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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Boar-Attack!(レガシー)

岩SHOW

 今年ももう10月に入り残り3か月……元気ですかッッ! 年月の流れの速さを嘆いていても始まらないので、楽しくマジックの話をしていこう。

 もう終わりそうな2019年だが、さあ今年の干支は覚えていますか? 年賀状を出したり、初詣で絵馬なんかを買った人は覚えているかもしれないけども、こういうのも大人になると忘れがちなもんですわ。

 今年の干支は猪! 実はマジック的にもこの干支をお祝いするカードが登場していたことに、皆は気付いていたかな? 『レジェンド』の《ダークウッドの猪》が初出である、歴史のある部族である猪についに伝説のクリーチャー《猪の祟神、イルハグ》が登場したのだ。

 しかも神ですよ、神。縁起がよろしいこってすよ、祟りがどうのとかはこの際目をつぶって……。すべての文明を踏み潰さんと都市に向かって突撃するイルハグ、その威容にあてられて手札のクリーチャーも戦場に躍り出る能力はなかなか面白く、かつ破壊力も高い。前環境のスタンダードではよく《原初の飢え、ガルタ》をねじ込もうってな構築に挑むプレイヤーがいたのも記憶に新しい。

 この猪の神はローテーション後のスタンダードにも残って、あと1年はその攻撃性を抑えるつもりはない。巨大なクリーチャーが出てくるたびにイルハグからシュートしたい!という欲求が高まるプレイヤーが雨上がりのタケノコのように出現し続けることだろう。

 デカくて強いクリーチャーをこの猪から射出して強いのであれば、最も危険な怪獣たちが闊歩するフォーマットではもっとヤバいことになってるんじゃないの? そう思ったあなたは正しい。

 今日はレガシー環境でもそのポテンシャルを発揮するイルハグの実態に迫ってみたぞ!

Malte Böhne - 「Boar-attack!」
Trader-Con @ Coesfeld (Germany) 準優勝 / レガシー (2019年9月15日)[MO] [ARENA]
10 《
1 《鋭き砂岩
4 《古えの墳墓
4 《裏切り者の都
1 《水晶鉱脈

-土地(20)-

4 《猿人の指導霊
3 《猪の祟神、イルハグ
3 《グリセルブランド
2 《世界棘のワーム
2 《引き裂かれし永劫、エムラクール

-クリーチャー(14)-
4 《水蓮の花びら
4 《血染めの月
3 《煮えたぎる歌
4 《騙し討ち
4 《裂け目の突破
4 《虚空の杯
2 《ウルザの後継、カーン
2 《大いなる創造者、カーン

-呪文(27)-
2 《ゴブリンのクレーター掘り
1 《ワームとぐろエンジン
1 《焼却の機械巨人
1 《トーモッドの墓所
1 《大祖始の遺産
2 《魔術遠眼鏡
2 《削剥
3 《三なる宝球
2 《火山の流弾

-サイドボード(15)-
mtgtop8 より引用)

 

 ドイツのレガシーのトーナメントで準優勝したという「Boar-Attack!」デッキだ。デッキ名はまんま猪アタック、シンプルかつ勢いがあって心に残るね。

 このデッキは、レガシーでかなり古い時代から一部のマニアに愛され続けている「赤単スニーク」と呼ばれるデッキの最新型だ。スニークとは《騙し討ち》のことで、赤が得意とするクリーチャーのマナ・コストを支払わずに戦場に出す能力を持ったカードで特大のクリーチャーを叩きつけて一撃で勝負を決めようという、パワーでねじ伏せるコンボデッキが好きなプレイヤーにオススメのデッキだ。

 《騙し討ち》《裂け目の突破》、そしてイルハグ。これらのカードも用いて早期決着を狙うので、《古えの墳墓》《裏切り者の都》などの2マナ出る土地や《猿人の指導霊》《水蓮の花びら》《煮えたぎる歌》といったマナ加速に全力投球で枠を割いているのがひとつの特徴である。

 《鋭き砂岩》《水晶鉱脈》などの土地を使っている点がこのデッキの姿勢を物語っているよね。

 何度も土地からマナを出す気はない、使い切りで良いから2マナ出せ!というね。

 これらの加速から《虚空の杯》《血染めの月》を1ターン目に叩きつけて、それだけでゲームに勝っちゃいましたルートを用意してあるのも、赤単の嗜みだ。

 クリーチャーを戦場に送り出すカタパルト的なカードから降臨させるのは……マジック界最強生物の座を争う2大巨塔《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《グリセルブランド》だ。

 戦場を薙ぎ払いつつ15点、あるいは7点ライフを吸い取っての7枚、14枚といった大量のドロー……こんな好き放題されて勝てるデッキなんてない。妨害パーマネントで隙を作り出し、最速でこれらの巨獣を召喚して我がままを押し通そう。

 《世界棘のワーム》も打点は十分致死ダメージを叩き出せるもので、かつ《騙し討ち》《裂け目の突破》のターン終了時に生け贄に捧げる効果で死亡しても、ワーム・トークンの群れを置き土産にしてくれるのが頼もしい。

 もちろん、上述の呪文でイルハグを速攻で殴らせつつこれらのクリーチャーを手札から出して勝つ、というプランも狙っていこう。

 2マナ土地が入っているデッキにとっての嗜みとなりつつある、カーン2種が採用されているのも見逃しちゃいけない。

 どちらもアドバンテージを稼いでくれるカードだが、このデッキでは《大いなる創造者、カーン》で持ってくるものが他のデッキとひと味違う。《魔術遠眼鏡》《大祖始の遺産》《トーモッドの墓所》、この辺はどんなカーン・デッキにも入っているメジャーどころ。《三なる宝球》は低マナ域に寄せた手数で勝負するデッキに強いので、枚数をとってサイド後はメインデッキに放り込むことになるだろう。パンチの効いている1枚とは残りのクリーチャー枠!

 まあ《ワームとぐろエンジン》も比較的見られるカードではあるね、ライフ回復しつつ相手のライフも攻める、対クリーチャーデッキにとっての悪夢そのものだ。このデッキのオリジナリティを感じるのは《焼却の機械巨人》!

 これが戦場に出た時に、こちらが3枚ドローすることを相手が拒否した場合……生きるか死ぬかのルーレットが回転する! 何せこのデッキには{4}{B}{B}{B}{B}や{15}といった、とてつもなく重いコストを誇るカードが複数入っている。それが公開されたら、相手のライフははじけ飛ぶだろう。ただドローさせても結局のところ負けにつながることになるので、対戦相手からするとプレッシャーが半端ないはず!……まあ、もちろん土地とか軽いコストのカードばかり公開されてハズレなんてこともあるが、そこはギャンブルってやつですよ。最後に逆転できるかもしれないスイッチが用意されている、そんなところにロマンを感じるプレイヤーであり続けたい。

 とにかくやんちゃなデッキとして知られていたスニークが、イルハグを手に入れてさらにやんちゃ度を増すこととなった2019年、亥年。こういうデッキは安定して勝てるものではないのだが、ノっている時は本当に手が付けられない。そんなアブナイ魅力にとりつかれたプレイヤーたちが、今後も猪の神を敵陣に突撃させ続けていくのだろう。

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