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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:DD Sliver(レガシー&過去のフォーマット)

岩SHOW

 以前にもちょいと触れたが、私岩SHOWは地元大阪にて小さい飲食店を友人とともに経営しております。当コラムのファンだと言ってもらえたらサービスするかも?

 まあそんな話は置いといて……自分たちの店、自由に過ごせる空間があるというのは良いもんだなと。情勢的にも集まりやすくなってきたので、週末は小・中学校の同級生らが来店してくれる頻度が上がってきた。何よりもうれしく、またありがたいことだよなと実感する日々だ。

 友人たちの多くは今から24年前、中学1年生の時にともにマジックを始めた仲間である。MTGアリーナのスマホリリースを機にマジックを再開した者もおり、自然とマジックの話で盛り上がりがち。

 どうかな、クールなことだと思ってもらえたかな? というわけで今週もやってきました華の金曜日。クールなデッキを紹介するCool Deckのお時間だ。今回は当店で友人らとお酒を肴にマジックトークをする際にちょくちょく名前の出てくるあの部族のデッキを紹介しよう!

LB vL - 「5色スリヴァー」
Paper Legacy Discord Saturday tournament - 5/28/22 / レガシー (2022年5月28日)[MO] [ARENA]
4 《閑静な中庭
4 《魂の洞窟
4 《手付かずの領土
4 《スリヴァーの巣
1 《カラカス
4 《不毛の大地
-土地(21)-

4 《風乗りスリヴァー
2 《先制スリヴァー
4 《水晶スリヴァー
4 《筋肉スリヴァー
4 《捕食スリヴァー
4 《筋力スリヴァー
3 《斬雲スリヴァー
2 《冬眠スリヴァー
2 《不確定な船乗り
2 《毒牙スリヴァー
-クリーチャー(31)-
4 《霊気の薬瓶
4 《意志の力
-呪文(8)-
2 《狩人スリヴァー
4 《調和スリヴァー
1 《吸管スリヴァー
2 《外科的摘出
2 《墓掘りの檻
2 《真髄の針
2 《虚空の杯
-サイドボード(15)-
MTGMelee より)

 

このクールな部族は?

 レガシーの「5色スリヴァー」! エルフやゴブリン、ドラゴンやデーモンのようなファンタジーお馴染みの部族たちとは異なり、マジックの多元宇宙に生息するオリジナル部族のひとつであるスリヴァーが主役だ。

 スリヴァーの初出は『テンペスト』。次元ラースに生息する謎深き生命体だ。スリヴァーは硬質で鎌状の破片のような頭部と脚部、しなるような長い尾と前身から無数に生えた棘を持ち、そのシルエットは一度見たら忘れられないクール極まるものである。

 スリヴァーの最大の特徴は、決して個で行動しないというところ。ヤツらは必ず群れでやってくる。スリヴァーには個性というものがあり、各々に突然変異的に授かった特殊な能力がある。そしてスリヴァーはそれを群れの仲間に共有するという群体生物の究極形とも言える能力を有している。群れが集えば集うほどに強く手が付けられないものへと進化していくのだ。

 カードとしてこの能力を共有するという設定はしっかりと再現されている。飛行やトランプルといった基本的なキーワード能力から、「{2},これを生け贄に捧げる:カードを1枚引く」といったものまで、ありとあらゆる能力を同種族に授けるというクリーチャーのオンパレードだ。

 並べれば並べるほど強いという楽しさとビジュアル面のクールさが相まって、スリヴァーは高い人気を獲得。以後定期的にラース以外の次元におけるスリヴァーもカード化されていき、今では100種類を超える大所帯だ。

 上記のレガシーにおける最新リストにもあらゆる世代のスリヴァーが詰め込まれている。中でも注目すべきは筋肉の系譜。初代全体強化《筋肉スリヴァー》はすべてのスリヴァーを強化する。低マナ総量で小粒が中心のスリヴァーデッキを組む上ではなくてはならない存在だ。その後継である《筋力スリヴァー》および《捕食スリヴァー》と、全体強化を計12枚体制!

 これらを《霊気の薬瓶》から何体も連打することで圧倒的なサイズ差で押し切る。

 さらに《風乗りスリヴァー》や《斬雲スリヴァー》のもたらす飛行でサポートするという、物量重視のビートダウンデッキだな。

 5色の優秀なスリヴァーが集うこのデッキ、《魂の洞窟》《閑静な中庭》あってこそというものだが……注目すべきクールな要素は《意志の力》。

 《水晶スリヴァー》《不確定な船乗り》など青いスリヴァーが計12枚採用されているので、これらを代替コストにして打ち消しを行うという魂胆だ。

 この打ち消し呪文を備えたスリヴァーデッキはそれこそ僕らがマジックを始めた頃から存在し、「カウンター・スリヴァー」……縮めてカンスリと呼ばれていた。

 当時でいうモダン的なフォーマット、エクステンデッドの主力デッキの一つであり、僕らのようなマジック少年にとっては憧れの存在であった。パーツが全然足りていないカンスリもどきを作ってその雰囲気を楽しんだものである。幸い当時のスリヴァーはコモンとアンコモンばかりだったのでカードは集めやすかったのはクールだったな。

 というわけで今日の主役はクールな思い出デッキ、遠いあの日のカンスリだ!

Christian Luhrs - 「DD Sliver」
プロツアー・シカゴ1999 3位 / エクステンデッド (1999年12月3~5日)[MO] [ARENA]
3 《Tundra
2 《Scrubland
4 《Underground Sea
1 《Volcanic Island
1 《Tropical Island
4 《氾濫原
4 《真鍮の都
2 《宝石鉱山
2 《知られざる楽園
-土地(23)-

4 《酸性スリヴァー
4 《水晶スリヴァー
4 《冬眠スリヴァー
4 《筋肉スリヴァー
4 《有翼スリヴァー
-クリーチャー(20)-
3 《Demonic Consultation
2 《剣を鍬に
4 《対抗呪文
2 《解呪
4 《意志の力
2 《誤った指図
-呪文(17)-
3 《水流破
2 《剣を鍬に
3 《死者への敬意
2 《解呪
2 《名誉の道行き
3 《非業の死
-サイドボード(15)-

 

このクールなデッキは?

 プロツアー・シカゴ1999、当コラムでも度々その名が出てくる伝説的クールさを誇る大会だね。そのシカゴにてトップ8に入賞したリストである。

 まだこの時代には『テンペスト』『ストロングホールド』しかスリヴァーを収録しているセットはなかった。選択肢は限られてはいるが、それでもバリエーション豊かなスリヴァーがいて、デッキを組むには困らない。

 また《真鍮の都》などの5色土地、《氾濫原》による《Underground Sea》などのデュアルランドをフェッチする動きにより、5色デッキではあるがマナ基盤には不自由なし。

 いかにも当時のエクステンデッドという趣で、この土地欄だけでもニンマリできてしまうクールさだ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:スリヴァー軍団集結

 カンスリの魅力というのは、当時にはまだ珍しかった多色のクリーチャーが複数採用されているという点にある。

 この頃のカードはまだ旧枠と呼ばれる最初期の枠デザインであり、多色のカードはメタリックなやや鈍い色合いの黄金の枠で、特別な雰囲気が漂っていた。『ストロングホールド』のスリヴァーたちはこの美しい枠で囲われており、いずれも個性があふれる能力を持っている。それらが集結しているのがクールだったんだよなぁ。

 《剣を鍬に》などの単体除去は《水晶スリヴァー》で完封。

 《紅蓮地獄》や《神の怒り》は《冬眠スリヴァー》の手札に戻る能力で回避する。

 当時はまだクリーチャーの戦闘ダメージがスタックに置かれるルールだった。ブロックが確定したら戦闘ダメージをスタックに置く。その後そのダメージを与えるクリーチャーが戦場を離れたとしても、スタックにさえ置かれていればダメージは与えられるというクールでトリッキーな技を容認するルールだったのだ。対戦相手のクリーチャーとぶつかってからスリヴァーを手札に戻し、一方的に討ち取るというクールすぎる展開をちらつかせ、気軽に戦闘を仕掛けられなくするという仕事人だ。

 同じくダメージスタックを絡めればクールな動きを見せていたのが《酸性スリヴァー》。

 戦闘ダメージをスタックに置いてから他のクリーチャーに投げつけたりライフを詰めたりと、黒赤らしい攻撃的な逸品だ。

 これらを《筋肉スリヴァー》で育て、《有翼スリヴァー》で飛ばす。この戦い方に心底憧れたんだよな。

クールポイントその2:DD Sliver

 このリストはカンスリの中でも「DD Sliver」と呼び分けられている。DDとは何か?「Demonic Direction」の略である。だからそれがなんだよと、まあ慌てずに。クールに進めていこうぜ。

 「Demonic」とはこの時代のエクステンデッドを象徴する1枚《Demonic Consultation》のことだ。

 欲しいカード名を指定、そしてライブラリーの上から6枚を追放。その後で指定したカードがめくれるまでライブラリーを公開し続け、そのカードを手札に加えて残りは全部追放。デメリットはそれなりにデカいのだが、任意のカードが1マナで手札に入るインスタントというのはかなりのカードパワー。欲しいスリヴァーを持ってきて強い盤面を作ったり、《意志の力》などの打ち消しを持ってきたり、あるいはその《意志の力》のコストになる青いカードを引っ張ってきたり……テクニカルな1枚だ。

 そしてDirection、こちらは《誤った指図》。

 《意志の力》の追加枠的なマナ不要インスタントだ。クリーチャー除去の対象を対戦相手のそれに曲げたり、当時の最強デッキの一角だった「ネクロ・ディスク」の用いる《生命吸収》や《堕落》を相手自身に撃ち込んだりと、こちらもまたテクニカル極まる1枚。《Demonic Consultation》でこれを持ってくるなど、さまざまなアドリブが利くのが素晴らしい構築だ。本当に何度見てもクールだと思えるリストだなぁ。

クールなまとめ

 今でも「スリヴァーデッキが印象にあるなぁ」と酒を交わしながら思い出に浸ることがある。色褪せない思い出、スリヴァー。僕にとってはクールな青春のデッキだね。皆の青春はどんなデッキが彩ったんだろうか、また機会があれば教えてね。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Sliver forever!!

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