地を増やし、死亡時には墓地のカードをトップに仕込むなど能力も優れているが……改めて使ってみると、シンプルにデカい。5/6到達という肉体はあらゆる相手にとって無視できないインパクトだ。

 そしてこれらのパーマネントをまとめて戦場に出す《収穫祭の襲撃》……マナはあっても困ることはないぜ。ドンドン過剰気味に生産できる体制を整えて、これらのカードで叩き伏せよう!

 キーカードである《ニクスの祭殿、ニクソス》がなくてもこれだけ上質なデッキが組めてしまう。ないならないでなんとかなるってのは、あながち嘘じゃないだろう?

 逆にあるならあるで……本気の「緑単信心」がアリーナで解禁されるその日が楽しみだなぁ。

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