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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

マルドゥ・ウィノータ(スタンダード)

岩SHOW

 6月1日に告知された禁止カードおよび相棒のルール変更。これにより、特にスタンダードは環境の激変を避けられないとして、多くのプレイヤーが新しいデッキの形について頭を悩ませることになった。

 個人的には《裏切りの工作員》を用いるデッキを使用していたこともあって、どうしたもんかなと。このパーマネントのコントロールを奪う人間を、《軍団のまとめ役、ウィノータ》で公開する、《願いの頂点、イルーナ》《恵みのスターリックス》で叩きつける、《集めるもの、ウモーリ》《無法の猛竜》でコスト軽減して素出し、それらを1つのデッキで行うという無茶がとても楽しく、ここでその初期型も紹介させていただいた。中でもウィノータから工作員という最速ムーブはそれだけで勝負を決める強さと、無茶苦茶なことをやっているという確かな満足感があった。

 まあ、去ったものをどうこう言ってもしょうがない。次のデッキを追い求めよう。ということで、せっかくなのでウィノータを用いたデッキを探してみようかなと。工作員がいなくなっても、ウィノータから《帰還した王、ケンリス》が出てくるのは十分に致命的なムーブだからだ。

 そういえば工作員を使うタイプに圧倒されていたが、ウィノータ・デッキにはもう1つ、よりアグレッシブなタイプがいたな。ということで探してみると、おあつらえ向きな闘争本能剥き出しのデッキリストを発見した。ウィノータが率いる軍団の新定番となるか?

Tom - 「マルドゥ・ウィノータ」
スタンダード (2020年6月3日)[MO] [ARENA]
2 《平地
2 《
1 《
4 《聖なる鋳造所
4 《神無き祭殿
4 《血の墓所
4 《サヴァイのトライオーム
3 《寓話の小道

-土地(24)-

4 《不気味な修練者
4 《将軍の執行官
4 《ラゾテプの肉裂き
4 《軍勢の戦親分
3 《災いの歌姫、ジュディス
2 《軍勢の切先、タージク
4 《軍団のまとめ役、ウィノータ
2 《無傷のハクトス
2 《帰還した王、ケンリス

-クリーチャー(29)-
4 《急報
3 《エンバレスの宝剣

-呪文(7)-
3 《レッドキャップの乱闘
2 《一心同体
3 《不吉な戦術
4 《虚空の力線
2 《無頼な扇動者、ティボルト
1 《復讐に燃えた血王、ソリン

-サイドボード(15)-
Tom氏のTwitter より引用)

 

 ウィノータの白赤に黒を加えた「マルドゥ・ウィノータ」だ。まずはこのデッキが採用している、ウィノータの能力を誘発させる非人間のカードから見ていこう。

 まずはウィノータが出た時にまっさきに注目された《急報》。どう見ても人間のイラストなのに、あくまで「兵士」なのでウィノータを誘発させられるっていうアレだ。

 同じくトークンを生成して、カード1枚で2つ以上の殴り役になれるのは《軍勢の戦親分》。この辺はウィノータの定番スタッフというところか。

 このデッキでは黒を採用しているので《ラゾテプの肉裂き》もそこに加わる。単純に1枚で非人間2体、2マナ圏を《急報》と固める形だ。

 そして動員能力つながりで《不気味な修練者》もより強く使えるのが嬉しい。

 修練者は全体除去でリセットされてもトークンを残してウィノータの弾を確保してくれるのもエライ。これらを3ターン目までに並べて、4ターン目のウィノータから爆発させるのだ。

 続いては飛び出してくる人間たち。先にも触れた《帰還した王、ケンリス》がこのデッキの最もコストが重い人間だ。

 このデッキで王が起動できる能力は青と緑以外の3つ。ウィノータの能力で出た際には赤の能力が与える速攻の意味はないので軽視されがちだが、トランプルもつくのはダメージレースを制する点では無視できない。白の回復能力も仁義なき殴り合いというゲーム展開では大いに役立つだろう。黒の能力は最も使われることが少ないものだが、これもまた長期戦では活きてくる……と、サイズとグダった時の強さに価値を見出されての採用となっている。

 打点で言えばケンリスもしのぐのは《無傷のハクトス》。

 2・3・4のいずれか以外の点数で見たマナ・コスト(CMC)に対するプロテクションを得て、これがなかなか止まらない。相手のデッキによってはそのCMCのカードがそもそも入っていなかったりすることもあり、そんな時はまさしく一騎当千。一人で勝負を決めてくれる。

 ハクトスが一点突破であれば、《災いの歌姫、ジュディス》は面で攻める点を強化する。ウィノータを誘発させるための横並び戦略と合致した能力だ。

 《軍勢の切先、タージク》は戦闘ダメージ以外から小粒なクリーチャーたちを護る。《轟音のクラリオン》や《炎の一掃》も怖くない。ウィノータの能力で出てきた時には教導能力は誘発しないので注意だ。

 とまあ、ここまで見事にマルドゥ・カラーの伝説の人間で固めてある。そしてそれらとがっちり噛み合う1枚が《将軍の執行官》。

 伝説の人間は破壊不能を持つ。ウィノータから一気に展開した返しで《空の粉砕》されることを恐れる必要はないのだ。ウィノータから飛び出たり、あるいは2マナと軽いことを活かして先に出しておいたりと使い勝手がよく、かつメインからの墓地対策にもなると、細かい仕事ができるナイス執行官。将軍も鼻高々ってやつだ。

 執行官とその他の人間も、いずれも現実的なコストでウィノータを経由しなくとも唱えながら戦っていけるという点がこのマルドゥの売りだ。手札をただ素直に展開して《エンバレスの宝剣》で押し切る、コンボ要素なしのビートダウンとしても立ち回れる。何かに依存していないというのはいざという時に武器になる。

 環境の変化はカードたちにとってはチャンスの到来だ。このデッキをプレイしていると《無傷のハクトス》などは以前よりも存在感を増すような気がする。《将軍の執行官》などもそうだ。何かが去った時には、また新しい何かが隆盛する。そのデッキを探すために、あれやこれと思いついたデッキを形にしていこう!

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